東方想幻華 (一時連載休止)   作:かくてる

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はい、今回で「しがない小説家志望が幻想入り」コラボの方が完結となります。

執筆する側もとにかく楽しめました。


忘れられない3日間

そんなこんなで龍は住むところもなく、無一文のため、俺の家に住まわすことにした。まぁ、俺も料理に関してはお手上げなのだが、いつもアリスが家に来て作ってくれるのだ。

今日の晩ご飯はカレーライス。

 

「んめぇー…」

 

俺はスプーンを口に入れたまま、感想を述べる。

 

「ほんとに………ありがとうございます。アリスさん」

 

「喜んでくれたのなら良かったわ」

 

アリスは少し顔を赤らめながら下を向く。

俺達は食事も終わり、そろそろ寝る時間になった。

 

「さて、龍。ここに来て何かノルマとかは無いのか?」

 

「あぁ、そう言えば……「何かこの幻想郷で活躍しなさい」って言われてた気がする。聞き流してたけど……」

 

「聞き流すなよ………んで、活躍ってのはどういう事だ?」

 

「んー、何かに貢献するって事じゃないか?聞き流してたから知らんけど……」

 

「だから聞き流すなよってさっき言った………」

 

俺と龍は寝る場所がないので俺が床で寝て、龍が俺のベッドで寝る形となった。

なんか修学旅行を思い出して新鮮な気分になる。

 

「そういや、奏も元外来人なんだよな?」

 

「あぁ…」

 

「なら、お前は「東方Project」を知ってるか?」

 

「…………?なんだそれ?」

 

そこで龍は確信がついたように頷く。

 

「奏って結構アニメとかゲーム好きか?」

 

「大分な」

 

「じゃあおかしい。そもそもの外の世界も別なのか?」

 

「幻想郷と外の世界はセットになってる。そう言いたいのか?」

 

「あぁ多分な…」

 

俺と龍は真剣な話し合いを数時間してしまっていた。

時刻は午前1時。

龍がいるからか、眠気は今もこない。

真剣な話からついには本当の修学旅行のような話に変わっていった。

 

「なぁ、龍?」

 

「なんだよ?」

 

「お前は好きな人とかいないのか?」

 

俺が少し悪戯な笑顔でニヤニヤしながら龍に聞く。

すると少し顔を赤らめ、慌てながら龍は手を振る。

 

「いやいやいやいやいや、別世界のやつに言っても面白くないって、それに奏には特に言い難い……」

 

龍のその一言で俺は、おおよその予想がついた。

確かに言い難いよな……

 

「なるほど………まぁ、ここの世界のアリスとは違うし、俺は別に怒らねぇぜ?」

 

「は、はぁ?!なんで分かったんだよ!」

 

龍はそこで大慌てし、ベッドから体を乗り出す。

 

「い、いや、この世界じゃ俺はアリスと恋人だし、そりゃ言い難いだろうなって………」

 

「く、くそ………中々鋭いなお前……」

 

いや誰でもわかると思うけど。

俺は心の中で突っ込む。

 

「まぁまぁ…………でも、俺のアリスは取るなよ?」

 

俺は少し冷たい目で龍を見る。

それに龍は少し引き攣りながら

 

「だ、大丈夫だよっ!性格もまるっきり違うし…………いや、少し似てるな……」

 

龍がそう言うと俺は少し顔を顰めて龍に色々と質問をした。。

 

「あ、そうなのか?怒りっぽくて?」

 

「あぁ、少し怒りっぽいかも…」

 

「上海人形で頬を刺してくる?」

 

「クソ痛いよな」

 

「胸も小さい?」

 

「あぁ、小さ____」

 

フワッ………

 

「ヒッ?!」

 

俺の背中に悪寒が走る。

即座に後ろを振り向くとそこには監視用の人形が置いてあった。

以前に俺が家の中で異変の黒幕に殺されかけた時、アリスが「もう少し早く気づいていれば」と泣きながら後悔していた。それから俺の家の中で何かあってもすぐにアリスが知れるように監視用の人形が置いてある。

もちろん、俺が変な行為をしたら、この人形は容赦なく刺してくる。

そして今も。俺が余計なことを言ったため、プスプスと頬を刺してくる。まるでミツバチのように

 

「いたたたた!穴開くって!」

 

俺が人形から逃れようとすると隣で龍が大笑いしていた。

 

「あはははは!面白いな、それ!」

 

「わ、笑うなよ!」

 

「悪い悪い……ヒー、お腹痛い……」

 

未だクックッと笑い続ける龍を俺は少し睨む。

 

「やっぱり、うちのアリスさんと奏のとこのアリスさんは少し違うみたいだな………」

 

「そうか……」

 

俺と龍は目を合わせて、クスクスと笑った。

少しずつ眠気が襲ってきた。

 

「さ、寝るか」

 

「あぁ………俺もだんだん眠くなってきた……」

 

龍は大きな欠伸をし、そのままベッドに横になった。

 

「じゃあおやすみ……」

 

「おう、おやすみ」

 

そう言って、俺達は眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝。

俺は目が覚めた。隣ではまだ寝息を立てて寝ている龍がいた。

一つ背伸びをし、俺は時計を見る。

 

「げっ?!」

 

現時刻は正午。

寝すぎたな………昨晩に龍との会話が盛り上がりすぎて結局真夜中に寝ることになった。

それと同時に龍の目が少し開いた。

 

「ん、龍。おはよ」

 

「お、おー……おはよ……」

 

目を擦りながら龍はゆっくりとベッドから立ち上がり、時計を見る。

 

「うわ………昼じゃんか……」

 

「俺もびっくりしたよ……」

 

俺は一足先に台所へ向かい、軽い軽食を作る。

サンドイッチやトーストなど………

そしていつの間にか食卓に座っていた龍にサンドイッチを差し出す。

 

「ん、さんきゅ。それじゃいただきます」

 

龍は合掌をし、サンドイッチを手に取って口に運ぶ。

 

「うまっ……」

 

龍の口からそんな言葉が零れた。

人に俺の作ったものが美味しいと言われるのは初めてだったので、少し顔がにやけてしまっていた。

 

「美味いか?ならいいんだけど……」

 

俺も隣に座り、自分の朝食を食べる。

確かに美味しいが少し何か抜けているな………食べながらも俺はこの日の朝食の反省を行っていた。

そんなこんなで二日目は人里に買い物に行くだけで日が暮れた。

阿求のいる鈴奈庵に立ち寄ったり、甘味処にいって団子を食べたりと、人里を思い切り楽しんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして三日目。異変が起きた。

 

「な、なんだよあれ………」

 

俺はいつも通り、外に出て散歩しようとした時だった。

その目の前に、大勢の異様な形をした妖怪達がいた。

ホラーのような顔で返り血がこびり付いている。

今すぐ目を背けたくなるような顔と鳴き声。

 

 

「咲!」

 

相棒の名を呼んだ。

 

「奏くん!言いたい事分かるよね?!」

 

いつも余裕をかましている咲だがこの時はいつも以上に真剣で焦燥の顔を浮かべていた。

咲名千里を鞘から抜き、俺は妖怪達に斬り掛かる。

しかし、その妖怪の皮膚がかなり固く、咲名千里は弾き返されてしまう。

 

「くそ……!硬すぎるだろ……」

 

俺は小声で文句を言いながら、能力を発動する。

斬撃現象。何でも斬れるくらいの切れ味を無理やり出させる荒業だ。

それを施したその直後、俺の背後から刀が伸び、俺を通り越して妖怪を貫く。

 

「り、龍?!」

 

「まったく……朝起きたらこんなことになってるなんてな…驚きだぜ……」

 

「助かったよ、サンキューな」

 

俺は龍に礼を言った。

龍はその孤月の刀身を消した。

俺もそれと同時に咲名千里をさやに収める。

 

「龍。多分、人里には多くの異形がいるはずだ。行くぞ」

 

「あぁ」

 

俺達は静かに人里へと走り、住民が無事なことを祈っていた。

しかし、その願いは虚しくも悲鳴とともに消えていった。

 

「嘘………だろ……」

 

さっきいた妖怪達が人々を襲い、喰らい、血飛沫が飛び散っていた。ここまで凄惨な状況を見るのは初めてだ。

断末魔の叫び、阿鼻叫喚の悲鳴。

耳を塞ぎたくなる。

 

「くそっ!咲!龍!異形達を殺すぞ!」

 

「あぁ、分かってる!」

 

俺と龍は走り出し、妖怪に近づいていった。

妖力を施した咲名千里はしっかりと妖怪の体を斬り裂いた。

最高の手応えに俺は少し感動を覚える。

龍はそのまま切り続け、妖怪を次々と倒していく。

こいつらは何なんだよ………

 

「奏!ぼさっとするな!」

 

龍に注意され、俺は我に返る。

 

「悪い!」

 

気持ちを切り替え、俺はまた新たな妖怪達に斬り掛かる。

すると隣で龍は居合の型をとった。

 

「居合………「旋空孤月」!」

 

龍が技名を言い、そのまま孤月が綺麗な線を描きながら出てくる。すると

 

「なっ?!」

 

その弧月の刀身がさっきの2倍3倍と伸びていった。

それにより縦に並んでいた妖怪達はその伸びた孤月により、貫かれて消えていった。

 

「凄いな……」

 

負けてられない……そう思った俺は妖怪達の懐に潜り込み、一つの技を魅せた。

 

「うおおおお!「白夜殲滅剣(びゃくやせんめつけん)」!」

 

俺の咲名千里を鞘に収めた瞬間、俺の刀に触れた妖怪達は全て斬り裂かれた。

これは咲から教えてもらった奥義の一つだ。

そのまま俺は追撃をする。

俺は魔法陣から様々な弾幕を繰り出し、もう一つの奥義を出す。

 

祓砕斬・零水(バッサイザン・アヤミ)」!」

 

弾幕の嵐が妖怪を襲った。

そこから俺は最高の秘奥義とも呼べる技を叩き込む。

 

「これで終わりだ!」

 

一瞬「流星の終わり」を使おうか迷ったが、材料となるものが無かった。

俺は月の師匠から教えてもらった奥義を発動させる。

 

「地水火風の精霊よ。我を仇なす者共を永遠へと誘え「スプリームエレメンツ」!!」

 

茶、青、赤、緑の魔法陣を展開し、そこから全霊力を発揮し、全ての敵を一掃した。

 

 

 

 

 

こうして俺と龍が三時間ほどかけ、全ての妖怪達を殺した。

 

「はぁ………はぁ……」

 

龍も俺も完全に疲労困憊状態にあり、とても動ける状態では無かった。

 

「さすが……龍……だな………やっぱりお前の方が強えわ……」

 

「お前も負けてないぞ……奏……あの奥義の連鎖は真似出来ねぇよ……」

 

「はは………これで龍のノルマは達成じゃねぇか?ちゃんと活躍したぞ?」

 

「そうだな…………三日目でようやく……って感じだな……」

 

「あぁ…………霊力全部使い切っちまった……アリスに怒られちまうな……」

 

俺と龍は仰向けになりながら、顔を見合わせる。

お互いの顔は笑顔でなんとも清々しいものだった。

 

「しかし……かなりの死傷者が出ちまった………」

 

「だな…」

 

龍は苦い顔になり、悔やむ。

永遠亭のうさぎやら紅魔館の住民などが、人里の方に集まってきていた。

 

「俺は………もう……疲れたよ……」

 

俺はおおきく息を吸い、その場で瞼が落ちてきた。

 

「あぁ、長いようで短い戦いだったな……」

 

それにつられ、龍の方も眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

俺はアリスのベッドで目が覚めた。

 

「あら、起きたのね」

 

そこにはトレイの上にお茶を乗せたアリスが立っていた。

そうしてから俺の体を見る。元々傷はなかったので無傷だったが、霊力の方が心配だった。

 

「安心しなさい。私の霊力を注いでおいた」

 

「お、サンキュー」

 

俺は軽く礼を言い、アリスが持ってきてくれたお茶を飲む。

ほっこりする味だった。これはいつ飲んでも飽きない味だ。

お茶も飲み終わり、俺は龍を探す。

 

「なぁ、龍はどこだ?」

 

「あぁ、今リビングにいるわよ。どうやらあっちの世界の紫と話しているわ」

 

「そうか……」

 

俺はベッドから立ち上がり、リビングを目指す。

 

「龍。いい結果を残せたようね」

 

「あぁ、奏のおかげだ」

 

俺は自分の名を呼ばれ、リビングに姿を現した。

 

「奏!もう体は大丈夫なのか?」

 

「あぁ、お前こそ大丈夫なのか?人間なんだから無理すんなよ」

 

「あら、あなたが奏さん?」

 

紫に「奏さん」と呼ばれるのに少し驚きを覚える。

そうか……龍の世界に俺はいないのか……

 

「はい、こんばんは。紫さん」

 

俺はしっかりとした言葉遣いで紫に一礼する。

 

「どうやら、うちの龍がお世話になったみたいね?」

 

「いや、俺はあんたんちのじゃない……」

 

「ええ、俺もびっくりしました。俺より強い人間がいたとは……」

 

感嘆の声とともに龍を見る。

 

「私も驚きよ、近々、私の幻想郷に大きな厄災が来るのは聞いたかしら?」

 

「はい」

 

紫は一呼吸おいてこう話す。

 

「龍はその大きな厄災から幻想郷を守る「英雄」になって欲しいの。そこで奏さんに質問よ。彼は英雄として相応しい?」

 

紫のその質問に俺は即答することが出来た。

 

「ええ、龍は俺が今まで会った生き物の中でトップに入る実力を持っています。実力だけじゃない、人望も厚く、彼と共に過ごした3日間はとても有意義なものでした。3日間だけでしたが、友人になれたんじゃないかなと思います」

 

「奏……」

 

隣で龍がジーンと感動していた。

紫はその場で微笑んだ。

 

「そう。なら良かったわ。じゃあ私達はこれでお暇するわね」

 

紫は指を鳴らした。するとその隣にスキマが出現する。

すると龍は笑顔で

 

「じゃあな奏。この濃い3日間は絶対に話されられないな」

 

「はは、バカ言え、どうせ明日にはわすれてんだろ」

 

俺と龍は手を差し出し、握手をする。

身長の割に大きめな龍の手に俺は少し憧れを持ってしまった。

 

「じゃあ、また会おうな………奏………このこと、小説にしていいか?」

 

龍のその微笑みに俺はまた微笑みを重ねる。

 

「あぁ、その小説が幻想郷まで届くことを祈ってるよ。その時はまたこっちに来いよ……」

 

そう言って龍は手を離し、スキマの中に入る。

俺はいなくなるまで手を振り、龍の背中を見ていた。

 

「いい友達が出来たわね。奏」

 

アリスがその隣で俺に話しかける。

 

「そうだな……本当にいい奴だった……」

 

俺は偽の涙を流す。

 

「その故人みたいなノリやめなさいよ……」

 

「あ〜あ、お腹すいたなぁー」

 

俺は腹を抑えながらわざとらしくアリスに言う。

するとアリスは微笑んでこう言った。

 

「仕方ないわね。じゃあ今日はグラタンにでもしましょうか」

 

「やった!貧乳グラタンだー!」

 

俺が両手をあげて喜ぶと俺の眼球の目の前まで針が来ていた。

 

「そう言えば………そろそろ無味の毒がうちに届くのよねぇ?少し毒味してもらってもいいかしら?奏?」

 

「ご、ごめんごめん……」

 

俺は必死に平伏する。

こんな状態になったアリスは鬼のように怖い。

と言っても、アリスをいじるのは面白いから止めないけど。

アリスはそこで溜息をつき、台所に向かう。

 

「静かに待ってなさい」

 

「は、はい……」

 

そうして俺は夜空を見る。

辺りは満天の星空。

俺は龍を思い出す。

本当に親友のような感じだった。

ここまで仲の良い友達を作れたのは、人生で初めてかもしれない。

そして帰る時の龍の背中は兄貴を彷彿とさせるくらい大きく、俺の憧れの的のようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東方想幻華「アリス・マーガトロイド特別編」×しがない小説家志望が幻想入り

 

 

 

 

end………




コラボしてくださった焼き鯖さん!
本当にありがとうございました。
執筆する度ににやけが止まりませんでした。
リアルの方の兄貴ににやけてるところ見られてドン引きされたことは置いといて……
楽しかったです。



次回はミズヤさんとのコラボ!
自分もかなり楽しみです!

では、さようなら!
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