時は私に優しくない   作:肥料

7 / 8
波紋は耐える

「マグナ、アスタ、ノエル構えて!!

複合魔法が来ます!!」

 

「てめ先輩を呼び捨てに」

 

「ほう感知能力が高い者がいたか

そんなに獣達が大事なら」

 

複数の魔力の流れが集まり出すのにアイネは焦り、盾を構え前に出る。

 

直後、冷気が村全体を覆う。

 

氷複合魔法・無限氷礫檻

 

「ではこの状況から獣の群れを守れるか?

じわじわは好きではないが…これが一番効率が良さそうだ!」

 

先ほどとは比べ物のならないくらい量と規模の氷の礫が襲いかかる。

 

「アスタ、マグナは横から飛来する氷を!

頭上からの氷は私が防ぎます

皆さんは頭を守って身を縮めて下さい!」

 

咄嗟にアイネは指示を出し、魔力を盾に注ぎ込み頭上に浮かべる。

 

「後輩がさしず…後で覚えておけよ!」

 

アスタが氷を剣で砕き、マグナが炎で爆発させる。

 

防いでも防いでも次々襲いかかる礫にマグナの魔力が尽きかける寸前

 

ふと後ろの後輩が入団の通過儀礼で見せた魔法が頭を過り、怒鳴る。

 

「アイネ!!

例の魔法は!?」

 

「…あの魔法は単体の術者に有効なんです!

それに私が離れたら村人の皆さんが串刺しですよ!?」

 

「洒落にならねぇな、おい!」

 

「リュッセル集中!

(でも確かにこのままじゃ共倒れになってしまう)」

 

アイネの魔力はまだ幾分かの猶予はあるが刻々と削られている。

 

「ちくしょーが

二人にはとんだ初任務になっちまった

クソーやべー

だがらといって投げ出しちゃおとこじゃねェエ!!

アイネ!!てめえも気張れやぁぁあ!」

 

「はい!」

 

マグナとアイネは手は緩めず、声を張り上げ応答を交わす。

 

「いつまでもつかな?」

 

攻撃を防ぐアスタ、マグナ、アイネの限界の近さは敵にも筒抜けだった。

 

ドッ

 

「……」

 

唯一、守りの術をもたないノエルが攻撃に撃って出るが魔力の塊はヒースやマントの敵には当たらず逸れてしまう。

 

「魔力の操作もろくに出来ない者がいるとは…

『黒の暴牛』はよほど人員不足と見える」

 

「(ここにいる意味なんて無いじゃない…!

私は王族

こんな所で死ぬなんてあってはならない

今は…逃げー)」

 

ヒースの言葉にノエル羞恥を感じて赤い顔を俯かせる。

 

「下がってろ「ノエル=シルヴァ」

 

アイネはマグナの言葉を遮り、ノエルに呼び掛ける。

 

「貴女は昔のあなたじゃない

ちゃんと前に進んでいる

騎士団に入ったのだって大きな一歩。

私は貴女の努力を、優しさを知っている

だから貴女が自分を信じないなら私が貴女を信じる!」

 

フードで顔が見えないのにアイネの目が真っ直ぐ自分を捉えているのが不思議とノエルには分かった。

 

「騎士団のお姉ちゃん

助けて……!」

 

直後、服を引っ張られる感覚にノエルが足元を見ると小さな女の子が震えている。

 

アイネの言葉、少女の助けにノエルの心臓が大きく跳ねると同時にグリモワールが光り出す。

 

「(こんな小さな女の子が助けを求めてるのよ

逃げるわけにはいかない!

なにより私は…

私を認めてくれた人達を助けたい!!)」

 

光は強さを増しノエルを村人達を包む。

 

グリモワールは持ち主の成長によって新たな魔法をページに刻む。

 

成長とは修練や魔力操作の向上などが主に指す。

しかし稀に感情の高ぶりや変化、覚悟によっても起きる。

 

「え…」

 

ノエルは迷いを振り切るように宣言する。

 

「私は王族

そして『黒の暴牛』の一員よ!!」

 

水創成魔法・海竜の巣!!

 

膨大な魔力が水となってドーム状になって渦巻き襲いかかる氷の礫は渦に飲み込まれる。

 

「なんだと…!?」

 

「なんつー魔力

ノエ公、やればできるじゃねーか!」

 

「よくできました

ノエル、村人の…!!」

 

アイネは盾を縮小させ前に出ようとし、脇を一直線にかけていく姿に目を見開く。

 

一人の獣は狙っていた。

反撃に出て相手の喉笛に噛みつくその一瞬を

 

『お前ら騎士団に入れる程の魔力を持っているんだろ?』

 

敵の言葉が脳裏を過る。

 

「俺に魔力なんてねぇ

でもお前をブチのめす!!!」

 

アスタは勢いのまま剣を突き刺した。

 

 

 




投稿日付の年をいつの間にか弄り昨日の投稿が間に合いませんでした。すみません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。