ここからペース上げます。
他のも執筆中ですのでお待ちください
私の目を日光が刺激した。昨日のような雷はもうどこかへ行ってしまい。別世界のように青空が広がっていた。腰を曲げて上半身を上げる。眠い目を擦りながら辺りを見る。
「おはよう、アリス」
「おはよ、依澄」
依澄はもう目が覚めており、いつもの服に着替えていた。
まだ頭が回っていなかった私は依澄に挨拶をした後、少しボーッとしてしまった。
………すると、昨日のことが鮮明に私の頭の中で繰り返された。その瞬間、ボンッと一瞬で私の顔が熱くなっていた。
「〜〜〜〜〜っ!」
「お、おい、アリス?」
「ば、バカぁ!」
「はぁ!?」
あまりにも唐突のことで私は思わず枕を依澄に向かって投げつけてしまった。
「な、なんだよっ?!」
「うううう……」
顔を手で塞ぎ、依澄に顔が見られないようにする。まさか、私がほかの人にあそこまで甘えることがあるとは、思いもしなかったからだ。
「………………とりあえず、今日は舞雪の居場所を探そう。そこに師匠もいるかもしれない」
「……そうね、でも、舞雪さんの手紙には、『お父さんは何かに取り憑かれているかのよう』って言っていたわよね?」
私は前に依澄宛に届いた舞雪さんからの手紙の内容を思い出しながら話した。依澄は顎に手をやりながら。
「そういえば………でも、取り憑かれてるのなら、今頃問題になったりしないのか?」
「分からないわね。取り憑くと言っても様々なものがあるわ。怨霊、悪霊。時には善の霊が憑いて、虐待を続けていた父が優しくなった。なんて事例もあったわ」
「師匠が取り憑かれたのは前者だよな」
「そうね」
すると依澄は踵を返し、リビングの方に向かった。そして依澄の愛刀「桜成」を握った。
「俺はもう聞き込みに行く。アリスは準備があるだろ?後で合流しよう」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。私も行くわ」
私がそう反論しようとすると、依澄は苦笑いをしながら、少し遠慮気味に口を開いた。
「………その寝癖でか?それに、寝巻きがズレてる。見えるぞ」
「ふぇ?」
顔を逸らした依澄が指を指す方向を向く。すると、自分の胸元が見事に空いていたのだ。慌てて服で隠し、キッと依澄を睨む。
「ちょ、待てよ!今のは不可抗力だろ!?」
「……はぁ、分かってるわ。じゃあ準備してから行くから、先に行ってて」
「おう」
そう言って、依澄は勢いよく部屋を飛び出し、飛んでいってしまった。
「………………」
依澄がいなくなった途端。この部屋は一気に静かで悲しい空間になってしまった気がする。数日前まではこんな事が普通だったのに、依澄が来てから全てが反転した気がする。
「まぁ、悪くないけどさ……」
ベッドから立ち上がり、布団を見る。昨日の夜、私はあの依澄の背中に抱きついたのだ。それを考えると、脳天が爆発しそうなくらい恥ずかしかった。
「(こんな気持ち………初めて)」
いつの間にか、私は人肌が恋しくなっていたのかもしれない。ずっと彼に触れていたい。彼と話したい。彼の背中で戦いたい。
そんな気持ちが次々に芽生えてくる。そもそも、依澄を拾ったのも私が「この人なら……」って心のどこかで思っていたから。
要は一目惚れだったんだ。
「私………依澄のことが…………好きなの?」
分からなかった。本当に私が恋をしているのか。しかし、依澄が部屋を出てから胸がチクリと傷んだり、気づいたら依澄のことを考えていたり。これは100人中100人が「恋」と答えるのだろう。
「これが……」
生まれて初めての感情。上海人形にも魔理沙にも霊夢にも抱いたことのない。異性に対しての感情。
そう考えると、私は自分を抑えきれないくらい依澄のことが好きなんだと自覚できる。
彼と密着していたい。彼の温もりと匂いを感じていたい。
「って、私は変態じゃないっ!」
と、自分で自制をきかせた。
「………バカみたい。早く準備しよう」
落ち着いた私は洗面台へと向かい、顔を洗って髪を整える。そして、いつ敵が来てもおかしくないよう、多くのスペルカードを手に持ち、玄関の扉を開けた。
「………あら、依澄ってどこに行ったのかしら?」
そう言えば、今日依澄とどこで合流するか話し合っていなかった。
「……一からね」
大きくため息をついて、足を浮かす。少しの間家を開けてしまうので、しっかりと戸締りを確認した。
私はここから30日間帰ってこない。
「ったく、かっこよく飛び出したはいいものの。ここからどうしようか……」
人里へと着いた俺はとりあえずここら辺で聞き込みをしようと人を選ぶ。すると、今のところ一番いい手がかりを持っていそうな人物、射命丸文さんを見つけた。
「あ、文さん」
「およ?依澄さん、ご無沙汰しております」
「すいません、以前に俺に舞雪からの手紙がありましたよね?」
「あ〜、そういえば」
上を向きながら文さんは首肯した。
「あの時、どこから来たかわかりましたか?」
「いえ、私の家に直接来たので、場所は……」
「そう……ですか」
恐らく、舞雪は俺がこうやって文さんに聞き込みをしようとするのを察知して直接渡したんだろう。
「ありがとうございます。では」
「あ、待ってください」
とぼうとした瞬間に、文さんに引き止められた。
「舞雪さんを探しているんですよね?私も協力します」
「……そう言ってもらえるとありがたいです。お願いできますか?」
「お任せ下さい!文々。新聞の情報力を舐めないでくださいね!」
袖をまくって鼻を鳴らす文さん。ちょっとだけ可愛く見えた。俺は小さく微笑んで、もう一度飛んだ。
「じゃあ行きましょう」
「はい!」
俺は文さんともう一度飛び出した。
その数十分後、俺達は霊夢さんを見つけた。
「霊夢さん!」
「あら、あなたはたしか……依澄だったっけ?」
「はい、色々お世話になってます」
霊夢さんや魔理沙さんは度々アリスの家に邪魔しているので、俺も何かと仲良くなって入るのだが、霊夢さんとはあまり会話はしない。
「で、どうしたのよ?文と一緒なんて珍しいわね」
「実は、この子を探してるんです」
ピラっと以前の手紙を見せる。名前でわかってくれたらいいのだが、博麗の巫女だから何かと知っている可能性も高い。
「……………」
「霊夢、さん?」
霊夢さんの顔は何故か一気に青ざめていた。顔面蒼白、とはこのことを言うのだろう。
「あ、あなた、これ以上の詮索はよしなさい」
「え?どうして……」
「皆川家は………天神族よ」
「……ん?」
俺が初めて聞く単語だった。
「天神族、ですか?」
「ええ、天人の上位互換であり、博麗が力を持つまでは幻想郷のバランスを保っていた最強の種族の中の精鋭部隊。それが「皆川家」なの」
「……どうしてそれが分かったんですか?」
俺はまだ霊夢さんには舞雪の名前しか見せていないのに、ここまで分かるのは少し疑問だった。
「だって、皆川 舞雪。彼女こそが精鋭部隊のトップだもの」
「……嘘……だろ……」
「でも、どうして依澄さんを呼ぶようなことを?」
文さんが横から質問をする。
言われてみれば、舞雪は俺に対して「来い」とは言っていないが、明らかに俺を誘引しているのではないかと今思った。
「それは私にもわからないわ。だから依澄、これ以上の詮はやめておいた方が身のためよ」
霊夢さんの注意を素直に聞きたいと思ったが、それ以上に舞雪達のことが気になって仕方なかった。
「……霊夢さん、すいません。俺はやっぱり、舞雪のことが気になります。あちらで一度死んだ舞雪がこちらで何をしたいのか、確かめるために」
「………そう、私は止めないわ。それに協力だってする。困ったらいつでも言いなさい」
「ありがとうございます!」
俺は霊夢さんに頭を下げ、体をくるりと反転させる。
博麗神社前は周りがよく見渡せる。すると鳥居の正面、数キロ先であろう山の頂上が何やら妖しい光を放っていた。
「……何だ、あれ?」
「……うおお、あそこから凄い妖力を感じましたよ」
「行きましょう、文さん」
「本気ですか?」
「ええ」
文さんの質問に即答した俺は地面から足を離し、勢いよく飛び出した。
「あやや、待ってぇー!」
後から文さんが追いかけてくる。
俺は何だかあの光に吸い寄せられているような気がした。
次のヒロインだーれだ
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妖夢
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さとり
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霊夢
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諏訪子
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萃香