愛と狂気と禁断の果実(一時凍結)   作:運命の邪神

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 予想外の人気に何も言えない。

 ちなみに今回は彼女の進路指導アンケートに着いて公開します。

進路指導アンケート

総武高校2年D組

氏名:田共(タキョウ) (ツネ)

出席番号:13 (女)・男

・あなたの信条を教えてください

目的の為なら手段を選ばず即、行動する事です。

・卒業アルバム、将来の夢は何て書いた?

特に思いつかなかったので適当にサラリーマンと書きました。

・将来の為に今努力している事は?

ビジネスとプライベートをとにかく仕分ける。

・先生からのコメント

将来の夢について明確な目標を持ちましょう。あなたの信条やその努力があれば、きっと諦めず突き進めることでしょう。ただ今の段階ではかなり奇行が目立ちますので、出来る限り自制する事をおすすめします。


第弍話 蠢く悪意と悪夢の始まり。

 私は平塚先生の跡を追い、特別棟のとある空き教室に先生が入ったのを見届けると、カバンか聴診器を取り出し、らそのまま廊下と教室を挟んでいる当たりの壁に聴診器を当て耳を済ました。

 

『どうやら比企谷の手こずっているようだな』

 

『本人が問題点を自覚してい無いせいです』

 

 ほうほう、この様子だと何やら揉めていた様子ですね。

 

『あの⋯⋯さっきから俺の更生だの何だの言ってるみたいですが、俺はその必要が無いし求めてもないんですけれど』

 

 あ、察しこれはあれだ。いやあ比企谷さんは優しいですからねぇ。多分あの時に私が言った事を覚えているんでしょうねぇ。

 

 まぁ、何かって言いますとあれは、私は以前比企谷さん誘拐計画をねってた時がありまして、いざ結構しようとした日の事、偶然公園あたりで比企谷さんの妹さん見つけちゃいまして。

 

 近付いて聞いて見れば家出中との事でした。その時、私はビビっと来たわけですよ。

 

 そしてこれは幸いと、すぐさま比企谷さん誘拐計画から予定を変更。

 

 二人の為にちょっとした感動の対面と舞台を用意する事にしたのですよ!

 

 え、何をしたのかって? まぁ水だけ用意して監禁して虫の息の状態で比企谷さんを脅迫して呼び出して合わせただけですよ。

 

 まぁ、その後、小町さんが何か覚醒しちゃったと言いますか、依存しちゃったと言いますか、どうやら私は恐ろしい化け物をめざめさせちゃたようで、今では比企谷さんをめぐって攻防するはめになってしまいましたが⋯

⋯こればかりは身から出た錆なので仕方ありませんが、ハッキリ言わせてもらいますと、そんな何処ぞの主人公かヒロイン見たいな展開は望んでねぇんだよクソガッ!

 

 いや、本音を言っちゃうと年齢制限に引っ掛かりそうなシチュエーションも考えていたんですが、それだとまた小町さんを利用出来なくなっちゃう可能性もありますし、今の小町の様子を見るに最悪の場合、小町さんが比企谷さんの貞操やファーストキスをウワアナンカコマチサンヲマタサライタクナッテキタナァ。

 

『ん? どうした? 比企谷』

 

『いや、何か寒気と胸騒ぎが⋯⋯』

 

 は、行けない行けないまだ実が熟してないのに、私ったらイケない娘。

 

 とにかくそんなこんなで小町さんと比企谷さんは感動の御対面を果たしたのです! いやあ名前を必死で叫びながら、冷たくなった死にかけの小町さんを抱きしめる比企谷さん。その後、私を睨んだ怒りや殺意がこもった瞳ア、オモイダシタラ シタギガマタ。

 

 コホン、まぁその時に言ってやったんですよ。私は比企谷さんが好きだと、だから君が苦しむところが見たいのだと、その為なら君に友人や恋人が出来ればそれすら利用するってね。

 

 ちなみにこの事は未だに未解決事件となってたりします、まぁあの時は比企谷さんを誘拐する為に準備していた計画を小町さんで実行するだけの作業たったので、証拠は残さず目撃などはされずにすみましたしね。

 

 それに私のバックには田共家と言う後ろ盾がありますので比企谷さん達がいくら私を犯人だと喚こうが無駄な足掻きなのです。

 

 フフ。だからこ比企谷さんは、彼女達が傷つかなように拒絶している訳ですね。

 

 とまあ今分かる範囲でなら、間違いなくこの奉仕部は利用出来ると確信しました。

 

 ただまだ芽の段階です。やはり比企谷さんを絶望に追い込むにはベストなタイミングを計る必要があるでしょう。

 

 それに今回は雪ノ下さんが関わる可能性もある以上、何時も以上に計画を練らないと行けませんしねソノトキガタノシミダナァ。

 

『ん? 雪ノ下もどうした?』

 

『⋯⋯いえ、何でもありません』

 

『ふむ、そうかまぁそれより雪ノ下実は急用でもう一つ追加の依頼があってな』

 

『追加、ですか』

 

『あぁ、本当は本人も連れてきたかったのだが、少々問題があってなまぁそれについてはこれを見てくれると分かると思う』

 

 ん? 今、平塚先生は何と? く、音だけで確認を取っているだけに今の状況がわからない、いったい雪ノ下さんは平塚先生は何を見せているんだ。

 

 それからしばらく、沈黙が続く来ました。

 

『⋯⋯先生⋯⋯言わせてもらいますと彼女を連れてこなかった事は正解だと思われます』

 

『ほう、それは何故かね』

 

『それは⋯⋯私も彼女の被害者だからです』

 

『───ッ!?⋯⋯それは本当かね?』

 

『えぇ⋯⋯あれは私が小学生の頃なのですが』

 

 そこからは、雪ノ下の回想話が始まりました。と言うか全部、私が彼女にした事ですね。

 

 ふむ、とっなると平塚先生が雪ノ下さんに渡したのは恐らく私が書いた作文ですかね⋯⋯と、なると私が奉仕部へ連れてこられるifもあった訳ですか⋯⋯ちょっと平塚先生私を連れて行かなかった理由について詳しくO・HA・NA・SIをする必要がありそうですね。

 

『⋯⋯先生?』

 

『あ、いや少し寒気を感じてな』

 

 まぁ、今は奉仕部と言う大切な場を壊す訳にも行きませんから、実が熟してから試食後に、平塚先生は処刑するとしましょう。

 

『コホン。まぁとにかく雪ノ下の話が本当なら⋯⋯』

 

『えぇ、この事を知った以上は、私も見過ごす事は出来ません』

 

『⋯⋯確かにそうだな、私としては出来れば大事にはなってほしくはないけれどね』

 

『恐らく、彼女の性格上、それは難しいかと』

 

 ⋯⋯この流れだと、私が奉仕部に入るのは難しそうですね。

 

 チッ⋯⋯まぁいいです。確かにこの部活に入れたらこちらとしてはありがたかったのですが、無理なら無理で方法は幾らでもありますし問題ありません。

 

 これも自分の身から出た錆として素直に受け入れるとしましょう。

 

 まぁ、その代わりとしては何ですが、怪我の功名と言うのでしょうか?

 

 少しずつですが多分この流れなら⋯⋯。

 

『そこで先生に質問なのですが』

 

『ふむ、何かね?』

 

『彼の孤独体質を更生するには恐らくこの問題を解決する必要があると思われますが如何でしょうか?』

 

『⋯⋯確かに雪ノ下の話の通りなら、その必要がありそうだな⋯⋯いやはや予想外にも面倒な事になって来たものだ』

 

 フッ予想通り。どうやら私と言う存在で団結し始めたようです。

 

 私が部活に入れないのは残念ですが、まぁ結果は何であれ比企谷さんと奉仕部の関係が深まるなら嬉しい限りです。

 

 何せこれで奉仕部と言う場所が比企谷さんにとって大切な場所になればなるほど、壊した時がとても素晴らしいものになるのですから。

 

『えっとお二人さん何の話をしてらっしゃるんでしょうか?』

 

『貴方の話よ被害者谷君、取り敢えずこれを見てみれば分かると思うわよ?』

 

『いえ、いいです⋯⋯はぁマジかよ⋯⋯』

 

 フフッどうやら比企谷さんも観念しだしたようですし良い携行ですね。

 

 さてそうなると、どちらにしても雪ノ下雪乃との水面下での対決は避けられない訳ですか。

 

 まぁテストは二位ではありますが実際の所、私は比企谷さん以外は興味が無い為にテストを適当に受けているせいですし、それでも僅か数点差なので、追い抜こう思えば追い抜けるんですよねぇ。

 

 まぁそれはそれとしてそんな雪ノ下さんとの水面下での攻防⋯⋯何と言いますか天才VS天災と言う構図でワクワクしてきましたねぇ。

 

 例えるならシャーロック・ホームズとジェームズ・モリアーティの対決みたいな感じでしょうか?

 

 そして、雪ノ下さんが私にとってのシャーロック・ホームズとなり得るか、それとも私が滝の決闘の結末を塗り替えるのか、とても楽しみですね。

 

 あ、それだと比企谷さんはワトソンになっちゃいますか?

 

 いや、まぁ。彼にはいろいろ恨みをかってますし、と言うか彼に優しく接するとか私の主義に反します、それどころか想像しただけで鳥肌が⋯⋯まぁ、そう言う訳なので彼をモラン大佐にするのはいささか問題がありますし仕方ありませんか⋯⋯。

 

 ただしメアリーの命は私が頂くがな!

 

 あと、私はあの結末はモリアーティさんの勝利だと思っていたりします。

 

 何故ならホームズさんは結局、最後の最後までモリアーティさんの罪を法で裁く事は叶わなかったのですから。

 

 恐らく今頃、地獄はモリアーティさんのユートピアに変わっている事でしょう。

 

 と、まぁ話がそれてしまいましたが、そうとなればますます念入りに計画を練って、最高の舞台を用意する必要がありそうですね。

 

 と、なると結構するにしても来年位になりますか、まぁ出来れば時間があれば数年位は練たいのですが、それしちゃうと卒業した後になってしまいますし、いやそれでもよろしいのですが、出来れば比企谷さんが卒業する前には実行したいと思いますし。

 

 そう、これは私の比企谷さんに対する卒業祝いのプレゼント! そうなると、結構日は卒業式の前日に近い曜日か、早くて八幡さんの来年の誕生日位になりますね。

 

 フフッさてそうなれば早速計画を練らないと行けませんねぇフフフ。

 

 まぁそれはそれとして。

 

「さてと、とっとと離れるとしますか」

 

 流石に、この場に居続けると平塚先生達に見つかってしまいます。

 

 そしたら、先程の話を聞かれてた事がバレてしまいますし、そうなると折角の計画も実行が難しくなってしまいます。

 

 まぁ結果は何であれ、今回の計画は私の人生にとって史上最大の最高傑作となる事でしょう。

 

 ですので今は表立つ事無くゆっくりと計画を練って行くとしましょう。

 

 だからこそ、それによる結末がどのように転ぼうと、私はあるがままを甘んじて受け入れるつもりです。

 

「フフ。いざ結構の時がとても楽しみです」

 

 私はそう口角を釣り上げて笑みを浮かべると、すぐさま細心の注意を払い、彼らに気付かれないようにその場を離れるのでした。




おまけ

 雪ノ下雪乃は一人、平塚先生から渡された作文を眺めとある少女について考えていた。

 全く作文にすらなって無い文章だが、赤い筆で書かれ同じ文章のみがビッシリと書き記されたその文は、彼女の狂気を雪ノ下雪乃に伝えるには充分だった。

 かつて、雪ノ下雪乃が小学生の頃、雪乃は周囲の女子から嫉妬の対象として虐められた。

 だが、そんなものは当時、彼女から受けた被害に比べれば可愛らしいものであった。

 ある時は数等の犬に襲われ死にかけ、灯油で埋め尽くされた落とし穴に嵌められた事もあった。

 特に落とし穴は使用されていたものが油であったせいで中々抜け出す事も出来ず、雪乃は力尽きて意識を失うにまで至った。

 そして気が付けば雪乃は病院におり、自分に抱きつき謝罪と共に涙を流す姉の姿だった。

 だがその時ですらまだ犯人を特定するに至らなかった。

 犬の時に呼び出した手紙はパソコンの字で書かれており、指紋も特定できなかったらしい。

 その後、個人的に犯人を特定しようと動けば、まるで自分が誘い出されたかのように気付けば今の結果だった。

 そして、ある日、あの事件が起きた。

 気が付けば雪乃は縄で縛られており、目の前には恍惚な笑みを浮かべる彼女がいた。

『田共さん⋯⋯これは何のつもりなのかしら』

 当時の彼女は彼女の真意を図りかねながら睨みつける。

 しかし、それが彼女にとって逆効果だとは気づかずに。

『フフ。あぁいいっ!? その目、やっぱり君は最高だよ!』

『は?』

 歓喜して狂喜の余りに自らの身体を抱きしめ笑みを浮かべながら恍惚に震え上がる彼女。

 雪乃はそんな彼女に思考が混乱して思わず困惑する。

『犬をけしかけた時も、灯油を溜めた落とし穴に嵌めた時もそう! 何て素晴らしいかな? やっぱり、綺麗なものが醜く醜態をさらした瞬間は何事にも耐え難く美しい!』

 彼女はそう言って楽しそうに笑う、笑う、笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って笑って、笑っていた。

 雪乃はそんな彼女を理解できなかった。狂っているとしか思えないそんな彼女に雪乃はとてつもない恐怖を覚えた。

『⋯⋯私はねこの学校に来る前は団地で暮らしてたんだ。その時にね中の良かった女の子がいたの』

『⋯⋯』

 雪乃は何も言わない、否もはや目の前の子を自分と同じ人間とすら認識出来ない出いた。

『その子はねぇ野良猫に良く餌を挙げてたんだけど、ある日ね、車に引かれたんだろうねぇ。その猫の死体を見ちゃったんだぁ。でね、その時は多分善意だったと思うけどその子にその猫を持って言ってあげたの』

『⋯⋯』

『でも猫を抱き抱えて嘆く彼女を見てね彼女を絶望に染め上げたいと思っちゃたんだぁ⋯⋯だからさぁ彼女に向かって言って上げたの〝お前の不注意が招いたんだ。もっと君がしっかりしていたら死ななかったかも知れないだからさぁこの子を殺したのはお前だ〟って言ってあげたのですよ』

『────ッ!?』

 まるで楽しそうにその時の事を語る彼女に雪乃は驚愕する。

 理解が出来ないなんてものでは無い、理解すらしたくないと心から思った彼女の狂気。

 雪乃は自信が恐怖で血の気が引き、心音が上がり、全身が震え上がっているのに気が付いた。

 一分一秒でも彼女の元から離れたかっただが縄で縛られ身動きが取れない事が彼女をいっそう焦らせる。

『だけど⋯⋯あの時と変わらないはずなのに何かが足りない。あの時に感じた感動や歓喜と何一つ変わらない筈なのに全然満たされない。何かが足りないのです!』

 そう叫び声を上げる彼女。そしてその時になって雪乃は始めて気付いた。彼女の手にカッターナイフが握られている事に、そして彼女の目の前に彼女の大好きなディスティニーランドのマスコットであるパンさんのヌイグルミが置いてある事に。

『だから。あなたをもっと深く傷つけて、それを間近で見たら分かるかも知れないと思ったの、今までは録画だったり遠くから見物するだけだった訳だし』

『────ッ!?マサカ!』

 雪乃はその瞬間彼女が起こそうとしている行動を理解した。否してしまったのだ。

 彼女はそんな雪乃の反応を見て正解とばかりに楽しそうに笑みを浮かべ、そしてその手にした刃物を振り上げ。

『い、いや! や、やめてぇえぇぇ────っ!!!』

 雪乃は張り裂けんばかりにの叫んだ。だが現実は非常だった。彼女の振り上げた刃物は無慈悲にも振り下ろされる。

『もう遅いよ』

 そして、気付いた時にはズタズタのボロボロになったパンさんのヌイグルミ。

 駆け付けて来たのだろう、部屋に入り普段は見せることは無いだろう激情をあらわにする姉。

 それからは彼女は海外に留学する事が決まり彼女もそれまでの間、家に謹慎処分となった。

 あの時以来、自分のように、彼女のような輩による被害者少しでも減らしたいと、政治家になると言う目標を抱いたのだ。

 それ以外にも、雪乃は両親に自分の気持ちを面と向かって話せるようになった。

 彼女にとって恐怖の対象でもあった母ですら、皮肉にもあの時に見た彼女から受けた恐怖の方が、遥かに恐ろしく結果として彼女を大きく成長させたのだ。

 雪乃はクシャリとその手に持つ作文のプリント用紙を強く握りしめる。

『田共⋯⋯常⋯⋯』

 彼女は深い怒りを込めて、その名を口にする。

 そして、新しく部員となった男性。

 現在、自分と同じく、否それ以上の被害を受けているだろう彼。

 雪乃はこの場で強く決意する。

 彼を何としてでも彼女から救って見せる⋯⋯と。

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