朝、俺は鳥のさえずりと共に瞼が開いた。そしてその場で腕を大きく上にあげ、背伸びをする。
「ふぐっ?!」
俺の背中に尋常じゃない痛みと、骨がずれた感覚に陥った。そのまま悶絶していると、部屋から寝巻きのアリスが姿を現した。
「…………何やってるのよ?」
「せ、背中つった………あがぁ……」
ピクピクと体を震わせ、痛みが引くのを待つ。数分間それが続いたが、いつの間にかに消え失せていて、俺は体を起こしていた。
「今日はどうするの?あなた、服が無いのよね」
「え、昨日の服は?」
「見ていないの?ボロボロよ?」
そう言って、洗濯し終わったのか、真っ白なワイシャツがあったのだが、ただ綺麗になっただけで、脇腹や腹元が裂けている。服には見えないほど穴が空いていた。
「ほんとだ、買いに行こうか、てか、どこに店があるの?」
見た感じ、ここ周辺は森だ。ここも森の中にある小さな一軒家だ。食材などはどこから入手するのだろうか。
「人里よ」
「え、半日もかけるのか?」
俺はそこで驚きの表情を浮かべたが、すぐその後、アリスが逆に驚いていた。
「まさか……あのこと本当に信じてたの?」
「あ、半日かかるのかと……」
「嘘に決まってるじゃない」
アリスは吹き出すように笑う。俺はそれを見ながら、不貞腐れる仕草をした。
「ごめんなさいね。実はここから10分よ」
「おいぃ〜」
俺は体から力が抜け、その場でソファに座り込む。それを見たアリスは未だにクスクスと笑っていた。
「じゃあ行きましょう」
「お、おう」
疲れた表情をしながらも、俺はアリスの後をついていく。行く途中で朝食を取り、俺はおにぎりを食べながら歩く。
「なぁ、なんで外で朝飯食べるんだ?」
「食材がないからよ。今から買いに行くでしょう?」
「あぁ、なるほど……」
おにぎりを最後まで食べ尽くし、俺は大きな息を吐きながら、お腹をポンポンと叩いて満腹の意を示した。それを見てアリスは
「あなた。体の割には結構食べるのね」
「まぁ、お腹は空くしな」
「……そんな問題かしら?」
難しい顔をしながらも、アリスはそれに納得した。そのまま道沿いに歩いていると、木造の家が何個もならぶ村のようなものが見えてきた。あれが人里というものだろう。
「さて、最初に服屋にでも行こうかしら」
「おう、助かる」
「お金は?」
「ない」
「じゃあ私が払わなきゃいけないのね……」
男が女に奢ってもらうなんて情けないことこの上ないが、今の状況下では全く仕方の無いもの。俺がアリスに払わせたんじゃなくて、払わなければいけないことになってるだけだからね。「原田呉服店」という呉服店に入ると、そこは独特の匂いと服の種類があった。俺はそれに釘付けになり、マジマジと見てしまう。
「決まったら教えてね。私は女物を見てくるわ」
「おう、さんきゅーな」
そう言って、アリスは女物の服の方へと消えていった。俺はアリスから目を離し、いい服を探していく。
「どれもいいんだけどなぁ……あ、これ」
白の黒のTシャツに白く薄い上着のパーカー。なんて言うのだろうか、服関係にはかなり疎い俺はこれをなんて言えばいいのか分からなかった。なかなかの薄い生地のパーカーで、明らかに冬に過ごすものではなく、オシャレのためのものだろう。下は動きやすいように大きめのデニム。肌に密着するものではなく、大きめのもの。俺はそれに決定し、アリスを呼ぶ。
「アリス、決まったよ」
「ん、分かったわ」
アリスは見ていた服を戻し、レジへと向かう。購入した後、俺は試着室で服を着た。
「へぇ、なかなか洒落た服ね。似合ってるには似合ってるわよ」
「なんだそれ……まぁ、普通な感じだけど」
そう言って、俺は靴を履き、呉服店を後にした。
「さて、依澄。晩御飯の材料と、あともう一つ今日は用事があるのよ?」
「?そうなのか?」
「ええ、それにも付き合ってちょうだい」
「おう、先にどっち行くんだ?」
「先にもう一つの用事の方に行きましょう。ついてきて」
俺はアリスに言われるがまま、後をついて行った。人里はいかにも和で、とてものどかで過ごしやすそうな印象がもてた。
そして、アリスがついた先は他の家と同じような建物。「寺子屋」と大きな看板で示されている。
「寺子屋……?もしかして学校か?」
「ガッコウ?まぁ、勉学を教えるところね」
「やっぱり……聞いたことはあるんだよな……」
日本史で習った気がする。確か……吉田松陰だっけか?
「で、ここで何するんだ?」
「まぁ、待ってなさい。慧音ー!」
すると目の前の扉がガラガラと開けられる。そこから出てきたのは白と青のロングスカート、頭には小さな教師帽子を被っていた。
「お、アリスじゃないか。んで、そちらは……?」
「あ、アリスの家で居候しています。科宮 依澄と言います」
「そうか、宜しくな依澄」
そう言って、慧音さんとやらは右手を差し出す。俺は慌てて右手を出し、慧音さんの手に重ねる。
「さて、アリス。今日はどうしたんだ?」
「今度の人形劇、どこでやるのか聞きたくて」
「ああ、そう言えば肝心のアリスに伝えていなったな。川沿いの原田呉服店のそばだ」
原田呉服店は俺が買った呉服店の名のことだ。俺は少しだけ目を見開く。
「あら、そこね。分かったわ。ありがとう慧音」
「ああ、お安い御用だ。じゃあ人形劇。頼むよ」
そう言って、慧音さんは寺子屋の建物内に姿を消した。それを見送った後、アリスはくるりと身を翻した。
「さて、依澄、昼ごはんと晩ごはんの材料買うわよ」
「お、おう、あれだけでいいのかよ?」
「慧音との話?聞きたかったのそれだけだからいいわよ」
端的にアリスはそれだけ言って、八百屋で色々な食材を買ってきていた。俺は案の定、荷物持ちになっていて、重量もそれなりにあったので、少しだけ腕が張っていた。
「あら、力ないわね。依澄」
「う、うるせぇなぁ……力はないんだよ……」
俺は刀を持つのにそこまで力は入れていない、あの重さを軽々と振り回すには持つ"技術"が必要になってくるのだ。
なので、筋トレなどあまりしてこなかった俺にとってはこの袋はただの重りでしかなかった。
「それにしても体も細いわよ。もっと食べなさいよ」
「わ、分かってるよ……一々言われなくても………」
汗を流し、顔を顰めながらもアリスの反応にきちっと受け答えをした。
「そもそも、アリスだって細いーーーーー」
俺はアリスの方に視線を向けた後、ある一人の女性が目に入った。
「どうしたのよ?」
「い、いや……え?」
そこに通りかかったのは艶のある黒髪の女性。誰が見ても見惚れる美しさを持っていた。しかし、俺はそいつに見覚えを感じていた。
「ま、舞雪!」
俺はいつの間にかその女性に向かって走っていた。
以前から予定していました、東方想幻華のリメイク版。
そろそろ執筆しようかと思っています。
最初レミリア編。
主人公は椎名翔ですが、能力、家族関係。全て丸ごと変えるつもりですので、よろしくお願いします。
次のヒロインだーれだ
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妖夢
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さとり
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霊夢
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諏訪子
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萃香