テイルズ技入れたには入れたけど………中二くせぇ………
まぁ、気にしないでください。
私は体が一切動かず、ただ奏達の戦いを黙って見ていた。
お姉ちゃんやお空達は人里に出た不知の集団を倒しに行った。
私は近くの大木にもたれ掛かり、それを見ていた。
こんなにレベルの高い戦いを私は見たことがなかった。
光の刃で負った傷が、未だにズキズキと痛む中、清籟は俺に追撃を叩き込んできた。
「くっ!………………「アサルトダンス」!」
俺も連撃で清籟を攻撃する。
二撃は清籟の肩を斬った。
しかしそれ以外は全てスカ。
「ふふっ、愛原も所詮はただの妖怪…………」
嘲笑するように俺を見下す。
もう俺との戦いに飽きたのか、ため息をついて、右手を空にかざした。
「奏くん!避けて!!」
千里が叫ぶ。
「無駄よ!「インフィニットグラビティ」!」
巨大な暗黒球の重力によって俺は吸い込まれていく。
刀を地面に刺し、これ以上動かないようにした。
数秒経つとその暗黒球も消え失せ、清籟は次の技に入ろうとしていた。
おかしい………
俺はそこでいくつかの疑問を考えていた。
なぜ霊夢たちが来ない………………不知は人里に集中しているが………全くもって霊夢たちの妖力が感じられない。
今人里にいるのは…………さとりお姉ちゃんとお空達だけか…………
それに………なぜこんな賭けをした?
清籟の狙いは古明地だったはず………なんで俺に勝負を挑んできたんだ?
考えているうちに清籟は上空から襲いかかってきた。
清籟の魔法剣と俺の咲名千里が甲高い金属音を立てながら当たる。
「すごい……………」
私は清籟と奏のぶつかりあいを見て、思わず感嘆の声を上げてしまった。
周りには、底辺妖怪なら死んでしまうほどの妖力の威力。
周りの木はどんどん妖力によって枯れていっている。
しばらくすると傷が治り、私は奏の所に走ろうとする。
「奏!」
私は前線に入ると同時に、スペルカードを唱えた。
「スペルカード!本能「イドの解放」!」
弾幕を射出した瞬間、奏の焦る声が聞こえた。
「ば、バカ!!来るな!」
すると清籟は奏から離れ、私に標的を移した。
「……………ふふっ………古明地はやはり愚かね………………
出でよ…………原罪の特異点………虚無と永劫を交え、弾けて潰せ………」
人差し指を点に掲げ、さっきの技を同様に暗黒球が姿を現す。
しかし、どう見たって妖力も規模も桁違いだ。
そして、清籟はこう叫んだ。
「イベントホライズン!!」
眩しい光とともに、大爆発が起こった。
私も奏も超近距離にいたので被害は免れない。そう思った。
私はそのまま数十m吹っ飛ばされ、大木に背中を打った。
体をみても、吐血するほどでもなく、どこか大怪我をしているわけでもなかった。
「なんで………あれほど近距離で当たったのに………」
切り替えて奏を探す。
すると丁度真正面に奏はいた。
私は駆け寄った。
「か、奏!大丈夫…………?」
奏に応答はない。
奏の足元を見ると…………ポタポタと、何かが落ちる水滴音が聞こえた。
「……………え…………かな、で…………?」
私は奏の姿を見て、言葉を失う。
真っ赤に染まった上着、頭からも出血している。
そして…………奏のその小さな体に真っ赤な鮮血が染まっている。見るも無惨な姿。とはこのことを言うのだろう。
「………こいし…………おねえ……………ちゃん………」
ヒューヒューと浅い呼吸をしながら、こちらを振り向く。
その刹那、奏はバランスを崩し、そのまま私の方に倒れ込む。
「奏!奏!……………千里!どこ?!」
すると、刀から物凄い勢いで千里が飛び出してきた。
「こいしちゃん!今から奏に全力の回復魔法かけるから少し離れて!」
「う、うん!」
奏を千里に任せ、私は清籟の方に向き直る。
「あらあら、そこのガキはもう力尽きたようね?」
「…………奏が……いなくても……………私がなんとかする!」
後方に魔法陣を展開し、弾幕を撃ちまくる。
「スペルカード!「サブタレイニアンローズ」!」
一瞬にして私の弾幕は消え失せる。
こんな相手にも…………私は勝てないのか………
「…………ついでに古明地も殺しとくか…………」
小声で清籟は何か言った。
私には聞こえなかったが無視して弾幕を打ち続ける。
「…………「サンダーブレード」………」
そう唱え、雷電を纏った巨大な剣が私めがけて飛んでくる。
もうダメか……………
「ディストールノヴァ!」
清籟が発動させたサンダーブレードは……………私の目の前で真っ二つに割れ、消え失せた。
「か、奏?!」
もう回復したの!?
私は改めて千里の妖力と奏の生命力には驚いた。
奏の体には傷一つない。
服が破けているだけだ。
「下がって!こいしお姉ちゃん!」
「う、うん!」
私は奏に言われた通り、後ろに飛び乗りサポートに回るようにした。
しかし、奏が清籟と唐突に会話を始めた。
俺は千里に回復して、清籟を攻撃する前に疑問を清籟に聞いた。
「なぁ、清籟」
「なにかな?」
「…………不知は今何人いる?」
清籟は小首をかしげ、こう答えた。
「まぁ、200人ちょっとかな?」
「そうか……………それは分散しているのか?」
「ええ」
じゃあ霊夢たちは分散した不知を倒しているのか?
ぶっちゃけ、この質問はどうだっていい。
気になるのは二つ目だ。
「どうして俺たちを狙う?不知の今回の戦いの標的は古明地だったはずだ。どうしてだ?」
清籟はにやっと笑い、こう答えた。
「そうねぇ…………あの手紙の内容は……はっきり言ってフェイク。本当の理由はね………」
一呼吸おいて、俺は清籟の口から思いもよらないことを聞く。
「「裏世界転移………」それが不知の目標よ」
ここまでの戦いが裏世界なんて単語が出るとは…………
「…………裏世界に行く条件は?…………」
「……人柱が必要なのよ………」
「……なるほどな」
俺はそこで完全に理解することが出来た。
しかし、もう一つ疑問が生まれる。
「裏世界に行く理由は?」
「幻想郷は穢れすぎた。それに、倉見という相棒がいなくなった今。幻想郷にいる理由もない。ただそれだけよ」
てことは
裏世界に行くために……………千里を……人柱として利用し、ゲートを開くって事か…………
「まぁ、もちろん俺も千里も負けるつもりは無い。行くぞ」
「私は絶対にあなたには屈しないわよ!清籟!」
俺と千里は同時に清籟を睨みつけ、戦闘態勢に入る。
前に飛び、俺は全力で清籟の脳天を突き刺す。
ピンク色の壁が障害物となり、咲名千里は清籟の手前で止まる。
「せあぁぁぁぁぁぁ!!」
発火現象を纏った炎の刀を10連撃ほど清籟に叩き込み、さらに追撃を与える。
この技はなかなか効いたのか、清籟は後ろに仰け反る。
「………命に変えても、千里は貰うわよ!」
「断る!千里は俺達の家族だ!お前らには渡さない!」
「……出でよ!原罪の特異点!虚無と永劫を交え、弾けて潰せ!」
さっきと同じ詠唱をする。
「イベントホライズン!」
俺もさっきのようにはなりたくない。
刀を握り直し、大きく振り上げる。
「行くぞ!鳳凰天翔駆!」
炎を纏い、イベントホライズンを斬り裂く。
「奏くん…………!」
千里が刀から呼びかける。
「…………なんだ!?」
「………………絶対に勝って…………ね」
祈りにも似た声で千里は静かに呟いた。