一流の銅ヤロー   作:クロム・ウェルハーツ

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OP:Fight For Liberty/UVERworld
ED:GOING ON/EXILE


第0部 赤銅ヨロイはくだけない
@0 Prologue


「さて…。突然だがお前には転生してもらう。」

 

朝、起きたらいきなり声が頭の中に響いてきた。

…幻聴か。こりゃ、疲れ過ぎてるわ、はは。

寝返りを打ってみる。

しかし、布団の感触がない。寝返りをうちながら、手をいろいろな方向に向けて布団を探す。

…あれ?おっかしいなぁ。布団がどこにも見つからない。

目を開けてみる。

 

 

そこは一面白の世界だった。

 

 

「…は?」

 

あまりにも真っ白だ。つーか、先が見えねぇ。笑いが出る程広くて、それでいて何もない大きな大きな空間だ。

 

「目が覚めたようだな。」

 

目の前に誰か立っている。

目のピントが段々と合っていくにつれて見えてきた姿は爺さんだった。つーか、誰だよ、この爺さん。

 

「あれ?俺、さっきまで横になってたハズじゃないの?」

 

ふとした疑問が湧き出た。

 

「ここはワシの精神の中だ。寝ているも何も今のお前には体すらない。」

 

爺さんの言葉で慌てて体があった場所を見渡す。そこには、爺さんのいう通り、何もなかった。

 

「ゔぇえ。」

「心配するでない。説明した後で、きちんと転生させてやる。」

 

思わず変な声が出てしまった俺をスルーした爺さんはびっくりすることを言ってのけやがった。そこに痺れも憧れもしねぇけど、ツッコミだけは入れさせてもらう。

 

「何なの?この下手な二次創作の始まり方は?」

「黙っとれ!」

 

爺さんがわざとらしくため息をついて顔を伏せた。流石に言いすぎたなぁ、けど、この爺さん二次創作って単語を知ってるなんてなかなかやるじゃないの、とか思ってたら爺さんが顔を上げた。

爺さんと目が合い、そこで初めて気づいた。爺さんの眼は全体が紫で、更に、波紋状になっていた。

 

「その眼…輪廻眼!?」

「そうじゃ。この眼のことは知っておるな。そうワシこそが忍の開祖、六道仙人。」

「ぎゃははははは!爺さんおもしれぇな!六道仙人のコスプレかよ。んな奴見たことない。」

「神羅天征!」

 

爺さんが叫んだ瞬間、轟音と共に空気が歪んだ気がした。ちょっ!むっちゃ怖いんだけど、この爺さん。

 

「これ、まさか…!」

「そうじゃ。輪廻眼・天道 神羅天征の術じゃ。」

「でっかいおなら!?」

「人の話を聞かんかい!」

「あ、さーません。でも、信じられないんですよ。伝説の輪廻眼を持つ人間なんて。しかも、それが六道仙人を名乗ってるなんて嘘としか思えないじゃないですか。…つか、NARUTOはフィクションだし。」

「…話はきちんと聞いておるようじゃな。」

「いやいや、そんなに褒めて頂かなくても。」

「褒め取らんわい!」

 

爺さん、いや、六道仙人が鬼のような形相で睨んでくる。怖い。

 

「話を元に戻らせて貰っても構わんかな?」

「はい、調子乗ってさーません。転生の話でしたよね。いわゆるテンプレ的な感じの。しかも、NARUTOの世界に転生!的な匂いがプンプンしてるんですけど。」

「それで概ね間違いはない。」

「ってことは、俺、死んじゃいました?」

 

甘栗剥いちゃいました的なノリで聞いてみる。

六道仙人が頷く。

…やっぱりか。押し黙った俺から目を下に逸らして六道仙人は口を開く。

 

「すまん。お主を殺したのはワシと言っても過言でない。」

「どういうことですか?」

「いやね、規模を小さくした天碍震星をしてみたら思いの外、上手くお主に当たってしまっての。」

「全責任アンタにあるんじゃねぇか!」

「そんな訳ですまん。」

 

自分が死んだ理由が神サマのシューティングゲームの的にされたなんて笑えねぇ。

 

「まぁ、いいですよ。思い残したことも特にはないですし。で、転生の話でしたよね?じゃあ、まずはチャクラ無制限と、あと、感知タイプの中でも最高レベルの能力。何かと便利ですしね。ああ、そうそう。それはナルトの九尾モードレベルで。それから、医療忍術のエキスパートになれる程の才能をください。怪我はしないのが一番ですけど、もし、してしまったらって考えるとかなり必要な能力ですから。ちなみに、最終的には怪我が印を結ばずに治せるぐらいの。あと、永遠の万華鏡写輪眼で須佐能乎が使えるものを転生した直後から。それ、天照と月読も使えるやつで。あとあと、螺旋丸に飛雷神の術、木遁とか血継限界、血継淘汰が全て使えるのと、もちろん性質変化は隠遁も含めた六属性をマスターできるぐらいに。で、不老不死!いいですよね、不老不死!ついでに、身体能力の超強化、つまり、全盛期の柱間やマダラを2人相手にして勝てるぐらい。そんでそんで、ドラゴンボールのスーパーサイヤ人10までなれるのと全部の技!とある魔術の魔術、超能力全部、ノーリスクで演算能力まで付けて!鋼の錬金術師の7つの大罪!遊戯王のカード全て使える!FF、DQの魔法、アイテム、アビリティ全部が使える!Fateシリーズ全てのサーヴァントの宝具、魔術全部!めだかボックスの安心院さんの7932兆1354億4152万3222個の異常性(アブノーマル)と4925兆9165億2611万643個の過負荷(マイナス)、合わせて1京2858兆519億6763万3865個のスキル、7億人の端末、それと全登場人物の異常性(アブノーマル)過負荷(マイナス)言葉(スタイル)が使える!最後にJOJOのスタンド全て!っていう転生特典を付けてください!」

 

 

「いや、ウチ、そーゆーのやってないんで。」

 

 

目の前が真っ暗になった。

 

「え?ちょっ、え?…マジ?」

「うむ、大マジ。それに、その能力全部使えるようになったらワシよりも強くなってしまうからの。」

 

極めて冷静に俺の望みは受け入れられないと、六道仙人とかいうこのクソジジイは言いやがった。

 

「爺さんが『大マジっ☆』じゃねぇよぉおおお!どうすんの!?あんな死亡フラグ満載の爆心地な地雷原を裸で突っ切れっつーの?馬鹿なの?死ぬの?」

「落ち着け。」

「いやいやいや。これが落ち着いていられる事態な訳ないし!」

「…落ち着け。」

 

空気が変わった。体はないハズなのに、冷や汗が止まらず、動悸が激しく、目の前が暗くなり、吐き気が酷い。

六道仙人と目が合った。

 

「すみません。」

「まぁ、よい。ワシに全責任があるのでな。」

「…すみません。」

 

爺さんはふんわりと宙に腰を下ろす。流石、六道仙人といった所か…。

 

「それでだ。お主には、察しの通りお主らがNARUTOの世界と呼ぶ場所に転生して貰う。転生特典などはなしでの。ここまではよいか?」

「はい。」

「では、続きじゃ。お主にはやってもらいたいことがある。」

「何ですか?」

「十尾の復活の阻止、そして、十尾の被害を最小限に食い止めることじゃ。」

「!でも、それは…。」

「そう。原作ブレイクというやつじゃ。そうまでせんと、彼奴の力を知るワシからすれば…。」

「言葉に詰まるなんて、どうしたんですか?原作ブレイクって爺さんや幼女の神キャラはぶれいくって、ひらがなっぽく言った方が良かったとか考えてるんですか?」

「…世界が滅びる。」

 

もちろん、爺さんが『ぶれいく』ってかわいく言わなかったから世界が滅びる訳じゃない。十尾関係だ。

っていうか、またスルーされた、いや、スルーしようとしてた、か。爺さん話の文脈が少しおかしいし。

俺がちゃちゃ入れたせいで何言おうとしてたか忘れちゃったんだろうなぁ。

 

「ワシの望みは以上だ。伝えることは伝えた。後は頼むぞ。」

 

頬を少し赤らめた爺さん。一体、誰得?

まぁ、それでも、転生させてくれるいい人だしね。しゃあねぇ、許す。

爺さんは印を組んでいく。

うん、速すぎて見えねぇ。なんだか笑えてくる。

指の動きが止まった。左手の親指を体に向けて指を組む。巳の印だ。

 

「外道 輪廻天生の術。」

 

なんか魂みたいなのが俺を突き抜ける。

輪廻天生の術が完成したみたいだ。

 

「勝手だなぁ。でも、頼まれました!生き抜くためには十尾をどうにかしないとだし、俺が生き抜くついでにやってやりますよ!」

 

爺さんは俺に向かって微笑んだ。

…十尾をどうにかするの嘘だって言いづらいな。

 

「爺さん。ありがとう。」

 

そんなことはおくびにも出さずに言ってのける。演技だけなら、きっとイタチにも引けをとらないぜ!

段々と意識が遠のく中、最後に見えたのは爺さんの満面の笑みだった。

 

「ふぅ。変な子じゃったな。しかし、このままでやらせるというのも、ちと悪い気がするのぉ。…おお、そうじゃ。ワシの持てる力を全て使いあの子の望みを少し叶えてやるとするかの。」

 

六道仙人は再び印を組む。

 

「これでよし。」

 

六道仙人の体が段々と薄くなっていく。

 

「後は頼んだぞ。…赤胴ヨロイ。」

 


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