カワルミライ   作:れーるがん

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はからずも、彼女らとのデートが齎すものは。

 どうやら一色は生徒会長になる決心を固めたらしい。それを聞いたのは昨日の放課後、部室でのことだった。

 

『と言うわけよ。一色さんの件は無事に終息、彼女自身のやる気も十分ある。私達がやる事はもうないわ』

『あ、あの、雪乃さん?』

『なにかしら、浮気谷くん?』

『その、そろそろ椅子に座ってもよろしいでしょうか?』

『あら、椅子になりたいの? とんだドMね』

『一言も言ってないんだよなぁ......』

 

 うん、まあ、正座で聞かされてたりその後由比ヶ浜が止めるまで俺をマジで椅子にしたりと、なんだかんだあったが、結局雪乃は今日の折本達との件を了承してくれた。陽乃さんのせいなら仕方ない、との事だ。それをもっと早く言って欲しかった。

 いつも通り授業を全て受けた後、部室には向かわずに千葉駅へゴー。久しぶりに自転車を走らせて待ち合わせ場所で待機。

 ぬぼーっと待っていると、先に現れたのは葉山だった。

 肩にぶら下げたエナメルを背負い直し、葉山は少し驚いた風に言う。

 

「早いな」

「どっかの誰かさんに五分前行動を心掛けるよう調教されたからな」

「五分前どころかまだ十五分もあるぞ」

「それを言ったらお前もだろうが」

「ははっ、違いない、な......」

「どうした?」

 

 いつもの爽やかな笑顔が凍りついた。葉山の視線は俺の背後へ向かっているようで、つられて俺もそちらを見ようとしたのだが、それを葉山に遮られる。しかも肩をガッと掴んで。痛いんですけど。

 

「......君は振り返らない方がいい」

「いや、なんでだよ。そんな事言われたら気になるだろうが」

「......後悔、するぞ?」

「こんなんで後悔してたら、俺の人生後悔だらけだよ」

 

 なおも肩に乗っている手を払いのけて振り返ると、そこには。

 

「なあ葉山」

「なんだい?」

「なんであいつらがここにいんの?」

「俺が聞きたいよ......」

 

 にっこりと笑顔の雪ノ下雪乃と、その隣で苦笑している由比ヶ浜結衣がいた。

 おかしい、俺は確かに今日の予定を伝えたが、あいつらがこの場にいるなんて聞いてないし、さらに言えば待ち合わせ場所だって教えていない。

 12月も近づいてきて、肌寒い季節だと言うのに、俺の背中は瞬間的に嫌な汗を大量に噴き出している。

 え? なんで? 怖い怖い、マジでなんでいるのあいつら?

 

「君が伝えたからじゃないのか?」

「この場所までは教えてねぇよ......」

「じゃあ愛の力ってことだろ。ははっ、凄いな君は」

「やめろ、乾いた笑いやめろ諦めるな」

 

 心の中の真矢みきが「諦めないで!」って言ってくれてる気がする。なにを諦めるのかは知らんが。

 しかし、あいつらの目的は一体なんなのだろうか。俺の監視? やだ、だとしたら信頼なさすぎじゃない? まあそんなことはないと思うが。......無いよね?

 

「まあ、海浜総合の子と待ち合わせってなると千葉駅が妥当だからな。その辺りは、結衣が雪ノ下さんに教えたんだろう」

「だとしてもここに来る理由がわかんねぇよ」

「考えるのは後にしよう。ほら、向こうも来たみたいだぞ?」

 

 一旦雪ノ下達の方から視線を外して、元の方向に向き直ると、海浜総合高校の制服に身を包んだ女子二人がやって来た。

 折本かおりと仲町千佳だ。

 近くの時計を見てみると、気がつけば待ち合わせ時間の五分前となっている。

 

「ごめーん葉山君! お待たせしちゃった?」

「いいや、俺たちも今来たところだよ」

 

 いや結構待ったから。今来たところなの葉山だけだから。

 などと口を挟める筈もなく。葉山は女子二人とどこに行こっかーとか話している。あの、どこでもいいけど寒いからさっさと移動しない? 温度的な寒さと背後からの視線の寒さとで倍寒いから。

 

「それじゃあ、先ずは映画見に行こうか。今テレビでCMやってるやつがあっただろう?」

「あ、それある! 映画行こうよ!」

「うん、それいいよねー!」

「比企谷もそれでいいか?」

「ん? ああ、なんでもいい」

 

 こう言う場において、俺のようなボッチは意見を出さない。ただ彼らの後ろをついて歩くのみだ。メリーさんみたいに。

 歩き出した葉山たちの後ろをついて行くと同時、チラリと後ろを振り返る。

 雪乃と由比ヶ浜は、やはり俺たちに付いてくるらしい。

 雑談を交わしながら歩く彼らを後ろから眺めながら歩くこと数分。近場の映画館にて、なんか最近話題らしい映画のチケットを購入して劇場へ入った。勿論あの二人も付いてきている。

 

「あ、この映画! 見に来たかったやつだ!」

「そうなの? 確か原作の小説はそれなりに面白かったはずだけれど」

「へー、ゆきのんってこう言うのも読んでるんだね。もうちょっと難しい感じのやつ読んでるんだと思ってた。てつがくしょ? とかさ」

「あなたと言い八幡と言い、人をなんだと思ってるのかしら......」

 

 うん、楽しそうでなによりです。

 劇場内での席順は一度目と同じ。葉山が女子二人に挟まれ、俺は端っこの通路側の席へ。しかしここで誤算が。

 

「いやー、まさかこんなタイミングで見れるなんてラッキーだよ! しかもゆきのんと一緒!」

「由比ヶ浜さん、劇場内ではもう少し静かにしなさい」

「あ、ごめんねゆきのん......」

「......私も、あなたと見に来られて良かったとは思っているから」

「ゆきのーん!」

「だから、少し静かに......」

 

 通路を挟んで隣の席に、雪乃と由比ヶ浜が陣取ったことか。しかもなんかゆるゆりしてらっしゃるし。流石にここまで大胆に接近して来るとは思わなかった。精々が後ろの方から監視してるくらいだと思ってたのに。

 そしてその二人を目敏くも発見してしまうやつが俺の隣に。

 

「ねえ、比企谷の隣の子、総武の制服着てない?」

 

 折本が、二人を発見してしまった。どうやらその声は葉山にも聞こえてたようで、やつの爽やかな笑いが一瞬で乾ききった。

 

「ああ、まあ、そうだな......」

「もしかして知り合い?」

「いや、うん、どうだろうな......」

「なにそれ、ウケる。でも、あんな綺麗な人が比企谷の知り合いなわけないよね」

 

 ウケない上に知り合いどころか彼女です本当ごめんなさい。あと隣からの視線の温度が更に下がった気がした。絶対零度ってそれ以上下がらなかったんじゃないの?

 

「そろそろ始まるみたいだな」

「私凄い楽しみー」

「ねー、楽しみだよねー!」

 

 葉山の発言で雪乃の方から興味が無くなったのか、葉山を挟んだ二人がまた会話を始める。もう映画始まるって言ってんだろうが静かにしろよ。

 しかしナイスだ葉山。お陰で俺は折本の追求から逃れる事が出来た。

 やがて劇場内の光が完全に消え、映画が始まる。

 今回見るのは原作が恋愛小説のもの。並行世界を題材として、主人公がその並行世界の記憶を断片的に持ちながら、ヒロインと、並行世界でヒロインと付き合っている親友との関係で悩む話だ。

 変なところで今の俺たちと似通っていて、なんだか見ていて不思議な気分になる。

 タイムリープとか言う訳わからん現象に巻き込まれた俺たちからすると、並行世界というのも強ち否定できない。もし、もし本当にそう言うものがあったとして。分岐されるべきはどこにあるのだろう。

 バレンタインの日のあの水族館か。

 クリスマスイベントの前に本音を晒したところか。

 それとも、あの春の日、彼女とあの部室で出会ったところか。

 もしかしたら、中学の時折本に告白したところかもしれない。

 そんな『もしも』の話を考えても仕方ないのだろう。大切なのは今、俺たちがなにを考えなにを感じ、なにを成しているのかだ。

 けれど、そんな事を考えれば考えるほど、今の雪乃や由比ヶ浜との関係が、途轍もなく尊いものなのだと感じてしまう。

 本当に、これが永遠であればいいのに。

 

 

 

 

************

 

 

 

 

 映画上映中は特に何事もなく。雪乃が仕掛けて来るなんてことも無かった。流石にその辺りのマナーは守るらしい。

 映画館を出た後は女子二人の要望を聞いて、前回と同じくモールの中にあるスポーツ用品店に訪れていた。

 そして勿論付いてきている雪乃と由比ヶ浜はと言うと。

 

「ゆきのんはスキーやったことある?」

「ええ。スキーもスノボーもある程度は嗜んでいるわ。昔、家族でよく行っていたから」

「そっかー。わたしもパパとママと行ったことあるんだ〜。そうだ、今度みんなでスキー旅行行こうよ!」

「ふふ、それもいいわね」

 

 随分と楽しそうに冬の予定を立てていた。て言うかあの、そのスキー旅行って俺も連れて行かれるやつですよね? 逆に俺だけハブとかそんなオチじゃないですよね?

 聞こえてくる二人の微笑ましい会話に聞き耳を立てていると、隣からため息が聞こえてきた。

 

「......取り敢えず何事もなくここまで来ているけど、雪ノ下さんはなんのつもりなんだろうな」

「知りたきゃ本人に聞けばいいだろ」

「そんな事出来るわけがないだろ。聞きに行くなら、それは君の役目だ」

「嫌だよ、怖いし」

「間違いない」

 

 はぁ、と今度は二人揃ってため息。

 折本と仲町は楽しそうにスキー用品を見ている。別に買うつもりは無いのだろう。そうして道具を眺めて、先の予定を立てて、結局それは実行されず。ノリと勢いだけで生きてるリア充どもなんて所詮はそんなもんだろう。

 でもそのちょっと離れたところでスキー用品を見ている総武の制服着た子はやたらと真剣な目付きなんだよねー。あいつマジで買うつもりじゃねぇだろうな......。

 

「あれ、止めた方がよく無いか?」

「止めたいのは山々だが、ここで声を掛けるわけにもいかんだろ」

「まあ、そうだな」

 

 どうやら葉山も雪乃と由比ヶ浜がの方を見ていたらしい。スキー用品が具体的にどれほどの値段なのかは分からないが、それなりの額はするだろう。そんな買い物をそう易々とさせるわけにも行かないのだが、まあ、由比ヶ浜が止めてくれることを願おう。

 

「結局、本当に人を好きになったことが無いんだろうな、だったか」

 

 唐突に、葉山がそんな事を言ってきた。

 確か、前回この場でこいつに言われた言葉だ。

 

「でも今はそんなことは無くて、君には雪ノ下さんがいる」

「......お前はどうなんだよ」

 

 問うと、葉山は驚いたように目を見開いて、こちらを見てきた。

 

「意外だな。君がそんな事を聞いてくるなんて」

「修学旅行の延長だとでも思ってくれたらいい。俺だって別に聞きたくはないが、アフターケアまでしっかりやらないと、部長に怒られるかもしれんからな」

「ふっ、そうか」

 

 気にならないと言ったら嘘にはなる。

 あの葉山隼人が。このやり直しの世界でなにを見つけて、なにを成そうとしているのか。少しでも関与してしまった身としては、その結末を見届けてみたいと思っているのかもしれない。

 

「そうだな......。まだ分からないって言うのが本音だ。君と違って、唯一の存在と言うのが俺には無かったから。優美子の好意も、戸部の信頼も素直に嬉しいよ。それに応えられる自信もある」

「それでも、まだ怖いか?」

「......どうだろうな」

「悩むのは勝手だが、優柔不断も大概にしとけよ。じゃないと、いつの間にか外堀埋められて逃げられなくなる。ソースは俺だ」

「ははっ、それこそ怖いな」

 

 これで話は終わりだと言わんばかりに、葉山は立ち上がって折本たちに話しかけに行った。

 葉山隼人が比企谷八幡と決定的に違う点は、その立ち位置だろう。彼はグループの中心であり、そしてそのグループの中には今の関係を壊したくないと願う者がいる。葉山が自分のことよりもグループのことを優先する限り、あいつが誰か一人を選ぶことはない。

 ただ、明らかに前までの葉山と違うのは傍目から見ても分かる。その姿を見て、あのメガネの少女は、変化を望まぬ嘘つきな彼女は、なにを思うのだろうか。

 まあ、俺が詮索しても意味のないことだ。確信はないけれど、今の葉山なら間違えることはないだろう。

 

 

 

 

************

 

 

 

 

 やはりスポーツ用品店でも雪乃は何も仕掛けてくることは無く、そしてモール内で前回のように一色と戸部に出会うこともなく、引き続き三人の後ろにひっつく形で外に出た。

 もしかしたら一色っぽい影を見たかもしれないが気のせいだ。一瞬目があったと思ったら俺の背後を見て固まった後にそそくさと戸部を引っ張って退散したのも気のせい。

 因みに雪乃はマジでスキー用品を買おうとして由比ヶ浜に止められてました。ナイス由比ヶ浜。そこで買ってしまえばマジでスキー旅行確定しちゃうからな。まあどの道行くことになるとは思うんですけどね。悲しいなぁ......。

 その雪乃と由比ヶ浜だが、さっきから姿が見えないのだ。いい加減諦めてくれたのかとホッとしているのだが、前回と全く同じなら、この後に大怪獣はるのんとのエンカウントがある。それだけで気が萎えてくる。

 

「そろそろ、どこかで夕飯でも食べようか」

「あ、それある! どこに行こっかー」

「ここら辺いいお店あったっけー?」

 

 この後の展開を想像して憂鬱になっていると、どうやら夕飯まで食べて行くことになったらしい。それも前回と同じなので、覚悟はしていたが。

 

「比企谷、どっかいい店知らない?」

 

 三人でどこに行こうかと話していたはずなのに、突然折本から話を振られた。君たちだけで決めちゃってよ。俺、ここら辺で知ってる最高の店とか一箇所しか知らないよ?

 

「ならサイゼ」

「そこの店でどうかな?」

「あ、いいね!」

「流石葉山君!」

 

 サイゼを勧めようとしたら葉山が俺の言葉に被せて提案しやがった。そして結局その店に行くことに。うん、まあ分かってたけどね。どうせちゃんと言えたところでバカにされるだけだし。

 

「君はバカなのか......」

 

 女子二人を前に歩かせ、葉山は小声で呆れたように言ってくる。

 

「うるせぇ、いいだろサイゼ。美味いし安いし」

「雪ノ下さんとのデートでもそんなところに行ってるわけじゃないだろうな?」

「......」

「おい」

 

 流石にちゃんとしたデートはまだしたことないなんて言えなかった。いや、お互いの家とかなら何回か行ったことあるんですよ? 順番逆とか言わないでね。

 

「て言うかお前、あの店って前と同じとこじゃねぇかよ」

「何か問題でも?」

「......雪ノ下さんがいるだろ」

「......すまない」

「いや、いい。その代わり、何かあったらお前も道連れだ」

「ああ......」

 

 一応ダブルデートと銘打っているはずなのに、どうして男二人して憂鬱な気分にならないといけないのか。

 憂鬱な葉山ってのもまた珍しいが、それに触れるほど俺も元気が残ってない。寧ろSAN値が残ってないまである。

 店に入り、店員に案内されるがままに二階へ。一応店内を見渡したのだが......。

 

「へぇ〜、スキー旅行かー。いいじゃんいいじゃん。家族で最後に行ったのなんていつだろー」

「小学生の頃じゃ無かったかしら? 確か葉山君のところも何度か一緒に行ってたわね」

「やっぱり陽乃さんってスキーも上手なんですか?」

「そりゃ勿論。雪乃ちゃんよりも上手いよ?」

「あら、それはどうかしら。あの頃は私の方が先に上級者向けのコースに行っていたと思うのだけれど」

「上級者向けのコースに行っては怖くて中々滑り出せなかったもんねー」

「ちょっと姉さん、過去を捏造するのは辞めて頂戴」

「ガハマちゃんも雪乃ちゃんに教えてもらったらいいよ。私よりも上手いらしいからさ」

「はい! ゆきのんとスキー行くの今から凄い楽しみなんです!」

「ちょっと、聞いてるの? ねえ」

 

 なんかいた。

 え、ちょっとマジで? なんで? なんで雪乃と由比ヶ浜だけじゃなくて陽乃さんまでいるの? 聞いてないんだけど。

 

「葉山君? 座らないの?」

「あ、ああ。そうだね」

 

 まさかの光景に流石の葉山君も絶句していたらしい。女子二人は既に席に座っており、俺と葉山もそそくさと座った。

 そして俺たちに気がつくあの三人。

 陽乃さんは面白いものを見るように笑っており、由比ヶ浜は相変わらず苦笑い。そして雪乃は、綺麗な笑顔を形作っているはずなのに、何故か目だけが笑っていなかった。

 待って怖い。それ怖いから。俺まだなにも粗相は働いてないですよ?

 

「比企谷なにキョドッてんの? ウケる」

「いや、ウケないから......」

 

 それにキョドッてるのは葉山も同じですよ? やはりイケメンがやるのと根暗ぼっちがやるのとでは違うと言うのか。流石イケメン葉山君。死ねばいいのに。

 パスタやらなんやらと、頼んだ料理が運ばれてきて漸く夕飯にありつける。その途中も女子二人は姦しく葉山に話を振り、俺は一人黙々とパスタを食っていた。

 このままトイレに行く振りしてフェードアウトしたいのだが、そんなことが許されるはずもなく。飯を食い終わった彼女らの話は、なぜかせ俺の話へと移行する。

 

「そう言えば比企谷、映画見える時ヤバかったよ。もうビックリし過ぎ!」

「あー、それ私も思った。ふふっ、本当おかしかったよねー」

「ふっ、あんまり言ったら可哀想だって、ふふっ」

 

 ど、どうやら俺の道化っぷりは楽しんで貰えたようですね......。

 向こうから「ゆきのんストップ!」とか「雪乃ちゃんちょっと我慢して!」とか聞こえてくるけど気のせい。今のどこに怒る要素があったの?

 

「いやーほんと、比企谷そういう所は中学の時から変わってないよねー」

「あ、そう言えばかおり、中学の時にヒキガヤ君に告白されたんだっけ?」

「そうそう! それまで全然話したことも無かったのに急に告られてさー。もうマジでビックリしたって言うの?」

 

 ピシッと、空気が固まった気がした。

 いや、俺が今いるこの場はなにも変わってない。ただ、別の場所、ここから少し離れた席で。つまり、雪乃たちが座っている辺りの空気が、凍りついた。

 その凍てついた空気はその場に留まることはなく、やがて俺たちが座っている席まで侵食し。

 

「あら、奇遇ね八幡」

 

 氷の女王は、満を持してこの場に降臨した。

 


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