東方想幻華 (一時連載休止)   作:かくてる

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6話 立場逆転 「兄」から「弟」

不知の襲撃から数日が経った。

未だ私達古明地姉妹に変化はないし、再び襲ってくることは無かった。

謎が謎を呼び、さらにそこに新たな事実が上書きされる。

頭が狂ってしまいそうだ。

でも、そんなことを忘れられる時間もある。

それは、食事だ。

前まではお姉ちゃん、お空、お燐の4人での食事だったが、今では奏と千里が家族に加わったのでお話するのが楽しみだ。

 

「それでね!以前奏がさー____」

 

「お、おい千里?!それ言うなよ!」

 

「あはははは!」

 

こんな事ができるのも、奏と千里が来てくれたおかげだ。

別にお姉ちゃんやお空達の話がつまんない訳じゃない。

むしろ面白いよ。

でも、それ以上に奏の話は面白いのだ。

奏と2人ならついつい真夜中まで話し込んでしまう。

自分でも思うがよくもまぁ話題が尽きないものだ。

今日もたくさんお話をした。

 

「……奏はさ、家族はいないの?」

 

「……いるよ。お兄ちゃんが……」

 

「お兄ちゃんは来てないの?」

 

「あぁ、俺だけ殺されたからな……」

 

「殺された……の?」

 

私は奏のその事実に目を見開く。

 

「あ、あぁ、そう言えばお前らに行ってなかったな……」

 

一呼吸おいて奏が話す。

 

「突然俺の家に武器を持ったやつが現れてな、1人は殺したんだけど、2人目に心臓を撃ち抜かれて死んだんだ」

 

「じ、じゃあ、奏は今幽霊なの?」

 

「そんなまさか、れっきとした妖怪だよ」

 

「ならいいんだけど……」

 

しばらく沈黙が続く。

私は新たな話題を出すが

 

「ねぇ、おにい_____」

 

慌てて口を手でふさぐ。

 

「ん?おにい?」

 

「な、何でもないから!」

 

両手をブンブンと振り、否定する。

危ない…………何で今自然に………

 

「そ、そうか………」

 

「うん……じゃあもう寝るね!」

 

そこから逃げるように私は立ち上がり、部屋をあとにする。

 

「あぁ、おやすみ」

 

ドアを開け、廊下に出る。

 

今………お兄ちゃんって言いかけた…………

どうして?お兄ちゃんがいた訳でもないのに………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この翌朝。異変が起きた。

私が食堂に行くとお姉ちゃんやお空達はいたが、奏がまだ来ていない。

珍しいな………

 

「こいし、ちょっと奏の部屋見てきてくれる?」

 

「うん、分かった」

 

お姉ちゃんにそう言われ、私は奏の自室のドアを叩く。

 

「奏ー?朝ごはんの時間だよー?まだ寝てるのー?」

 

少し大きめの声で言うが返答はない。

 

「おーい!」

 

耐えきれずドアを開けてしまう。

着替えていたらどうしよう………

そんなことを考えながらガチャっと開ける。

すると、寝息が聞こえるだけ

 

「奏………今日はいつになく寝坊助さんだね………」

 

ベッドを見ると、真ん中だけ少しポッコリしている。

可愛い寝方するんだな……

と、ダメダメ。こんなにニヤニヤしたら笑われちゃう………

私は頬を両手でビンタし、顔を矯正する。

 

「よし………」

 

布団の端っこを掴み…

 

「ほーら奏!いつまで寝てるつもりな………………」

 

布団を思いっきりかきあげた。

しかし、私はその思わぬ光景によって言葉を失う。

 

「………え?」

 

困惑してついそのあたりをキョロキョロしてしまう。

しかし、未だ刀の中で寝ているであろう千里に声をかける。

 

「ち、ちょっと千里!!起きて!」

 

刀身が一瞬光り、千里が出てくる。

よかった……千里はいつも通りだ。

 

「んあ?何よー………」

 

「奏が…………」

 

「奏くんがどうかしたの………?……………は?」

 

千里も同じように寝ている奏を見て言葉を失う。

これは…………ほんとに奏なの………?

 

そう、今の奏は……………………どう見たって子供なのだ。

 

私と身長は同じくらい。

年下くらいかな?10歳前後の体だろう…………

そして、その例の奏?は目を擦りながら起きる。

とゆーか普通に可愛い……

すると、小さい奏は驚いてる私たちを訝しげに見て

 

「おーい…………お前らどうしたー………?」

 

よかった…………記憶は残ってるみたいだ………

安心していつも通り奏に話す。

 

「そーいや、こいしちゃんってこんなに背高かったっけ?」

 

奏の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。

 

「奏………1回顔洗ってきたら………?」

 

「?…おう」

 

そう言って奏は隣の洗面所に姿を消す。

 

「ね、ねぇ、千里。あれって………」

 

「どう見たって………子供化……してるわよね……」

 

その数秒後。

ドタドタと大きな足音を立てながら何かがこちらに走ってきた。

バタン!っと小さい奏が扉を開けた。

 

「おい?!なんだよこれ?!」

 

すっごい焦った顔してる…………

ハァハァ言いながら私たちに言う。

あ、可愛い………

 

「こっちが聞きたいよ奏くん………あなたこそどうしたの?」

 

「知るか!!起きたらこんなに子供になってたんだよ!!」

 

こんなに落ち着きのない奏を見たのは初めてだ。

こんなに小さい奏も初めてだからあまり驚かないが………

 

「どうしようか………」

 

私の「お兄ちゃん」的存在が急に「弟」的存在になってしまった………

 

「………でも……可愛いね……奏…」

 

つい本音が口に出てしまった。

 

「可愛いなんて言われても嬉しくない!カッコイイって言われたい!!」

 

「今の君の状況を見て誰もカッコイイとは思えないよ……奏くん……」

 

「うぐっ……」

 

苦笑いをして千里がどストレートなことを言い、奏はガックリと肩を落とす。

 

「と、とりあえず落ち着くか………」

 

奏は深呼吸をして心を落ち着かせていた。

 

「とりあえず朝ごはん食べましょ?」

 

そうして3人で食卓に向かう。

 

 

まぁ、その他の反応は分かりきっていたが………

 

「なぁ、さとり。夜の間に何があったのか分かるか?」

 

箸を進めながら奏がお姉ちゃんに聞く。

お姉ちゃんは首を横に振り

 

「いいえ、分からないわ。でも、確実に前の不知のやつからかけられたものね…」

 

「まぁ、それは確定してるんだが………」

 

「とゆーか奏ちっさいね!私より小さいじゃん!」

 

「何気にショックだからためらいもなしに言わないでくれお空…………」

 

左手で奏の頭をボンボンと撫でるお空………

 

「まぁ、記憶まで子供にならなくて良かった。とりあえず、外に出て私と弾幕ゲームしてみましょう。もしかしたら戦闘力も落ちているかもしれない……」

 

「それは痛いな………」

 

奏とお姉ちゃんが外に出た。

もちろん他のみんなも…

 

「じゃあ軽い弾幕張るから、刀で切ってちょうだい」

 

「おう、分かった」

 

奏が咲名千里を持つ。

アンバランス過ぎて面白いが、大人時代と変わらないくらい軽やかに持ってる。

それに、構えもいつもと同じだ。

 

「じゃあ行くわよ」

 

バババン……と軽やかな音と共に、お姉ちゃんの魔法陣からピンク色の弾幕が射出される。

 

「ふぅ……」

 

奏は目をつぶり、意識を集中させた。

 

「せぁぁぁ!」

 

いつもより高い声で斬り掛かる。

シュパパパパパパ………とどんどん弾幕を斬っていく。

 

「……どうやら力は同じようね………」

 

「みたいだな……じゃあ……体だけ……?」

 

「そうね………一体なぜ………?」

 

また新たな謎がここに生まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜。

私はいつも通り奏と話す。

 

「はぁ………今日は災難だったよ………」

 

深いため息をついた。

 

「あはははは!驚いてる奏可愛かったなー♪」

 

「うるさいな………」

 

廊下の壁に背中をつけ、二人並んで座っている。

 

「もうこれじゃどっちが年上か分かんないよ………」

 

「前の奏でも私とはあまり年の差無いけどね!」

 

「でも、これじゃさらに………」

 

「奏ちょっと立ってみて」

 

スクっと立ち上がり、奏と背中をぴったんこする。

 

「ちょっと私の方が高い!じゃあ私が今はお姉ちゃんだ!」

 

「俺達は姉弟じゃない!」

 

「いーや?これからは…………………」

 

私は急に黙り込み、少しの間考える。

 

 

 

 

「………ほんとに姉弟になる?」

 

「………は?」

 

と真剣な顔で聞いてしまう。

ぶっちゃけ、お姉ちゃん以外の姉弟、弟か妹が欲しかったのだ………

少し強引かもしれないが……

 

「なろなろ!!絶対楽しいって!」

 

「いやだよ……」

 

「拒否権なーし☆」

 

そう言って私は奏を手を引っ張る。

 

「え?いや、俺は今のままで良いのぉぉぉ………」

 

あれ、なんかデジャヴ………

 

お姉ちゃんの書斎の扉を勢いよく開け

 

「お姉ちゃん!!奏の体が戻るまでの間、小さい奏を私の弟にしていい?!」

 

「…………急に押しかけてきたと思ったら………」

 

何かの仕事中だったのか、羽ペンを持ちながら私に対応する。

 

「ねぇ!いいでしょ?!」

 

「………奏はいいの?」

 

「……へ?俺はちゃんとことわ__…_」

 

「なりたい!って言ってた!」

 

奏の言葉に被せて、大声で言う。

 

「お、おい!?」

 

「奏がそういうのならいいわよ、じゃあ奏は私の弟でもあるのね…」

 

「俺は1度も了承してないぞ?!」

 

「そーゆーこと!じゃ、よろしくね!」

 

また言葉を被せると奏は呆れた顔をして

 

「もうどーにでもなれ…………」

 

私は了承を得て、奏と姉弟となった。まぁ、ほぼ強制だけど……

 

「じゃあ!私のことは「こいしちゃん」じゃなくて「こいしお姉ちゃん」って呼んでね!」

 

すると奏は少し赤面し、目をそらして

 

「分かったよ…………こ、こいしお姉ちゃん…………」

 

あぁ〜可愛い!

そう思いながら、にっこりと笑った。

 

 

 

 

私の「お兄ちゃん」が一時的に「弟」となった。

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