東方想幻華 (一時連載休止)   作:かくてる

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5話 ティータイムのラッキースケベ

現在、奏さんとお嬢さまと妹様の3人でバルコニーでお茶をしていた。

私はもちろん紅茶を作るため、バルコニーに同席していたが一切口は開けないようにしていた。

お嬢さまからは「別に話してもいいのよ?」と言われているが、従者の立場からしてそれはあまりにも失礼だと思っていた。

 

「あ、咲夜さん。紅茶のおかわりもらっていい?」

「かしこまりました」

 

奏さんから渡されたマグカップに新しい紅茶を注ぐ。

注いでいるあいだ、私はお嬢さま達の会話を聞いていた。

 

「奏はさ」

「ん?」

「家族はいなかったの?」

「…………いたよ。お兄ちゃんが…」

 

へぇ、奏さんにもご家族がいたのね……

 

「でも……俺はあっちの世界では死んでることになってるから………」

「……そっか……殺されてこっちに転生したのよね………まぁ、正しくは"戻ってきた"……か…」

「あぁ………だから……今は兄貴がどうなってるかが一番心配だな………」

「きっと寂しがってるよ……」

 

妹様のその悲しそうな顔を見て、奏は優しく微笑む。

 

「大丈夫だよ。兄貴はもう結婚してるんだ。新しい家族がいる。別に寂しくはないだろうよ……」

「結婚してるのね………」

 

お嬢さまは何かと分かっていたが、妹様は小首をかしげていた。

 

「ケッコン?何それ?」

 

奏さんはすごく呆れた顔でお嬢さまに言う。

 

「なぁレミィ。お前、フランにあんまり教育してないだろ………」

「う、うるさいわね………仕方ないのよ…この子も学ぼうとしないし………」

「?」

「あぁ、えと………結婚っていうのは………男の人と女の人がお互いに大切にしあって結ばれること?なんだよ」

 

奏さんのぎこちない説明にも妹様は

 

「うーん……よく分かんないな……」

「とりあえずお互いがお互いを好きになってるってことよ」

「おー……なるほど……」

 

お嬢さまの単純すぎる説明で妹様は理解したかのように頷く。そしてすぐにこう放った。

 

「じゃあ私、奏とケッコンするー!」

「ぶふっ!」

 

奏さんは飲んでいた紅茶を吹き出す。

私もそれには少しピクッと反応する。

 

「ふ、フラン!あのな?これは一人の男として好きになるってことなんだ。家族同士の好きとはまた違うんだよ………」

「え?そ〜なの?じゃあやーめた!」

「なんか傷つくけど………まぁいいや……」

 

奏さんは紅茶を飲み直す。

そこでお嬢さまが口を開く。

 

「奏は好きな人いるの?」

「ぶふっ!」

 

奏さんは2度目の紅茶を吹いた。

 

「お、おい!スカーレット姉妹!ちょっとはデリカシーとかプライバシーとかを覚えろ!」

「しーらない☆」

「くっそ…………」

「あれ?咲夜?顔赤いよ?」

「へ?あ、い、いえ!なんでもないですっ!大丈夫です……」

 

どうやら私は無意識のうちに顔が赤くなっていた。

な、なんで…………?

私は一体何に反応したの………?

もしかして…………いや、そんなまさか………

 

「で、結局、奏は好きな人いたのかしら?」

「話戻すのかよ………まぁ、いたにはいたけど……」

 

ズキッ………と胸が痛くなる。

ど、どうしたんだろ……

 

「まぁ、今はもうどこにいるかも知らないし、今じゃ好きな気持ちを薄れたかな。とゆーか最近の出来事の内容が濃すぎてその子の顔を覚えてないんですけど」

「あら、それは私たちのせいかしら?」

「8割な」

「忘れるほど頭に残ってなかったってことね☆」

「ダメだこいつに勝てる気がしない」

 

奏さんはその場で肩を落とす。

まぁ、このお二方といて苦労が絶えないのは仕方ない。

 

「では、お茶菓子をお作り致しますので、少々お待ちください」

 

私はティータイムの5分後にいつも茶菓子を持ってくる。

5分経ったので私は厨房の方に歩く。

その間、私の顔は赤いままだった。

 

しばらくして、私はクッキーをバルコニーに持っていく。

 

「お嬢さまー、妹様ー、奏さん。クッキーをお持ちいたし___」

「あ、咲夜さん危ない!」

「へ?」

 

バヒュン……!

と、一つの弾幕が私の目の前に飛んできていた。

どうやら奏さんと妹様が弾幕ごっこをしていたらしい。

時を止めることは出来たが、そんなことは考える暇もなかった。

 

「きゃあ?!」

 

私は上に飛んでその弾幕を避けるが、クッキーが落ちそうになる。

 

「咲夜さん!」

 

すかさず奏さんが私を受け止めようとする。

しかし、クッキーが乗ったトレイが更にバランスを崩す。

私はそのまま前かがみになる。

 

…………お察しの良い方はもうお気づきでは無いでしょうか

 

私がうつ伏せに倒れたことで、奏さんを下敷きにしてしまった。

 

「あ、ご、ごめんなさい……奏さん………」

「い、いや………大丈夫だよ…………でも……」

 

間近に奏さんの顔がある。もう少し前に行けばキスできるくらい………………って、私のバカ!

何を思ったのか、奏さんは『それ』に手を置き、揉む。

 

「な、なんだこれ?」

 

そのまま奏さんは『それ』を揉みしだく。

 

「ひゃ……………」

「ひゃ?」

「ひゃぁあああ!」

 

バッチィィィィン!!

と、バルコニーに気持ちのいい音が聞こえた。

奏さんは私の平手打ちで数メートル先まで吹っ飛ぶ。

………自分が怪力みたいで嫌だな……

 

「おお、咲夜容赦ないわね」

「いってぇぇぇぇ!」

 

我に帰った私は慌てて謝罪し、奏さんに近寄る。

奏さんの右頬だけ、私の手形が赤く残っていた。

 

「ご、ごめんなさい。つい………」

「い、いやいや大丈夫………余計なお世話だったね………とゆーか、あの柔らかいものは一体………」

「……っ!!」

 

私は自分の胸部を触る。

お、男の人に初めて触られた……

奏さんもようやくそれを察したのか、顔を真っ赤にする。

 

「え?!マジで?!ご、ごめん!咲夜さん……」

「い、いえ、あれは事故ですので……」

「そ、そうだよね……あれは事故あれは事故あれは事故……」

「まぁ、私とフランがこの目でしーっかりと見たけどね?」

 

お嬢さまが悪戯に笑う。

 

「記憶から消していただけますか……お嬢さま………」

「ご、ごめんね……2人とも……」

 

妹様が謝罪をする。

どうやら本当に反省してるみたいだ。

 

「……いいえ、大丈夫です」

「あぁ、俺も多分大丈夫だ……」

 

私はもう一度クッキーを焼き直し、この後は普通にティータイムを過ごせました。

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、私はベッドの上で

 

「奏さんと………密着……してたのかな……」

 

奏さんの顔が間近にあったあの時、私は少しだけ嬉しさを感じていた。

な、何よ………この痛みは………!

親に捨てられ、お嬢さまに拾われて早十数年。

一度も経験をしたことの無い。

苦しい感情。

この時から私は徐々に奏さんの事を意識し始めていた。

でも、この時の私はそんな感情をなんて呼べばいいのか、全く分からなかった。

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