「清羅、アーシアちゃん、イッセー。後でお父さんと一緒に行くからね!」
朝、気合の入った母さんに見送られて私達は登校します。
・・・・うちの親は授業中に声援を送ってくるから恥ずかしいったらありゃしません!
その一方で、アーシア先輩はうちの両親が来てくれることに大喜びして、満面の笑みを浮かべています。
アーシア先輩。嬉しそうですね〜
・・・・そう思えることが羨ましい。
―●●●―
「清羅。やっぱり両親は来るんですか?」
「はい。わざわざ新しいカメラ買ってスタンバイしてたくらいですから」
「・・・・大変なんですね」
「それはもう」
・・・・あぁ、小猫ちゃんの優しい眼差しが心に染みます。
「清羅。もうすぐ授業が始まりますよ、一緒に頑張りましょう?」
「・・・・ありがとうございます」
あぁ!私の天使はここにいましたか・・・・
―●●●―
「では、今配った紙粘土を使って好きなものを作ってみてください。自分が今頭に思い浮かべた物を形作るのです。そういう英会話もある」
いや、それはおかしい。
そんなの英会話じゃない。
そう思ってしまった私は悪くないはずです。
「それでは。Let's try!!」
・・・・そこだけ英語で言っても特に変わらないと思うんですがねぇ。
「清羅!ファイトよ!!」
「清羅!こっち見てくれ!」
遂に来ましたか!
恐れてた事が起きてしまいました!
ここで変なもの作ったら笑いものに・・・・
一人で悩んでいて、ふと周りを見渡してみると、皆は文句を何一つ言わず、紙粘土をこねていました。
・・・・・・・・えぇ・・・・それでいいんですか・・・・
・・・本当に何作りましょうかね。
私が一番に思い浮かべるもの・・・・
うむむ・・・・・・・・
私の使い魔の・・・・
首が九つあって硬い甲殻に覆われてて・・・・
猛毒を所持してる・・・・
「せ、清羅さん・・・・・・・・」
どうしたんでしょう?
先生が私の肩に手を置いて驚いた様子で、自らの肩を震わせています。
「・・・・清羅、それ」
隣の小猫ちゃんも同じような表情です。
二人共私の手元に注目しているようなので、私も自身の手元を見てみました。
すると、そこには今にも動き出しそうな、九つの首を携えたヒュドラの姿。
・・・・・・・・・・・・え?
これ、私が作ったんですか?
『おおっ!!』
クラスの皆は私の作品を見て歓声をあげました。
「・・・・素晴らしい、素晴らしいよ清羅さん・・・・!今日、この授業を行って良かった・・・・!!」
な、なんか先生が思いっ切り泣いてるんですが・・・・・・・・
「清羅ちゃん!俺の作品と交換してくれ!」
「だめだ!清羅ちゃん!五千円出そう!」
「ふざけるな!俺は七千円出すぞ!」
あの、皆さん、今一応、授業中なんですが・・・・
―●●●―
「二人共、よくできているわね」
昼休み、私は小猫ちゃんとともにオカルト研究部メンバーのもとに集まっています。
そこで、リアス先輩に私の『ヒュドラ像』と兄さんが作った『リアス先輩像』を見せていました。
あの後、このヒュドラ像は一万円で売ることにしました。
でも、私が少し、部員の皆に見せたいということで、作品の受け渡しは帰りに行うことに。
「それより部長!清羅の使い魔がヒュドラって本当なんですか!?俺初めて知ったんですけど!?」
兄さんは私の作品の出来よりも、私の使い魔がヒュドラだということに驚いているようです。
・・・・そういえば伝えるの忘れましたね。
「えぇ、そうよ。また今度見せてもらうといいわ」
「お望みであればお見せしますよ?」
「じゃあ、また今度・・・・」
兄さんに今度ヒュドラを見せてあげようとおもっていると、そこに木場先輩が現れました。
「あら、裕斗。お茶?」
リアス先輩が尋ねると、木場先輩は首を横に振って、廊下の先を指差しました。
「あ、いえ、どうやら魔女っ子が撮影会をしてると聞いたので見に行こうかと思いまして」
魔女っ子ですか・・・・・・・・まさか・・・・!?
―●●●―
パシャッ、パシャパシャッ!!
激しいフラッシュがたかれ、カメラを手に持った男性陣が廊下の一角で一人の女性を撮影していました。
・・・・やっぱり、この人でしたか・・・・
そこには、魔法少女の格好をして手に持っているスティックをくるくる回す、現四大魔王。セラフォルーさんの姿。
「オラオラ!天下の往来で撮影会たー良いご身分だぜ!」
そう言いながら匙先輩と生徒会のメンバーが乱入してきました。
「ほら解散解散!今日は公開授業だ!こんなところでいらん騒ぎをつくんな!!」
匙先輩の一声により、四方に散らばっていくカメラを持った男性陣。
騒ぎを鎮圧したあと、匙先輩はセラフォルーさんに声をかけます。
「さてと、あなたもここで、そんな格好はしないでください・・・ってもしかして親御さんですか?だったら余計に困りますよ」
「えー、だってこれが私の正装だもん☆」
しかし、セラフォルーさんは匙先輩の注意を受けても聞く耳を持ちません。
・・・・魔王さん、それでいいのか・・・・
「あ、リアス先輩。ちょうど良かった。今魔王様と先輩のお父さんを案内してたところなんです」
匙先輩はリアス先輩を確認するなり頭を下げました。
すると、そこに会長さんが現れ、匙先輩に軽い注意を言い渡します。
「何事ですか?サジ。問題はいつも簡潔に解決しろといつも言って」
「ソーナちゃんみっけ☆」
そこへ、セラフォルーさんは会長さんの言葉を遮り、即座に会長さんに抱きつきました。
・・・・あぁ、やっぱり。
「セラフォルー。君もここに来ていたんだな」
サーゼクスさんがその姿を確認するなり声をかけます。
一方で、兄はサーゼクスさんの発した言葉に困惑している様子。
そこへ、リアス先輩がトドメの一言。
「レヴィアタン様よ、イッセー」
「・・・・えええええええええっっ!!??」
言葉の意味を完全に理解するなり絶叫する兄さん。
・・・・頼みますからもう少し静かにしてください。
「あ、リアスちゃんに清羅ちゃん☆お久〜☆元気にしてた?」
うん、相変わらずのテンションですね。
兄さんが全くついていけてないようですが。
「お久しぶりです。セラフォルーさん。今日は会長さんの授業参観に?」
「うん☆そうなの☆ソーナちゃんったら酷いのよ!私に今日のこと黙ってたんだから!お姉ちゃんこれにショックで天界に攻め込もうとしちゃったぐらいなんだからね☆」
いや、そんな可愛らしく物騒なこと言っても・・・・
「ごきげんよう、セラフォルー様。ほらイッセー、あなたもご挨拶なさい」
リアス先輩に言われ、兄さんが頭を下げて挨拶をします。
「初めまして、兵藤一誠です。リアス・グレモリー様の『
「初めまして☆私、セラフォル・レヴィアタンです☆気軽に『レヴィアタン♪』って呼んでね☆」
ピースサインで宣言するセラフォルーさん。
いや、無理でしょ。
「ねぇねぇ、サーゼクスちゃん。この子が清羅ちゃんのお兄ちゃんで、噂のドライグ君?」
「そうだ。彼が清羅の兄にして『
セラフォルーさんの質問に受け答えるサーゼクスさん。ちなみに、サーゼクスさんを『ちゃん』づけして呼んでいることに突っ込んではなりません。
「あら、グレモリーのおじさま」
「あ、ジオティクスさん。お久しぶりです」
「あぁ、久しぶりだね二人共。それにしてもセラフォルー殿。その格好は些か魔王としてどうかと思いますが・・・・」
「あら☆おじさま、ご存知ないのですか?今、この国の最先端の服がこれなんですよ?」
「おぉ、そうでしたか。いやはや、これは私が無知だったようだ」
「いや、信じちゃだめですからね?ジオティクスさん?」
危ない危ない。グレモリー家の当主に日本の間違った認識を植え付けるところでした。
「あのぉ、清羅、部長?魔王様が俺の想像を遥かに超えたノリの軽さなんですが・・・・」
「兄さん、慣れてください。現四大魔王の方達は、プライベート時になると酷いくらい軽くなるので」
「えぇ、そうよ。イッセー、分かった?」
「は、はぁ・・・・」
兄さんは未だありえないといった表情です。
まぁ、こればっかりは慣れてもらうしかないですね。
「お姉様。ここは学舎です・・・・い、いくら身内だとしてもそのような格好は容認できません!」
「ソーナちゃんなんで!?ソーナちゃんにそんなこと言われたらお姉ちゃん凹んじゃう!」
「お姉様!ご自重ください!」
あぁ。会長さん。そうなったらもう・・・・
「なぁ、清羅。会長がお姉さんを呼ばなかった理由って・・・・」
「大体その予測であってますよ、兄さん。セラフォルーさんが、妹を溺愛しすぎるあまり、その愛しい妹が堕天使に汚されると知ったら、即戦争になりかねなかったんですよ」
「・・・・なるほど」
「もう駄目です!耐えられません!」
あ、会長さんが遂に逃げ出しました。
「待って、ソーナたん!お姉ちゃんを置いてかないで!」
「ついてこないでください!あと『たん』付けはいつもおやめになってくださいとあれほど!」
それを即座に追いかけるセラフォルーさん。
大丈夫ですかね?この学校。
「うむ、シトリー家は平和だ。そう思うだろう?リーアたん」
「お兄様。『たん』付けはおやめください!」
うわぁ、こっちでも始まりましたか・・・・
「・・・・リーアたん。そんな・・・・ついに反抗期かい!?」
「お兄様!!どうしてこう、私をからかう」
リアス先輩が反論しようとしたところを写真に収めるジオティクスさん。
・・・・すごい・・・・感動してますね。
「いい顔だ、リアス!次もどんどん撮っていこうか!」
「お、お父様まで!?」
・・・・苦労しますね、リアス先輩。
「お、清羅、イッセー」
「父さんですか」
学校を見回り終えて、手をあげながら現れる私の両親。
「清羅、一誠君。お二人がご両親かな?」
「はい。そうですよ」
「そうか」
ジオティクスさんは確認すると、私の両親の前に立ちます。
「初めまして、リアスの父です」
父さんに手を向けて握手を求めるジオティクスさん。
それに対して両親は先程の表情を一変させ、緊張の表情を見せます。
「こ、ここここれは!どうも!兵藤清羅と兵藤一誠の父です!リアスさんにはいつもお世話になっておりまして!!」
父さん、慌てすぎです。
「いえ、こちらこそ。リアスがお世話になっております。いつか挨拶に向かおうと思っていたのですが、私もサーゼクスも多忙な見でして。今日は機会に恵まれたようで。お会い出来て光栄です」
「そ、そそそそんな!私達も一度挨拶をと、父さんと。いえいえ、夫と話をしていたのでしたのでしたですわ!!」
母さんも慌てすぎて口調がおかしくなって・・・・
隣を見ると、兄さんとリアス先輩も顔を真っ赤にしていました。
「しかし、ここは落ち着いた場所で話をしたいものですな。互いの子供達が恥ずかしいでしょう」
そうしてください、お願いします。
「木場君。すまないがどこか落ち着けるところへ案内してくれないか?」
「はい。では、ご案内します」
そうして、木場先輩に連れられて歩き出す両親とジオティクスさん。
兄さんが、父さんにジオティクスさん相手に変な事を言わないようにと釘を指してましたが、まぁ多分、大丈夫でしょう。
・・・・多分
ありがとうございました!
また次回もお楽しみに!