さて、またまた時間はちょちょいっと進み、あのカタキラウワ討伐から早数日。
文句を言ったり、交渉したり、恋愛相談を受けたりして、はかせからの報酬や準備もあっという間に終わった。
というわけでさっそく博士特製の秘密兵器ができたらしいので、その試作もかねて件の池袋の異界の【タム・リン】にリベンジしに行ったのだが……。
「まいりました、どうか命ばかりはお助けください」
「戦う前に命乞いとかってありなの?
悪魔の誇りとか異界の主としての威厳で襲ってくるところじゃない?」
「ふふふふ……悪魔だって誇りより大事な物がある。
そういうものなのです」
「おまえ、それすごくかっこつけて言ってるつもりだろうけど、死ぬほどかっこ悪いからな?」
が、結局その秘密兵器は不戦勝故ボス戦で使われることはなかった。
なお、相手の白旗を上げるのが遭遇した時点であるので文字通り、1回も試せていない。
流石に早すぎではなかろうか。
「というかですね?
冷静に考えて、完全対策してきた悪魔バスター複数人相手に、ただの小界の悪魔1匹が対抗できるわけないでしょう。
もう命乞いでも土下座でも何でもするので、どうか今一度そのみなさんの手に持った【呪殺道具】をしまってくださいませ」
悪魔界NO1人気者イケメン悪魔ことクーフーリン。
それの色違いのタム・リンが、すまし顔で武器を手放し土下座をしながら命乞いしている。
その姿は哀れを通り越して、シュールといえなくもないかもしれない。
「え~~?
でもせっかくがんばってはかせが作った【ひこうばり】と【呪殺ペーパー】なのに~~。
せめて、ボス補正持ちの相手にも通じるか試したかったのに~~
ね、ね?せめて、一刺しだけでもね?ノッブちゃん!今こそ間違えて手を滑らせてもいいんだよ?」
「こちらとしても、お前の場所をここに追い詰められたのは、ここにいる野良男妖精たちと交渉した結果だからなぁ。
『あの女妖精を独占してハーレム作ってやがる最低な悪魔の主を何とかしてくれ』って。
ここで下手にお前を見逃すとそいつらとの約束も破ることになるからなぁ」
なお、今回は前回と最初から最後までガチのタム・リン対策を実行済みである。
ここに来る前に自分が集めたアホほど倒したカタキラウワのフォルマ。
それから作られた、はかせ製の無数の【呪殺アイテム】が一人5つ以上持てるほどがっちり攻撃面で準備。
さらに、自分も逃げ道を野良男悪魔と交渉してふさいでもらい、さらに女妖精の乱入やタム・リンの逃走防止策も万全。
当然魅了対策の消費アイテムも追加で用意しているので、まぁこのタム・リンに一片の勝機も残されてないことを考えれば、このタム・リン土下座も仕方ないかもしれない。
「やめてください、死んでしまいます。
というか、そんなの連発されたら、逃げる間もなく消滅してしまいますから。
具体的には即死自体はしませんが、そのアイテム1つにつき体力の3割ぐらい削れる感じです。
ほら、結果わかったでしょう?だからやめましょう、お互い無益な争いは望まないはず」
どうやら、ボス耐性か呪殺即死自体はしない模様。
もちろん、そのボス自身の自己申請ゆえ本当かどうかは疑わしいが、何もわからないよりはいい。
「……でも、異界のボス狩りは有益だからこそ、こうやって狩りに来たんですよ。
むしろ見逃して何かメリットあるとでも?」
「え?あなた達は、私が時々外で人間の女性の純潔を奪いまくったこと。
それで討伐を依頼にされたのではないのですか?」
「え?」
「あ、やっべ。」
「ギルティ」
色々予定外ではあったが、数回ひこうばりの仕様の確認と即死はしないがダメージが通るのを確認できた。
あと一発で呪殺完了しそうなところで、改めてタム・リンが悪魔交渉という名の命乞いをしてきた。
「ふ、ふふ、危うく妖精郷の草履係に逆戻りするところでした。
さ、さて、改めて交渉を開始しますと、あなた達、私を【仲魔】にしませんか?
こうみえても、この辺にいる有象無象の悪魔どもよりもよっぽど役に立つと自負してますよ?」
とうとう、この
本当に元々この辺の悪魔のボスだったくせにあっさり人間の下に下る決心をするとは。
ここまでくるとむしろあっぱれといえなくもない。
……しかし、だ。
色々心情とか考えを無視すれば、この提案はかなりおいしいものである。
実際にこの【タム・リン】の強さは本物であり、まさしくボスにふさわしい。
実際我々4人のデビルバスターを同時に相手しているのに、対策なしでは突破困難でその上なかなかに理知的(悪魔基準で)だ。
無論、仲魔にできたらおいしいが、もしそれをしたら異界の主討伐報酬などは受け取れなくなるかもしれない。
ほかの人はどう思っているのか、そう不安になり、ほかの人の意見を確認してみた。
「私としてはどちらでもといった感じですね。
もう、ここに来るまでにはかせの研究という点では十分成果が得られましたし。
それに、今回の異界の主攻略という点では私は役になっていませんしね」
「はかせとしてはどっちでもいいかな~~
あ!でもできれば仲魔にしてほしいかも!
ここで異界の主レベルの悪魔を仲魔にしたときのデータとかもとってみたいし、その時にクエスト判定がどうなるかとかも検証できるからね!」
「沖田さんは、ノッブがタム・リンに押し倒され骨抜きにされない自信があるならOKですよ。
夜の魅了突きでサマナーが妖精騎士にメロメロとか、薄い本が厚くなりますから」
元男に何を期待しているんだ。
かくして、無投票2賛成2の結果、無事タム・リンの討伐は中止、代わりに彼が我々の軍門に下る結果で今回の異界探索は終わった。
「……というわけで、これからよろしく頼みますよ。
我が主、【筋肉 炎鳥】殿。
これからは粉骨砕身、全身全霊で我が忠誠、あなたに捧げましょう!!」
「えっ!俺ぇ!!」
ただしサマナーの自分ではなく、人修羅のフェニックスさんの仲魔になる模様。
「い、いやいや、そこにサマナーの中島さんがいるだろ!
それなのになぜ俺なんだ!お前は女好きの悪魔のはずだろ!
そこは普通に彼女にする流れだろ!」
「いえいえ、簡単な話、彼女だと力量……いえ、レベルが少し足りないんですよね。
それで彼女以外で契約できそうなのが、あなただけだというだけの話です。
あっ!けれど勘違いしないでください、これは決してあなたの仲魔になるのが嫌だというわけではありませんよ?
むしろ、初めてあの熱いヴェーゼを受けて以降、なぜかあの日のことを忘れることができず、悶々とした日々を……」
「あ~~!!あ~~!!聞きたくない、聞きたくない!!」
「…………」
「うわっ!!はかせちゃんさん、なんかすごい顔してますけど大丈夫ですか?
とりあえず、その手に持った【蟲毒皿】をしまって、ね、ね?」
なお、この後荒ぶるはかせを鎮めるのに無数の悪魔の命が犠牲になったことを付け加えておく。
我々は妖精ばかりの異界であったのに、なぜか出たレアな地霊の群れと遭遇。
それを無表情で機関銃で穴だらけにしたはかせとその造魔の勇姿を忘れはしないであろう。
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
【頭打ち多発】脱初心者スレpart12【レア異界求】
352:名無しのサマナー
今まで設定【会社員】だけど無視して無勤でいたら、
今日になって、突然勤めている設定の会社から電話かかってきてやんのwwww
一体何のことかわからんくて、マジでビビったぞwww
353:名無しのバスター
>>50 わかる、自分学生だけど突然自称教師が家庭訪問してきたww
お互い顔も見たこともないから、マジで微妙な空気が流れたwww
354:名無しの悪魔
うらやましぃなてめぇら。
こちとら人間に見えない設定のせいでいまだにボッチだ。
でも、悪魔で友達ができたから微妙にセーフ
355:名無しの悪魔
>>354 悪魔にも友達になりたくないって言われた自分はどうすれば?
ちなブロブ
356:名無しのバスター
>>355 あきらめろん
357:名無しのバスター
>>355 悪魔で無理なら人間でも無理だ
358:名無しの悪魔
>>355 大丈夫だ!お前の友達はここにいる、みんな、そうだろう?()
真面目な話、マジで誰かPCやらNPCの仲魔になったらどうなんだ?
身の安全的に野良でいるよりも誰かしらと契約した方がええと思うんだが
359:名無しのサマナー
>>358 サマナー的にはボッチは悪魔であっても仲魔にはNG
むしろ仲魔との連携が大事だから、そこんところダメな仲魔はだめ
即合体材料
360:名無しの悪魔
>>359 とどめを刺していくスタイル
361:名無しのバスター
マジレスは大事だからね、ちかたないね
362:名無しのサマナー
全然話は変わるんだが、一昨日六本木で悪魔のアリス見た
あれ誰かの仲魔だったりする?
あの時はびっくりし過ぎて手を出せなかったが、もしあれがマジアリスなら即勧誘しに行くんだが
363:名無しのバスター
いやいやwさすがにそんなメジャー魔人そのへんにいるわけないやろwww
流石にだれかPCで似た格好か、悪魔合体頑張って作ったとかそんなんだろwwww
……そうなんだよな?
364:名無しのサマナー
いや、遠目でアナライズしたところ普通にアリスだった。
PCなら表示で名前出るからあれはマジで生アリスだったわ
365:名無しの悪魔
>>364 そマ?
366:名無しのサマナー
( ゚д゚) ガタッ きたか…!!
/ ヾ
__L| / ̄ ̄ ̄/_
\/ /
367:名無しのバスター
ちょっとスキルカードもらってくる
368:名無しのサマナー
ちょっと勧誘してくる
369:名無しのサマナー
>>365~368 おまえら、行くのはいいがLv30超えてるレベルだぞ
それでボス補正ある場合に勝てると思うか?
370:名無しのバスター
>>369 思ったより何とかなりそうww
……いや、でも微妙に勝てさそうやな
371:名無しのガイアーズ
レベル30台ってことは宝箱から出る方のアリスか?
死んでくれる?なしで状態異常メインな感じかと
むしろ呪殺メインの方がやりやすかったなぁ
372:名無しのメシアン
呪殺攻撃がないんですね!やったー!
さっそく改宗させに行かなきゃ!
373:名無しの悪魔
>>372 残念だがそっちのアリスでもヘルズアイはあるから
普通に呪殺攻撃はしてくるぞ しかも破魔無効だし
374:名無しのメシアン
やっぱり、メシアンじゃ攻略無理じゃないですかヤダー!
375:名無しのサマナー
>>374 あきらめろん
というか魔人相手は今の俺達じゃきついだろ
376:名無しのガイアーズ
というか、お前らアリスには食いつくのか
ゴーストQが出たって噂は誰も食いつかんかったのに
377:名無しのサマナー
あたりまえだよなぁ?
378:名無しのバスター
お口お化けと幼女
どっちが重要かなんて明らかだからね
379:名無しの悪魔
お前らさらっと流してるけど、なんかこれってやばくね?
魔人2体が東京に出るとか、明らかに異常事態だろJK
380:名無しのバスター
これ位魔都東京だと普通普通
……とか、いいたいけど、よく考えたらやばいかな
今の都内(非異界)の悪魔平均3レベル位だっけ? 確かにやべーな
381:名無しの犬
やっぱいろいろ最近変だよな
異界でもなんか俺が住んでたところの悪魔が突然レベルダウン&軍勢化したし
コスプレガチ勢(新人S)に助けてもらえたけど
382:名無しのサマナー
コスプレ勢また増えたのかwwww
というか、おれも元々水系しかいない異界で突然チュパカブラが乱入してきたし
これGP上がったか?
383:名無しの悪魔
もしかして? → 終末が近づいている
384:名無しのバスター
流石に冗談でもヤメーヤwwww
……冗談だよな?
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ところ変わって現在自分たちがいるのは23区最大面積の区、大田区。
高級住宅地と町工場の街の2つの顔を持つその場所で、現在自分は異界探索とは関係ない久々にフリーな用事でここに訪れていた。
「……では、行かせていただきます」
「おう!こい!」
ただし、戦闘をしないとはいってない。
「それではまず、こちらから……【ブフ】!」
はかせ特製の造魔こと【東雲なの】の魔法により、こちらに無数の氷結の魔法が飛ばされる。
無論、手加減はしているであろうが当たったら痛いでは済まないため、その魔法を落ち着いて躱す。
外れた魔法が床や壁にぶつかり、そこに氷柱を作る。
どうやら、やみくもに撃っているのではなくきちんと躱されることを想定して、氷柱が妨害となりそうな場所にもブフを放つのが非常にいやらしい。
むろん、このまま回避するだけではいずれ床すべてが凍らせてしまうのが目に見えているし、そうなれば氷に足がとられて避けることすらできなくなってしまう。
なればこそ、さっさとその発生源を止めるべく、飛び交う魔法を回避しつつ【東雲なの】の元へと一気にかけ寄ろうとする。
「……そうくるのは読めていました、【マハブフ】」
が、当然それは向こうに読まれていたらしい。
こちらが近づいたのに合わせて、容赦なく全体魔法を放ってくる。
無論、こちらから突っ込んだ上に範囲魔法である【マハブフ】を今から躱すのは不可能。
このままだと氷結魔法に直撃必須の氷像化不可避である。
「でも、新装備ならばなぁ!!でりゃぁい!!」
「……!!」
でも、躱せないならば、それはそれでやりようがある。
自分の魔力感覚を全開で引き延ばす、できるだけ魔法の威力が低いところを探す。
そこに向かって全力で最も自分の装備の中で最も対氷結防御の高いところでぶつけて、魔法自体を受け流す。
「これが新装備の力だぁ!!!」
「……なっ!!」
すなわち、前転でマントで体をかばいつつ、マハブフを強引に突破。
これには造魔である彼女も驚いたようで、その隙をついて立ち止まらずまっすぐ彼女へと近接戦を挑みに行き、そこから勝機を……。
「なら、全力で行きます」
「降参しました」
あと少しというところで、【東雲なの】の両手が変形。
彼女の手首がはずれて銃口が飛び出し、そのマシンガンの銃口を突き付けられた時点でこちらは白旗を上げざるを得なかった。
人間はマシンガンに勝てるような、肉体構造をしていない、はっきりわかんだね。
サマナーなら銃弾位前転でかわしてみろだって?無茶言うな!
「え~~!!ノッブちゃんもう降参なの?
私が作ってあげた【ダークベスト・改】ならば多少なら防弾設定付いてるんだけど!
たぶん、ナノについている短機関銃程度なら骨の1本2本折れるだけで致命傷にはならないから!
もう少し摸擬戦を続けようよ!」
「ははは、骨折は致命傷ではないというのか」
「でも、実際骨折ならば回復魔法なしでも時間をかければ病院で治せる程度でしょ?
なら、軽症軽症、誤差の範囲だよ♪
それとなんなら、なのの耐久試験もかねて手裏剣投げてくれてもよかったのに。
そうしたらもっといい勝負できたでしょう?」
この似非ロリ、もはや自身のブラックさを隠そうともしなくなってきやがった。
なお、現在自分たちのいる場所はこの世界のはかせの実家、【東雲研究所】大田区羽田空港近く。
どうやらキャラ設定の段階で、超資産家で地下研究所ありとか言う設定にしたらしい。
おかげで、現在彼女の家の地下で新装備の試運転という名の摸擬戦をさせてもらえるという恩恵をあずかれた。
……でも、確かに摸擬戦はこちらから言い始めたことだが、いささか向こうの攻撃に殺意を感じたのは気のせいだろうか?
「ソンナコトナイヨ。
別に致命傷あったら、あのネコちゃんのリカームの臨床研究ができるなとか思ってないよ」
「ははは、ちょうど剣の方の性能はまだ試していなかったな。
ちょっと試し切りさせろ」
その後しばらくはかせと楽しい狩りゴッコと楽しみ、存分に新装備の性能を確認。
そして、夕方になるころには新しくなった装備がきちんとなじむようになった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【氏名】中島 凪
【クラス】ナチュラルサマナー
【成長タイプ】忍者
【ステータス】 Lv17
【耐性】 破魔・呪殺無効
【スキル】
・獣の反応(自分の命中・回避率が上昇、効果小)
・毒針 (銃属性 小ダメージ+毒付加)
・爆炎の術〈ファイアブレス〉 (火炎属性 小ダメージ複数全体ランダム)
・会心 (通常攻撃のクリティカル発生率が上昇する)
・極地適応 (氷結・火炎属性ダメージ微小軽減 さらに多くの地形ダメージも軽減する)
【装備】 武器・備前長船
手裏剣
防具・ダークベスト・改(【呪殺無効】)
コンバットブーツ
キャップ
アクセサリ・マント (【極地適応】 一部の仲魔の忠誠度が上がりやすくなる)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「でも、見た目はあんまり変えてくれないんだな」
「むしろ、これで服だけ見た目を変えたらズボンと帽子の統合性が取れなくなるからね。
それにちょくちょく変わってる部分あるよ、服のボタンとかフォルマでできてるからこその【呪殺無効】だし。
でもおかげでコスプレっぽさは消えて、本格派になってるでしょ?」
「むしろもっと痛い人じゃないか」
なお、おかげで前よりなんちゃってノッブ成分は薄れたけど、前よりガチの時代錯誤人に見えるという不具合。
しかも、貴重な呪殺耐性装備だから外せるわけがないというトラップ付きである。
……無料になるからと言って、デザインを完全に向こうに任せたのは失敗だったなぁ。
「マントと刀も剣合体やカード合体でできた産物だからね?
特にマントは絶対外しちゃダメ!貴重な只野君からもらったレアな【スキルカード】を使用したんだから!」
せめてマントを外させてと思ったがそれも無理らしい。
なお、これらは無料とは言ったが、正確には自分の〈フォルマサーチ〉で拾ったフォルマを売り、その分の料金の一部でこの装備を譲ってもらっているという形である。
でも拾ったフォルマはあのカタキラウワ達のドロップ品である〈魔獣の豚ヒヅメ〉と〈高級豚肉〉がほとんど。
それに例の妖精郷もどきで討伐した妖精系悪魔のフォルマを追加しただけである。
自分だと使い道はないそれらのアイテムがここだと1つ300マッカ以上、日本円だと1つ1万以上でで取引してくれるとのことである。
おかげで一気にどんと現金収入もマッカ収入も増えた、実に話がおいしくて笑いが止まらない。
「それより弱体化してしまったオイラについて一言」
「ははっ、ざまぁw」
「ぶっころにゃす」
それと、装備新調だけではなく悪魔合体も完了済みだ。
具体的には前回あまりにもきもいレベルアップをした元カブソ君こと天女センリには、はかせの栄えある生悪魔合体研究の実験台第1号になってもらいました。
『今って東京の
『となると、センリはこのまま?』
『いや、合体するとレベルが下がる』
『ふぇふぇふぇ!!にゃ、にゃらやめておくべきニャ!
せ、戦力ダウンする合体なんて本末転倒!
わしも頑張って変化上手になるから、いましばらく我慢してくれれば……』
『かまわん、やれ』
『よく言ってくれた!それじゃァ逝っくよ~~!!』
『や、やめろ!ショッカー!!
せ、せめて猫系悪魔にして……ニャ―!!!!!』
かくして、天女センリLv18は〈天女×凶鳥【オンモラキ】〉→〈堕天使【メルコム】〉。
〈堕天使×悪霊【ゴースト】〉と合体させて現在の〈魔獣〉【ケットシー】Lv14へと姿を変えて現在に至るのであった。
確かにこの元カブソがレベル低下の悪魔合体に対して文句を言いたくなるのはわかる。
でもちゃんと悪魔合体の末にちゃんと猫系の悪魔にしてやった上にデビルソースまで使ったのだ。
見た目も前のブラクラ八頭身でも元の不細工な猫もどきでもない、正統派黒猫の妖精。童話の【長靴をはいたネコ】をイメージさせる、まぁ人によってはかわいいといえるかもしれない姿にはなれたのだ。
ある意味ではむしろ感謝してほしいものである。
「というか、悪魔合体してもこの元カブソ側の意識が残るんだな。
生悪魔と合体させるって言ったから、てっきり永劫の別れになると思って覚悟していたんだけど」
「ん~~、そうだね。
たぶん合体に使った悪魔の自我が薄かったことか、それともこの〈剣技下手な〉の称号が原因じゃないかな?
もしくは、忠誠度が高い方の個性が残るとか。
この辺はまだ検証次第ってところかねぇ」
「そ、それより早く治療してほしいにゃ……。
こ、こっそり決闘中に魔石使おうとしたのを謝るから……しゅ、手裏剣は!手裏剣でゴリゴリするのはやめるにゃぁ!
そこ、そこは弱点が会心が……ぐにゃぁぁぁぁ!!!!」
地味反抗してきたカブソを秒で鎮圧しつつ、はかせと悪魔合体についての談義を重ねていく。
確かに今の段階の悪魔合体で、レベルが上げられないのはいろいろ痛い。
でも悪魔合体をすると、明らかにスキル面や特技面で充実するし、何より見た目が前よりもだいぶましになった。
できればガンガンこれからも悪魔合体をしたいがそれには少々管の数と合体候補の難儀がある。
モーショボーの合体は彼女の意思もあるし、結構先になりそうだ。
「それより、はかせ。
今日こうやって私を呼び出したのは新しい装備を渡す、それだけじゃないんだろう?」
「あ、ばれた?」
「どう考えても、色々装備やフォルマ買取、アイテムにサービスし過ぎだからな。
どうせ、前のカタキワウラ討伐の時みたいに何かほかに頼みごとがあるからこうして、博士の自宅にまで招待してくれたんだろ?
というわけで、とりあえず聞くだけ聞くから、その頼み事とやらを言ってみてくれ。
ものによっては聞くかもしれないから」
「えっへへ~~!!!さすがノッブ!察しと気前がいい!!
それじゃぁね、実は先日六本木にとある珍しい悪魔が発生したんだけど……」
なお、当然ながらあまりに厄過ぎて、今までもらったアイテムを放り投げてでも拒否したくなる出来事なのはある意味では想定通りだといえよう。
「あ、今日は空手の教室があるから自分はこの辺で……」
「今 日 は 休 め」
「このくだり、前にも見た」
「まぁまぁ!決して相対しろとか、討伐しろとかそういうわけではないんでしょう?
軽~く六本木を散策、エリアサーチをかけてくるだけで、追加報酬ありとかおいしい依頼じゃないですか!」
かくして現在自分たちがいるのは結局六本木に来てしまっている、沖田さんも同行で。
大体はかせの口車に乗せられたからという側面が強いが、それでも実際にはかせの依頼はリターンがでかいというのも大きい。
それに、今回は普通に異界でない六本木をただただエリアサーチするだけ。
魔人アリス発見情報という噂が掲示板で飛び交っていることだけが不確定要素だが、それでも早々には出会わない。
……はず。
「にしても、辺りを見ると結構同業者多いな」
「まー、あそこまで露骨にCOMP持ち出している姿を見ると同業者だってわかりますね。
さすがに露骨にアナライズはマナー違反なのでしませんが」
そして自分と同様にアリスの情報につられたPCにちょくちょく遭遇する。
見た目派手な人から、銃刀法違反に喧嘩を売っている人、仲魔を使って捜索している人やさらには悪魔そのものまで視界に入る。
……悪魔が見える異能者一般人がいたら卒倒しているレベルであろう。
「にしてもよく自分以外のPCもアリスにつられてこの六本木によく来たな
……レベル30台のボス属性もちとか、もし遭遇したら死亡確定ってレベルなんだが」
魔人【アリス】。
真・女神転生シリーズでは色々とおなじみ且つ有名悪魔である。
見た目は幼女、性格も幼女。
ただしこちらに〈しんでくれる?〉と強力呪殺を放ってくる超強力悪魔なため、基本的に遠目で見るにはかわいいが、絶対に遭遇したくない、そんな悪魔である。
今の自分には呪殺無効であるとはいえ、仲魔もそうであるわけではないしそもそも10以上のレベル差があり場合によっては状態異常技も複数使用してくるし、保護者達がさらにやばい悪魔なためいろんな意味でも相手したくない悪魔である。
「ああ、それはどうやらアリス好きプレーヤーが魔人アリスの情報に懸賞をかけたからだと思いますよ。
メシアガイアも混ざっており、日本円で1000万、マッカやマグ、アイテムや悪魔での報酬も検討するそうです」
「なにそのアリスガチ勢、怖い」
そんな風に軽い会話を挟みながら六本木をエリアサーチをすること数時間。
いいことか悪いことなのか、無数のゾンビを見つけはしたものの結局大まかな六本木の地図は完成させることはできたが、アリスについて情報を得ることはできなかった。
「結局アリスに遭遇せず、か。
いいことなのか悪いことなのか」
「もしかして既に誰かが仲魔にしたり、討伐しちゃったんでしょうかねぇ」
「今の時点で魔人討伐できる奴とかいるのか?
……いや、相性さえよければいけるか、それにガチ勢なら」
「というか、私としてはノッブと異界に行くと毎回変なことがあるので、今回もまた何かしらのイベントがあると覚悟していたのですが。
どうやらそれは杞憂だったみたいですね」
「ははは、こやつめ」
「まぁ、冗談はさておいて、ここのところこの東京全体で色々イベントが起きてますからね。
ノッブといるといないの関わらず、何かハプニングがあると身構えてましたが……これなら杞憂みたいですね」
ふむ、言われてみれば確かに一理ある。
あの業魔殿で出会うほうの依頼をくれるお姉さんもここ最近悪魔発生の報告が多いとか嘆いていた気がする。
う~む、今はスルーしていたがもし本当に悪魔の詳しい情報が欲しいならあの業魔殿で非PCの悪魔バスター相手にも情報収集をする必要があるのかもしれない。
「でも、冷静に考えてもしここでイベントが起きるとしたら何が起きるんだ?
アリスの一般人虐殺マッドティパーティ?
それとも赤おじさんと黒おじさん襲来?まさか魔人全開放ってのはないだろう」
「はははは、もう軍勢悪魔とか一通りやばい経験はしましたからね。
もうこれ以上はなにが起きても、よっぽどのことでは驚いたりは……」
そうして、それはいわゆるフラグだったという奴だろう。
その瞬間に突然通知の入るCOMP。
鳴り響く電子音、それは自分のCOMPだけではなく沖田さんのも同様。
さらには遠くの道を歩く自分以外のPCのCOMPもそうであり、それはPCであれば人型、非人型関わらずその通知は全員に届いた。
「な、なんだこれは!!」
「あ、あれは……人が!!!空が!!」
周囲から上がる悲鳴に驚嘆。
辺りにいる人々がまるで霧が晴れるかのようにどんどん消えていく。
先ほどまで明るかった空が、まるでビデオの早戻しのようにあっという間に暗くなり、空にあった太陽がまるで置き換わるかのように月へと変わる。
それは赤い赤い、巨大な
「お、おいどういうことだよこれは!!」
「な、なんで……どうして、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そうして、先ほどまでは普通であったはずのデザインとアートの街【六本木】はあっという間に異界【六本木】へと変化。
文字通り、夜の街になってしまったそこには、すでに我々PC以外の人間誰一人いなくなってしまった。
その代わりというのだろうか、代わりに虚空から現れるは無数の悪魔の群れ。
しかも、わざわざ我々プレイヤーの近くを狙ったかのようにそいつらは現れた。
そして、最後にCOMPに映し出されたその通知が今の我々の身に何が起きたのかをはっきりと知らせてくれていたのであった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
〇期間限定大型イベント発生
本日現時刻より時間経過の大型イベント【1ST EVENT ≪憂鬱の日曜日≫】が発生しました!
イベント中は全プレイヤーを特殊フィールドにご招待!
なお、この特殊フィールドでは悪魔遭遇率&レア悪魔発生率の大幅アップ。
悪魔の敵対率及びフィールドギミック増加及び使用不能。
レアアイテム及び特殊ドロップ通常ドロップの上昇などいろんな高面白イベントが目白押し!
イベント達成ボーナスや貢献度による上位報酬があるため、奮ってイベントにご参加ください★
▼イベントの勝利条件
①プレイヤー側の生存
②一定以上の悪魔及びボス悪魔の撃破
▼イベント失敗条件
①プレイヤーの全滅
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
※元カブソの悪魔合体後の姿
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【NAME】≪魔獣≫<剣技下手な>ケットシー Lv14
HP 108
MP 104
【相性】 銃撃・呪殺耐性
【スキル】・メディア
・麻痺ひっかき
・道具の知恵・癒
・リカーム
・銃撃耐性
・タルカジャ (味方全体 攻撃力上昇)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
★はかせの合体ワンポイント
元々は銃弱点のケットシーだけど、スキル〈銃耐性〉を〈偽人 デモニカもどき〉のデビルソースを使用することで補強!
さらに合体に宝石を使うことでレベルとステータスに若干のブーストがかかるというスペシャル仕様になっているかも!
……でも、はかせブーストをしても普通のケットシーよりもステータスが低いっていうのはいろんな意味でびっくりだよ。
代わりに消費マグネタイトが低いみたいだけど……うん、それならおとなしくもうワンランク下の悪魔を使おうよって感じだね。
ノッブちゃん、意外と趣味が悪いのかな?
後、残念ながら低ステータス故、坂本さん襲名の儀は取り消しになりました。
※活動報告に書いた通り、akiha様より支援絵をいただきました。
この場を借りて改めてお礼を申し上げます