コラボも終了し、今回からまた本編に戻ります!
咲夜編!
見事最終アンケートで妖夢を下しましたね。
あと一々千里ちゃんって呼ぶと狂うからこれから「咲」ちゃんの人称で行きましょか。
1話 紅い館、メイドとの出会い
「うおお?!」
次々と来る弾幕を俺はただひたすらに避けていた。
「ほら!奏くん!しっかりとグレイズを稼ぎなさい!大まかに避けすぎよ!」
「んな事言われてもなぁ……」
今俺の目の前にいる少女、愛原の妖刀「咲名千里」の自称人柱「片波 咲」によって訓練をされている。
ついさっき幻想郷とかいう場所に飛ばされ、咲と出会い、今は「幻想郷で死なないための特訓」をしている。
なかなか面倒なことに巻き込まれたんだな……
そんなことを考えていると咲の魔法陣からは想像もしたくないほどおぞましい量の弾幕が張られる。
まぁ、当たるよね。弾幕初心者にこれを避けろなんて言われても無理だもん。
「いってぇ!」
俺はそのまま地上に落下し、頭を打つ。
弾幕が当たったお腹と落下によってぶつけた頭が同時に痛む。
俺はお腹と頭を両手で擦りながら痛みに耐える。
「んもう……だらしないわね…本当に愛原の子なの?」
「そうだよ……悪かったな…」
腰に手を置いた咲が呆れた顔でため息をついていた。
俺もそれと同時に深い息をつき、立ち上がる。
立ち上がるのにも少し痛みがあるが、これくらいどうってことない。部活で鍛えられてるからな。
「さて、奏くん……君、住むところは?」
「はぁ?んなもんねぇよ。とゆーか無一文だわ」
「ええ…」
咲は肩を落とし、俺に背中を向けてこう言った。
「人里に行ってバイトを探すわよ。無一文で困るのは君なんだから」
「はぁ?!なんで俺が働かなきゃ………………それしかないか……」
咲の意見に反対したいところだが、お金がなくて困るのは確かに俺だ。その案に賛成するしかなかった。
「じゃあその人里とやらに行きますか」
そう言って俺達は自然に満ち溢れた細い道をゆっくりと歩く。
「あぁ、腹減った…………」
「な、なんでバイト受け入れてくれないのよ……」
俺達は人里で働き口を探していた。
もちろんチャンスは何度でもあったが、全て断られた。
その理由は「妖怪はちょっと………」というのが殆どだ。
とゆーかそれが全てらしい。
「俺のどこが妖怪なんだよ………」
「あら?知らなかったの?あなたは「龍人」という幻想郷古参の最強クラスの妖怪なんだよ?」
俺はその咲の言葉に絶句する。
「い、いや、俺はあっちの世界ではずっと人間だったぞ?」
「あなた達「愛原」は元々幻想郷にいたのよ。それなのに急に私の依り代ごと外の世界に逃げちゃったんだから…………ずっと女神様のところにいたから別に良いんだけど……」
俺は咲の言っていることがイマイチ理解出来なかったが
「とにかく、俺は妖怪だったってことだな?」
「まぁ、そういう事、詳しいことは後々分かるわよ」
と、ここまで会話をしてきたが今は口を開くのが精一杯だ。
お腹がギュルギュルと別の生き物みたいに叫んでいる。
なんでもいいっ!なにか食べ物を口に入れたい!
俺は近くのベンチでなるべく動かないようにして体力消費を少なくする。
「しっかし………座ってるだけじゃお金は来ねぇしな………」
「んねぇ、奏くん……私もお腹空いちゃった………」
「俺もだから我慢しなさい……」
あぁ……せっかく別世界に来たのに……すぐに飢え死んじゃうぞ…………サヨナラ…俺の人生………
俺の目からは少量の涙が流れる。
やばい…………腹減りすぎて逆に腹が痛い…………もう無理だ…俺死んだわ……
傍観気味になっていたその時だった。
「あの、大丈夫ですか?」
俺は唐突に声をかけられ、立ち上がりながら声の主の方を見る。
そこに立っていたのは、俺と同じ銀髪。身長は俺よりほんの少しだけ低め、明らかにメイドと言わんばかりの服装を身につけ、頭にはフリルのついたカチューシャを頭の輪郭に沿ってくっついている。太ももには数本のナイフ、痛くないのかな?それよりなんと言っても美しい、可愛いし美しい。
「え、あ、あの……」
俺が返答に迷っていると
「あの、家で料理食べます?」
俺はその「料理」という単語を聞いて、顔のパーツを全て入れ替えたかのように明るくなる。
「ま、マジすか?!」
「本当?!」
俺と咲のその変わりように、銀髪のメイドさんも少し引き攣っていた。
「え、ええ……では、案内します……」
俺と咲は銀髪のメイドさんに連れられ、人里を外れ、少し歩いた。
森を抜け、一つの湖が姿を現す。その後ろには
「でっけぇ………」
「凄い………」
二人同時に感嘆の声を漏らす。
そこにあったのは紅い館。
館のイメージを破壊するかのような大きさとその建物の美しさ。日本にはまず存在しないだろう。
俺達はそれを凝視しながら銀髪のメイドさんを追いかける。
門のすぐ側まで行き
「ほーら、美鈴!何寝てんのよ」
銀髪のメイドさんの前には肘をついて寝ている赤毛の中華風の女性。メイドさんに負けず劣らずの綺麗さだ。
しかし涎を垂らして爆睡している。
それをメイドさんは赤毛の人の頬をペチペチ叩きながら怒っていた。
「……んう?……………いっ?!さ、咲夜さん……」
その赤毛の人は見つかったと言わんばかりの顔でメイドさんから距離をとる。
「緊急のお客様よ。自己紹介は後にしてね」
「は、はい」
そう言うと、赤毛の人はギィーとゆっくり門を開ける。
広大な庭を縦断し、大きな玄関の扉を開け、その館へと入る。室内もまた紅。
しかし残酷な紅ではなく、鮮やかな目を奪われる色。
これをまたゆっくり見てみたいが、生憎と今はそれどころじゃない。お腹が空きすぎて何も考えられなくなった。
すると食堂らしきところに着き、メイドさんは
「では、ここで座ってお待ちください」
俺と咲は言われた通りに座る。
俺はレストランとかのこう言った待ち時間は嫌いではないが、今だけは早く来て欲しいと願っていた。
しかしそう思っていたのも束の間。すぐに料理が来た。
「お待たせいたしました」
その料理はまた鯖のムニエル、クロワッサン、ミニストローネと洋風な食事が出された。
まだまだ湯気がたっている。できたてだろう。
俺と咲はそれを口に頬張る。それを見てメイドさんは驚いていた。
「そ、そんなに空いていらしたのですね……」
「
口に食べ物を入れながら俺は口を開く。
「た、食べてからで結構ですので……」
「
俺と咲はただひたすらに出された食事を夢中で食べていた。
「いやー、ご馳走様でした。美味しかったです」
俺はいっぱいになったお腹をポンポンと叩き、満足げにメイドさんにお礼を言う。
「満足していただいたのなら良かったです」
するとメイドさんは姿勢を正し
「自己紹介が遅れました。私は十六夜 咲夜。ここ、「紅魔館」のメイド長を務めさせてもらっています」
唐突な自己紹介に俺もすぐさま対応をする。
「あ、えっと、愛原 奏です。実はまだ幻想郷に来て数時間しか経っていません。「龍人」らしいです」
「片波 咲だよ。奏くんの持っている刀 「咲名千里」の人柱。妖怪だけどなんの妖怪かは知らない!」
全員が自己紹介をすると、咲夜さんの背後に何かのシルエットが浮かんできていた。
「あら、お客様かしら?」
その悠長な口調とは対照的な小さな体。
青みのかかった銀髪。
身長はかなり小さいが、背中には漆黒の翼があるため、シルエットは大きい。
ナイトキャップを被っていて、何よりその真紅の瞳が見るものを吸い込ませるような感覚になる。
「あ、えと、咲夜さんに料理を振舞ってもらいました」
「人里で死にかけていたので、料理を出しました」
「そう…………あなた………あの有名な愛原の子孫?」
少女の予期せぬ言葉に俺は言葉に詰まる。
「へ?俺がですか?とゆーかなんで名前知ってるんです?」
すると少女は俺の隣をスッと指差し
「その刀……「咲名千里」よね?」
「そ、そうですけど……」
その少女は少し目を見開くが、すぐに落ち着いて
「紹介が遅れて申し訳ない。私はレミリア・スカーレット。紅魔館の主にして吸血鬼よ」
「あ、愛原 奏です」
「私は片波____」
「咲ね」
咲に被せるようにレミリアさんは言う。
それに俺と咲は驚きを隠せない。
「な、なんで……知ってんの?」
「まぁ、詳しい話は後でしましょう。そんなことより……」
レミリアさんは一呼吸置いてこう言った。
「あなた住むところ無いわよね?」
痛いところを突かれ、俺は縮こまる。
「うぐっ………はい……」
レミリアさんの頬が緩み、優しそうな笑顔でこう告げた。
「いいわ、ここに住まわしてあげる」
「ほ、ほんとですか?!」
「ほ、本当?!」
俺と咲は飛び上がるように質問する。
それにも動じず、レミリアさんは言葉を続ける。
「もちろん、条件付きでね」
「じ、条件ですか?」
レミリアさんは人差し指を真上に向け
「一つ、もっとフレンドリーになること」
「へ?」
「一つ、敬語をやめること」
俺はレミリアさんの言っている意味か最初分からなかったが…
「一つ、私のことは「レミィ」と呼ぶこと」
「そ、それってつまり…………」
俺は完全に理解した。
「私の友人であり、家族となりなさい」
まぁ、悪くないことだが少々気が引ける。
「………レミリアさんって友達いないんですか?」
その一言にレミリアさんは少し動揺する。
「そ、そんなことないわよ!ただ単にあなたとは仲良くなれそうな気がしたのよ。咲夜。奏と咲の部屋を妖精メイド達に手配させてちょうだい」
「かしこまりました…」
そう言って咲夜さんは食堂から消える。
「とにかく詳しい話は明日ってことで、私はもう寝るから……」
小さな欠伸をしながらレミリアさんもここから立ち去る。
いや、道わかんないんすけど………
行先に迷っていたら、先ほどいなくなった咲夜さんがまた姿を現す。
「お待たせいたしました。奏様、咲様。お部屋へ案内いたします」
俺と咲は咲夜さんのあとを付いていき、4階のど真ん中のドアの前にたどり着く。
「此処でございます。後はごゆっくりお過ごしください」
一礼し、咲夜さんはまたいなくなった。
カチャッ……と軽快な音とともにドアが開く。
壁も1面紅色。
奥には豪華なベッドがある。
その手前には書斎らしきものが並べられており、高級ホテルと言った感じの部屋だった。
「凄い所に来ちゃったね、奏くん…」
「だな……まぁ、悪いところじゃないし……レミリアさんとも咲夜さんとも仲良くなれそうだ……」
俺はベッドに仰向けになり、そのまま深い息を吐く。
柔らかいベッドに俺は少し眠気に襲われた。
現時刻は午後の9時。
いい時間帯だ。
「まぁ、明日に色々調べようか…おやすみ、咲………」
「うん……おやすみぃ……」
俺はその場で瞼を落とした。
明日から始まる紅魔館の生活に楽しみと同時に胸騒ぎがしていた気がした。
咲夜編!
こいし編から学んで、長編にした方が物語構成しやすいということで今回は15話程にさせていただきます!
よろしくお願いします!