東方想幻華 (一時連載休止)   作:かくてる

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申し訳ありません。

手違いで執筆中の小説を投稿してしまいました。


15話 夜空の悲しみ

6月28日。

奏と千里がこの世を去ってから2日が経った。

幻想郷には再び元の形へと戻りつつあり、私たち古明地姉妹は一躍幻想郷の英雄となっていた。

人々の私たちを見る目を変わり、今では尊敬の眼差しを送る子供もいる。

しかし、その当の地霊殿組はそのテンションとは裏腹に完全にどんよりした雰囲気を作っていた。

 

 

 

 

 

私は自室へこもり、抜け殻のようにベッドに座っていた。

別に生きる気力を失ったわけでもなく、鬱になったわけでもない。

ただ、何もかもやる気が出ないのだ。

奏や千里がいない。

それだけで私の体は動こうとしない。

 

「ほんとに私…………何やってるんだろ………」

 

2人ともきちんとした別れ方をすることが出来た。

別に後悔もしていない。

いや………………後悔はしてるかな…………

 

すると、ドアが軽快な木製音を立てながら2回響く。

 

「こいし様………夕食のお時間ですが…………」

 

「いい………」

 

「し、しかし、昨日も食べてないですし……そろそろお体に障りますよ…………」

 

「大丈夫だから!!……………今はひとりにさせて……」

 

お燐でさえもこうやって追い払ってしまう。

どうやら私は精神的に大ダメージを受けたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん………」

 

「何?」

 

「ちょっと妖怪の山に行ってくる………」

 

「…………一人で大丈夫?」

 

「うん」

 

私は奏と千里の形見を探すために妖怪の山へと向かった。

どう考えたって形見なんかあるわけない。

そんなこと分かりきっているのだ………

しかし、何故かその場へと足を運びたかった。

 

数分で妖怪の山に着いた。

当たりはもう真っ暗で静かな夜風だけが私の体を刺激する。

私は清籟との戦いで荒れた広場を散歩する。

 

ここに来たら心が安らぐ。

なんか隣に2人がいるみたいな感じで………

 

そのままふらふらと歩いていると、月明かりに輝く一つの何かが遠くに見えた。

 

「?………なんだろ……」

 

小走りでそのものへと駆け寄り、その物体をまじまじと見つめる。

 

「これは………咲名千里……?」

 

そう、そこには奏の愛刀で千里の体の拠り所でもあった、妖刀「咲名千里」が地面に突き刺さっていた。

確かに、あの後咲名千里がどこに行ったのかは把握していなかった。

 

「じゃあ…………これはほんとに……」

 

紫色の柄に少し青みを帯びた刀身が半分地面から突き出ているように見える。

 

「形見を探してたわけじゃないけど………」

 

私はそう吐き捨てて咲名千里の柄を握った。

少し力を入れただけですぐに抜けた。その理由は……

 

「あ…………折れてる……」

 

咲名千里は柄から約40センチほどで途切れている。

あれだけの大技を叩き込んだのだから折れるのは当たり前だろう…………

 

私はその刀を握ったまま地霊殿に帰ろうとした。

 

「こいし………」

 

名を呼ばれ、私は後ろを振り返る。

 

「お、お姉ちゃん……」

 

そこにはお姉ちゃんがぽつんと1人だけ立っていた。

 

「…………付いてきたの?」

 

「そんなわけないでしょ。心配だから今来たばかりよ」

 

片目をつぶり、そう言い放った。

 

「………………少し…地霊殿が寂しくなっちゃったわね……」

 

お姉ちゃんのか細い声がさらにか細くなる。

 

「元のメンバーに戻っただけなのに………なんかポッカリ穴が空いちゃったみたい………」

 

「そう………だね……」

 

すると、お姉ちゃんは少し移動して傾斜のある芝生に座った。

そしてその隣をポンポンと叩き、

 

「一緒に座りましょ?」

 

「うん……」

 

私はその場所にストンと座った。

 

「綺麗ね………」

 

「……うん……ほんとにキレイ……」

 

今の星空は何時間見ても飽きないほど優雅に広がっていた。

その中心には大きな月がある。

 

私はそれを見て少し悲しくなる。

 

「私……………いつか奏たちの事忘れちゃうのかな………」

 

「え?」

 

私の急な問いかけにお姉ちゃんは少し戸惑う。

咲名千里を夜空へかざして

 

「この刀を形見として持っても部屋の角で埃かぶって放置されるだけ…………」

 

「こいし………」

 

「そんなの………絶対に嫌だ……!」

 

歯を食いしばって握る力も強める。

すると、柄を握っている手にお姉ちゃんの左手がふわっと触れる。

 

「お姉………ちゃん……?」

 

「………そんなものよりもいい形見があるじゃない…」

 

そう言って、お姉ちゃんは空を指さす。

 

「……?」

 

私は理解することが出来なかった。

 

「……分かる?」

 

「いや、全然………」

 

すると、お姉ちゃんはふっと微笑んで

 

「奏達が命を落としてまで守ったもの。奏達が負けていたら、私達はこの夜空を見ることは出来なかった」

 

そのまま淡々と言葉を並べる。

 

「この夜空も…………幻想郷そのものも……奏達が命を落としてまで守った結果なのよ………」

 

私はそのお姉ちゃんの言葉を一言一句聞き逃さずに聞いていた。

 

「……そうだね……………でも……やっぱり…別れたくなかったなぁ…………」

 

私は頬に涙が流れる。

 

「私もよ………彼らとは…上手くできそうだったのに……」

 

私は涙を拭き

 

「……うん、唯一私たちを怖がらなかった人だもんね……」

 

「まぁ…ちょっと驚かれたけど…」

お姉ちゃんが苦笑いする。

 

「あはは……まぁ仕方ないよ……」

 

するとお姉ちゃんはにやっと笑い

 

「あなた……奏のこと好きだったんでしょう?」

 

「へ?!な、何のことかな〜」

 

私は顔を赤くしてしらを切る。

 

「顔に出すぎだってば……」

 

クスクスと笑うお姉ちゃん。

私もそれにつられて笑う。

 

私は奏が死んでからのもやもやが消えた気がした。

 

「ねぇ……お姉ちゃん…」

 

「なぁに?」

 

「もう一度……奏に会うことは出来ないのかな……」

 

「……死んでいるのなら地獄か冥界にいるんじゃないかしら………ごめんなさい、私もよくわからないわ」

 

「そっか………」

 

もう奏や千里には絶対に会えない。

私はその時改めてそれを実感した。

 

悲しいけど…………これも運命ってやつなのかな……

 

 

 

奏………千里…………

今まで本当にありがとう……

あなた達が命を代償にしてまで守ってくれたこの幻想郷で私は精一杯生きるよ。

絶対に不幸なんかに屈しない。

これも………楽しいことの壁………って考えればいいよね!

本当にありがとう……………大好きだよ……

 

 

 

その心の中でメッセージを贈る。

 

私は両頬を自分の手でバチンと叩き、お姉ちゃんを見る。

 

「さ!帰ろうお姉ちゃん!晩御飯冷めちゃうよ!」

 

そう言って、お姉ちゃんを置いて先に麓へと走る。

咲名千里は握ったままだ……

埃かぶってもいい…………咲名千里が何かのきっかけとなることを私は願っている。

自分だけじゃない。周りの人全員が幸せになれるような……

これは……私の想い人が残してくれた……贈り物なのだから……

すると、背後から大好きな姉の声が聞こえる。

 

「あ、ちょっ!待ちなさいよこいしー!」

 

すると、数秒でお姉ちゃんは私に追いついてきた。

私達は走りを止め、歩く。

 

「んもう………急に走らないでよ……」

 

「あはははは!ごめんごめん…」

 

 

こうして私たち古明地姉妹は手を繋ぎながらゆっくりと妖怪の山を降りていった。

その時の私の顔は………笑顔だった。




短めですいません



前書きでも書いたように思いっきり変更しています。
手違いでしたので……
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