わたし達は分かり合えない。だけど君は諦めなかった。


新宿のネタバレ及び英霊剣豪七番勝負のIFが含まれます

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ふと思いついた作品です


新宿のアヴェンジャーの絆礼装が尊くてつい・・・・


君ともう一度・・・・・・

 仲間との日々は楽しかった・・・・・・のだろう。体を撫でる風は心地良く、星空は綺麗だった・・・・・・筈だ。もう、殆ど思い出せない。必死に守った仲間の臭いも、愛する妻の姿さえも。

 

 ああ、でも覚えているぞっ! 住処を奪い、仲間を奪った奴らへの、人間への復讐心だけは忘れない。決して忘れてなるものかっ!!

 

 

 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎いっ! 人間が憎いっ!! 殺してやるっ! 全ての人間を爪で引き裂き、牙で喰殺す。その復讐心だけでわたしは喚ばれたのだから・・・・・・。

 

 

「んー! これは怖い。アヴェンジャー、復讐者のサーヴァントか」

 

 あの時、確かに死んだわたしは鬱陶しい荷物を背中に乗せ、人間のようで違う奇妙な奴らを前にしていた。どうやら倒したい相手、成し遂げたいことがあるらしいがわたしには関係ない。

 

 この星の見えない空の下、人が作った固くて高い地面を縄張りにして人間を殺す。わたしの目的はそれだけだ。ああ、それにしてもこの地は居心地が悪い。もう殆ど思い出せないが、仲間と共に駆けた大地とは大違いだ。

 

 

 それから発見した人間を殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺し続けていたある日、弱そうな人間を発見した。仲間を殺した奇妙な棒、銃という道具も持たない其奴を発見したわたしは早速殺しにかかり・・・・・・殺せなかった。

 

 

 糞っ! クソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソっ! 邪魔が入った、逃げられたっ! 次は殺すっ! 絶対に殺すっ! 人間は・・・・・・皆殺しだっ!!

 

 

 それから同じ人間とその群と何度か戦い、結局殺せなかったわたしは更なる力を求めた。その結果、わたしがわたしでなくなろうと構わない。この体を突き動かすのは消えることのない復讐の炎なのだから。

 

 

 

 

 

「ワンッ!」

 

 奴らとの戦いの時、その存在が気になって動きを止めたわたしは足を何かで挟まれて動けなくなった。それでも戦い、足を千切って逃げた時、背中が少し軽く感じたのはどうしてだろう・・・・・・。

 

 

 

 

 もうわたしは消える。それは感じていた。目も殆ど見えず、鼻も利かない。ただ、感じなくなった背中の重さの為にも消えちゃ駄目だと感じたけど、まだ理由がある。あの白い存在、何故アレが気になったのかは分からない。ただ、あれともう一度駆け回りたい場所が有ったんだ。何処でどうしてかはもう思い出せないけど・・・・・・。

 

「ワンッ!」

 

 消える瞬間、あの白い存在にもう一度会うことが出来た。何時か何処かで感じたはずの暖かい気持ちが胸に戻り、やがてわたしは消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

「よ、宜しくね、ロボ」

 

「ウウウウウウウウウウウッ!!」

 

 嗚呼、どうしてわたしはこんな場所に居るんだ? 人間だらけの人間の住処に喚ばれた僕は不機嫌だった。何故此処に来たのかは覚えていない。ただ、大切な存在に目の前の人間の事を頼まれた気がしたんだ。大切な者は全て人間に奪われたというのに・・・・・・。

 

 

 隙を見て殺してやろうと思っていたけど、手強い人間がいるせいで無理みたいだけど諦めない。僕は絶対にお前の群になど入らない。ああ、それにしても本当に腹立たしいな。人間に囲まれているなんてさ・・・・・・。

 

 

「ロボ、おはよう!」

 

「ウウウウッ!!」

 

 本当にしつこい奴だっ! わたしはお前なんかに、人間なんかと分かり合わないのに、それでも諦めずに近寄ってくる。うなり声を上げ、牙をむき出しにして、爪を振るっても諦めない。本当に不快な奴だ・・・・・・。

 

 

 

「フォウフォーウ」

 

「なはははは! 今日も凶暴なことだ。褒美の人参はキャットがいただこう!」

 

 此処には人間以外にも生き物はいる。兎っぽいが別の何かと、人間っぽいが狐っぽくもある何か。あの人間と一緒に餌を運んでくる。わたしは群の仲間じゃない奴らから餌を貰う気はない。だけど毎日毎日餌を持ってきては一緒に食べようとする。ああ、本当に不愉快だ。だから勝手に置いていけ。忘れた物を食べても貰った事にはならないから。

 

 

 

「ロボ、おはよう!」

 

「・・・・・・フン」

 

 本当にしつこい奴だ。もう脅すのも面倒なので顔を背ける。なのになんで嬉しそうにしているんだ、此奴は? 他の人間がわたしを殺すべきと言っても反対するし、そんなのでわたしが仲間になるとでも思ったのか? ふざけるなっ!

 

 

 ああ、本当に不愉快だ・・・・・・。

 

 本当に妙で諦めの悪い人間だ。もう諦めて差し出された餌を食べているが、これはお前から奪ったんだ。貰った訳じゃない。だからわたしはお前の群の一員になった訳じゃないからなっ!

 

 

 

 

 

 

「ロボ、おはよう!」

 

「・・・・・・」

 

 まただ。本当に変な奴。わたし達が分かり合えないなんてお前でも分かるだろうに。それでもお前は諦めないんだな。少しだけ僕と似ている気がするよ。仲間を守るために戦い続けたわたしとさ。

 

 

 

 

「ロボ、おはよう!」

 

「ワンッ!」

 

 わたしは今、レイシフトとやらで広い大地に来ている。周囲に敵の気配はないけれど、もし敵が来てもわたしが守ろう。かつて仲間を守ったように、この新しく群に受け入れた仲間を守って見せよう。

 

 

 それよりも見てくれ、この大地をっ! ここがわたし達が駆け抜けた亜場所だ! 感じるかい、この風を! これがわたしが心地良いと感じた風だ。

 

 わたし達は分かり合えない。復讐心は消えない。でも、それを理解して尚、諦めなかった君にこの景色を見せたかったんだ!

 

 

 

 

 

 わたしは仲間を守る。それが望み・・・・・・だったのに。

 

 

「・・・・・・ワン」

 

 立ち入り禁止の部屋の前でわたしは今日も待つ。寝たままの君が起きてくるのを。人間の一人が助けに行ったし。また一緒にあの場所に行けると信じているよ。

 

 

 

 ・・・・・・そう。信じていたんだ。君は目覚めず、世界は終わった。君の夢から出てきた善くない物が君を、世界を殺した。また、守りきれなかった。

 

 

 わたしは英霊じゃない。だからわたしは消え去った。目の前が暗くなって、感覚もなくなって・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

「お、狼っ!?」

 

「なんでこんなのが喚ばれるのよっ!?」

 

 どうして消えたはずのわたしが此処に居るのかは分からない。だけど、聞こえてきたのは確かに君の声だった。感じた匂いも確かに君の物だ。でも、瞼を開けた先にいた君はわたしを見て怯えていた。

 

 炎に包まれた町の中、見慣れた人間と見慣れない人間と共にいる君は弱々しくて情けなくて、わたしは直ぐに全てを理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 わたしを見てオロオロと怯え、あの時の勇敢さは何処にもない。ああ、あの君はもう居ないのか。そうか、そうなんだね・・・・・・。

 

「ワンッ!」

 

 君はわたしを知らないけれど、わたしは分かり合えないことを理解してなお、それを良しとしなかった君を知っている。だから今度こそ守り抜こう。君が、わたしが知るもう居ない君とは違うと知っていても。もう一度君を群の仲間にしてあげる。

 

 

 だから、もう一度一緒にあの景色を見よう。わたしが仲間と過ごしたあの場所を、もう一度仲間として・・・・・・。

 

 

 

 

 今度こそわたしが君を守りきるから・・・・・・。今度こそ、君の危機に駆けつけるから・・・・・・。




一応説明を  新宿後に喚ばれて絆を深めたけど英霊剣豪七番勝負でぐだが死んだ世界

       ↓

序章 冬木での初召還で記憶持ったまま来ました

まあ別作品の記憶持ちも居るし、気にしない気にしない





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