東方想幻華 (一時連載休止)   作:かくてる

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3話 「愛原」が残した妖刀の力

翌朝。

地霊殿に来て三日目だ。

 

「おい、千里、起きろー」

 

眠い目を擦りながら千里が目を開ける。

 

「んあ?何ぃー……」

 

「朝飯だとよ、早く行こうぜ…」

 

「はぁーい……」

 

食堂に行くともうさとりやこいしちゃんが席に座っていた。

 

「おはよ!奏、千里」

 

「ん、おはよこいしちゃん。じゃ、いただきます」

 

軽く挨拶を済ませ、千里に聞く。

 

「なぁ、千里。今日聞こうと思ったんだけど……」

 

「ん、何かな?」

 

「「常闇の妖怪」って知ってるか?」

 

昨日、霊夢から聞いた事を話す。

 

「…………「常闇の妖怪」って言うのはね………

あなた達「愛原」とそのライバル、「倉見」の因縁の戦いは知っているわよね?」

 

今度は千里が俺に聞いてきた。

 

「あぁ、初日にお前が教えてくれた………」

 

「その戦いは夜中まで続いてね、その中で眩い光を放つ最強の妖怪がいたの」

 

「それが………俺のご先祖さまってことか………」

 

「そうゆうこと、まぁよっぽどのことがない限り「常闇の妖怪」は戦わなかったから世間では善の妖怪って呼ばれているわ…………」

 

なるほどな…………

俺は納得しながら今までの物事を整理する。

 

まず、「愛原」と「倉見」は、もともとこの幻想郷ではライバル同士だった。

そして「愛原」と「倉見」の最終決戦。

「暗黒戦争」で「愛原」の血を引く者が何らかの理由で覚醒し、「倉見」の者達を次々と倒し、3000人を1人で片付けたという………

 

俺が考察をしていると、こいしちゃんが声をかけてきた。

 

「ねぇねぇ、千里。あの長い包丁のこと教えてよ!」

 

すると千里は呆れた顔で

 

「いやだからあれは包丁じゃなくて刀って言うの………」

 

「かたな………?……なんか変だね!」

 

これは真面目に言っているのか?

 

「刀を包丁を言える方がよっぽど変だけど………」

 

するとさとりが

 

「ごめんなさいね………この子刀を見たことが無いのよ………」

 

「そうなのか…………千里。こいしちゃんに刀のこと色々教えてやりな」

 

「………ちゃんと伝わる気がしないから却下で」

 

「やった!千里!その包丁の事教えてね!詳しく!」

 

「え、いやだから嫌だって…………」

 

「拒否権なーし☆」

 

こいしちゃんと千里の会話はいつ聞いても面白く。

聞いているこっちが吹いてしまう。

 

「え、いやいや!終わる気がしないのぉぉぉ…………」

 

こいしちゃんに腕を引っ張られ連れていかれる千里に手を振る。千里はこちらを見て「後で覚えとけ」みたいな顔をしている。

おぉ、怖い怖い。

俺は気にせず食事を進め、食べ終わり橋を置く。

するとさとりが口を開いた。

 

「奏は弾幕ごっこした事ある?」

 

「名前は知ってるけど……………そういや幻想郷に来てまだ一回も戦闘してないな………」

 

幻想郷に来たばかりの時は戦闘する覚悟もしていたが、最初に会ったのがこいしちゃんだったため穏便に事が進んだ。

 

「じゃあ今日は弾幕ごっこをしましょうか。私はお仕事があるから…………お空、お燐」

 

二人の名を呼ぶと

 

「はい、お呼びでしょうか?」

 

背後から2人がドアから入ってきた。

 

「今日、奏の弾幕ごっこの訓練を手伝ってあげなさい」

 

「分かりました。奏、お空、行こう」

 

俺はお燐に連れられ、地霊殿の外に出る。

 

「奏はさ、刀以外に何が使えるの?」

 

「奏の「能力」見たいな!」

 

と、2人にせがまれたので俺は仕方なく自分の「能力」を一部を見せる。

とりあえず軽いのでいいか…………

そう思った俺は刀に集中を寄せた。

すると咲名千里の刀身が銀色に光る。

 

「………これは何?」

 

「俺の能力は「現象を操る程度の能力」だ。こうやって色々な現象を使うことが出来るんだ。今のこれなら凍結現象の一つだな……」

 

と、千里と2人で研究したことを話す。

 

「………またなかなかすごい能力だね………」

 

「すごいよ………私の核とどっちが強いかな!」

 

「威力の違いが桁違いだ……」

 

「……さぁ、じゃあ始めましょうか」

 

苦笑いをするお燐が弾幕ごっこの説明を始める。

 

「この弾幕ごっこって言うのはね。

この幻想郷での支配を無くす……つまり完全実力主義の否定を意味する…………よけられない弾幕を張ってはダメ。その弾幕の美しさに意味があるんだ………」

 

「………つまり、その弾幕ごっこのおかげでこの世界の均衡が保たれているのか………」

 

俺は顎に手を置き、お燐に言う。

 

「そーゆーこと。じゃ早速見せるよ。お空。お願い」

 

「おっけーい!任しといて!」

 

元気よく挨拶したあと何かの詠唱を始める。

 

「行っくよー!「サブタレイニアンサン」!」

 

そう唱え、お空は右腕の「第三の足」から巨大な核の塊が出てきた。

 

「ちょっ?!お空?!なんでそんな大技?!」

 

お空とお燐の会話を聞いているうちに俺の体がお空の真上に出来た巨大な核に引き寄せられていた。

な、なんだこれ?!吸い込まれるっ!

俺は体を仰け反らせ、その巨大核から離れようとする。

 

「うおおっ…………!」

 

「奏!頑張って避けてみよー!」

 

お空にすっごい笑顔で言われる。

あまりの大技だったためか、こいしちゃんや千里、さとりや旧地獄の住民達が野次馬に来ていた。

「なんだなんだ?」「地霊殿を襲撃しに来たのか?」と、言いたい放題だ。

 

「くっそ………どうにかするしか……」

 

核に効く現象の能力などはない、刀だけでどうにかするか………

俺は引き寄せられながらも刀を構える。

意識を集中させ………

 

「はぁぁぁ!」

 

咲名千里を縦に振る。

びびってしまい斬る瞬間目をつぶってしまった。

しかし、確かに斬る感触もあった、それに最高の手応えだ。

目を開けるとお空の核が真っ二つに割れその場で小さい爆発を繰り返していた。

周りの人を見渡すと全員が驚きの顔と声……

「あいつ何者だ………?」「お空ちゃんの核を一撃で………」などなど………

それに核を打った本人も

 

「す、すごいよ奏!まさか斬るとは思わなかったよ!」

 

お空がぴょんぴょんと跳ね俺を賞賛する。

するとこいしちゃんと千里が来て

 

「奏!あなたって本当に何者?!すごいよ!かっこよかった!」

 

こいしちゃんにも思いっきり褒められる。

どうしようにやけが止まんない。

 

「本当にすごいね奏くん………」

 

するとお燐が俺の方に寄ってきて

 

「あなたに弾幕を教える必要無さそうだね………」

 

俺はその後自室に戻り、咲名千里を見つめる。

確かに斬れたのは嬉しかった………

それにあの時は千里もいなかったから少し弱体化していたはずだ………

 

「これが…………「愛原」が残した妖刀の力………」

 

俺は妖しく光る咲名千里の刀身をずっと見つめていた。

 

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