東方想幻華 (一時連載休止)   作:かくてる

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その予兆です。




6話 記憶喪失の人柱

2ヶ月後。

 

翔が天界に訪ねてきた。

 

「あの亡霊事件の手がかりが少しわかってきた」

 

「ほ、ほんとですか?!」

奏が飛び出してきた。

 

「まず、あの亡霊は愛原家に殺された「倉見家」の一族。

倉見家は愛原といつも対立していたらしく、仲も悪かったらしい……」

 

「倉見家……………聞き覚えないですね………」

 

「まぁ、奏が知らないのも無理はない…

愛原家の奇襲という形で倉見家を滅ぼした。そりゃ倉見のやつも愛原を恨むわな………」

 

と、翔が調べて分かったことを奏に伝える。

 

「そうですか………ありがとうございます……」

 

「奏」

 

と、唐突に翔が奏の名前を呼ぶ。

 

「は、はい」

 

「気を付けろよ………倉見家は愛原家の倍以上の人数がいたそうだ…………お前が倒したのはその中の一人……………」

 

「?!………ってことは……」

 

私はそれに気づいた

まだこの事件が終わっていないことを……

 

「倉見家の怨念は………まだたくさんいる……………」

 

「そう考えるのが無難だろう………

しかも狙っているのは愛原の血を引く者だけだ

つまり、標的は奏。お前一人ってことだな」

 

「お、襲ってきたらまた倒せばいいじゃない!」

 

私が翔に言う。

 

「確かにそうだけどな……

単体ならまだしも……100体程で来られたらこっちも歯が立たねぇぞ……」

 

「で、でも!私は奏を痛い目に遭わせたくないし、前みたいに人を殺させたくない!」

 

私は率直な感想を述べる。

だって私の大切な執事なのだから………

 

「天子様………」

 

そうやって私たちが討論をしていると………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャっとドアが開けられ…………

 

「…………誰?」

 

私達は驚いてその声の主を探す。

 

「…………千里?」

 

自室の部屋を開けて出てきた千里はいつもと全く違かった。

雰囲気も暗い。

目が輝いていない………

何かに怯えているようだった。

 

「ど、どうしたんだ千里?なんか元気ないけど………」

 

奏が千里に近寄ると………

 

「いや!怖い!触らないで!」

 

私は驚いた。

千里が1番懐いていたのは奏だったはず………

何であんなに拒絶しているの?

 

「お、おい、千里………」

 

思い切り叫んだ後、身を屈めて小刻みに震える。

まるで奏を恐れているかのように…………

 

「せ、先輩。これには何か関係が……………」

 

「わからない……………」

 

「そんな…………」

 

なぜ………?

唐突に千里の全てが反転したのか………

 

「多分………記憶が飛んでる………と思う」

 

「な、何で今頃………」

 

私達はただ疑問と不安を抱くだけだった。

 

「なぁ、千里………」

 

「い………いや………」

 

千里の震える体を奏が優しく抱きしめる。

 

「大丈夫………大丈夫だよ………」

 

「………………」

 

これまでに無いくらいの奏の優しい声音……

すると段々千里の震えが止まり落ち着いた。

一段落おいて……

 

 

 

「千里。君は俺たちを覚えているか?」

 

「………ううん、誰もわからない………」

 

「そんな………」

 

私は絶望する。

私たちが千里と楽しんだ思い出は………もう彼女の中にはない………

 

「くそ………誰だよ……」

 

奏の拳が強く握られる。

 

「奏、天子。なにか分かったらすぐに連絡する」

 

「はい……ありがとうございます……先輩…」

 

「元気出せよ………後輩よ…」

 

そう言って翔は奏の胸に自分の拳をぶつけた。

 

「………はい」

 

翔が帰り、今は私と奏のふたりきり。

 

「天子様………千里は…大丈夫ですかね……?」

 

「………そうね……謎が解明されないままだと……千里はずっとこのままかもしれない………」

 

「でも………大体の検討は付いています…………よね?」

 

と、奏に聞かれた。

もちろん、誰がやったか、どの類の種族かも分かる。

 

倉見家だ。

 

「咲名千里は代々愛原家に伝わる妖刀です。

愛原の戦闘の土台である刀を破壊すれば自ずと上も壊れる……

狙いはそれでしょう………」

 

「じゃあそろそろ、倉見のやつらが攻めてくる頃ね………

作戦なんか立てても……無駄よね………

奏。千里がいない今、こちらの戦力は大きく削られた。

あなただけの実力で戦うのよ。もちろん私もあなたと戦う」

 

「でも……能力がないと………天子様の非想の剣では怨念達に攻撃すら通りませんよ?…………」

 

「誰がいつ非想の剣を使うって言った?」

 

私は能力の駆使して戦うつもりだ………

「大地」を操る………彼らは地面に触れているわけだからもちろんその類を有効なはずだ。

 

「…………なら……衣玖さんと天子様、俺の3人で戦いに備えましょう………」

 

「ええ!」

 

「ただ、倉見家はいつ来るか分かりません。

それに………千里を守らないと………」

 

「今は考えたって無駄よ。

今は普通の日常を過ごしましょう」

 

「そうですね………先に千里の回復…………」

 

そう言って私と奏は食卓へ向かい、夕食の準備をした。

 

 

 

 

 

 

「………千里……」

 

奏に名を呼ばれた千里は体をビクッと強ばらせ

不安そうな顔で聞く。

 

「な、何?」

 

「お前が覚えてる限りでいい………

記憶のことを教えてくれないか?」

 

「…………私がみんなのために………刀になったのは覚えてる………

それとお母さんやお父さん……その仲間達になにか言われてそうなった……」

 

「刀に………なった?」

 

どういう事だろう?

千里は元々「生きる刀」の、一人だったんじゃないのか?

刀になるってどういう事だ?

それと、千里の親御さんや、仲間に何かを言われて……

 

「もしかして………人柱……?」

 

衣玖がそう口にする。

 

「ひ、人柱ってなに?」

 

「その刀を暴走を止めるため、刀の存在を消すためなど理由は色々ですが、その刀と一心同体になることでコントロールができる。ということらしいのですが………」

 

そこで一つの答えが出る。

 

「もしそうならば……千里は元々刀では無かった?」

 

「…………そうなりますね……」

 

「じゃあ、千里は人柱になって咲名千里に入った。

この線で考えた方がいいですね……」

 

千里が人柱。

 

「あ、千里。

お前の本当の名は?」

私は奏がそう言ってハッとする。

そうだ、千里は人柱になった時の名前だ。

ならば、本名になにか手がかりがあるかも……

 

片波 咲(かたなみ さき)………」

 

「……………え?」

 

私が予想していたのとは全く違う名前が出てきた。

てっきり、倉見家の子かと思ったら………

片波…………か………

 

「片波………倉見の臣下でしょうか?」

 

衣玖が顎に手を置いて答える。

 

「ええ、多分その可能性が高いでしょう………」

 

人柱になるということは………つまり寿命がない。

不老不死状態だ。

お母さんやお父さんは死んでしまったというのに自分だけ死ねない………

その悲しさは私や奏じゃとてもじゃないけど背負いきれない

私はそう考えると胸が張り裂けそうになった。

 

 

 

 

 

「片波………………咲」

 

奏はずっと千里の本名を口に出し、考えていた。

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