椎名 翔くんで行きますか……
霊夢さんヒロインとして、まだ付き合ってません。
霊夢が一方的に………片思いってやつかな?
そ〜んな淡い恋を描きたい。
いや、ごめん無理。
注意
これはコラボでは、ありません。
恋を形にしたもの
今日は2月14日。
バレンタインデーという行事らしい。
もちろん私。博麗霊夢はそんなこと興味すら湧かなかった。
"今までなら"ね。
現在は博麗の巫女である私にはなかった感情が芽生える。
それが『恋』。
私の恋の矛先は、彼に向いていた。
「さっぶぅ……」
私は銀世界となっている幻想郷を見ながら凍える。
今年は異例の大雪だった。
今日だけら誰もここには来ないだろう。
久々にゆっくり出来る。
あ、そうだ。チョコ作りの続きしようかな?
私は立ち上がり、奥へと入る。
そこには作りかけのチョコレートがボウルに入っていた。
「よし……!」
袖をまくり、チョコを固めようとしたその時だった。
「おーい!霊夢ー!」
「ぴゃぁ!?」
私は体を強ばらせた。
そうして顔がみるみるうちに赤くなっているのが分かった。
彼だ。翔だ。
椎名 翔。私と同じ妖怪退治を生業としている(なってしまった)
同業者だ。
しかし、私はそんな彼を同業者とは見ていない。
そう、あいつに恋をしている。
それはそれは初めてのもので、私も気づいたのは最近だ。
話す度に顔が火照り、口元が緩む。
「ちょ、翔?!おどかさないでよ!!」
「わ、悪い……林檎が取れたから……食うか?」
そう言って翔は林檎を差し出す。
この寒い中よく来たな………
私はチョコをそそくさと片付け、翔の方に向かう。
「あ〜、はいはい、ありがと。切ってやるから座ってなさい……」
「お、さんきゅ」
翔は遠慮のえの字もないくらいお構い無しに床に上がる。
これも心を許してくれてる証拠かな?
と、ポジティブに考えてしまう私がいた。
私は少しニヤニヤしながら、まな板を置いて、翔から貰った林檎の皮をむき、切っていく。
翔の家の林檎は今じゃ幻想郷最高級の林檎で、なかなか高いという。
それを無料でくれるのはやはり嬉しいものだ。
「はい、出来たわよ」
「おー、やっぱり霊夢は綺麗に切るなぁ………俺だったらもっと変な形になる……」
「あんたが下手くそだからでしょ……」
私は肘をついて、面倒くさそうな顔で対応する。
もちろん、こんな態度も仮面だ。
内心めっちゃ舞い上がってる。
「うぐっ……相も変わらず辛辣ですな……」
「あんたが悪いのよ……」
と、素直になれない。
まぁ、仕方ないっちゃ仕方ない………
私はお茶を出すためにもう1度立ち上がる。
すると翔は
「あ、やべぇ!もうこんな時間かよ!わりぃ霊夢!今日鈴仙に呼びたされてるんだ!また後でな!」
「え!?ちょっと!」
翔はかなり急いで出ていってしまった。
確か……今日は2月14日………まさか鈴仙も…………
先を越された………私は肩を落とす。
これで鈴仙と翔が付き合っちゃったら………私はどうすればいいの………?
私は目に熱いものを感じた。
嘘………私泣いてるの……?
こんな事で泣いちゃダメよ私………まだ鈴仙がチョコを渡すって決まったわけでもない!
頑張って今日中に作って、夜にでも渡さないと!
台所へ向かい、全身全霊チョコを作った。
2時間後………
「で、できたぁ………」
私はその傑作を一個食べる。
うまっ…………
チョコは固めてボール状にしたもの、シンプルかもしれないが、これが私の全力だ。
それを可愛い袋に包装し、リボン結びで閉じる。
できた……!
私はそれをすぐに冷蔵庫に入れる。
そして
「よし、後はこれをどうやって渡すか………」
私は顎に手を置いて考える。
翔の事だ。あの鈍感は絶対に本命って言わないと気づかないだろう。だから……思い切って告白するか?
〜〜〜〜〜っ!むりむりむりむりむり!!
私がその場で頭を抱えていると
「あら?エプロンなんか着て何してるの?」
「げっ!紫………」
そこに居たのは隙間から上半身だけを出している妖怪。
八雲紫がそこで首をかしげていた。
「げっ!って何よ……傷ついたわ……」
少ししょんぼりしたような顔をし、私のエプロンに付いていたチョコを見て、にやっと笑った。
「あらあら♪霊夢も恋をしたんですなぁ〜?ゆかりん嬉しいよ☆」
「うっさい!!ほっといて!後ゆかりんやめろ!」
「あれあれ?霊夢ちゃん顔真っ赤よ?」
紫に言われて気づいたが、私は鼻の先まで血のように赤い。
それに気づいてさらに恥ずかしくなる。
「〜〜〜〜〜〜っ!!」
すると紫は扇子を口に当て、上品に笑う。
「まぁ、相手も分かっているし、別に今更いじろうなんて思ってないわよ」
「充分いじってるわよ……」
「ふふっ、まぁ、頑張って、ゆかりん応援してるよ…!」
紫は親指をぐっと立て、応援してくる。
「うん、ありがと……」
「はっ、霊夢が素直………恋の効果は絶大ね……」
「うっさい!早くどっか行け!」
「うふふ♪」
紫はスキマに入っていった。
私は翔を探すことを決意した。
「まだ永遠亭かな……?」
私はマフラーをつけ、外に出る。
極寒の風が私の全身を刺激する。
足を浮かし、飛んで行く。
迷いの竹林に着いたが
「やばい………道がわからない………」
歩いて翔を探そうとしたが、わからないんじゃ仕方ない。
上空から永遠亭に一度寄ろう。
私はもう1度宙に浮き、永遠亭に行く。
永遠亭に行くと、鈴仙が入口に立っていた。
「あ、鈴仙ー!」
「あ、霊夢さん」
私はシュタっと着地し、鈴仙に聞く。
「ね、翔知らない?」
私がそう聞くと、鈴仙は赤面して「うぐっ」と唸る。
やっぱり鈴仙もチョコレートか……
「あし、翔なら、今さっきここから出ていきましたよ」
「あ、手遅れだったか……」
「………翔に何かあるんですか?」
鈴仙が小首をかしげながら私に聞いてくる。
私は堂々と言おうとしたが、やはり恥ずかしく赤面してしまう。
「翔に…………チョコレートを……」
そこで鈴仙は目を見開いて驚く。
「あ、え……霊夢さんも?」
「ええ……鈴仙でしょ?」
すると鈴仙はにやっと笑って
「ライバルですね………まさか霊夢さんもとは……」
「ライバルって………翔はどこなの?」
私は苦笑いをしながら鈴仙に聞く。
「まだここを出て数分ですし、まだ竹林内じゃないですかね?」
「そう、ありがと」
私はそれだけ言い捨て、竹林の方へと走る。
「あ、霊夢さん!」
「ん?何よ?」
そこで鈴仙は少しモジモジしながら、
「し、翔の事、取らないでくださいよ……」
「さぁ、どうかしらね?」
私はもう1度踵を返し、走る。
どこにいるかな……
こんなに走ったのも久しぶりかも………
その数分後。
「!!…いた……」
そこに居たのは、紛れもない、翔の姿だった。
翔の片手には私のではない、鈴仙のチョコがあった。
可愛らしい包装に入っている。
いや、私も負けていないはず……
「翔!!」
「ん?おお、霊夢。今から博麗神社行こうと思ってたんだけど………まぁいいや、どうした?」
え、博麗神社行くつもりだったの?
なら出る必要なかったじゃん………
肩を落とす。
しかし、それはすぐに緊張に塗り替えられてしまう。
やばい………!いつもお構い無しに話していたのに………!
何よ、この鼓動は……!
胸を抑えるが、一向に収まる気配はない。
「あ、えと……その……」
「?」
私は言葉に詰まる。
こんなに言い難いものなの……?
どうして……言葉が出ないのよっ!
歯を食いしばり、必死に言葉を考える。
「お、おい……霊夢………?」
もういい!
流れで渡す!
私はガサっと音を出しながらばっとチョコレートを出す。
「えと……はい……これ…」
「……霊夢…」
「ぎ、義理よ!義理…!これからも同業者としてよろしくって意味で………」
こんなに顔真っ赤になって言っても説得力ないじゃない…
私は内心大泣きである。
しかし、そんな私を見かねたのか、翔は笑顔になり
「お!サンキュー霊夢!嬉しいよ!」
その眩しい笑顔に私はドキッと心臓が高鳴る。
「そ、そう……まぁ、義理だけどね……!」
「わ、分かってるって……」
そう言って翔は私が作ったチョコを開ける。
「あれ、それは食べないの?」
「ん、あぁ、鈴仙が「家に帰ってから食え」って……」
「ふぅーん……」
私は鈴仙の作った袋を見る。
そこには1枚の紙切れが入っていた。
私はそこで察する。
や、やばい……!鈴仙はここで告白する気だ……!
「ね、ねぇ、翔……?」
私のチョコを食いながら翔はこちらを見る。
もういい、このまま流れに任せよう…
「翔はさ……好きな人いないの?」
「…………いるよ…」
もう一度、ドクンと心臓が動く。
一体誰なのだろうか………
いや、今はそんなことどうだっていい………
勇気を出せ博麗霊夢…………
これも博麗の使命よ……………
「あの、さ………」
私はマフラーで顔を隠す。
しかしマフラー越しでもわかるほど顔は真っ赤だろう。
いや、これもどうだっていい。
遠回しは嫌だ。
「好きです………!私の恋人になって下さい……!」
い、言えた………!
私は翔の顔を恐る恐る見る。
翔の顔は私と同じように真っ赤だ。
「れ、霊夢………」
翔は驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になる。
そして優しく包み込む様な声音で
「こちらこそ………俺も霊夢が好きだ………俺の彼女になって下さい……」
その言葉を聞き、私は涙が勝手に出る。
涙ももう何年ぶりだろうか………
感極まって私は翔の胸元に頭を乗せる………
その翔の体が暖かくて………
ずっとこのままでいたくて……
「嬉しい………ありがとう……翔…」
「あぁ………」
鈴仙。悪いけど私の方が先だったようね………
私がそう心の中で鈴仙に伝えると……
翔がこんなことを小声で話した……
「なぁ、霊夢………お前…」
「ん?」
「砂糖と塩、間違えてないか?」
瞬間、世界が止まった。
その翔の顔から見て、私が間違えたのは確実だろう……
私はもう1度耳の先まで真っ赤に染まる。
砂糖と塩を間違えるという、完全なテンプレ展開である。
「え、えええええええええええ!?」
私が慌てる様子に翔は笑う。
「あはははは!!いい思い出だよ!」
「ふみゅう…………」
私は撃沈したかのように肩を落とす……
は、恥ずかしいっ!
しかし、翔はそんな私でも受け入れいくれた。
「俺は完璧なようでどこか抜けてる霊夢が大好きだぞ?」
「そ、そういうことを躊躇いもなしに言わない!」
「あはははは!可愛いなぁ…」
「うっさい!」
私と翔は博麗神社までずっと手を握り、互いの温もりをずっと感じていた。
バレンタインデー特別編
恋を形にしたもの ~博麗霊夢特別編~
end……
ハッピーバレンタイン!
皆さん、チョコは貰いましたか?
もちろん私は………
世界はやはり理不尽。
咲夜編はまた明日にします!
ごめんなさい