一流の銅ヤロー   作:クロム・ウェルハーツ

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設定だけですが、オリキャラとしてトオレというキャラクターを出しております。
戦闘支援部隊である彼はこの後出てくることはないでしょう。


@70 五影会談前夜…!!

白い綿雪が降りしきる中、俺はある建物の前に姿を現す。目の前の建物は古来の日本の城で使われる建築様式によく似たデザインである。その建物の前には初老の男が一人、そして二人の壮年の男が彼の後ろに控える。

 

「早かったでござるな、ヨロイ殿。用は済んだので?」

「ええ、滞りなく進みました。木ノ葉については俺の予測通りです。火影が志村ダンゾウに変わりました。彼には五影会談のことを伝えていますし、五代目火影の意識が戻り次第会談の情報が伝わるようにしています。」

「それは重畳。」

「暫定六代目火影であるダンゾウ様も協力してくれるそうです。そういえば、ミフネさん。」

「なんでござるか?」

「あなたが外に居るってことは、もうすぐどなたかが到着されるんですか?」

「ええ、風影殿がもうすぐ着くと連絡が入りましてな。」

 

初老の男、鉄の国・侍頭のミフネがいつ戻るか分からない俺の出迎えの為に態々この寒空の下で佇むことはしないだろうと当たりを付けて彼に尋ねる。その結果は、我愛羅が程なくしてここに着くとの答えであった。

彼の律儀な性格だと本当に俺の出迎えの為に待っていそうでもあったが、もういい歳の人を雪が降る中で待たせるなんて鬼畜なことは流石にできない。…いや、それに近いことは大蛇丸様の人体実験でやっていたけども。具体的には氷遁を雪一族の忍に使わせて、ターゲットを本当に仕留められるかという実験だ。この実験はターゲットにされる側が動けない様に縛り付けていたので実戦とは大きく隔たりがある実験だった。術の効果範囲や威力なんてのは見た感じだけで正直な所、大体分かる。実験体を用いてする程の実験じゃないし、そんなことで殺される人が可哀想だということで、俺の立場が強くなった時にそんな無駄な事は止めるように進言したら大蛇丸様は意外と聞き入れてくれた。

そんな訳で嫌な記憶を呼び起こす雪の日は嫌いだ。

着ている服の上から自らの体に纏わりつかせるように腕を組む。

 

「中に入られてはいかがかな?その様な薄着では寒いでしょう。」

「お気遣いどうも。では、お言葉に甘えて…。」

 

ミフネさんの横を通り、建物の中に入る。

今の俺の服装はミフネさんが言った様に薄着である。ゴーストホワイトの地に紫の輪廻眼モチーフの意匠を首元に凝らした上着、その下には手の甲まで覆うブラックの高機能インナーを着ている。下のパンツについては今までと大きく変わった所は特にない。なんでも、古くから使われ続けている一番効率的な形状らしい。ゆったりとした黒のパンツを白い布を使って足首で止めている。

音隠れ(ウチ)の戦闘補助を主な仕事としている第二部隊・服飾科のトウレが作り上げた俺専用のコーディネートだ。あらゆる状況に対応できると言っていたが、それはどうやら戦闘時だけらしい。高機能インナーは水分に反応して発熱するということだったが、逆に言えば水分、つまり汗が出ないレベルで寒い状況ではその機能は上手く扱うことができない。つまり、今の様な状況ではその性能は活かせないということだ。

そうは言ってもこの高機能インナーは防刃、防弾性能に優れた素材を追求した上での軽量化を成功させたということだった。それと比べたら吸汗速乾機能と発熱機能は重要視されなかったのだろう。

ホールを通り抜けて、割り当てられた部屋に入ると暖かい空気と共に暖かい言葉が出迎えてくれた。

 

「ヨロイさん、お疲れ様です。どうぞこちらへ。」

「ああ、ありがとう。」

 

そう言って、俺は声を発した男が勧める椅子に腰かける。スッと右横からカップに入ったコーヒーが出された。礼を言い、一口啜る。香り高く、苦みも程良い。えぐ味や酸っぱさはなく、香りで勝負しているこのコーヒー豆のブレンドは流石と言う他ない。

 

「フゥー。やっと人心地着いたよ。」

「ここ最近飛び回っていらっしゃいましたしね。」

 

話をしながら、コーヒーを口に含んでいく。

 

「ああ。俺たちだけじゃなく、他の里も次々と動き出している。それだけ“暁”の影響力が強いってことだな。ん?そういえば、ザクはどうした?」

「五影会談の会場設営の最終チェックを行っています。もうすぐ帰って来るでしょう。」

「そうか。…ドス、おかわりいいかな?」

「もちろんです。」

 

話を切り上げ、コーヒーカップをドスに渡す。いつの間に無くなっていたのか?

ソーサーを見つめる。美しい陶器はこの雪国の様に白かった。


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