第二十六話!始まるよ!
――冥界。俗に言う、地獄。
その地獄にある山にて、周りに茂っていた木々は消え去り、地面には数え切れないほどのクレーターが出来上がっている。
「死にたくないィィィィ!!助けてくれエエエエエエエエエ!」
そんな中、俺は、必死になって怪物達の攻撃から逃げ回っていた!
「ほらほら、避けないと消し炭だぞ?」
「キュアアアアアアアアアアア!!(その程度か!兵藤一誠エエエエエ!)」
はい、その通りですよ!!!
ていうか褒めてくれてもいいんじゃないの!?
俺、化け物に身を狙われ続けて未だに生きてるんだからね!?
あ、ちなみにこの修行中で、清羅の使い魔であるカール君の言葉が、ある程度分かるようになりました。
ヴァーリにその事を話したら、ヴァーリチームの皆は全員分かるそうです。
・・・・・・・・すげぇや。
「全く、逃げ足だけは本当に速くなったものだな、小僧」
そう。この数日で逃げ足だけは、本当に速くなった。
タンニーンのおっさん、ヴァーリの分析によると、魔王クラスが相手でもなんとか逃げ切れるんじゃないか?と言われるぐらいだ。
「逃げてばかりじゃ仕方ないだろう。そろそろ反撃してこい、兵藤一誠」
「いや無理だって!皆強すぎだ!」
「キュアアアアアアアアアアア!(ならば早く『
「そんな簡単じゃねぇんだよぉ・・・・・・・・」
俺は涙を流しながら呟く。
「・・・・ま、まぁ、以前と比べて、基礎的な力と、サバイバル能力は向上した。そこは誇っていい」
涙を流す俺を見かねて、ヴァーリがこれまでの俺をフォローする言葉をかけてくれた。
はぁ・・・・・・・・
褒められたのは嬉しいけど、どうせなら、部長に抱きしめられながら褒められたい!
「おー、やってんな。どうよ?」
そう思いながら半泣きで空を見上げると、堕天使の総督様がやってきた。
―●●●―
「うめぇ!うめえ!涙が止まんねぇよ・・・・・・!」
俺は、アザゼル先生から差し入れられた弁当を、涙を流しながら食べていた!
ちなみに、隣ではヴァーリが、ここに来る時、毎回清羅から渡される手作りのお弁当を食べている。
信じられるか?俺が山にいる猪とか狩って、焼いて食べてる時、こいつは美味しそうに恋人から渡されるお弁当食ってるんだぜ?
なんか俺、涙流してばっかだな・・・・・・
主に修行とかヴァーリに対する嫉妬で。
「朱乃が作ってくれた弁当もある。そっちも食ってやれよ・・・・・・・・しかし、数日見ない間にいい面になったもんだな」
先生は、俺の肩を叩いたあと、暫く見つめてからそう言った。
「ふざけんな!!俺さっきまで死にそうだったんだからね!?皆強すぎる!俺、このままじゃ『
俺は、半泣きしながら先生に言う!
「何を言っている。俺達が殺す気になれば、君はあっという間に、この山ごと消し炭だ」
そんな中、ヴァーリは半眼でそう言ってきた。
え?・・・・・・・・マジで?
俺の驚愕した表情から全てを読み取ったのか、ヴァーリは頷いた。
「まぁ、それでも基礎トレーニングはきちんとこなしてるんだろ?なら大丈夫だ。この修行が終わって『
うーん・・・・そういうもんかね?
まぁ、部長の最強の『
「お、やる気出たみたいだな。その調子で気張れ」
先生は、俺の方を見てそう言ってきた。
ていうか、俺ってそんなに分かりやすい?
「さて、イッセー。一旦グレモリーの別館に戻るぞ。俺がここに来たのはそのためだ。タンニーン、ヴァーリ、カール。少しの間返してもらう。明日の朝には戻す」
「了解した。ではタンニーン。その間、少し、手合わせを願いたい」
「いいだろう。ではこちらも本気で行くぞ?ヴァーリ」
先生、ヴァーリ、タンニーンが話している。
て?俺一旦屋敷に帰るの?
てか、さりげなく大戦争が行われようとしているのはいいのか?
そして、先生に連れられて山を下る際、漆黒の獄炎と大質量の火炎が衝突して、えげつない事になっていたけど、本当に大丈夫か!?
―●●●―
兄がヴェネラナさんとダンスの練習に励んでいる中、私、兵藤清羅は、ヴァーリ君、カールの様子がどうなってるか山に見に来たのですが・・・・
「『
「ガァァァァァァッッ!!!!!」
上空にてぶつかり合う、ヴァーリ君が放つ漆黒の獄炎と、タンニーンさんのブレス。
ぶつかり合う余波だけで空間が悲鳴をあげていることから、その威力の凄まじさが分かります。
「流石だな!タンニーンッッ!!」
「そちらこそ!なんとも楽しませてくれるっ!」
笑い合いながら、空中で激突する二人。
「楽しそうですね〜、ヴァーリ君、タンニーンさん」
「キュアアアアアアアアアアア!?(いや、このままではここら一帯が消え去るのでは!?)」
それに対し、カールは慌てた様子です。
いや、分かってはいるんですよ?
でも、あんなに楽しそうな二人を見てると・・・・・・・・ねぇ?
「キュアアアアアア(そ、そうですか)」
でも、カールの言う通り、このままじゃ山が跡形も無く消え去りそうなので、止めることにしましょうか。
「ヴァーリ君!タンニーンさん!周りを見てください!とんでもないことになってますよ!」
私の呼び声に反応し、即座に戦いをやめ、周りを見渡す二人。
そして、若干申し訳なさそうにしながら、こちらへ降りてきました。
「二人共。いくらなんでもやりすぎです」
降りてきた二人をその場で正座させると。私は説教を始めました。
ていうか、自分でやらせといてあれですが、タンニーンさんが正座してるところって、なかなかレアですよね。
「いや、清羅、よく聞いてくれ。最初はただの手合わせのつもりだったのだ」
まず、タンニーンさんが、今回の事の発端について話します。
「それが、互いに激突する度に物足りなくなってしまってな。
つい、熱くなりすぎてしまった・・・・今は、申し訳ないと思っている」
続いて、ヴァーリ君が今に至った経緯を話したあと、反省の意志を見せました。
「本当に、自重してくださいね」
うん。二人共、今はちゃんと反省しているようなので、これ以上何か言うのは必要ないと思います。
なので、軽い忠告だけで済ますことにしました。
「あぁ、次からは気を付けよう」
謝罪の言葉を口にするタンニーンさん。
・・・・・・・・いいドラゴンですね。
ドラゴンっていったら、自分勝手な部分が多いものですが、タンニーンさんはそれに当てはまらない、いい意味での例外だと思います。
「そういえば清羅。兵藤一誠は、何故屋敷に呼ばれたんだ?」
私が一人、そんな事を思っていると、ヴァーリ君が、気になった事を口にしました。
あぁ、そのことですか。
「なんでも、兄さんが将来リアス先輩と社交界に出るためのダンスの練習だそうです」
私の簡単な説明に、納得した様子のヴァーリ君。
というか、リアス先輩と共に社交界に出る。という言葉の本当の意味を理解してないのは、兄さんだけじゃないんでしょうか。
大丈夫ですかね?本当、どこかで亀裂が走らないといいんですけど・・・・・・・・
「清羅、どうした?」
「あ、はい。ちょっと兄さんとリアス先輩の関係について考え込んでいまして」
「関係?・・・・・・・・あぁ、そういうことか・・・・」
私の考えている事を察してくれたヴァーリ君。
相変わらずの鋭さですね。
私の兄も、流石にこれくらいとは言いませんが、もう少し鋭くなってほしいです。
―●●●―
「では、俺はこれで。魔王主催のパーティーには俺も出席する。また会おう、兵藤一誠、ヴァーリ、カール、清羅。それとドライグ、アルビオン」
グレモリー本邸前。俺達はタンニーンのおっさんの背に乗って帰ってきた。
「うん。ありがとうおっさん!パーティーでまた!」
『世話になった、タンニーン。また会おう』
「あぁ、俺も楽しかった。あの二天龍達に協力したのだからな。長生きはするものだ。そうだ、俺の背に乗ってパーティー入りするか?」
「本当に?いいの!?」
「大丈夫だ、問題ない。俺の眷属を連れて、パーティー開催日にここへ来よう。詳しい事は、あとで連絡を入れる」
おお!またあの空中旅行ができるのか!
「では、明日、またここへ来よう。さらばだ!」
おっさんはそう言うと、空へ羽ばたいていった。
「以前から思っていたが、いいドラゴンだな」
「本当ですね」
「キュアアアアアアアアアアア(話を聞かない邪龍達も見習ってほしいものです)」
『龍王としては、甘いと思うがな』
隣で、ヴァーリと清羅とアルビオンとカールが話している。
そうだよな!俺もそう思う!カッコよくて、話が分かって。
本当、いいドラゴンだと思うよ。
「やぁ、イッセー君」
そんな事を思っていると、隣から木場に声をかけられた。
なんだろう、あのイケメンフェイスが更に引き締まった気がする。
「・・・・・・・・いい体になったね」
木場が俺の上半身を見て、そう言う。
「その目でそう言うのをやめろ!すげぇ身の危険を感じるから!」
俺は木場から即座に上半身を隠す。
「ひ、酷いな。僕は筋肉がついたねって言いたかっただけなのに」
「そういうお前は・・・・・・・・変わらないな」
「まぁ、僕は筋肉がつきにくい体だからね。羨ましいよ」
「おー、イッセーと木場。清羅とヴァーリにヒュドラか」
聞き覚えのある声がしたので、振り返ってみると、そこにはミイラがいた。
「ゼノヴィア・・・・だよな?その格好はなんだ?」
俺が恐る恐る聞くと、ゼノヴィアは。
「あぁ、これか?修業してケガして包帯巻いてたらこうなったんだよ」
「ゼノヴィアさん、こっちに来てください。包帯巻き直しますので」
「あぁ、すまない、ありがとう。なにせ、不器用だからね」
そうして、清羅に包帯を巻き直されるゼノヴィア。
それにしても、木場もゼノヴィアもオーラが濃くなったな・・・・・・・・
あれ?俺、いつの間にそんな事分かるようになったんだ?もしかして修業の成果か?
「皆さん!」
可愛らしい声と共に、城門からシスター服姿のアーシアが出てきた。
「アーシア、久しぶり!」
こっちに来たアーシアに挨拶をしたのだが、何故か顔をそむけられてしまった。
え?なんで!?
「兄さん、服を着てください。その状態のままじゃ変質者ですよ」
清羅がそう言ってきた。
あぁ、そういうことね。
「あら、皆揃ったみたいね」
そう言いながら現れたのは、部長だった。
あぁ!本当久しぶりだ!
「部長!兵藤一誠!ただいま帰還しました!」
「イッセー・・・・・・・・随分逞しくなって・・・・・・・・いい体になったわね」
そう言うと、部長は俺に抱きついてきた。
あぁ!俺は今、生を噛み締めている!
「さて、皆。シャワーを浴びて着替えたら、修業の報告会をしましょう!」
良かったぁ!俺、やっと文化的な生活がおくれるよ!
さて、修業の成果、お披露目するとしますか!
―●●●―
俺達、グレモリー眷属が全員集合したのは、二週間以上ぶりだった。
皆の修業内容を聞いたところ、木場は先生から『
ゼノヴィアは、デュランダル、もう一つの聖剣になれるために、フリード、アーサーとの模擬戦。
なんでも、デュランダルは自ら使い手を選ぶじゃじゃ馬だから、同じく使い手を選ぶ聖剣、魔剣を持つこいつらに学べ。と先生に言われたそうだ。
二人が修業内容を話し終わったあとに、俺も山での修業生活の事を話した。
話し終わったあと、皆、かなり引いてた。
「あの先生、なんか俺だけひどい生活送ってないですか・・・・?」
「あぁ、俺も驚いてる。お前なら途中で逃げ帰ると思って考案したプランだからな・・・・やりすぎた、すまん」
「・・・・・・・・・・・・」
部屋がしばしの静寂に包まれる。
こんなひどい話があっていいのか!?
いくら悪魔だからって人権を無視していいわけじゃないだろう!
「ま、まぁ、そのおかげで体力も向上したし、正式に『
それはそうだけども!あの地獄の修業を得て『
「イッセー・・・・・・・・よく頑張ったわね」
そう言いながら俺を抱きしめてくれる部長。
あぁ、部長のぬくもりが俺を包む!
やっぱり、葉っぱにくるまって寝るのとは大違いだ!比べ物にならねえよ!
「さてと、報告会はぼちぼち終了にするか。今日は解散とする。皆、しっかり休めよ」
先生の一声によって、報告会は終了した。
ありがとうございました!
次回もみ、お楽しみに!