妹は聖槍使い!?   作:天覧会の部長

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第七話

 

 今、オカルト研究部にはピリピリした雰囲気が漂っています。理由は簡単。兄が堕天使に攫われたシスターの救出を申し出たからです。

 

 ・・・・正直に言わせてもらうと無謀という言葉を隠しきれません。現在の兄はまだ神器(セイクリッド・ギア)すら完全に覚醒しきってない未熟と言わざるを得ない状況。それで悪魔の天敵でもある堕天使に挑むのは完全な自殺行為です。

 

「だったら、俺一人でも行きます。アーシアの事を放っておけません」

 

 部長が必死に止めているのに向かうというのは、それだけそのシスターが大切なんでしょう。これほど真っ直ぐに物事を考えられる兄のこの部分は私が唯一尊敬できる美点です。

 

 この兄の真っ直ぐな視線に、リアス先輩はついに折れたのか、兄に兵士(ポーン)の駒のプロモーションについて話すと、私が伝えた教会に一足先に向かいました。

 

 

 さて、私も動きたいところなのですがここは兄の神器(セイクリッド・ギア)覚醒のために見守りに徹する事にします。私が出るのは兄が本当に死にかけた時。こうでもしないとこれからの戦いに生き残れないでしょうから。辛いですがこれも兄のため。そう方針を決めると、私は見守るためにここから退室します。

 

「私も大事な用事ができました。少し外に出ますね」

 

「ッ・・・・!そうか・・・・清羅がいてくれたら心強かったんだけど・・・・」

 

「すいません。どうしても外せない用事なので」

 

 うん。嘘は言ってませんね。さて!見守ると決めたならば早速準備です。私も一足先に教会に向かうとしましょうか。

 

 

 

―●●●―

 

 

 俺は今、木場、小猫ちゃんと一緒に教会に向かっている。本当は清羅も一緒に来て欲しかったんだけど大事な用事とやらでどっか行っちまった。多分清羅がいてくれたら一瞬で終わったんだろうけどな・・・・

 

 以前、気になって清羅の強さを訪ねたところ、部長曰く、俺達のトップである魔王様とも互角以上に戦えるだとか、多数の墜ちた神様を葬っただとか、多数のはぐれ悪魔の群れを無傷で葬っただとか、この他にも様々な武勇伝が出てきた。

 

 ・・・・俺の妹、そんなに強かったんだな・・・・ていうかどこでそんなに強くなったんだろうか?

そうやって考えながら走っていると、いつの間にか目的の教会についていた。

 

「さて、乗り込もうか」

 

 木場の言葉に俺は覚悟を決めて教会に入った。そして、聖堂まで走り抜くと、柱から、白髪の神父が顔を出してきた。

 

 それを確認して、俺は神器(セイクリッド・ギア)を展開して殴りかかろうとする。そしたら、木場が手を出して俺を止めてきた。

 

「ここは、僕に任せてくれないかな?」

 

 木場はそう言うと、クソ神父の撃つ弾丸を避けながら一瞬で近づき、鍔迫り合いを始めた。

 

 早い!これが騎士(ナイト)の速さと木場の剣術の実力か!と感心していると、鍔迫り合いをしていた神父は楽しそうに笑い。

 

「やるねぇ!こりゃいいバトルができそうだ!・・・・と言いたいところなんだが・・・・」

 

 そう言うと、神父は光の剣を巧みに操って木場を弾き飛ばした。マズい!と思っていると、神父はいきなり武器をしまって両手を上げ始めた。?何考えてんだこの神父は、と思っていると、神父がありえない発言をした。

 

「通っていいぜ」

 

 は?どういうことだよ?こいつは俺達を止めるためにここにいるんじゃないのか?と考えていると。

 

「ここだけの話、門番の役割は形だけなみたいなもんでさぁ。あの堕天使に協力してるのも上からの命令なんだよねぇ〜。だから早く行け、じゃねぇとお目当てのシスターが死んじまうぜ?」

 

 なんかよく分かんないけどこいつはここを通してくれるって事でいいのか?もしかしてこいついい人って思っていると。

 

「信用できないね」

 

 木場がそう言い放った。その一言に対して神父は。

 

「あぁ〜もう!信用ねぇな俺っちは!分かりましたよ〜。だったら負けたって事でここから退散するとしますかね〜」

 

 と、愚痴を言いながら窓から出て行った。これには俺達も一瞬意味が分からなかった。しばらくの間硬直していると。

 

「・・・・何であれ、門番は立ち去りました。とりあえず地下へ向かいましょう・・・・」

 

 その一言にハッとなった俺達は、無言で頷きあうと、隠し階段を使って地下に向かった。

 

 

―●●●―

 

 

「お疲れ様でした。フリードさん」

 

 とりあえず、三人に相対してもらったフリードさんにお礼を言います。本来なら、あそこで戦ってもらって兄の神器(セイクリッド・ギア)の覚醒をさせる予定でしたが、地下のシスターの神器(セイクリッド・ギア)の状態を確認したところ、急がせなければと思い、急遽撤退してもらいました。

 

 ・・・・ちょっとだけ予定と違いますが堕天使との戦闘で覚醒してもらうしかなさそうです。まぁ、ここは兄のいざという時の根性を妹として信頼するとしましょう。

 

「いやいや〜、アレくらいどうってことないぜ〜清羅たん〜。ちょっとだけ戦いたいって思いはあったけど、どうせ手加減してやられなきゃいけないから意味ないしね〜」

 

 ちなみに、フリードさんに対して監視の指令を出したのはアザゼルさんです。下っ端の動向を探るために私がフリードさんを指名したところ、快く向かわせてくれました。

 

「さて、では兄の赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の覚醒を待つとしますかね」

 

「そうだね〜。ヴァーリには及ばずともどんな覚醒の仕方をするのか楽しみだからね〜」

 

 なんだかんだでこの人もそういう戦闘好きの部分がありますからねぇ。まぁ、私もその一人なんですが・・・・

 

「やべっ!?仕事の後ルフェイたんとデートの約束してんだった!こんなことしてる場合じゃねぇ!!んじゃ、あとは任せたぜ〜」

 

 あ、そういえばこの前そんな約束してましたね。フリードさんはアザゼル特製転移装置で即座に転移しました。それでは、一人で兄の観察といきますか。

 

 

―●●●―

 

 

 俺たちは今、部屋の中で多数の神父と交戦していた。その一番奥の儀式場とやらでは、アーシアが十字架に磔にされていた。それを見て俺は思わず叫んだ。

 

「アーシアァ!助けに来たぞ!!」

 

「ふん、あの時の小僧か。だがもう遅い!!あとすぐで儀式が終わる!」

 

 目の前のドーナシークとやらがそう言うと、アーシアの体が光り、体の中から小さな指輪が出てきた。

 

「フハハハハ!ようやく手に入れたぞ!これで俺にもう敵は無い!!」

 

 あれはマズイ!!直感でそう思った俺は急いでアーシアの側へ向かう。途中、神父たちが邪魔してきたけど、小猫ちゃん達が倒してくれた。

 

「アーシア!しっかりしろ!!」

 

 そう呼びかけるけど、アーシアはぐったりとしたまま返事をしない。体温を調べても冷たいまま。それが真実を物語っていた。

 

「無駄だ小僧。そのシスターはすでに死んでいる」

 

 その現実を聞いて、俺は今自分でもおかしくなるほどの憎悪をだしていた。あぁ、多分これが殺気ってやつなんだろうと思いながら目の前の存在に対して怒声を上げる。

 

「堕天使ィィィィィィィィッッッ!!!!!」

 

「喧しい小僧!!貴様のような下賤な輩が俺に対して吠えるな!!」

 

 許さない許さない許さない許さない!!!!こいつは本当の下種だ!!悪魔よりも汚くて外道じゃないか!!そう思って目の前のこいつを睨んでいると木場から声がかかった。

 

「このままでは不利だ!兵藤君!一旦その子を抱えて離脱してくれ!!逃げ道は僕らが確保する!!」

 

 ッ!!俺はその言葉に従うしかなかった。この状況が不利なのは素人の俺が見てもわかる。目の前の堕天使を睨んで、アーシアを抱えて離脱する。

 

 途中、神父達に邪魔されたけど、二人が薙ぎ倒してくれた。すまねぇ!!ありがとう!!そうやって二人に心の中で感謝しつつ、俺は地下の階段を上がって聖堂に出た。そして、目の前にあった長椅子にアーシアを寝かす。そうしたら、俺の目から凄まじいほどの涙が出た。

 

「なんでだよ!!意味わかんねぇよ!!この子は何も悪くないじゃないか!この世には神も仏もねぇのかよ!?なんでこの子が死ななきゃならないんだよ!?巫山戯んなよ!!巫山戯んなよ!!」

 

 今の俺は、怒りと悲しみが混じってわけが分からなくなっていた。そうして泣いていると、後ろから、堕天使の声が聞こえてきた。

 

「下らんな。悪魔がシスターの死を悲しむだと?こんな馬鹿げた悪魔がどこにいる!?こいつは傑作だ!!ハハハハハハ!!!!」

 

 

 そう言いながら笑いながら見下してきた。

 

 

 

 馬鹿にしやがって!!!こんな奴のためにアーシアは死んだのか!?しかもあんなに誇りに思っていた神器(セイクリッド・ギア)まで盗られて!?許さない!絶対に許すもんか!!!

 

 そう思っていると、俺の篭手が眩い光を放って形状が変化した。すると、体中に力が駆け巡った。今までの状態とは次元が違う。

 

「無駄な事を。そんな下級神器(セイクリッド・ギア)で何ができる!!」

 

 そう言いながら、目の前の堕天使が投げた光の槍がおれに刺さった。光が悪魔の弱点!?でもなぁ、この程度痛みなんざアーシアがこれまで受けた痛みに比べれば痛くも痒くもねぇよ!!

 

「ほう!その槍を耐えるか!!下級悪魔にしてはよくやる。ならば、今度は四本だ!!」

 

 そう思いながら槍を無理矢理引き抜いた後、今度は四本の槍が投擲されて俺に刺さった。クソッ!こいつは痛ェ!!さっきまでとは桁違いの痛みが体中を駆け巡る。もう全身が痛くて体が動かねぇ。

 これは限界かな・・・・そう思って膝をついた。すると、目の前の長椅子で静かに眠っているアーシアが目に写った。

 

 ・・・・俺は目の前の少女を死なせてしまった。こんないい子だったのに。これから絶対に明るい未来が待っていたはずなのに。それを目の前で馬鹿笑いしてる屑に全部台無しにされたんだ。この子はに悔しいに決まってる。いや、絶対に悔しいはずだ。

 

 ・・・・だったらさ。その悔しさを少しでも晴らしてやるっていうのが、友達の。そして、男の役割なのではないのだろうか?

そう思っていたら、自然と体が動いてくれた。

 

 ―殴ってやる。

 ―一発でいいから。

 ―目の前で馬鹿笑いしている屑を殴ってやる!

 

 そう決意した俺から凄まじいほどの力が湧き上がってきた。あぁ、そうか。魔王様が願いを聞き入れてくれたのか?それとも、俺の神器(セイクリッド・ギア)が思に答えてくれたんだろうか?

 

 まぁ、力が湧き上がってきたんならやることは一つだ!

目の前の屑を。アーシアの悔しさを乗せてぶん殴る!!!

 

「な!?あ、ありえん!!下級悪魔風情が、なぜ立ち上がれるのだ!?」

 

「・・・・ァァ〜痛え。確かに痛い。痛いんだけどさ・・・テメェに対する悔しさと憎しみが体中を駆け巡ってどうにかなっちまったよ!!」

 

 おそらくチャンスは一度きり。だから絶対に外さない。そう決心して目の前の屑を目で捉える。

 

「いくぜ。俺の神器(セイクリッド・ギア)!こいつをぶっ飛ばす一撃!打てるんだろ!?」

 

『Explosion!!』

 

そしたら、俺の神器(セイクリッド・ギア)はその問に応えてくれたみたいに、力強い声を上げてくれた。

 

 いける!籠手からスゲェ量のエネルギーが溢れてくる。でも、この力は一撃だけだ。

 今の俺が撃てる。一撃限りの大技。だったら絶対に外せない。だったらやることは一つだけ。

 

 目の前のコイツを、全力で殴ることだ!!!!

 

「何だこのエネルギー量は!?高々下級悪魔の分際で!!何故上級悪魔の力がだせる!?こんな事があってたまるかぁぁぁぁ!!!」

 

 目の前の屑が何か言ってるけど気にしない。翼を広げて逃げようとしてる屑を左手でがっしり握って逃げられないようにする。そして、今出せる全力の一撃を放つ!!!

 

「ブッ飛べ!クソ天使!!!」

 

 

ドンッッッ!!!

 

 

 鈍い音がして奴は飛んでいった。あれだけの一撃だ。おそらくもう立ち上がっては来ないだろう。俺は晴れ晴れとした気持ちで目の前の少女に報告する。

 

「敵は打ったぜ・・・・アーシア」

 

 

 ―僅かに。目の前の少女が微笑んだ気がした。

 

 

―●●●―

 

 

「お疲れ様です。兄さん」

 

 そう言って、目の前で倒れ込むようにしていた兄を抱きかかえます。すると、兄は目を大きく見開きました。

 

「って清羅!?お前、用事があるんじゃ!?」

 

「たった今済ませてきました。事後処理です。」

 

 やっぱりでした。兄はピンチで見事に神器(セイクリッド・ギア)を覚醒させました。龍の手(トゥワイス・クリティカル)の形態から、ちゃんと赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)に進化してますね。

 

 とりあえずは、作戦成功ということで安堵していると、皆から労いの言葉をかけられてる兄の前に、堕天使が引っ張りだされて来ました。 

 

「リアス先輩、兄さん。この鴉の処理は私が担当していいですか?」

 

 兄と先輩に許可を取ります。すると、二人共意見はないのか、無言で頷いてくれました。

 

「さて、堕天使さん。あなたの抹殺許可はすでにもらっています。最後に何か言い残すことは?」

 

「・・・・嘘だ。アザゼル様が私を見捨てるはずが・・・・」

 

「見捨てましたよ。それでは、さようなら」

 

 手に聖槍を顕現させ、グサッと一突きします。すると、目の前の鴉は灰となって、崩れ去りました。

 

「ありがとう清羅。あなたがいてくれて処理が楽になったわ」

 

「いえ、お気になさらず。ところで兄さん。それ、覚醒したんですね」

 

 そう言うと、私以外の皆は頭に疑問符を浮かべてました。・・・・あぁ〜この人達赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の実物知らないんでしたっけ。

 じゃあ、説明しますか。

 

「皆さん。聞いてください。兄さんの神器(セイクリッド・ギア)はただの神器(セイクリッド・ギア)ではありません。」

 

 皆が驚いた表情を浮かべます。普段無表情の小猫ちゃんまで驚愕の表情を浮かべてました。これに珍しいなと思いながら話を続けます。

 

「兄さんの神器(セイクリッド・ギア)は私と同じ神滅具(ロンギヌス)の一つ。約十秒ごとに持ち主の力を倍にしていき、極めれば神をも殺す事が出来る能力を得る赤き龍が、封じられた伝説の籠手。赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)がその正体です」

 

 この事を聞いた皆は、先程よりも驚愕の表情を浮かべてました。中でも兄さんが人一倍驚いてました。

 

 

「嘘だろ!?だとしたらこれとんでもない代物だぞ!?」

 

 皆が神滅具(ロンギヌス)に驚愕して言葉を発さなくなりました。このままでは神滅具(ロンギヌス)の話題だけで終わってしまいそうなので、話題の方向性を変えることにします。

 

「ところで皆さん。そこで眠ってらっしゃるシスターさんはどうするんです?」

 

 すると、兄さんが悲しい表情を浮かべてました。これに対し、リアス先輩は驚きの案を提示しました。

 

「ねぇ、イッセーこれ、なんだと思う?」

 

 そう言って、リアス先輩は僧侶(ビショップ)の駒を見せました。本気ですか!?シスターを悪魔に転生させる気ですかこの先輩は!?すると、駒を見せた意図を掴んだ兄は心底驚いていました。

 

 そして、リアス先輩の詠唱が終わり、無事僧侶(ビショップ)の駒が体に入ると、奪われた神器(セイクリッド・ギア)も体内に入り、死んだはずのシスターが目を覚ましました。

 これに、兄は思わず目の前のシスターを抱きしめて一言。

 

「帰ろう。アーシア」

 

 

 さて、ひとまず一件落着ですね。

 

 

 

 




 お読みいただき、ありがとうございます!!原作一巻分、終了しました!次、ようやく二巻分に入ります!!

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