第十七話
「いやぁ悪いな、悪魔くん。今日も来てもらって」
現在、俺は悪魔稼業でお得意様の所へ来ていた。
・・・・毎回思うけど、なんでこの人は俺のことを呼ぶんだろうか?
しかもその契約内容がちょっとおかしいんだよなぁ。
コンビニにパン買いに行かされたり、釣りに付き合ったり。
わざわざ悪魔呼んでまですることじゃないと思うんだが・・・・
・・・・・・・・・・・・報酬はすごくいいんだけどね。
「今日はレースゲームでもやらないか?この間、今話題のゲーム機とソフトが手に入ったからな」
そう言うと、目の前のお客さんは今世間を騒がせているゲーム機とソフトを用意した。
・・・・・・・・ていうかこれ。清羅も持ってたやつだ!
何度か一緒にやったんだけど一回も勝てなかったんだよな。
「よし!準備できたぞ。ほい、コントローラー」
「あ、ありがとうございます。俺、このゲーム、プレイしたことあるんで中々強いと思いますよ?」
「お、そうか!よろしく頼むぜ」
そう言って俺達はレースゲームを始めた!
最初は俺が有利だったが、後にお客さんはコツを掴んだのか、俺を軽々と抜かして一位になりやがった!
マジかよ!このお客さん。ほんの数レースだけでコツを掴みやがった!
・・・・只者じゃないぜ。
「俺の勝ちだな、悪魔君。いや、『赤龍帝』?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?
ちょっと待て。
今、このお客さん。なんて言った?
俺の耳が正しければ、今確かに『赤龍帝』って。
「・・・・・・・・あんた、何者だ?」
俺は恐る恐る問いかける。
すると、目の前の男は悪戯が成功した時の子供のような笑みを浮かべ、背中から十二枚の黒翼を展開した。
「俺の名前はアザゼル。堕天使共の頭をやってる。
よろしくな、清羅の兄。『赤龍帝』兵藤一誠」
・・・・・・・・おいおい、マジか。
―●●●―
私、兵藤清羅は現在、オカルト研究部に顔を出してました。
そこには、眉を釣り上げて怒るリアス先輩の姿。
「冗談じゃないわ!」
どうやらアザゼルさんが身分を隠して自分の下僕に接触していたことに怒っているそうです。
・・・・というかアザゼルさん。この町でそんな事してたんですね・・・・
「私の可愛いイッセーに手を出そうだなんて万死に値するわ!おそらくアザゼルの狙いはイッセーの持つ『
それにしてもアザゼルさん。やっとあのゲーム機手に入れたんですね。
私を含む、ヴァーリ君の仲間達はほとんど持ってますけど・・・・
「・・・・なぁ、清羅。アザゼルはやっぱ俺の
ゲームの事考えてたら兄が不安を口に出していました。
・・・・ここは素直に話して兄を安心させてあげるとしますか。
「まぁ、アザゼルさんが
「・・・・そうなのか?」
「はい。約束します」
私の言葉に兄はひとまず安心したようです。
・・・・ていうかアザゼルさんは洗脳等の方法は極力使わないんですよね。
・・・・・・・・今回みたいな悪戯はよくしますけど・・・・・
「アザゼルは昔からああいう男だよ、リアス」
すると突然、この場の誰でもない他者の声が聞こえてきます。
声のした方向を見ると、そこにはにこやかに微笑む紅髪の男性。
まさか部室に直接転移してやってくるとは。
・・・・ちょっぴり予想外でした。
「お、お兄様!?」
リアス先輩が驚愕しています。
そして、よく周りを見ると、兄とアーシア先輩とゼノヴィア先輩以外の皆がその場で跪いていました。
「くつろいでくれたまえ。今日はプライベートで来ている」
サーゼクスさんの言葉で、私以外の皆が姿勢を楽にしました。
そして、私はとある疑問をぶつけます。
「・・・・こういう登場の仕方好きなんですか?サーゼクスさん?」
「やあ、清羅。それはもちろんだよ。なんてったって、我が可愛い妹の驚いた顔が見れるからね!」
・・・・うわぁ、ここにシスコンがいます。
私がサーゼクスさんのシスコンっぷりに若干引いてると、それを見たグレイフィアさんが、助け舟を出してくれました。
「・・・・サーゼクス様。ここでそのような発言はお控えください。清羅様が困っておりますので」
助け舟を出してくれたグレイフィアさんに心の中で感謝していると、リアス先輩が顔を真っ赤にしてサーゼクスさんに話しかけました。
「お兄様!どういうことですか!?魔王ともあろうあなたが仕事をほっぽりだして来るなんて!」
・・・・リアス先輩。相っ当、恥ずかしいみたいですね・・・・わかりますよ、その気持ち。
「いやいや、これは仕事でもあるんだよ、リアス。実はここで三すくみの会談が行われることになってね。今日はその下見に来たんだよ」
衝撃のカミングアウトに私以外の部員達は目を丸くしています。
ちなみに、私はアザゼルさんから事前にこの事を言われていました。
「どうやらこの学園は何かしらの縁があるみたいでね。いろんな力が入り混じって多くの事象を呼び込んでいる。その中心にいるのが、『赤龍帝』__兵藤一誠君__だと思っている」
「アザゼルさんも全く同じこと言ってましたね。
となると、天使側も同じ意見なんでしょうか?」
「あぁ、その通りだよ、清羅。これは三すくみのトップ全ての意向だ」
・・・・うーん。なんか自分の兄がトラブル呼んでるって思うと少し複雑ですね。
「あなたが魔王か。初めまして。ゼノヴィアだ」
兄のトラブル体質について考えていると、ゼノヴィア先輩が会話に介入してきました。
・・・・会話の入り方。唐突すぎません?
「ごきげんよう、ゼノヴィア。私の名はサーゼクス・ルシファー。それにしても驚いたよ。まさかデュランダルの使い手が妹の眷属になるとは・・・・」
「私も大胆な事をしたと思っている。勢いでここまでやってしまうとは、正直自分でも思ってなかった・・・・」
・・・・大胆な事をした自覚、あったんですね。
「うむ、やはり妹の仲間というのは、愉快な者たちが多いくていいね。ゼノヴィア、これから、妹の眷属として、皆を支えてほしい」
「伝説の魔王にそこまで言われては私も頑張るしかないな・・・・わかった、やれるとこまでやらせてもらう」
「ありがとう、ゼノヴィア」
・・・・ん?ゼノヴィア先輩。少し頬が赤いですね。照れてるんでしょうか?
「さて、人間界に来たのはいいが、どこに泊まろうか・・・・」
・・・・えー。この魔王さん。宿とらずにここ来たんですか・・・・
若干呆れていると、兄が手をあげながらある提案をしました。
「あのぉ〜、だったら__」
―●●●―
「妹が迷惑をかけていないようで安心しました!」
「いえいえ!リアスさんはとてもいい子ですよ!」
「ほんと、イッセーにはもったいないくらいでして・・・・」
現在、私の家でサーゼクスさんとグレイフィアさんが、両親と楽しげに会話しています。
あの後、兄がサーゼクスさんに対して、『それなら、俺の家に泊まりすか?』と提案したのです。
サーゼクスさんは、最初こそ目を丸くしていたのですが、リアス先輩が私の家に下宿していることを思い出し、両親に挨拶をするという名目も兼ねて、この意見を快諾。
これに対して、リアス先輩は恥ずかしさにより、最初は抵抗していたのですが、サーゼクスさんとグレイフィアさんの勢いを止められるはずもなく、ここに来てしまいました。
「それにしても今日は家に来る人が多いなぁ、母さん」
「本当ね、父さん」
ん?誰か他に家に来たんでしょうか?
「・・・・父さん。他に誰か来たんですか?」
「あぁ!実は先程、清羅の彼氏とそのお父さんが挨拶に来てな!」
・・・・・・・・・・・・・・・・え?
「ヴァーリ君、立派な子だったわねぇ。清羅。いい男の子を彼氏にしたのね!」
・・・・マジですか・・・・・・・・全く聞いてないんですがそんなの・・・・
「・・・・失礼ですが、イッセー君のお父さん。そのヴァーリ君の父親の名前を伺っても?」
サーゼクスさんが身を乗り出して質問します。
「はい!『アザゼル』さんという、とある研究所に勤めている研究者さんなんですよ!」
「「「ええぇぇっっっ!?」」」
この解答に対して、私と両親以外が驚きの声をあげます。
・・・・・・・・その中でも、兄が一番驚いてますね。
「そ、そうですか。ありがとうございます」
「いえいえ、ところで、そちらのメイドさんは?」
「あぁ、はい。グレイフィアです」
父さんの問いに、サーゼクスさんは先程の引きつった笑みを一転させて答えます。
「実は私の妻です」
「「「えええっっ!?」」」
サーゼクスさんのカミングアウトに、私とリアス先輩以外が先程と同じように大声をあげます。
そんな中、グレイフィアさんは一人。無表情のままサーゼクスさんの頬を抓っていました。
「ご紹介が遅れました。メイドのグレイフィアでございます。我が主が冗談を口にして申し訳ございません」
グレイフィアさんの綺麗な謝罪。心なしか若干照れているようにも見えます。
一方、隣のリアス先輩は恥ずかしさのあまり、顔を両手で覆っていました。
「それでは、グレモリーさんも授業参観に?」
「はい!仕事が一段落したこの際に授業風景を拝見できたらと思いましてね。当日は父も顔を出すんですよ」
「そうなんですか!リアスさんのお父さんも」
「ところでグレモリーさん!お酒はいけますかね?実は今日。美味しい日本酒がありましてね」
父さん・・・・さすがにここでお酒は・・・・
「ぜひともいただきましょう!日本酒は大好きなのでね!」
・・・・そうでした。サーゼクスさん。お酒好きなんでしたね・・・・
・・・・グレイフィアさん。頑張ってくださいね・・・・
ありがとうございました!!
次回もお楽しみに!!