エンプレスの話を書いてて思ったんだけど、一人の魔剣に絞った方が書きやすいね(当然)
ので(順接) 短編で、魔剣個人に絞った話を書くかも。この話とは関係なく。
つまり更新速度が今以上に(殴
拝啓
魔界ギルドから徒歩数十分の位置にある世界図書館に向けて手紙を書くというのも可笑しな話だけれど、僕も僕で、そしてロルリアンレットも忙しいと思うから、暇なときにでも返事を書けるように、こういう手段で連絡させて貰います。···あ、返事は頂戴ね? 破り捨てたりしないでね?
これを書いているのは、魔界ギルドに来てから一週間ほどが過ぎたころ。なのにもう何度となくブレイズが発動して、つまりは致命傷を負っています。魔剣たちにもあまり心配は掛けられないし、早く強くなりたいです。
今回は、その魔剣たちのことで質問があって手紙を書きました。先日、暴走魔剣を討伐するときに、何人かが『極状態』なる姿に変わりました。ロルリアンレットのところで教わらなかったことなので、出来れば一度戻って、或いは手紙ででも、詳しく教えてくれるとありがたいです。
敬具
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手紙を書き終え、ペンを置く。一息付こうと窓を開け──
「マスター、駄目!!」
グラムの叫びも間に合わず、開いた窓から凄まじい暴風が入り、部屋を蹂躙していく。手紙は散乱し、インク壺は倒れ、ベッドシーツはめくれあがり、枯れ葉だのバケツだのが人でも殺せそうな勢いで入ってくる。
「やば。」
「マイマスター···!!」
窓を閉めようとした瞬間に飛来した看板が、目の前で燃え朽ちる。凄まじい燃焼速度だが、Sランクの炎属性魔剣レヴァンテインによる攻撃と考えれば、まだまだなのかもしれない。
「なーんなのかね、この風は。」
「微妙に魔力が混じってるわね。」
「そうですね···主様、外出はお控えに···って、主様!?」
はい? なんです?
「···何処へ行くのかしら、マスター?」
「いや、そろそろ朝ごはん食べて掲示板見に行かなきゃ。すごい風だけど、だからこそ仕事も増えるだろうし。」
これは建前。
「マスター、本音は?」
「新しい魔剣を製造するついでに掲示板を見ようかと。」
···こっちが本音だ。
ドアを半開きにしたまま会話するのもアレなので、顕現している──ジャンケンで勝った──グラムと雪月花を置いて部屋を出る。慌てたように"剣の領域"へ二人が戻ってくる感覚を確かめてから歩を進める。朝ごはんを食べている間、酒場の雨戸は不快な音を立て続けていた。
──アホか。と、そう言いたくなるほど信念に忠実な魔界ギルドの扉は、今日も今日とて全開だ。耐熱、耐冷気、耐風、耐光、耐闇。全属性の守りを展開するBランク級の魔剣を稼働させているという噂は本当らしく、中は凪のように平穏だった。
「風の音までは防いでくれないのか。今度は防音能力持ちを稼働させるべきだね。」
などと、それに係る一切の費用に頭を回さない子供が申しており、魔界ギルドは遺憾の意を云々。
「さて、今日のお仕事は、っと。お?」
掲示板の僕の欄に、見慣れない色の封筒が貼られていた。
「なんだろ···あ、公文書だ。」
格式高い──と、思われる封筒に、魔界ギルドの印が捺されている。封蝋を剥がすのがなんだか勿体無い気がして、わざわざカウンターに行ってペーパーナイフを貸してもらった。
「えーっと?」
【お知らせ】
ランクが40になりました!!
とだけ書かれた紙が入っていた。
「い、いぇーい···」
なんでいきなり? この前入ったばかりの新参で、ランクは1のはずなんだけど···プラス39ぶんはどこから?
マビノギオン戦くらいしか思い当たる節がないが、クエスト一つでそこまで? うーん、怪しい。何が怪しいって、こういう怪しいことがあるということ自体が、雲行きの怪しさを象徴しているようで怪しい。つまり怪しい(語彙)
『絶望的って言われる所以ですねー。』
「ほっといてよ、ジャガーノート···」
ふむ、ここで「なんですか、これ」と、モモさんに聞きに行くのは簡単だ。だが、そうなると、まぁおそらく、何かしらのトラブルが襲い来る。フラグがビンビンに立っているいからだ。怪しい封筒に、怪しい天気。どうせアレですよ。「この異常気象の原因の魔剣を討伐するクエストの参加資格を得させるため、無理やりランクを30以上にした。余剰の10ランクは特別昇進の先払いだ!!」みたいなアレですよ。
『あら、じゃあマスター。その10ランクは返上してきなさい?』
死なないから?
『死なせないから、ですよ。マスターさん。』
──いつになく真剣な声音で、ジャガーノートが言う。軽い雰囲気は一気に飛び去り、お説教ムードどころかお通夜ムードに突入しそうだった。が、折角の復活祭だ。もっと楽しもうじゃないか!! ほら、空だってあんなに楽しそうだ!!
『別に、マスターの復帰を祝って、風が吹いてる訳じゃない···』
『と言うか、今日は主様の復活祭だったのですか···?』
「いや、別にそんな神の子みたいなアレはない。」
ついでに言うと、どうせ祝うならもっと穏やかで、魔剣たちとピクニックできるような天候にしてほしい。
『今日はテンションがコロコロ変わりますねー、マスターさん。躁なんですかー?』
「そうなんです!!」
──こぉん!! という、いっそ小気味良い音を鳴らして、頭にタライが降ってきた。
「えぇ···?」
沈黙した魔剣たちをよそに、頭を撫で擦りながら上を見る。
天井にぽっかりと空いた穴から、銀髪の少女がこちらを覗き込んでいた。
「今のは無いですよー、せんぱーい。」
「す、すいません···それはそれとして、危ないから降りてきなさい。」
「はーい。」
先輩、と呼ばれる心当たりはないが、新しく入った魔剣使いの人だろうか。或いは大穴で、世界図書館の職員になった人とか?
小首を傾げていると、「えい」という可愛らしい声が聞こえてきた。
「ん?」
白。
──失礼。きちんと描写しよう。
天井に空いた大穴は、屋根の板が吹き飛んだのではなく、何かがぶつかって出来た穴だ。だが、それによって傷付いたのは、あくまでギルドの建物の『ガワ』だけ。防護術式はきちんと起動しているから、たとえ壁が無くなろうが、暴風は入ってこない。
同じ理屈で、誰にも気付かれずに天井に空いていた穴から、『危ないから降りろ』という僕の忠告を素直に聞いた少女は、降りてきた。というか、落ちてきた。もっと正確に言えば──飛び降りてきた。
ふわり、と、一対の、純白の翼を広げて──舞い降りてきたのだ。
「魔剣、なのか···?」
見たことのない──まぁ、見たことがある魔剣の方が少ないが──魔剣だった。だが、とても可憐な少女だと思った。
「君は──」
「わたしはフラベルム。こんにちは、センパイ。そして──」
『マイマスター、避けて!!』
──さようなら
戦闘描写を全部「キンキンキンキンキン!!」で終わらせるっていう例のアレ、やってみたさある。