ちょっと長めでごめんなさい。
俺と鈴仙は面倒事と知りながらも善が元の世界に帰れるよう
協力していた。
善はここ5日間、永遠亭の居候として住んでいた。
善の優しい性格のお陰で永琳や鈴仙、姫さんとは仲良くなっている。
その上、料理は俺よりも飛び抜けて上手い。
善が来てから晩御飯は二人で作っている。
「ん?なぁ、翔。この味噌汁……ちょっと薄くないか?」
「マジか?塩分低すぎたかなぁ……」
「だな。もう少し多くていいと思うぞ。別に年配の人がいる訳でもないし……」
俺はこれを機に善の家族のことにも触れてみようと思った。
「……善の所にはいるのか?年配の家族とか」
すると善は少し考えたあと、こう答えた。
「そうだな。師匠とか結構なおばあ____」
その瞬間、俺でもわかるくらいの悪寒がこの部屋に響いた。
この部屋には俺と善以外誰もいない……
「ヒッ?!」
「ヒッ?!」
二人同時に身震いする。
この感じは………なんだ……まるで拷問されてるみたいだ……
隣で善は真っ青な顔で震えている。
「大丈夫だ…………この世界に師匠はいないこの世界に師匠はいないこの世界に師匠はいないこの世界に師匠はいない……………南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏………」
「おい………善………?」
善は同じ言葉を呪文のようなリズムで口ずさんでいた。
口ずさむ………ていうのは違うな…………顔が動いてない……口だけが動いてる……目が死んでる…………
「ほんとにどんな修行だったんだよ………」
俺は呆れ、善を近くの椅子で休ませた。
その翌日。
「見つかんないもんだなぁ……」
俺と善は今紅魔館の大図書館の方に来ている。
別世界転移、このジャンルの本をかき集め、善と同じような近況にあっている人の本を探すが、これと言ったものはなし。
「なぁ、善。お前の世界とここの世界はどっちが発展してる?」
「ん?そ〜だな…………恐らく、翔達がいる
「そしたら、時間軸の本を探してみよう。そっちの方がいい手がかりがあるかもしれない…………そうだな…これとか……」
と、俺達は一つの本を見つけ、一緒に読む。
「んー……めぼしいものは無い…………か……」
俺は頭をかいて考えるが、本当にこのような事例は初めてらしい。鈴仙やパチュリー、紫にさえ聞いても原因が分からなかった。
「はぁ………師匠になんて言われるんだろ………?」
「…………とりあえず……それだけは避けたいよな…どうしようか……」
「なぁ、翔…ここの芳香が何か知ってるか______」
刹那、大図書館の扉が開けられたのではなくこじ開けられた。
俺は敵襲かと思いムラサメを構えるが………
「翔ー!遊びに来たよー!」
「なんだ……フランか……」
そこにはレーヴァテインを持ったフランがいた。
元気のいい声と同時にレーヴァテインを縦に振り下ろす。
「わわ!待て待て!今は来客もいるんだ!後でな!」
「え?来客?」
フランは、戦うのを辞め善の方を見る。
「あなた………誰?」
「あ、はい、私は詩堂 善。仙人の修行をしている者です」
「そう……よろしく!善!」
善は挨拶を済ませた後、俺の方を見て一つの質問をする。
「なぁ、「レジル」はいないのか?」
その質問に俺は首を傾げ、質問を質問で返してしまう。
「はぁ?レジル?誰だそれ?なぁフラン。ここにレジル君っていたっけ?」
するとフランも俺と同じように首を傾げる。
「れじる?何それ?なんの食べ物?」
「どうやら…お前のところのレジルさんもこの世界にはいなかったらしいな」
「みたいだな……」
じゃあ一体どうなってる?
謎は深まるばかり、俺達は頭を抱えるしかなかった。
しかし、ここで大きな進展を目の当たりにする。
「?!善!これを見ろ!」
「な、なんだ?」
俺は一つの本を見つける。
それは「時間軸のずれた幻想郷」という題名の本だ。
「……時間軸のずれた…………俺と同じだな……」
善は早速本を開く
「これは………ある異変の黒幕の仕業だった…………?」
本の冒頭から新事実が書かれていた。
そこから淡々と善は読む。
「………異変か……………ん?」
善はそのまま読み続け、ある所に着目していた、
「その黒幕の名は…………………」
「誰なんだ?」
俺が善にそう言った途端。
バタン!と大図書館の扉が開かれた。そこには
「れ、鈴仙?どうしたんだ?」
俺の恋人、鈴仙が息を切らしながら入ってきた。
すると血相を変え、鈴仙が大きな声で叫ぶ!
「翔!善さん!大異変です!こちらに来てください!」
「………当たりのようだな………」
善は静かにそう叫び、大図書館を後にした。
紅魔館の外に出る。
すると空に一つ暗黒の亀裂が入っていた。
するとその亀裂から大勢の何かが投下される。
俺はムラサメを抜き、落ちたところへ走る。
「行くぞ。善」
「あぁ」
俺は善と共に走り、その現場へと行く。
そこには小型の妖怪、そこら辺の妖怪が人里で人間を襲っていた。
しかし、死者や血しぶきが上がっていない………人間の方も全員無傷だ…………
ただ追いかけているだけか……?
すると、隣にいた善が全速力で妖怪へと向かう。
「テメェらぁ!!俺も元の世界に返せぇ!」
そう叫んで、善はくるっと一回転し、踵から蹴りを1発入れる。
その蹴りは俺も身震いするほどの威力。
いや、あれは威力ではなく技術だな。
一体善の師匠さんはどんな指導してるんだ?
あの身長であの蹴りは驚きだ。
そのまま善は次々と妖怪を殴り蹴りを繰り返していた。
「俺も負けてらんねぇな……」
ムラサメを抜き、妖怪の身体を横から骨盤にかけて斬る。
いい手応えだ。俺は能力を発動し、妖怪の身体を分解させる。これも決してバンバン使えるものではない。
自分の体にも大きな影響を及ぼすことが良くある。
この前も高熱を出したことがあった。
「善!黒幕探すぞ!」
「あぁ!」
「鈴仙!ここで妖怪を食い止めてくれ!」
「分かったわ!」
この場を鈴仙に任せ、俺と善は人里の奥へと行き、黒幕を探す。
「ん?」
俺らがずっと大通りを走っていると、1人の妖怪が道を塞いだ。
「誰だ?」
俺はムラサメを妖怪に向けながらそう問うた。
するとその女性は淡々と言葉を並べる。
「私は黒羽 エリン。この異変の黒幕。なんて呼ばれてるらしいわね………」
「黒羽?聞いたことないな………」
善は首を傾げ、俺の方を向く。
もちろん俺も知らない。首を横に振る。
すると黒羽 エリンと名乗る女性は突然、善を指差しこう話した。
「そこの邪仙の弟子は私がここに転移させたわ………」
「!!」
その衝撃発言に俺と善は1歩後ずさる。
その状態から善が質問する。
「どうして転移なんかさせたんだ?」
「あの邪仙を一人にしたかったから……」
「恨みでもあるのか?」
「沢山あるわよ?なんか体内の色々な部位を気を通して刺激されたり、別に死んでもキョンシーにするからとか…………色々あるわ?」
「それ俺と一緒だわ……」
と、何故か善は黒羽に共感していた。
しかし、善はすぐに気持ちを切り替え、攻撃の体勢をとる。
「俺を元の世界に返せ…」
「嫌よ」
黒羽はそれだけ言い捨て、右手を前に差し出した。
するとその右手からナイフが約100本程、善に向かってとんできていた。
「善!危ない!」
俺はナイフの軌道を読んで、数本は刀ではじくが残りは善の方へ飛んでいっていた。
「うおわぁぁ!?」
善は頑張ってナイフを避けていた。
しかし、最後の1本が善の肩に刺さる。
「善?!」
俺は善に駆け寄り、手当をしようとした。
しかし、善はその場で首を振り、こう言った。
「大丈夫。俺の能力で無効化した」
「能力?」
「あぁ、抵抗する程度の能力。あらゆるものに抵抗できるようになっている」
「じ、じゃあ今のは……」
「「痛み」に抵抗した………って言えばいいかな?」
(使い方間違えていたらごめんなさい…)
そんなすごい能力があったとは………
俺はそこで感嘆の声を漏らす。
「凄いな……お前何者だ?」
「仙人……………の修行をしてる者」
「いやそうじゃなくて……」
「日々の拷問に耐える者」
「…………俺が悪かった…」
俺は善の言葉的攻撃に折れ、善をガン見しながら謝罪した。
するとその先に黒羽が呆れた声で話す。
「もう死んでもらっていいかしら?」
すると黒羽の背後に大きな魔法陣が展開される。
その時、善が俺に耳打ちをする。
「翔。俺が正面から突っ込む。翔は背後に回ってくれ……」
「いいのか?それじゃ作戦とも呼べねぇぞ?」
「大丈夫だ。俺にも考えがある」
俺は渋々善の案に賛成し、早速行動に移す。
「行くぞ!翔!」
ムラサメを握り、俺は善が黒羽に全速力で走っているのを見て、静かに背後に回り込む。
しかし……本当に正面から突っ込むとは………肝の座っているやつだ…………心の中で感心する。
「うおおおお!」
「正面で私に攻撃が届くわけないでしょう?」
すると善は右手で1発、黒羽を殴る。
しかしもちろんそれは目の前の結界によって弾かれる。
「無駄よっ!」
「それは………どうかな?」
善がそう放った直後。
黒羽が展開していた結界が割れた。
「なっ?!」
チャンス!
今、黒羽の周りはスキだらけだったので、俺はムラサメを黒羽の背中に刺す。
グサァ………という音を立てながら黒羽は善の方に落下していく。
「がはっ……」
少量の血を吐く黒羽。
俺は善の近くまで黒羽を運び、その瞬間に刀を黒羽から抜く。
そこで善は1歩後ろに下がり
「これで最後だ!俺を師匠の元に帰らせてもらうぞ!」
そう言って、善の右の鉄拳が黒羽の腹にモロ当たった。
そこからどう力を加えたのか分からないが、右ストレートだけで黒羽は遥か彼方へと飛んでいった。
「終わったか……」
俺は呆気なくどこかへ行った黒羽を見送りながら善に近づく。
「お疲れ、善」
「おう、お前もな…」
俺はその時に善の右手が目に入る。
その指が俺や鈴仙とは違かった。
「どうしたんだ?その指……」
そう、善の指は何やら指を後から付け加えたような感じになっている。
「あぁ、これか?なかなか便利だぞ?その付けたところから気が流れて威力が上がるんだ……」
「べ、便利だな……」
俺はますます善の所の師匠に興味を持った。
1度会ってみたいな……
「しっかし……タイミング良すぎないか?黒幕の来る時間……」
「それは確かに……そういや、鈴仙の方は……」
「翔ー!善さーん!大丈夫ー?」
タイミング良く、鈴仙がこちらに走ってきた。
どうやら片付いたらしくブレザーが少し泥で汚れていた。
「これで一件落着………だな……」
「おう、サンキューな、翔」
善が右拳をこちらに差し出してくる。
俺はムラサメを鞘に収め、善と拳を合わせる。
少し俺よりも身長が小さく童顔だが、とても頼りになる男だ。
「さて………黒幕は倒したが………どうやったら帰れるんだ…?」
善が首を傾げる。
すると善の後ろに一つのスキマが出来る。
するとそこには面識のない1人の女性が出てくる。
「やっほー善♪」
「し、師匠?!」
そこに居たのは……善の師匠だったらしい………女性なのは何となく分かっていたが………美しい人だな……とゆーかでかい!色々と!ボンキュッボン!ヘヴン!
その瞬間に鈴仙の目が真っ赤に染まっていたことは黙っておこう………
「良かったぁ………やっと帰れる…」
「見てたわよ、善の働き…」
「まさか……ずっと監視していたんですか?」
「ええ、ここに送り込んだのも私。あの黒羽 エリンというクローンを作り、ここに転移させたのも私。全ては善。あなたの修行よ」
「ええー…」
善は疲れたように肩を落とす。
「あの小さい妖怪達、人里の人間襲わなかったでしょ?」
「まぁ、そうですけど…………心臓に悪いですよ……」
「いい修行になったでしょ?別世界のお友達も出来たし……」
「はい、翔には色々と教えてもらいました」
師匠さんはふふっと笑い、俺と鈴仙に一礼する。
それに釣られ俺らも一礼してしまう。
「善。この後あっちの世界に戻ってご飯作ってちょうだい。芳香がヨダレ垂らしながらソファに座ってるわよ…」
「ま、マジですか?!あぁ!また拭かなきゃいけねぇのか!」
善はそう言って、頭を抱える……
ほんとに大変なんだな……
すると師匠さんがこちらを向き。
「私の弟子がお世話になりました」
「あぁ、いえいえ、楽しかったですし……ねぇ、翔?」
鈴仙が両手でブンブンと振って否定し、俺に聞く
「はい、いい弟子さんですね」
俺がそう言うとふふっと高貴な笑いを見せ
「そうでしょう?私の言うことなら何でも聞いてくれるの………それにいつまでも私に従順な自慢の弟子なんです♪」
「流石に何でもは……」
と、後ろで善が軽く否定するが次の師匠さんの言葉に制される。
「では、ありがとうございました」
「じゃーな、翔。短い間だったけど楽しかったぜ…」
「ありがとうございました。善さん」
「うん、鈴仙さんも頑張ってね……それと…あの時吐いちゃってごめんね?」
「はい?」
鈴仙は言っている意味が分からない…みたいな顔をする。
もちろん俺も分からない。
善の世界の鈴仙にゲロでもぶちまけたのだろう。
「善。また来いよ………それと……修行………頑張ってな……」
「そ、そんな哀れみの目で見るなよ……」
「あはは………まぁ、元気でやれよな…」
「あぁ」
俺と善はもう一度拳を合わせる。
その後、善はスキマへと走る。
スキマが消える途中。善は大きく腕を降っていた。
スキマが完全に見えなくなった後、俺と鈴仙は静かな地に二人きりになった。
「なんか……面白いやつだったな……」
「そうね………」
「師匠さんと仲良くな………善」
俺は小さな声でメッセージを送る。
「さ、帰るか……今日の晩御飯の材料買わなきゃな……」
俺は身を翻して人里の大通りに戻ろうとする。
「あ、ちょっと待ってよー!」
その後から鈴仙がついてくる。
そのまま鈴仙は俺の右手を握り、歩いた。
俺はまた……善と会える日を少しばかり願っていた。
東方想幻華「紅の瞳~永遠のヒロイン~」×止めてください!!師匠!!
end……
コラボしてくださったホワイト・ラムさん。
ありがとうございました!
キャラ崩壊。本当に申しわけありません。
初めてのコラボ!楽しかったです!
次回コラボは焼き鯖さん
東方想幻華「オリジナルストーリー アリス・マーガトロイド編」×しがない小説家志望が幻想入り
となります!よろしくお願いします!