皆さん、初めまして!
赤銅ヨロイと申します。
好きなものはうなぎ!もっと好きなものは母ちゃんが作ってくれたうな重!
嫌いなものはそんなに親しくないのにべたべたしてくるやつ。
で、将来の夢はぁ…あー、あれだ。十尾をどうにかする。
ちなみに、俺には前世の記憶がある。
死んだ後に前世と今世の狭間であった六道仙人とか言うなかなかヒッピーな爺さんに転生させられて送り込まれたのが、ここ!NARUTOの世界。死が隣にある世界なんてワクワクドキドキが止まらないね、ちくしょう。
ま、これぐらいの自己紹介で俺のことはわかったかな?
そう!世界的に有名なNARUTOのキャラクターの内の一人だ。
え、知らない?ほら、第一部でさ、中忍試験あったじゃん。
その時にさ、”第三の試験”予選の第一回戦でうちはサスケと闘って、獅子連弾でフィニッシュ決められた奴。それが赤胴ヨロイ。
いわゆる、ヤラレキャラっつーやつだ。
ああ、そうだ。転生憑依ものだね、こりゃ。勝手にチート有りのオリ主転生ものと勘違いしていた二年前の俺に教えてやりたいよ。そしたら、絶対転生なんかしなかったっつーのに。
で、話は変わりますが、俺、今、命の危機に瀕しております。
「獲物は常に気を張って逃げ惑うものよ………捕食者の前ではね。」
「うるせぇ変態!死ね!氏ねじゃなくて死ね!」
「随分と口の悪いガキね。」
「口が悪いのはお互い様じゃねぇか!てか、性格もあんたの方が悪いから俺の勝ち越しだし!」
住んでいる村の近くの森で変態カマヤローに追いかけられています。
命の危機どころの話じゃないです。わずか二歳で貞操の危機に陥るとは思いませんでした。
こうなると知っていたら、絶対転生なんかしなかったっつーのに。
「捕まえたわよ。」
足が地面から離れた。
襟首を捕まえられてブランブランしてる俺を正面から見据える変態。
「…アンタは?」
逃げられないと観念して俺を掴んでいる男に名前を尋ねる。いや、一目見た瞬間から分かるけども、まぁ、礼儀としてね。
「私の名は大蛇丸。この世を解き明かす者よ。」
「ふぅーん。」
「…。」
うん、この人デンパ。
漫画で見た時は恐ろしくてかなり印象深いキャラクターだったけど、実際見てみるとかなり痛い人だわ。
「で、この世を解き明かす者な大蛇丸さんが何かようですか?」
「黙りなさい。殺すわよ。」
「はい。」
この人、六道仙人の爺さんよりも怖い。二歳児に向ける目じゃねぇよ。一応、前世では二十歳まで生きてた俺でも泣きそうだもん。
「あなた、赤銅一族の子ね?どこに隠れ里があるか案内なさい。」
「…。」
「どうしたの?話しなさい。」
「あ、話してもいいんですか?殺されないなら話すことも吝かではないんですけど、ははは!?」
クナイを突き付けられた。超怖い。
「さーません。自分、赤銅ヨロイといいます。ご察しの通り赤銅一族です。で、どこに住んでいるかということは教えられません。」
大蛇丸の目が細くなった。むっちゃ怖い。
「そう。それならあなたを殺した後に、虱潰しで探すわよ。」
「ああ、それは無理だと思いますよ。」
すばやく印を結び、俺の襟首を掴んでいる大蛇丸の右手首を握る。
俺の術なんて大したことないと高をくくり、何もしない大蛇丸。その油断が命取りだ!
大蛇丸の顔が驚きに歪む。
「これは!?」
ふっ、決まった。
大蛇丸が膝をつく。
「このままチャクラを吸い取るからそういう虱潰しで村探しとか無理だと思いますよ。」
俺固有の能力として、チャクラの吸引術がある。掌を相手にあてがうだけで精神と身体のエネルギーを吸い出す術だ。つまり、オリジナルの術だね。効果は知ってるけど、どの印を結べば発動できるのか?それを突き止めるために頑張ったのも今となってはいい思い出だ。
膝をつかせたものの、大蛇丸の目線は俺より少し高い。うーん、締まらないなぁ。
「くくく。」
「何がおかしいんすか?」
いきなり大蛇丸が笑いだす。
チャクラを吸い取られ続けてるのに随分余裕だな。俺がチャクラを吸っている間は、チャクラを練ることができない。つまり、術を発動することなんてできない上に、体も怠くなって頭もボーっとするっつーのに何この余裕?
「いいわね、あなた。」
「ぐっ!」
金縛りの術!?いや、これは殺気だ。
おいおい、殺気だけで動けなくなるなんて。気分はまさに蛇に睨まれた蛙。
むちゃくちゃ気分悪いわ。ここ十年ぐらい泣いてない俺が泣きたくなるぐらい。あ、転生直後は除いてね。コミュニケーション手段がないのと泣かない赤ん坊は気持ち悪いからって理由で泣いてたりしたし。
腕から力が抜けてブランと下に下がる。どーしよー。原作準拠だと殺されることはないと思うんだけど…。
ちらっと大蛇丸、いや、大蛇丸様の顔を盗み見る。
物凄い黒い笑顔だ。
絶対怒ってるって、これ。目が全く笑ってないもん。イッチャッテル人の笑い方だし。
死ぬほど怖い。
「あなた、おもしろいわね。」
「どーも。褒められた所で何も出ませんよ。特に…。」
息も絶え絶えに言う。さっきから呼吸ができない。苦しい。怖い。
けど…。
「一族は売らない!」
わずか二年でも赤銅一族に産まれたことを心の底から感謝してるんだ。
皆をこんな奴の実験体にさせてたまるか!
「くく。そういう所も含めて気に入ったわ。あなた、私のモノになりなさい。そうすれば、あなたの一族には手を出さないと約束するわ。」
変態からのプロポーズは脅迫に限りなく近い物でした。