女神転生・影【デスゲームサマナー】   作:どくいも

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5話目

混沌の街、新宿

 

その東口から、ショッピングモールを通り歌舞伎町へそのさらに奥のビルの一角。

なぜ自分はホームである渋谷から、わざわざ離れてこんな場所にいるのか?

それは無論、自分はデビルサマナーが故、悪魔退治のためである。

 

「グォ、グオォォ!!ちょ、ちょっとまて、な、な?」

 

「……」

 

さて、今目の前にいるのは一体の巨大な獣人の姿をした悪魔。

ヤギの頭をした巨人の蛮族、アイルランド神話に出てくる人食いの化け物、【夜魔・フォーモリア】である。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

【NAME】≪夜魔≫フォーモリア Lv7

HP ??

MP ??

【相性】 氷結耐性 火炎弱点

【スキル】 ??

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「ねーねー!凪、さっさとこんなの殺しちゃおうよ~!!

 こんな雑魚の話を長々と聞いているなんて、時間の無駄だよ?」

 

「ひ、ひぃぃぃぃ!一回、一回話し合おうじゃないか?

 悪い話ではないからな、な?」

 

モーショボーが邪悪な笑みを浮かべながら、フォーモリアに脅しをかける。

先日のゲンブほどではないがトラックほどの大きさもある悪魔フォーモリア。

それが、人間の少女ほどの大きさしかないモーショボーに腰を抜かして恐れおののいている姿はなかなかに滑稽である。

 

「……まぁ、いい。話を聞こう。

 で、用事はなんだ?こちらも暇じゃないから、手短に頼むぞ。」

 

「よ、よぉし!よかったよかった!

 な、ならまずは武器を置いてな?話し合いに武器は不要だろ、な、な?

 ……馬鹿め!悪魔の目の前で、ぬけぬけと武器を手放しやがって!

 くらえっ!!【脳天割り】っ!!って、なぁ!躱されただとぉ!!」

 

さてこのくそ悪魔、せっかくこっちが話を聞いてやろうと思ったのに、交渉にかこつけて不意打ちをしようとしてきた。

無論、そんな見え見えの攻撃など当たってやる義理はないし、向こうから交渉を決裂させた以上この悪魔に情をかける必要はなくなった。

ナマス切りにしようかと思ったが、今しがた刀はしまったばかりだ。

改めて取り出すのも少々格好が悪いので、せっかくだからと新しく覚えた新技を試してみる事にした。

 

「さっそく新忍法!≪爆炎の術≫(ファイアブレス)

 ……ぶふぅ!!(訳・マジで出た!!)」

 

「グギャアアァァァァ!!!!」

 

「うわ!すっご~~い!!

 まるでケルベルス?的な、よくわかんないけどかっこいいよ!うん!」

 

口先から出た熱波が悪魔の全身を包み、その身をあっという間に火だるまにする。

モーショボーが頑張ってほめてくれようとしているが、語彙足らずでほめているのかけなしているのかよくわからない。

このファイアブレス、火を吐いているはずなのに体が冷たくなるのに似た感覚が走る。

これがMPが減る感触というやつなのだろうか?

COMPを確認したところ、一回につき20近くMPが減っているのがわかる。

……MP90近くしかない自分だと4回しか使えない計算である。

奥の手にしては微妙すぎる。

そんなこんなで、目の前にいたヤギの丸焼きがただのマグネタイトの灰粉へと完全に転職することで、今日のお仕事が終了したのであった。

 

「……お見事です、サマナー。

 流石ゲンブ様の紹介なされた方ですね。

 これほどの悪魔を危なげなく倒せるとは。」

 

はぐれ野良悪魔がいたビルから出た直後に、そこで一人の女性が待ち受けていた。

その女性は深くフードを被っており、全身真っ黒の衣装で、どのような顔か具体的には何歳くらいの人かなどはうかがい知ることはできない。

まさに謎の女性、といった感じの風貌である。

 

「あ!それなら多分凪と同じくらいの年齢だと思うよ?生体マグネタイト的に!」

 

「こほん!そういうデリカシーのない詮索はいかがかと思いますよ、若きサマナー様。」

 

モーショボーが勝手に探っただけなのに自分が怒られた件。

多分、管理責任とかそういうのなのだろうが、色々と納得がいかない。

 

「では、凪様。今宵はよくぞ我等の依頼をこなしてくださいました。

 少ないですが、これが今回のお礼です」

 

そうして渡されたのは分厚い封筒に1本の管。

封筒の方は当然現金、マッカではなく円である。

もう一つの報酬は、一見ただの金属でできた試験管もどきにしか見えないかもしれない。

が、これこそがかの一部のデビルサマナーにとっては必須アイテム。

さっそくそれをうきうき気分で受け取り、手に持つCOMPで早速アナライズをしてみた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

【NAME】〈粗末な〉封魔管

 

【効果】レベル7までの悪魔を入れることができる封魔管

 

【解説】弱い悪魔ならば封印できる銀製の封魔管

    これを使っての高レベルの悪魔相手使役は、安全性が保障できない。

    これで封じる悪魔はあくまで低レベルの悪魔にとどめるべきであろう

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「粗悪品じゃねーか!!!!」

 

「アーッ!!!!!!

 な、何貴重品を投げ捨ててるんですか!!!!

 あなた、何してるかわかってるんですか!!!」

 

思わず反射的に報酬を投げ捨ててしまい、その事でまたその謎の女性(意外と若い)に叱られてしまったのであった。

実に理不尽である。

 

 

 

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【儂の相棒?】仲魔紹介・自慢スレ【俺の嫁!】

 

25:名無しのメシアン

初めの仲魔が天使でした

それがすべてだ

 

26:名無しのサマナー

ようやく俺のはじめっからの仲魔のスライム(性別不明・意思疎通不可)

が、ゴースト(見た目♀・意思疎通困難)になったぞ!!

……よし、少しはましになったな!

 

27:名無しのサマナー

それはましになった……というのか?

とりあえず、うちのピクシーの方が100倍かわいいのは確かだ

 

28:名無しの悪魔

>>26 まぁ、ただのスライムが大事にされているってことはいいことだ。

……物理以外ほぼ全部弱点なのに、よく相棒にしてたな

 

29:名無しのサマナー

>>27 うちのピクシーの方が3倍かわいいし!

自分の身長と変わらない果物をえっちらおっちら食べる姿マジきゃわわ

 

30:名無しのサマナー

俺は硬派だからな

シーサー君の毛皮でモフモフしてる程度だ

 

31:名無しのサマナー

造魔サイコー!!!

人型で人間大で食事や話しも可能で消費マグネタイトなし、戦闘力や衣装も変更可能!!

白肌なのと虚心なのが欠点だけど、それ以上にメリット多過ぎてリア中でつらい!

やった勝ち組だぜ!!……これで♀型なら最高なんだけどなぁ……

 

32:名無しのサマナー

>>31 確か消費マグネタイトなしなんだっけ?

それはマジでうらやましい、うちのナパイアもかわいさでは負けてないと思うけど

消費マグネタイトのことを考えるとな~、だしっぱってわけにはいかないんだよなぁ

 

33:名無しのサマナー

>>31 ホモ乙

うちのピクシーがNO1

炭酸苦手で牛乳&乳製品好き

クリーム系のものあげるとよく全身白くてべとべとになってね。

ふふふ、下品なんですがry

 

34:名無しの悪魔

アルプちゃんチュッチュ

ゲームの時は夜魔のくせにあんまりかわいくないとか思ってたけど、リアルになると夜魔というか、淫魔やばい。

アルプちゃんに貢ぐためにマグを集める日々です

 

35:名無しのピクシー

やっぱりピクシーですよピクシー

あの羽がたまらん。

 

36:名無しのTS系サマナー

というか、ここの仲魔自慢って、マジでピクシー多いな。

最近仲魔になったうちのモーショボーもまじかわだから、悪魔のかわいさも理解し始めたけど

やっぱり、ピクシーは別格なの?そんなみんな引き付ける特別な魅力がある感じ?

 

37:名無しのサマナー

>>36 ヒント・レベル

 

38:名無しの悪魔

>>36 悪魔は召喚しているだけで、マグネタイトを消費するじゃろ?

   そして、レベルが高い悪魔ほど多く消費するじゃろ? そういうことじゃ

 

39:名無しのサマナー

ハイテクサマナーのワイ、消費マグネタイトないので高みの見物

……レベルが足りなくて、ピクシーとカハク以外の女性悪魔がおらんがな!

 

40:名無しのバスター

今のところ、比較的安全ってわかってる異界で出てくる安牌女悪魔が

ピクシーぐらいしかいないからじゃね?

悪魔合体&デビオクはできるやつ限られているし

すくなくとも、モーショボーはレベルが高すぎるぞ 裏山

 

41:名無しのサマナー

モーショボーマジうらやましい……

レベルが足りなくて仲間にできんし、デビオクで低レベルでいるかと思えばそんなこともなし

そもそもデビオクって基本高い、マッカがいくらあっても足りん

ピクシーも悪くないけど、ちっちゃすぎてスキンシップが……

 

42:名無しのサマナー

お前らなんかまだまともな仲魔ができてていいだろ!!

俺なんかなぜか【ゾンビ】しか仲魔にできないんだぞ!!!

一般人に見えるのに弱くて、臭い上に意思疎通不可とかつらいなんてもんじゃねぇ!!

 

43:名無しのバスター

>>42 でも全部♀なんだろ?なら当りじゃねぇか(適当)

 

44:>>42

>>43 まぁね

JKゾンビちゃんSはふがふが可愛いし、ぎりぎり許せなくもない

ディスポイズンと魔石鼻栓近藤必須だけど、ぎりぎり事もいたせるし

 

45:名無しのサマナー

>>44 えっ

 

46:名無しの悪魔

>>44 何その犯罪

 

47:名無しのバスター

警察に連絡した

 

48:名無しのサマナー

とりあえずとんでもない上級者が俺らの中に混じっているということだけはわかった

 

49:名無しのガイアーズ

ガイア教は力あるものすべてを受け入れる

……でもさすがにその性癖はアウトだわ  生理的に

 

 

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「……仲魔好きガチ勢こわいな、とずまりすとこ」

 

「ね~ね~凪♪

 そんなものより、そろそろMP回復したでしょ?

 そのCOMP?とやらをいじってないで、もっと私にかまってよ~~!!」

 

さて、悪魔退治の依頼の後、我々は自宅ではなくとある都内のホテルの一室で体を休めていた。

なお、現在いるホテルの名前は【ホテル・業魔殿】。

先日のゲンブの依頼の後、【アクアンズ】にかわる報酬として、紹介された場所である。

このホテルは、地脈の関係で宿泊するだけでMPや疲労の回復する場所に建てられた特別な知る人ぞのみ知る高級客亭。

わかりやすく言えばサマナー御用達の会員制【回復施設】である。

一瞬ゲーム知識からここでは【悪魔合体】できるかもとも思ったが、どうやらそこまでのサービスはやってないとのこと。

この施設の存在があの命を懸けた依頼に釣り合う報酬かと聞かれれば……せめて、宿泊費に紹介割引が付けばと思わざるを得ない。

 

「はいはい、今私は忙しいからね~~

 ほら、今回はゲーム持ってきてあげたから、そこのテレビにつなげて遊んでなさい」

 

「む~~!!

 また私を子ども扱いして!!こういうの知ってるよ!!

 『ケンタイキ』!『ケンタイキ』ってやつだ!!」

 

モーショボーはぷりぷりほほを膨らませながらも、こちらがCOMPから取り出したゲーム機をえっちらおっちらテレビにつなげている。

小さい女の子を見ているみたいでほほえましいが、これでも当然悪魔。

召喚し続けるだけで、マグがゴリゴリ減るし、それは消費マグが抑えられるここ【業魔殿】であっても無視できないほどの量だ。

 

「あ、あれ?こっちのコードはどっちにつなげるんだっけ?

 色?形?どっち?」

 

「ふっふっふ!そんな時はオイラにお任せにゃ!

 こっちがこれで、こっちがこうにゃ!!」

 

「……あんた、私と同じ悪魔なのに、よくこういうことわかるわよね」

 

「くっくっく、驚いたかにゃ?

 これが【道具知識・癒】の力にゃ!!」

 

「いや、それは違うだろ(真顔)」

 

なお、死んでいたカブソ君はこの【業魔殿】で蘇生させてもらえました。

もちろん、状態異常回復や悪魔蘇生は宿泊費とは別料金、しかもマッカ払いのみ有効とのこと。

その高さや、ゲンブに【業魔殿】だけでなくもう一つの報酬として【仕事の伝手】も紹介してもらえなければ、そもそもカブソの強制休暇期間がいまだに続いていたであろう程だ。

 

「ねーねーサマニャー!

 ルームサービス!ルームサービス頼みたいにゃ!!!

 SUSI!SANMA!TENPURA!!」

 

「ふざけんなてめぇ、ただでさえこの業魔殿の宿泊費が高いんだ。

 今回の依頼の報酬が本当に外れだったから、今回ご褒美はなしで。」

 

「ぶーぶー!!」

 

「え~~!!そんな~~!!

 わたし、ここのケーキが食べたかったのに~~!!!」

 

「あ、モーショボーちゃんはいいよ~。

 イチゴとチョコ、どっちがいい?」

 

「その差別は流石に露骨すぎにゃい?」

 

カブソの方にコンビニいなりパックを投げ渡しながら、ルームサービスのデザートメニューを眺める。

ここは宿泊費も高いが、ルームサービスや食事代はさらに高い。

美食悪魔でも満足できるサービス故、これぐらいの値段は仕方ないらしいが、それでもホールでないケーキに1万以上の値段をつけるのは法外だと言わざるを得ない。

 

「……はぁ、懐が寂しい」

 

「それは、お金的な意味でかにゃ?

 マッカ的な意味でかにゃ?」

 

「全部」

 

視線がうるさいカブソにケーキのイチゴを渡しながら、ため息を吐く。

先日のゲンブの異界解決以来、自分にはこの東京内においていくつかのフリーのデビルサマナーとしての仕事を受けられるようになった。

どうやらあのゲンブは、この辺ではそこそこ有力で人間に友好的な悪魔だったらしく、彼の依頼をクリアでき、かつゲンブからの紹介だということで無事(?)この渋谷近辺での裏業界に混ざることができるようになった。

具体的に言えばこの【業魔殿】内にあるスパに通えば、そこで裏業界の人が接触し仕事を紹介してくれるという流れである。

なお、【業魔殿】は会員制ゆえ、あまりに危険な人や集団は入れず、安全な依頼しかないとのこと。

具体的にはガイア教やらメシア教やらの依頼はないとのことだ。

まぁ、その安全性とやら自体はわりかしうさん臭くはある。

が、仕事を紹介してくれるのは無職である自分にはありがたいし、依頼が終わるごとに万札の入った紙束をポンと渡してくれるのはうれしい。

しかし、問題がないわけではない。

 

『もっと難しい依頼を紹介してくれていいんだよ?』

 

『あ な た は な に を い っ て る ん で す か』

 

そう、ここで紹介する悪魔退治のお仕事がどれも簡単すぎるのだ。

具体的に言えば、どれもこれもせいぜい10レベル未満の悪魔討伐ばかり。

しかも、事前にきちんとした調査済みなせいか、先のゲンブの異界解決の時のような乱入や奇襲もなし。

異界解決なんてのは当然ないし、難しい程度のものでもせいぜい銃を持つゾンビの連戦程度である。

無論、倒すのが簡単なうえに円の報酬が沢山もらえる仕事というのは表面上はいいことだ。

しかし、こちとらデビルサマナー、しょっぱい敵の相手ばかりでは、通常の悪魔退治で手に入るはずの【マグ】や【マッカ】など、本当に必要なものが手に入らないのだ。

それに、例え円の大金といっても、それはせいぜいここ【業魔殿】で数日の宿泊またはアイテム購入するだけですぐに飛んで行ってしまう程度だ。

【業魔殿】がマジぼったくりなのか報酬が少ないのか、果たしてどちらなのか。

 

『あなたがその年齢に対して、やけにお強いのはこちらとしても重々理解しました。

 しかし、今この東京にレベル10を超える悪魔はそうそう出現しませんし、そのような難しい依頼はそもそもあなたのようなフリーなサマナーには頼みません。

 無論、ゲンブ様のお墨付きがあるため、まったく信頼がないとは言いません。

 が、それでも難しい依頼を頼むには必要な格というのがあります。』

 

自分によく仕事をくれる件の謎女性曰く、要は自分は信用がないとのこと。

そりゃそうだ、どのくらい探られているかは知らないが自分は普通の日本からゲームへ転移したプレイヤー。

この世界においてのキャリアなど、自分でも自身がどんなのだかわからない位だ。

そんな怪しさが服を着て歩いてるような奴に、難しい悪魔退治を頼むほど裏業界は甘くないのだろう。

 

『む、そんな不服そうな顔をしないでください。

 そもそも、本来ならばフリーのサマナーがこういう仕事を頻繁に頼まれることの方が珍しいのです。

 その点、あなたは国防を担うゲンブ様の後ろ盾がある分、ほかのフリーのサマナーの倍以上は信頼がおけるというもの。

 ……そうですね、具体的に言えば後5いや10年もすればあなたにも国から重要な仕事を任せられるかもしれませんね。

 ですので、その時まで頑張って精進してくださいませ。』

 

うん、色々遅すぎるね!

そもそも、この世界の人たちはどのくらい知っているかはわからないが、この東京あと10年以内にはほぼ99%くらいの確率で滅びるのだ。

もちろん、DDS〈S〉-NETに潜むお友達の誰かや主人公的人物が華麗に滅亡を阻止して、東京が滅びない可能性があるかもしれないが、そんなもの希望的観測に過ぎない。

そうなれば、もちろん東京は世紀末のモヒカン大歓喜状態、俗にいう札束なんてケツをふく紙にもなりゃしねぇ時代に突入するのだ。

 

「というわけで、もうすぐこの東京も滅びるから、もっとマッカやマグを貯めておかないといけないわけなのだよ。

 ケーキやうまい飯は今のうちにたっぷり食いだめておけよ、10年もしないうちにそれらは食えなくなるから。」

 

「ええっ!そうなの!!

 わ、わかったわ!それじゃぁちゃんと味わって食べておくね!」

 

「ちょっと、サマニャーの言っていることがわかんないかにゃって」

 

仲魔達にいかに自分の財布事情が厳しいか真摯に説明してみたが、カブソの方はわからなかったようだ。

……管はちょうど【クエスト・異界攻略】で1本、先の現地依頼の報酬でもらった粗悪品な管がもう1本手に入ったのだ。

悪魔合体ができるようになったら真っ先に素材にしてやろう、そうしよう。

 

「でも凪~、結局マグやマッカはどう貯めるつもりなの?

 も、もしかして、私たちの召喚頻度を少なくするとか!

 そ、そんなのいやよ!な、凪がどうしてもっていうなら我慢しなくもないけど、それでもいや!!」

 

「にゃーにゃーー!ならせめて管に入る前にビデオ予約を!

 見たい番組をビデオ予約さえさせてくれたら!

 それと三食のご飯付きなら!」

 

……いろいろ甘やかしすぎたな。

痛くなる頭を押さえながら、COMPのメールボックスを確認した。

 

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差出人:肉眼鏡

宛先:あなた

 

●第19回 異界探索オフ会

 

異界探索オフ会の詳しい日程が決まりました

スケジュールのおおざっぱな流れは初日が交流会、2日目以降から本格的な異界探索となります。

拘束期間は最長5日間。

参加費は最低1万円。

集合場所は秋葉原の駅前。

当日は、そこそこ目立つ格好で電気街口改札にお願いします。

なお、目印は今回の集合場所には私の仲魔を配置しておきますので、それが目印です

 

 

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「こっちの世界のアキバはなんかすごそうだな、こう生体マグネタイト的な意味で。」

 

届いたメールに慎重に言葉を選びながら返事を返す。

かくして数日後、色々不安はあるが私は自分と同じプレイヤーと合流し、異界探索をすることにするのであった。

正直に言えば、掲示板の内容の流れから色々不安がわくことも多い。

同じプレイヤー仲間というだけで信用するにはあまりにも危険な考えだということはよくわかる。

が、ここで受けられる依頼だけでは全然マッカもマグもたまらないし、そもそもあのゲンブの依頼以降一度もレベルアップしていない。

レベルも貯蓄も頭打ちの現状、これを打開するには多少なりとも冒険しなければならないのだ。

2重の意味で初のオフ会であるが、せめて集まる人たちがまともな人でありますように……そう願いながらCOMPの画面を閉じるのであった。

 

 

 

そして運命の数日後、電気街兼オタクの街 秋葉原

 

「あ、こんにちはTS系サマナーさん。

 私は肉眼鏡こと、【筋肉 炎鳥】です。

 悪魔で人修羅ですが、気軽に【キン肉マン・フェニックス】とでも呼んでください」

 

「はじめまして!

 はかせは【はかせ】だよ!こっちは造魔の【東雲 なの】!

 趣味は研究!職は生産系のバスター!よろしくね!」

 

「ドーモ、黒髪系サマナーさん!

 新選組一番隊隊長!【沖田 総司】推☆参

 あなたが私のマスターですか?って、なんちゃって!

 あ、もちろんバスターなのでそこのところあしからずです。」

 

「「「……で!あなたのお名前は?」」」

 

どうやら、こいつらは別の意味でやばい集団であったようだ。

来たことをいろんな意味で後悔しつつ、ずるずるとサマナー用コスプレ店なんてわけのわからない場所へと連行されていったのであった。

 

 

 




ちょっと早いけど主人公のステータス更新

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【氏名】中島 凪
【クラス】ナチュラルサマナー
【成長タイプ】忍者
【ステータス】 Lv15
【耐性】 破魔無効
【スキル】
・獣の反応(自分の命中・回避率が上昇、効果小)
・毒針 (銃属性 小ダメージ+毒付加)
・爆炎の術〈ファイアブレス〉 (火炎属性 小ダメージ複数全体ランダム)

【装備】 武器・練気刀
        手裏剣
     防具・サバイバルベスト(御洒落軍服)
        コンバットブーツ(御洒落軍靴)
        キャップ(御洒落軍帽)
  アクセサリ・マント (ピラピラする 一部の仲魔の忠誠度が上がりやすくなる)

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