東方想幻華 (一時連載休止)   作:かくてる

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17話 久しぶりの幻想郷

俺と千里は見覚えのある場所に着いた。

 

「ここは………」

 

俺はあたりを見渡して千里に言う。

すると千里はコクっと頷いて笑顔になる。

 

「私達と清籟が戦った妖怪の山。つまり無事に幻想郷に着いたって訳ね」

 

「良かった………」

 

俺はひとまず幻想郷に来れたことに安堵の息を吐く。

 

「しかし………ここからどうしたらいいもんか……地霊殿に行くか?」

 

「まだ行かない方がいいと思う。こいしちゃん達の悲しみが消えないうちは私達が本物だって信じてくれないんじゃないかしら………」

 

「……なるほどな……………」

 

「あれ?奏さんと千里さん?」

 

後ろから聞き覚えのある声が聞こえる。

 

「え?早苗さん?」

 

空に浮いていたのは紛れもない、守矢神社の巫女、東風谷早苗さんだった。

そうか………ここは妖怪の山だ…

早苗さんがいてもおかしくない。

 

「あなた達…………本物ですよね?」

 

早苗さんが疑いの目をこちらに向けてくる。

 

「あぁ……そうだな…………」

 

俺は早苗さんの前で指を鳴らす。

すると、俺の指先に炎が出現する。

これは俺の「現象を操る程度の能力」で出した発火現象の一つだ。

 

「本物………ですね……」

 

すると早苗さんはふっと微笑んだ後、大きなため息をついた。

 

「この異変の宴会の時、地霊殿組かなりどんよりしていたんですからね…………話しにくかったですよ………」

 

「お、おう、ごめんなさい?」

 

疑問形になりつつも俺は謝罪する。

 

「まぁ、とりあえず人里に行くよ……」

 

千里が俺の手を引いて言う。

 

「あの、おふた方!」

 

大きな声で呼ばれる。

俺と千里は足を止め、再び早苗さんの方を向く。

 

「お昼時なのでお腹も空いているでしょう!守矢神社でご飯食べませんか?」

 

俺は千里の方をチラッと見る。

 

「いいわよ。どうせ行き場なかったし」

 

「じゃあお願いしようかな…早苗さん」

 

「はい!では守矢神社まで案内します!」

 

そう言って、俺と千里は早苗さんのあとを付いていき、守矢神社に着いた。

 

「久しぶりに来たな………」

 

俺は守矢神社全体を見てその懐かしさに驚く。

 

「諏訪子様!神奈子様!幻想郷の英雄お2人を連れてきました!」

 

早苗さんは元気よく戸を開け大きな声で神様ふたりを呼ぶ。

 

「およ?本当に奏かい?」

 

いきなり俺の背後から声がした。

 

「うお!?」

「きゃっ?!」

 

二人同時に飛び上がる。

心臓が今もドクドクとなっている。

 

「す、諏訪子さん…………驚かさないでくださいよ………」

 

「あはは♪その調子だとどうやら本物のようだね!」

 

大きな口を開け、俺の肩に手を乗せる。

 

「疑ってたんですね………」

 

「そりゃそうさ♪だって死んだものかと思ったんだもん!」

 

まぁ確かにそうか………俺は心の中で納得する。

 

「そう言えば諏訪子ちゃん。神奈子ちゃんは?」

 

千里が思い出したかのように諏訪子さんに聞いた。

諏訪子さんは少しの間考え、こう答えた。

 

「…………寝てるんじゃない?」

 

「なんで知らないんすか……」

 

俺は呆れたように肩を落としながら言う。

 

「なぁ、千里。お前神奈子さんに何か用があるのか?」

 

「あぁ、別にそんな重要じゃないよ………ただ私たちがいなくなった後、幻想郷と清籟の行方を知りたくて……」

 

「それはあたしじゃダメなのぉ………?」

 

諏訪子さんが大粒の涙を流しながら千里に泣きつく。

 

「あぁ、まぁ諏訪子ちゃんでもいいけど…………神奈子ちゃんの方がいいかなって……」

 

「あはは…………」

 

「仕方ないな…………神奈子ー!」

 

諏訪子さんが大きな声でもう1人の神様を呼ぶ。

 

「おーい!寝ぼけてんのー?」

 

いつまで経っても返事がない。

諏訪子さんはそれに少し腹を立てたようで

 

「おおーい!ババァ!耳遠くなったのかー!?」

 

さっきよりも大きな声でなおかつ凄く挑発気味に言う。

すると諏訪子さんの背後からピチュンっと小さな音を立てながら一つの弾幕が飛んできた。

 

「あ、諏訪子さん危ない…」

 

「へっ?」

 

諏訪子さんは声を出す前に目の前で弾幕とともに大爆発した。

すると上から例の神奈子さんがふよふよと浮いていた。

 

「おや、久しぶり。奏……」

 

「ご無沙汰してます。神奈子さん」

 

俺は一礼する。

するとその隣で千里が俺よりも一歩前に出て神奈子に言う。

 

「ねぇ、神奈子ちゃん。私たちがいなくなった後の事教えて?」

 

「あぁ、もちろんいいぞ、とりあえず中に入ろうか……」

 

神奈子さんはスーッと下に降りてきて諏訪子さんを下敷きにした。

 

「ぐぇっ!」

 

「おおっと済まない諏訪子♪”ババァ”だから諏訪子が見えなかったよ♪」

 

笑顔で対応している。

俺はその時に一瞬で理解出来た。この人怒らせたらあかんヤツや………

 

 

そのまま神社に入り、椅子に座る。

 

「さて、まずは清籟の行方について話そうか」

 

「うん、お願い」

 

「お願いします」

 

一呼吸おいて神奈子さんは真剣な顔付きで話す。

 

「清籟は奏のラストスペルで完全に消滅した………それはもう細胞の一つも残らないほどに……」

 

「そうなんですか?俺はてっきりまだ生きているのかと……」

 

「いや、清籟が死んだおかげでその他の不知達は伝達機能が失われ、分散して逃げていっていたので倒しやすかった………」

 

案外……………清籟が1人で力をつけていた感じだな…………部下の統率力がまるで無かったみたいだ……

 

「うーん…………後は君たちがいなくなった後の現状だね…まず幻想郷バランスについて………これは少し博麗大結界に傷がついた程度、今では修復も完了している」

 

「まぁあの戦いでそれくらいの傷ならおいしいほうですね……」

 

「あぁ、それ以外は何も変わっていないよ…」

 

「そっか………」

 

丁度その会話が終わった時、早苗さんの声が聞こえてきた。

 

「ご飯できましたよー!食卓に来てくださーい!」

 

「じゃあ行こうか」

 

「はい」

 

食卓に向かうとそこにはザ、日本料理という感じのものが沢山出てきた。

今は夏なのでそうめんなど美味しそうなものが沢山ある。

俺達は合掌をし、箸を手に取る。

色々なものを頬張った。

 

「…………美味い………」

 

正直な感想が言葉に出た。

 

「そうでしょうそうでしょう?」

 

早苗さんは腰に手を当て、えっへんとドヤ顔をする。

 

「ほんとに美味しいわね………」

 

俺と千里はその美味しさに呆気に取られた。

そのまま20分ほどで食べ尽くした。

 

 

 

 

 

「フゥー……ご馳走様でした!」

 

「はい、お粗末さまでした」

 

すると、早苗さんが手際よく食器を片付けてくれた。

 

「ね、奏くん」

 

「ん、なんだ?」

 

「こいしちゃん達にもさ、さっきみたいに現象のやつ使えば信じてくれるんじゃないかな?」

 

「俺もそれ思ってたんだ………」

 

「……行く?」

 

千里は少しとまどいながらも俺を誘う。

 

「そうだな、行こうか」

 

「行先は決まったのかい?」

 

神奈子さんが片目をつぶりながら話しかけてくる。

 

「はい、色々ありがとうございました」

 

「いやいや、私達は何もしてないよ………」

 

両手をブンブンと振って否定する。

 

「………またいつでも守矢神社に遊びに来てね…」

 

「はい、では、お邪魔しました」

 

そう言って、俺は戸を引いて外に出た。

日光が俺の体を刺激する。

周りのセミの音がそれをより一層引き立たせている。

 

「暑いな……」

 

「ほら!弱音を吐かない!!ちゃっちゃと歩く!」

 

背中を千里がバンバンと叩く。

 

「…………飛んでいいか?」

 

「ダメ!ただでさえ体力衰えてるんだから!」

 

「でもお前は飛んでるじゃん………」

 

千里はいつものようにふよふよと浮いている。

 

「私はいいの!」

 

「ええー………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな会話をしているうちに地底についた。

そのままテクテクと20分ほど歩いていると一つの大きな屋敷が見えた。

 

「なんかここに来るのも久しぶりだな…………4日ぶりくらいか?」

 

 

「そうね………大体そのくらいかな……?」

 

その屋敷の全体を見渡す。

久しぶりに実家に帰ってきた感がある。

俺はこの気分は嫌いじゃない。

心が和らぐ感じがする。

 

そう言えば……初めてこいしお姉ちゃんと会ったのもここだっけか………

 

「門の前…だったよな……」

 

「何が?」

 

千里がひょこっと顔を出す。

 

「いや、何でもない……………入るの怖いけど………頑張るか…」

 

近寄ってドアノブに手をかけたその時。

 

 

 

 

「…………誰?」

 

後ろから……愛しいあの人の声が聞こえる。

俺は振り向くのが正直怖かった。

本当にあの人なのか………あのひとじゃなかったらどうしようか………

そんなことを思いつつも俺はゆっくりと振り返ってしまう……

 

 

 

 

 

 

「こいし………お姉ちゃん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺とこいしお姉ちゃんは再び同じ場所で出会った。

 

 

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