東方想幻華 (一時連載休止)   作:かくてる

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5話 トラウマ

俺はいつまでも亡霊を斬り続けた。

 

何も考えず、ただ笑みを浮かべながら………

斬ることに………生き物を殺すのに楽しさを感じてしまっていた。

 

「ほら………早く死ねよ……!」

 

「奏くん!もういいよ!やめて!」

 

刀から出てきた千里が俺止める。

 

俺はそれで我に返った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「せ、千里…………」

 

俺は千里の方を見た。

 

「大丈夫………?なんかすごい怖かったけど……」

 

「ちょっと奏?!大丈夫なの?!」

 

千里と天子様が同時に俺を心配する。

 

「俺は…………何を………」

 

正気に戻った俺は何をしたのか全く理解出来ていなかった。

 

右手には能力が失われた咲名千里。

 

目の前には…………

 

 

 

 

 

 

赤い鮮血の水たまり……

 

 

 

 

この光景を見た瞬間、あの時の記憶を全て呼び覚まされた。

 

人を殺し、その感触を楽しんでいた俺………

 

吐き気がした。

 

 

 

 

 

ドクン……………

 

 

 

 

 

 

「!!?……」

 

心臓が1度大きく跳ね上がった。

 

やばい……吐く………

 

俺は我慢ができず、吐こうとしてしまう。

しかし、嘔吐よりも先に咳き込んでしまった。

 

慌てて口を手で塞いだ。

手のひらを見ると………

 

 

 

 

 

真っ赤だった。

 

これは………………血?

 

刹那

俺の視界がぼやけてきた。

徐々に立ちくらみもし、全身の力が抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「か、奏?!」

 

私は執事である奏に駆け寄った。

 

突如血を吐いて倒れたのだ。

 

「て、天子ちゃん!」

 

千里が今にも泣きそうな顔で私を見る。

 

「分かってるわ!衣玖!」

 

私が呼ぶと瞬時に衣玖が隣に来た。

 

「はい、お呼び…………奏さん?!」

 

奏の顔を見て、衣玖も焦燥の顔を浮かべる。

 

「永琳を呼んできて!」

 

「は、はい!分かりました!」

 

数分後、永琳が天界に来て、奏の体を診た。

 

 

 

聴診器で奏の心臓の音を聞き、それを外した後、永琳が口を開いた。

 

「彼は…………重度のトラウマを抱えてるわね………

症状が酷すぎるわ…………恐らく、あっちの世界で心に強い大打撃を受けたんでしょうね………血を吐いて倒れたのも………」

 

「そ、そう………」

 

まだ奏とは数週間しか過ごしていない。

だが、彼は気さくで私はすぐに仲良くなれた。

今では親友の一人と言ってもいいくらい………まぁ、執事だけどね……

だからすごく心配だ。

 

「奏くん………」

 

千里も心配して奏の顔を覗き込む。

 

「まぁ、トラウマを蘇らせるようなことをしなかったらこんな状態にはならないわよ……

命に別状は無いけど……これを繰り返すと、彼の心が壊れる

能力や本能が暴走すると手に負えなくなるわよ……」

 

私は背筋が凍りそうになった。

 

「天子ちゃん、奏は幻想郷最強の龍人の妖怪なのよ………

心が壊れて暴走なんかすると………幻想郷が崩壊するかもしれない……」

 

「彼のトラウマ…………なんだろう……」

 

「まぁ、実際そのトラウマと同じ目に合わせるのは良くないわね………

恐らく、彼はあっちの世界で人を殺している………んだと思うわ。普通の人が人を殺すほど恐ろしいものは無いからね……」

 

そう言って永琳は帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

静寂が訪れた。

 

「奏くん………」

 

パートナーであり、家族のような関係の千里はずっと奏のそばにいた。

華奢な指で目を瞑っている奏の頬をなぞる。

 

私は千里と奏がいいムードになりそうで気まずくなったので席を外そうとした。

 

「私は衣玖のところに行ってくるわね…」

 

奏の部屋のドアを閉め、廊下を歩く。

 

 

 

 

 

何なの?………これ……

 

歩いている最中、私は………少し胸に違和感を感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫………かな………」

 

私は隣で寝ている奏を見つめていた。

正直、私は奏が初めての友達だった。

 

恋愛、というやつではないが私は奏が好きだ。

家族みたいなもので私は奏が必要不可欠だ。

 

「早く………目を覚ましてね……」

 

そうして私は奏の隣で眠りについた。

 

 

 

翌朝……

 

「ん………」

 

私が目を覚ますともう奏はベッドにいなかった。

 

「お、千里起きたか……」

 

「か、奏?!大丈夫なの?!」

 

私は奏に駆け寄り、確認する。

 

そういえば……いつの間にか呼び捨てで話していた。

 

「あぁ、昨日あったことも全部覚えてる。

少し頭が痛いがな……」

 

「そ、そっか………」

 

これで一安心……………か……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドアを開け、奏の部屋を見る。

 

「あら、奏。起きたのね」

 

「天子様、先日は迷惑をおかけしまして申し訳ありません………」

 

「別にいいわよ、あなたが私たちのためにも戦ってくれていたことは分かっているし」

 

「ありがとうございます」

 

「さてと、奏、千里。思い出せる限りでいいから昨日の亡霊との戦いで分かったことはあるの?」

 

近くにあった椅子に腰をかけ、奏と千里に聞く。

 

「うーん、定かではありませんが………

あの亡霊、俺の名字を呼んでいた気がするんですよ……」

 

「「愛原」………って?」

 

「ええ、それにたまたま天界にたどり着いたとは考えにくいでしょう?

多分、咲名千里か愛原の関係者ってことになると思うですよね……」

 

「確かにね…………

でも、ひとつ聞いていい?」

 

私はひとつ、疑問に思う事があった。

 

 

 

 

「亡霊って血を流すかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………!!」

 

奏は訝しげにこちらを見て、深く考えた後目を大きく見開いてショックを受けたような顔で………

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、俺が殺したあいつは………亡霊じゃない…………?」




関係ない話ですが


天子編の後、千里ちゃんのストーリー書いて、その後こいし編でもいいですか?

いや、ごめんなさい。千里ちゃんが思ったよりも可愛くて……

では、読んでくれてありがとうございました!
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