機動戦士ガンダムSEED DESTINY(エクステンデッドハッピーエンド)   作:筆先文十郎

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一年以上ほったらかしにして忘れていたものです。
出来がいいとは思えないのですが、楽しんで頂ければ幸いです。


ハイネは背中がうずくようです

 ザフトが連合に破れるとプラントは必要最低限の軍事力を除き多くの者が除隊することとなった。その中にはパイロットメンバーの良き兄貴分としてシンやアスランへと接したハイネ・ヴェステンフルスの姿もあった。

 ザフトを除隊したハイネはその後ミュージシャンに転向するや否や歌手、作詞家、俳優、声優、タレント、ラジオパーソナリティ、実業家など隠れた才能を発揮。アニメやドラマ、はたまた消臭剤のCMに出るなど幅広い活躍をしていた。

 

 

 

『みんな! 元気にしてたか~い?』

 数万人が詰め掛けたコンサート会場にオレンジのグフイグナイテッドが左右に非武装のザクファントムを連れてゆっくりと会場に降り立つ。

 

 きゃああああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!!! 

 

 その光景に会場のファンがオレンジのグフに向けて黄色い声援を向ける。

 オレンジのグフのコックピットが開く。そこにはステージ衣装に身を包んだハイネがマイクを片手にゆっくりとステージに降り立つ。

 ハイネが何かする度に、万を超す観客から黄色い声援が爆音のように轟く。

 ハイネのパフォーマンスにこの日もライブは大成功。ハイネが姿を消した後もファンの熱気は静まることはなかった。

 そんな光景をオレンジのグフをエスコートしていたザクのパイロット、シン・アスカは「こんな男と一緒の部隊にいたんだよな」とはにかみながら肌で感じていた。

 

 

 

「よ、ありがとな。シン」

 ライブが終わるとハイネはザクファントムに乗っていたシンに挨拶してきた。

「あ、いや……俺はたいしたことしてないよ」

 照れくさそうに笑うシンにハイネは「あ、そうだ」と何かを思い出す。

「シン。お前結婚してたんだって? 俺とお前との仲だろ? なんで結婚式呼んでくれなかったんだ?」

「あ、いや……だってハイネ……ザフト辞めて色々忙しそうにしていただろ……だから、連絡したら迷惑かなって思って……」

 しどろもどろになるシンにハイネは「はぁ~」と重いため息をつく。

「そりゃあ確かに俺は忙しかったさ。でも俺とお前は一緒にいた期間は短かったとは戦友だろ? 声くらいかけろって」

「ご、──」

 ごめんハイネ。そう言おうとしたシンにハイネはとんでもないことを言い出した。

「よし決めた。今日の仕事はこれで終わりだし明日はオフ。だから今日はお前の家に遊びに行かせてもらうぞ!」

「え、ちょっ──」

「大スターの俺が遊びに来てやるって言ってんだ。拒否権はないからな」

 イタズラっぽく笑うハイネに「はぁ、わかったよ」と困った顔をするシン。しかし『自分とは違う世界に行ってしまった』と思っていた仲間が変わっていないことに自然と笑みがこぼれた。そして家にいる妻に「友達が遊びにくるから」と連絡を入れた。

 その友達(・・)が地球やプラントで知らぬ者の方が少ない大スター、ハイネ・ヴェステンフルスだということを隠して。

 

 

 数時間後。

「あなた、お帰りなさ──」

 シンが帰ってきたと思ったステラはドアを開けて、固まった。そこには

「ハイネ・ヴェステンフルスです。始めまして」

 愛する主人の隣に笑顔で手を振るハイネが立っていた。

「え、ちょっと……ええっ!?」

 テレビや新聞、インターネットで取り上げられない日はない大スターの登場にステラは目をパチクリさせるしかなかった。

「え、これ……夢?」

 突然沸き起こる疑問、その疑問は

「あ、ハイネだ!」

 息子がハイネに飛び込む姿で瓦解した。

 

 

 

「ん?」

「急いで準備しますので」と案内されたハイネは子どもと遊びながら背中に違和感を感じていた。

「ごめんなさい、たいした物はないのですけど」

「いえいえ美味しいですよ」

(ん、んっ?)

 申し訳なさそうに持ってきたステラのサンドイッチを美味しく頬張るハイネはまたしても背中の違和感に小さく首を傾げる。まるで背後からコックピットごと機体を両断されたような感覚。

 そして。

「ワンワン!」

 つい先程まで寝ていたのか。二階から黒い大きな犬が降りてきてハイネ目掛けてジャンプ。顔をペロペロと舐め始めた。

 突然のことに動揺するハイネだったがすぐに我に返り「おぉ、よしよし!」と黒い犬を撫でる。

「おい!やめろ、ガイア!!」

じゃれる黒い犬をシンが叱る。

「が、ガイア!?」

 その名前を聞いた瞬間、ハイネの体は凍りついたかのように固まった。

「ガイア!大人しくしていろ!!」

 シンは部屋の隅のゲージに犬を押し込む。ハイネにじゃれつきたい犬は「ク~ン……」と可哀想な鳴き声と共にハイネを見る。

 いつものハイネなら「気にするなよ、シン」と言ってガイアと遊んでいただろう。しかし今の彼にはガイアは恐怖にも似た違和感でしかなかった。

 その後ステラや黒い犬のガイアを見るたびに感じる背中の違和感にハイネは首を傾げた。

「何だったんだ?」

 シン・アスカ(元仲間)の美人妻、ステラ・アスカを見る度に背中がうずく原因が何なのか分からず、ハイネはアスカ夫婦に見送られながらアスカ邸を後にした。

 

 

 

 

 

 




ハイネの声優の西川さん。この人って何者なんだろう?平賀源内かレオナルド・ダ・ヴィンチ、十返舎一九の生まれ代わりじゃないの?何足のわらじを履いているんだ?(ウィキペディアを見ながら)

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