「…!
何だこりゃ?」
「村が…霧に覆われてる?」
ソッシ村に降りたつと村は全体が霧に覆われていた。
「ずいぶん天気の悪い村スね」
「バカ
これ…魔法よ」
「これは村人の魔法じゃないぜ
中から何人かの強い魔法力を感じる
こりゃあこのまま入ってもまたここに戻される」
「迷宮か方向を狂わす系の魔法だね
どうやってこれを晴らすかだけど…」
ノエル、リュッセル、アイネの解析にマグナは頷くと一人呆けた顔のアスタを見る。
「よし、アスタ
剣で霧を斬り裂け」
「え
なに馬鹿なこと言ってんスか
霧は魔法では斬れませんよ?」
「馬鹿はてめえだぁ
魔法ならてめえの剣で斬れるんだろうがァア!!」
「そうかぁー!
おらおらおらァアー」
激しい掛け声とともにアスタの剣が霧の中の魔力の流れをずたずたに寸断していくのを『視て』アイネは驚愕する。
「魔法を斬る能力?」
「いや、違う
まさかあれはーー」
「よし霧が晴れー!」
アイネとリュッセルの言葉が途切れる。
霧が晴れた先には村人達の頭上に浮かぶ大量の氷の礫
「処刑」
冷酷な声とともに氷が降り注ぐ直前
考えるより先にマグナとアイネは駆け出す。
「炎魔法
爆殺散弾魔球」
「リュッセル!!」
「おう!」
マグナが得意の炎魔法で氷を砕き、アイネはリュッセルを楯に変化させ村人たちを氷の破片から守る。
「……えっ!?」
「あ、あぁー」
「魔法騎士団が…助けにきてくれたー!?」
マグナ達の黒のローブに絶体絶命の危機にあった村人達の目に希望が宿る。
「何が起こってやがる!?」
「ダイアモンド王国でも蛮族とは違う感じですね
…新たなテロ組織?」
「うう…
おじいちゃんの祈りが通じたんだ」
泣き声が聞こえ、振り向くと倒れている老人と傍で涙を溢す幼子の姿。
「ー!
じいさん、しっかり……
ーーじいさん」
「「「………」」」
どうやらこの老人がヤミとマグナを負かし猪狩りを依頼した人物みたいだ。
だがーー
アイネは目を伏せる。
簡単に人は死ぬ。
だからと言って民が、こんな突然かつ理不尽に奪われていいはずがない。
「てめえの仕業かァァ!!」
マグナは岩に座る無表情の男に怒りのまま怒鳴りつける。
「よくも時間を狂わせてくれたな
3秒後に全員処刑」
「(やべ、魔力が…)
アイネ!!」
グァ
目の前に巨大な氷の塊がマグナ達に迫る。
アイネは答える余裕もなく、最大限に盾を巨人化させるが
「(駄目、全員護りきれない)」
その時
ダン
横を小さな影が過ぎ
ズドシャァア
氷が真っ二つに切断される。
「許さん……!!
何でこんなヒデーことを!!
何なんだお前らはァア!?」
アスタは怒りのこもった目で敵の主将と思われる顔に傷のある男を睨み付ける。
「魔法騎士団の者が来るとは聞いてませんが…」
「どうやって霧の結界を破った…?」
「(聞いてない?誰に)」
アイネは敵の言葉に眉を寄せる。
己が感情は胸に頭は冷静に
先生から習い、身体に叩き込まれた心構えは否応がこの場でも発揮されていた。
「黒の暴牛
魔法騎士団内でも浮いてる異端の連中か…
5分
何も知らなかった村人をとっとと始末し目的の物を探すぞ…!」
「無視するんじゃねぇー!!」
「そう簡単にヒース様に近づけると思うな
惑え、霧魔法・幻霧の渦」
敵の主将…ヒースが懐中時計を見ながら告げたその態度にアスタが霧の中へと飛びかかっていく。
「誰が惑うかァァ!!
何でこの村の人達を皆殺しにしようとしたのかって聞いてんだ!!」
「……この村は下民の住む『恵外界』だ
下民のほとんどは生活で多少役立つ魔法しか使えない劣悪種
まるで物を扱えない獣だ
私の時間を奪う可能性の役立たずな獣を片付けようとしただけの事
お前ら騎士団に入れる程の魔力を持ってるんだろ?
任務だから助けようとしてるだけでお前らにもコイツらが取るに足らん獣に見えないか?」
「その人達は俺が守るべき存在だ!!!」
アスタは見下した目で村人を見るヒースに向かって真っ直ぐに剣を構える。
まさかのインフルエンザにかかり更新がストップしてしまいました。
また今日から最低3日に一本ペースで行きたいと思いますのでよろしくお願いします。
アイネの目についてはソッシ村最終話後書きで書きます。
次話は残り微修正のみなので明日投稿予定です。