剣統べる魔王の物語   作:征嵐

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 アリス様とクリスマスパーティーか···ロールお嬢も一緒に···。

 貢ぐぜー超貢ぐぜー。


第7話

 グラムと肩を並べて机に突っ伏し、至福の一時を過ごした僕を待っていたのは、その幸福を倍するだけの地獄だった。具体的に言えば、宣言通りテストが行われたのに、それを解くだけの知識がない、つまりは、ただ淡々とロルリアンレットから出される問題に「分かりません」と答えるだけの時間が流れていた。

 

 「まぁ読み終わるとは思っていなかったけど···貴方、半分も読んでいないわね?」

 「うん···。」

 

 なんなら四分の一も読んでないけど。

 

 「はぁ···。もうテストはいいわ。今日の講義に行きましょう。」

 

 そう言ってロルリアンレットは、銀色の埴輪みたいな物を持ってきた──もとい、マリーさんに持ってこさせた。

 

 「これが何か、分かるかしら?」

 「見たことぐらいならあるけど···魔剣製造機、ブキダスでしょ?」

 「そう。古代の遺物だから、仕組みについては全くのブラックボックスなのだけれど···とにかく、今回はコレについて説明するわね。」

 

 説明、とは言ったものの、仕組みがブラックボックスである以上は殆ど解説らしい解説はなく、むしろ使い方や性質についてを叩き込まれた。中でも気になったのが──

 

 「失踪?」

 「えぇ、失踪よ。ブキダスはね、時折失踪しては、新しい魔剣や魔核変異した魔剣を産み出せるようになって帰ってくるの。武者修行なんじゃないかって言う学者や魔剣使いも居るぐらい、謎なんだけどね。」

 

 武者修行···。そのセリフを聞いたとき、僕の脳内には滝に打たれて瞑想する白銀の埴輪が映っていた。

 

 「···。」

 

 必死に笑いを噛み殺していると、ロルリアンレットがテーブルの下から大きめの革袋を取り出した。ゴトリ、と、硬質な音を立ててテーブルに置かれたそれの口からは、虹色の輝きが漏れ出ている。

 

 「魔石ダイヤよ。今回は私が提供してあげるから、取り敢えず魔剣を作ってみなさい。」

 「うん。···うん?」

 

 魔剣を? 作る? 僕が? なんで?

 

 「そこの魔剣一本じゃ、どうしても攻撃が単調になってしまうでしょう?」

 「そんなことないと思うけど···。」

 

 チラリ、とグラムを盗み見れば、また本棚から本を選び出しては読み耽っているようで、目線は合わなかった。

 

 「まぁ、グラムの負担が減るのは良いことだよね。」

 「そういう目的もあって、大体の魔剣使いは二本の魔剣を使うわね。メイン──極める一本と、補助の一本。センスがあれば、追加で補助をもう一本持てるけれど···それでも、三本が限界よ。人間である以上、それは絶対。」

 

 ロルリアンレットは、魔力の総量とか魂の格が関係して云々、という説明をしたが、うん。全く分からなかった。

 

 「前情報はこのくらいにして···取り敢えず魔剣を二本、作ってみなさい。」

 「うん···二本?」

 

 なんでいきなり人間の限界値に合わせたんだ。

 

 「良いから。ほら。」

 「分かったよ···。」

 

 本気でヤバいならグラムが止めに入るだろうし、大丈夫だろう。

 

 ダイヤを埴輪上部からドサドサっと投入し、レバー状になっている片腕をぐるぐると回す。瞬間。

 

 ボッッッ!! という()()()と共に、ブキダスさんが飛んで行った。

 

 「···え?」

 

 なんで? なんでロケットが付いてるの? そんな事を考えながら、軽やかに舞い上がったブキダスを追って視線を上げ──色素の薄い、グレーの澄んだ目と視線が合った。

 

 「くぁwせdrftgyふじこlp!?」

 

 目と鼻の先にあった、愉しげな笑顔から距離を取るように飛び退る。距離が開いたことで、その少女の全体像が目に入るようになる。色白の肌に、対照的な黒髪。上体を白いナース服と黒いカーディガンで覆っている···何故か、下半身には何も履いていないように見える。スカート丈がやたら短いのか、上の服の裾だけでガードされて──いや、完全にガードされている。肝心な部分は見えそうで見えない。それはそれでいい。問題はその闇から伸びる眩しいまでに白く、細いながらに肉感的で蠱惑的な大腿だ。見るからに柔らかくてすべすべなんだけど、顔立ちが幼くて飛び込むには流石に禁忌を覚えるのがより堪らな──

 

 「どうしたんですかー、マスターさーん。女の子のふとももについて、3行くらい描写したような顔をしていますよー?」

 「そんな具体的な顔してたかな···?」

 「そんな変態さんに朗報なんですがー、実はわたしー、履いてないんですー。」

 「···。」

 「···。」

 

 しゅばっっ と、そんな擬音が付くレベルでしゃがみ込んだというのに、ナースな彼女はそれより早く反応して服の裾を押さえ込んでしまった。

 

 「はぁ···救いようがない変態マスターさんですねー。」

 「ご、ごめんなさい···で、えっと、君は?」

 「私ですかー? 私はジャガーノート。破壊によって救済を与える戦斧。」

 

 よろしくお願いしますねー、変態マスターさーん。と、間延びした棒読みで言った彼女は、そのまま軽やかに本を漁りに行ってしまった。

 

 「えぇ···。」

 「···次の魔剣を召喚しなさい。」

 

 いつの間にかさっきと同じ位置に戻っていたブキダスに、またダイヤを入れてぐるぐると腕を回す。今度は回し終えた瞬間に顔を庇い、噴射熱から顔を守り──

 

 ゴゴゴ···と、そんな重厚な音を立てて、ブキダスが縦に二分割された。

 

 「飛ばないのかよなんなんだよ···。」

 

 真っ二つに裂けたブキダスさんの断面を拝もうと覗き込むと、そのブラックボックスの中身を見るより先に、背中をくいくいと引かれた。

 

 「ん? 何?」

 

 グラムかジャガーノートだろう、と、そう思っていたが、違った。

 

 そこにいたのは、褐色の肌を純白のドレスで覆い、両腕に水銀じみた液体をウェディンググローブのように纏った少女だった。

 

 「貴方が···私を呼び起こしたの?」

 「え? えっと···君は?」

 「私に名前なんてない。武器に名前が必要とも思わない。私はただ、貴方の意思に従うだけ···。」

 

 静かにそう言った彼女に、どことなく悲哀を覚える。どこから沸いた感情かも分からないそれに従って、僕は。

 

 「いや、でも、君にも名前があった方が色々と良いじゃないか。えっと···そうだな···ぎんいろ、とか、どうかな?」

 「ぎんいろ? それが、私の名前?」

 「うん。そう。えっと、よろしくね、ぎんいろ。」

 

 こくり、と、頷いた彼女も、そのまま本棚に吸い寄せられて行く──かと思いきや、彼女はそのまま僕の隣に座った。

 

 「魔剣使い擬き···お前···。」

 「な、なに···?」

 

 ブキダスさんを壊した事を怒っているのかと思い、真っ二つになったソレを一瞥し──あれ? 元通りになってる。待ってなにそれこわい。

 

 「絶望的なまでにネーミングセンスがないわね。私はこれでも『司書王』。知識量と語彙にはそれなりに自信があったのだけれど···それでも、『絶望的にネーミングセンスがない』なんて陳腐な言葉しか出てこないレベルで絶望的ね。」

 「すいませんね!! 絶望的で!!」




 ダンまちの方も書かなきゃなぁ···。
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