気付いたらキングダムの世界で王妹だそうです   作:空兎81

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戦場でお散歩

王騎将軍に強くなれる場所に連れて行ってあげましょうと言われて行った場所は戦場でした。誰か嘘だと言ってください。

 

どうやら魏が攻めて来ているらしくそれを秦が迎撃している最中らしい。王騎将軍は今回は行軍を命じられてないからこの場に来たのはただの散歩です。とか言っているけどどう考えても無理ある言い訳ですよね。いやまあ王騎将軍がどこを散歩しようが別に構わないんだけど問題はそれに私が付いてきてしまっているということだ。しかも、

 

 

「では今から下に降りて100人ほど殺して来なさい。終わるまで戻って来てはいけませんよ?」

 

 

そういって蹴落とされました。確か獅子は我が子を千尋の谷に落とすとかいうことわざがあった気がするけど物理的にされるとは思いませんでしたよ。

 

下は戦場、しかも魏軍と秦軍の乱戦状態だ。うわっ、今生首飛んだぞ?あんな中に今から私突っ込むのか?

 

取り敢えずこのままでいくと乱戦の前に地面に激突して死ぬから崖に足をつけ勢いよく駆け出す。もうこれは止まれませんから一か八か勢いよく突っ込むしかありませんわ。

 

走りながら剣を抜き地面が近づいて来た直前で壁を思いっきり蹴り乱戦の中に突っ込む。上から見ていた時指揮しているっぽい人が居たんだよね。取り敢えずその人の首をもらおう。

 

指示を出すために高台の上に乗って声を張り上げていた人のところに突っ込み剣を突き立てる。あ、高台壊れた。

 

私が勢い任せに突っ込んだから木でできた高台はあっさり壊れてしまったらしい。全身に振りかかる木屑を振り払いながら立ち上がる。割とひどい目にあったな。あ、指揮官の人ちゃんと討ち取れている。これで1人目。

 

 

「た、隊長ーっ!!敵かっ!一体どこから現れたのだッ!??」

 

 

「子ども?まさかこんな童が敵だというのか?!」

 

 

周りの声がざわざわと聞こえてくる。周りに見えるのは銀色の鎧を着た人たち、全員魏の兵士たちだ。ははっ、そりゃ指揮官がいたんだから周りは敵ばかりだ。なんで私ここに突っ込んじゃったんだろうね。馬鹿ですわ。

 

やってしまったものは仕方ないから剣を構える。動揺している今がつけ込むチャンスだろう。そのうち我に返って私が隊長さん殺したのがバレるだろうし。

 

さて殺そう。私が死なないように1人でも多く今殺す。こんなとこで死ぬなんて死んでもごめんだ。

 

隊長さんから剣を抜いてすぐ側の髭面の男を切り裂く。その勢いでその隣の男も斬りつける。

 

それで周りの魏軍も私が敵であることを理解したのだろう。殺気立って剣を向けてくる。そうか、でも殺す。私が生き残るためこいつら全員皆殺しだ。

 

一撃で仕留められるよう首から上を狙う。鎧を貫通する力は私にはないからなるべく露出しているところを狙う。

 

手前にいた男を殺す。後ろにいた男が斬りかかってくる。屈んで避けてその足を斬りつける。よろけた所で首を掻っ切って殺す。

 

仲間を助け起こそうとした男を殺す。私の姿を見て躊躇った男を殺す。怒りの形相で切りかかってきた男の顔面に剣をいれる。ここも手狭になってきた。

 

人々の足元を走り抜けて移動する。その時無防備に背中を見せた男たちを3人ほど殺す。走りながら殺す。今何人殺した?

 

たぶん、20人くらいは殺したと思うけどこれ100人殺すのめちゃくちゃ大変じゃないですか?しかも剣が血とか口には出したくない色々な物で汚れていてめっちゃ斬りにくい。いくら斬っても鈍にならない剣が欲しいです。

 

仕方ないから脇差はしまいその辺りに落ちていた剣を拾ってまたその側にいた人を殺す。うわっ、これ結構重いな。もっと扱いやすい剣落ちてないかな。

 

少し小柄な男を殺す。その男の剣を持つとわりとぴったり手に収まった。これは使えそうだ。じゃあ続きを頑張ろうか。

 

感覚的には50人くらいヤったと思う。剣はダメになる度敵から奪った。

 

途中から秦軍と合流したから背中気にする必要がなくなってさらに加速的に剣を振るえるようになった。出会った秦軍の人みんなめっちゃ驚いていたけどね。そりゃ戦場にこんな幼女がいたらびっくりでしょう。文句は私ではなく唇お化けによろしくお願いします。

 

それでも腕が痺れてきた。肉や骨を断つのってこんなに難しくて疲れることなのか。体力には自信があったつもりだったけど戦場では桁外れに消耗するんですね。もうそろそろ限界なのだけどどうしよう。

 

そもそも芝刈りするわけでもないんだし100人狩ってこい!と言われてすぐにできるわけがありません。でも100人斬るまで帰ってくるなっていわれたし、うーん。

 

そうだ、王騎将軍は100人殺しなさいって言ってたけどそれは100人分の働きしたらオッケーってことにならないかな。何が言いたいかというとつまり百人将ひとり殺したら許されないかと。

 

我ながら名案の気がしてきた。そうでなくとも指揮官を討ち取れば後々の戦闘が楽になる。よし、百人将を探そう。

 

ぴょんっと跳ねてそのあたりの兵士の人の肩を乗りあたりを見渡す。指揮官というくらいだからきっと周りに指示している人がそうなんだろう。

 

そう思って見渡すと周りの騎馬兵に指示を出す高価そうな鎧を着た人が遠目に見れた。

 

お、あれきっと指揮官じゃないかな?よし、じゃあ今からあそこに行って首をもらっていこう。

 

そう思い移動しようとした瞬間『重いぞ小娘っ!さっさとどかんかっ!』と下から声が聞こえてきた。私が踏み台にしたおっさんが文句を言っているらしい。ああっ、ごめんごめんおっちゃん。もうすぐに移動するから。ん?でもおっちゃん魏軍だよね?じゃあ死ね。

 

行きがけの駄賃に私の足場になってくれたおっちゃんを殺しその場を移動する。地上を走っていたら指揮官の人がどこに行ったのかわからないから人から人へ頭を踏みながら跳ねていく。あ、秦軍の人も踏んじゃった。ごめんね。

 

そうして騎兵の側まで来た。指揮官の人はこの騎兵の中にいる。じゃあ殺そう。私の刃が届くところまで殺して殺して殺し切る。

 

1番手前にいた騎兵の人の首を刎ねる。突然の襲撃に驚いてこちらを向いた人の首も刎ねる。敵も私の存在に気が付いた。

 

『な、なんだその子どもはっ!?敵なのか?!こ、ころせッー!!』と叫ぶ人がいた。すぐ様切り捨てる。指揮官の人のところまであと10人くらいかな?

 

馬から馬へと飛び移って順番に騎兵を斬っていく。子どもだから油断しているのか全員が剣を構えて私を斬ろうとしてくる。騎兵なんだし逃げた方がよくないか?まあ馬で逃げられるとめんどくさくなるし向かって来てくれた方が楽でいいんだけどね。

 

そうして12人斬ったところで隊長さんとご対面、まるで化け物に出くわしたかのような顔の隊長さんに向けて剣を構える。

 

 

「こんな子供が我が自慢の騎兵をやったというのか…」

 

 

「それが遺言でいいのか?なら死ね」

 

 

隊長に向かって真っ直ぐ剣を突きつける。しかしそれは剣で弾かれてしまった。やはり隊長格となると周りの一般兵とは違うらしい。私の初撃は防がれてしまった。

 

でもそれだけだ。こんなものは速く鋭いバジオウの剣や重く力強い王騎将軍の矛と戦った時と比べてそよ風に吹かれていることと何も変わらない。

 

すぐ様合わさった剣を外し隊長の馬を斬りつける。痛みに馬が暴れ隊長がバランスを崩す。終わりだ。

 

暴れる馬に飛び移りその勢いで隊長の首を刎ねる。重力に従い落ちる首を捕まえてひと息つく。これで王騎将軍のミッションはクリアできたね。

 

周りの兵士たちがその様子を見て『備千人将がやられたっ!?』『千人将がやられたぞーッ!」と叫ぶ。どうやら百人将ではなく千人将を討ち取ることが出来たらしい。おお、手柄がより大きくなりましたね。ではさっさとこの場から退散するとしますか。

 

一応討ち取った千人将の首は持っていくことにする。やはり自分の働きをちゃんと評価してもらうためにも証拠品は持って行った方がいいだろう。ただこの首ものっすごく重いんだよな。確か人の頭部って6kgくらいの重さなんだっけ?幼女に持たせるべき重さではないなー。

 

首の代わりに敵から拝借してボロボロになった剣を捨てて人から人へと飛び跳ねる。そうしてしばらくすると王騎将軍のいる崖まで辿りついた。全力で崖を駆け上がる。

 

 

「千人将の首を取ったぞ」

 

 

「おや、お帰りなさい成凛。ンフフフ、初戦闘で千人将の首を取るなんて中々やりますね」

 

 

王騎将軍が私の戦果を見て楽しそうに笑う。改めて思い返すと7歳のロリガールである私が戦場行って敵の隊長の首を取るなんて凄いことだよな。私めっちゃ働いた。あとは家に帰って熱いお湯に浸かって美味しいご飯食べて眠りたいです。

 

だが早く家に帰ろうと王騎将軍の隣を通った瞬間仔猫を咥える親猫のように王騎将軍に首後ろを掴まれる。足が宙ぶらりんになり何事だと思って顔を上げた瞬間楽しそうに笑う王騎将軍と目が合う。

 

 

「千人将を殺ったのはお手柄でした。ですが貴方が殺したのは87人、まだ13人も足りませんよ?」

 

 

え、と声が漏れた瞬間身体が宙に投げ出される。視界いっぱいに青空が広がり再び戦場に向かって投げ飛ばされたことを悟る。

 

どうやら千人将を倒しても王騎将軍のミッションをクリアしたことにはならないらしい。まあ確かに違うっていったら違うことだけどそれより難しいことしたんだから許してくれてもいいじゃないか。あなたは鬼か。

 

身体が地面に到達する前に剣を抜く。はぁ。じゃあ、あと13人分お仕事しますか。

 

 

 


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