― 凶器を探してよ ―

* 戦闘非推奨のシナリオです
* リアルアイデアが必要になる場面がございます
* 好感度システムがあり

 質問、ご指摘はコメントかメッセージにて。
 個人的に遊ぶ際、改変はご自由に。

 もしもリプレイを公開することがあるのならば、作者名の明記と作品へのリンクをしていただければご自由に。

 二次配布、自作発言、金銭利用などは禁止となります。

 * オリジナル小説「ニャル様のいうとおり」 第七話 「ベニコさん」 が本作にあたります。
 よって、キャラクター性が非常に強いNPCが出てきます。ロールプレイ難易度はかなり高いでしょう。


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 ― 凶器を探してよ ―

* 戦闘非推奨のシナリオです
* リアルアイデアが必要になる場面がございます
* 好感度システムがあります

 質問、ご指摘はコメントかメッセージにて。
 個人的に遊ぶ際、改変はご自由に。

 もしもリプレイを公開することがあるのならば、作者名の明記と作品へのリンクをしていただければご自由に。

 二次配布、自作発言、金銭利用などは禁止となります。

 * オリジナル小説「ニャル様のいうとおり」 第七話 「ベニコさん」 が本作にあたります。
 よって、キャラクター性が非常に強いNPCが出てきます。ロールプレイ難易度はかなり高いでしょう。




クトゥルフ神話TRPGシナリオ「ベニコさん」一人用短編

 

【システム】クトゥルフ神話TRPG

 

【形式】一時間程度の制限付きクローズド

 

* 注意

 リアルアイデアが必要になる場面がございます。

 それに対する対応の仕方はKP次第となるので、PLへの対応は甘くても辛くてもどちらでも構いません。

 

【時代】 現代

【推奨人数】 一人 (NPCが呼ぶのはランダムで一人だけなので)

【プレイ時間】 一時間 (PL発言の際などは時計を止めても良い)

【推奨職業】 対話に応じられる方なら誰でも

【推奨技能】 目星、オカルトなど

【持ち物】 最後に着た普段着 (メガネやコンタクト込み) を着用していますが、装飾品、持ち歩いている道具などはどうあがいても持ち込めません。

 

 

* PLには事前に推理もしくはリアルアイデアが必要となり、と好感度システムがあることを告知しておくと良いでしょう。

 

* このシナリオは時間制限付きですが、完全に失敗してもロストはありません。

 

* NPCのキャラクター性が強いため、ロールプレイ難易度がかなり高いです。

 

【KP情報】

 探索者は怪異「赤いちゃんちゃんこ」である「赤座(あかざ)紅子(べにこ)」の暇潰しにランダムで選ばれ、眠っている際夢の中へ引き込まれてしまいます。

 そこで、紅子さんは 「自分を殺した凶器を探して、自分に見せてほしい。見せてくれたら無事に返す」 「時間制限は一時間」 であることを探索者に言います。

 しかし彼女の目的はただ遊ぶことであり、都市伝説に沿った方法で驚かすことなので失敗しても探索者を害する気は一切ありません。

 探索者の目的は、彼女とのゲームをクリアして夢の世界から脱出することとなります。

 

 彼女は皮肉屋で嘘は決してつかないものの意図的に情報を伏せたり、煙に巻いたり、微妙な下ネタを織り交ぜて探索者をからかうのが好きです。

 また、彼女をただの〝 NPC 〟〝 情報源 〟として扱うと心象が下がり、つまらなそうにし始めます。

 逆に彼女を心配したり人間扱いすると心象が上がり、シナリオ後〝 加護 〟がもらえます。

 

〈好感度システム〉

 好印象の選択肢には好感度が1ポイント上がり、◎が後ろに付きます。

2ポイント以上溜まっていればトゥルーエンドに行ったとき、加護が貰えます。

 逆に▲が後ろに付く場合好感度が1ポイントマイナスされます。

 このシステムを採用する場合、KPはメモ用紙に記録しておきましょう。

 

 探索者は中心から縦横に四部屋ある場所の、南の部屋からスタートすることになります。

 

* 加護について

 ごったにクトゥルフ! 系列のシナリオでは、NPCに人間性の好みが存在します。

 その好みに合致した探索者はシナリオ後に特定のアーティファクトや情報をもらうなどの些細な加護を受けます。

 

 今回の場合はトゥルーエンドに辿り着くことで判明します。詳しくは後半に。

 

 

【NPC】

名前 赤座 紅子 

外見年齢 18歳前後の女子高生

 

〈性格〉

・ 皮肉屋

・ 嘘は吐かないが意図的に情報を伏せることがある

・ 意味深発言 (下ネタ)

・ ある程度の生意気な煽り

 

〈容姿 〉

・赤色のセーラー服

・ケープのようなマントのような赤い上着

・黒髪ポニーテール

頭の上にナナメに乗せたベレー帽

・首正面に一文字の深い傷 (血が流れ続けている)

 

〈人称〉

・ アタシ

・ キミ (歳上にはお兄さん・お姉さん)

 

〈ステータス〉

STR20 DEX12 INT19

CON18 APP15 POW16

SIZ10 SAN80 EDU7

 

アイデア95 幸運80 知識35 (年代が前なので常識が現代と相違する)

 

HP14 MP16 Db +1D4

 

〈技能〉

オカルト90 組み付き60 言いくるめ75 こぶし(爪)85

 

ナビゲート30 隠れる50 応急手当て70

目星40  回避79 芸術 (赤いちゃんちゃんこ)50

 

* 芸術 (赤いちゃんちゃんこ)

 「赤いちゃんちゃんこ着せましょうか?」 と、同じ意味の言葉を問いかけられたとき 「はい」 と答えると成功率に+10されていく

ダメージは1D10である。

 

 

【導入】

 あなたは気がつくと見知らぬ場所にいました。

 周りにはカチ、コチと時計の音が鳴り響き、古臭い倉庫のような光景が広がっています。

 

・ アイデア情報

 あなたは確かにベッドに入ったはずです。

 ならばこれは夢なのでは?

 

 この時点でSAN値チェックを入れるかは自由です。入れるのならば成功で0失敗で1のSANチェック。

 

〈服装の確認〉

 パジャマで寝たはずのあなたは最後に着た普段着を着用しています。

 しかし、普段から身につけているものであっても装飾品や持ち物はありません。

 

〈南の部屋〉 (スタート地点)

 

・ 周囲を見渡す。

 薄暗い倉庫のような部屋

 ボロボロの本棚右側・左側

 横倒しになった小さなタンス

 奥の方に扉がある (この時点では開かない)

 

・ 右側の本棚に目星

適当に取った本を開くと 「Do you want the jacket?」 と書かれたページに当たる。

 「赤いちゃんちゃんこ着せましょうか?」 という意味の言葉なので、了承すると紅子さんの芸術 (赤いちゃんちゃんこ) に+10の補正が入ります。

 

* ただしこの技能は戦闘でしか役に立たないので、普通にクリアする場合はこれが発揮されることはありません

 

 

 「Do you want the jacket?」という文字がページに浮かび上がるように薄い黒から濃い黒になっていきます。

 そのままあなたがじっと見つめていると、その文字は次第にインクの黒から赤黒い別の色へと変わっていくことでしょう。

 まるで血のような、不気味な色へと。

 なにも書いていないはずのページに起こった不可思議な現象を見てしまったあなたはSAN値チェックです。

 

 0/1のSAN値チェック

 

 この文に対してなんらかの返答を行うと部屋の扉からカチリ、と鍵の開く音がすると同時に、 「だっしゅつげいむ、しましょう。アタシはこの扉の先に」 と文字が出現。

 

・ 左側の本棚に目星または図書館

 メモ用紙の飛び出た本がある。

 内容は 「北は武器の部屋。東はパズルの部屋。西は見守る神様の部屋。南はヒントの部屋。中央の彼女は、探し物をしている」

 

 メモの裏に目星 (KP情報で落としても良い)

 

「彼女は嘘を決して吐かないが、本当のことを言うとも限らない」

 

・ 横倒しのタンスに目星

 蓋つきの手のひらサイズのガラス瓶。その他は全て割れている。

 

 

【中央の部屋】

 

 ど真ん中に機関銃が高く山になって積まれており、その頂上にセーラー服の女の子が足をぷらぷらして座っている。

 挨拶の前に目星すると4ページに描かれた 〈容姿〉 が分かる。特に一文字に深く刻まれた傷跡を強調すると良い。

 

 中央の部屋は薄暗い南の部屋とは違い、安心できるレベルの明るさ (電灯が普通にあるくらい) が保たれている。

 

 挨拶する◎

「ふふ、こんなところじゃあ〝 おはよう 〟なのか〝 こんばんは 〟なのか、それとも〝 こんにちは 〟なのかも分からないけれど、一般的な挨拶という意味ならば〝 こんにちは 〟なんだろうね…… まあ、おはようできるかはキミ次第だけど」

 

* PLの第一声に合わせてアレンジすることをお勧めする。

 

 敵対的な挨拶 「お前は誰だ」 や、警戒する様子で出方を伺うなど▲

 意地の悪い笑い方をして

 

「ようこそいらっしゃった! アタシはキミを歓迎するよ…… 色々な意味でね。ああ、このままおはようできるかどうかはキミの行動次第だ。ここのカギはアタシだからね…… 自ら扉のカギを壊すお馬鹿さんなんて、この場にはいないだろう?」

 

〈質問〉

・ ここはどこ?

「ここは夢の中だ。そして、ここはアタシの部屋。今の、というか借り物だけれどね」

 

・ 今の? 借り物?

「文字通り。アタシは夢の中の住民じゃないからね。本来はトイレの怪異だし、暇潰しのために借りているんだ」

 

・ 誰に?

「さあてね」答える気はない

 

・ 自己紹介

* PL側から自己紹介した場合◎

「そうだね、アタシのことはトイレの紅子さん…… とでも呼んでくれればいいよ」

 

* 逆の場合 (煽りが入る) ▲

「レディに名前を聞くときは自分からするものだよ? まあいい…… アタシのことはトイレの紅子さんとでも呼んでくれればいい」

 

 PLがなにも言わなくても一拍おいて、 「トイレの怪異が花子だけだなんて、そんなわけないだろう?」 と言う。

 

・ オカルトロール

 失敗で「そんな怪異もあるんだな」といった納得

 成功で以下の情報

 

* 赤いちゃんちゃんこについて

 

 赤いちゃんちゃんこというのは都市伝説、または学校の七不思議に存在する怪異である。

 とある学校のトイレで 「赤いちゃんちゃんこ着せましょうかぁ?」 という問いかけをされる場所があり、そこに肝試しに行った生徒のストーリーが存在する。

 何人かは耐えきれず 「いらない!」 と言って逃げ帰ってくるが、最後の一人が臆病者めと言ってトイレに入り、 「着せられるものなら、着せてみろ!」 と発言。

 結果首を切り裂かれて、自身の血でまるで赤いちゃんちゃんこを着ているような様相となった死体が発見されるというものである。

 

 質問に対して 「YES」 と取れるような発言は命取りな怪談である。

 

 この話を要約するかは自由。

 

 

 

「ところで、ゲームの説明をしてもいいかな?キミがここを出るために必要なことだよ」

 

「内容は簡単。アタシは探しているものがあるんだ」

 

「アタシを殺した凶器を探してよ」

 

「凶器を探して、アタシに見せてくれれば無事に返してあげる…… ああ、安心してよ。アタシはここから動くことはできないけれど、質問にはちゃんと答えてあげるさ。アタシは嘘が嫌いだから、真面目にね」

 

「それと、時間制限があるんだ。アタシの首からずっと流れている血があるだろう? これが、この機関銃の山の一番下に着くまで…… そうだな、だいたい今から一時間くらいかな。無事に帰りたいなら、協力してほしい」

 

* 時間制限は携帯電話か時計で。行動していないときや、ストップをかけられたら止めても良い。

 

〈質問〉

・ 夢の世界に必ず探し物はある?

「ああ、あるよ」

 

・ 自分を殺した凶器を知っている?

「もちろん知っているよ? でも、アタシが直接場所を言うことはない。だって、これはゲームだからね」

 

・ その凶器は今、あなたの視界にある範囲にあるのか?

 どこを見たとしても「視界にはないよ」

 

* PLが気づかなそうならば、凶器を知っているか聞いたときに 「今、アタシの視界には入っていないよ」 と付け足しても良い

 

・ 死因は?

「この傷が見えないなら、キミはよっぽどの節穴か盲目の人間なんだろう」

「でも、これが致命傷なのは確かだよ。まったく、間抜けなものさ」

 

 心理学で成功しても嘘はついていないとしか出ない。

 

 質問に粗方答えると紅子さんは沈黙する。

 ただ、会話を求められればちゃんと乗ってくれる。

 

 探索者が自主的な会話に興じる場合◎

 

 背後 (南) には先ほど自分が出てきた部屋。

 紅子さん越しに見える正面に木の扉。

 東側に真っ白な扉。

 西側に小窓付きの鉄製扉。

 

 

 北側の木の扉。

 扉に手をかけると悪寒がPCを襲う。

 

 0/1SAN値チェック

 

・ 扉に目星

 小さく刻まれた 「持ち出し禁止」 という文字がある。

・ 聞き耳

 なにも聞こえない。

 しかし匂い判定で使った場合 「生臭い鉄錆のような臭い」 を扉越しにも感じる。

 → アイデアで 「血の臭い」 と知ることで、開けたときのSAN値チェック結果からマイナス1しても良い。 (覚悟していたということで)

 

〈部屋の描写〉

 

 そこには部屋一面に真っ赤な血がついた凄惨な光景が広がっていた。

 

 しかし、よく見ると一面に散らばっているのは真っ赤な液体だけではなく、それに埋もれるように様々な刃物や銃器やら…… 有り体に言って〝 凶器 〟と呼べるものが溢れかえっていた。

 

 大きな銃器やら鈍器やら明らかに彼女の死因に合わなそうなものまでごちゃまぜに置かれており、この中を真面目に探すなら30分以上は時間を食ってしまうことが予想される。

 

 凶器たちはそのどれもが血にまみれ、むせ返るような、鼻が馬鹿になってしまうような嫌な臭いが出口を求めて探索者を包み込み、中央の部屋へ流れ込んでくるようだ。

 紅子さんはそれに眉をしかめ、 「こっちが犯されてしまいそうだよ…… あ、服がだからね?変なふうに考えたのなら、キミの心が汚れているんだろう」 と煽る。

 

・ 全体に目星

 まるでカモフラージュされているようだ、という感覚を覚える。

 

・ 凶器に目星

 血に染まっているが、床に接触していた部位には血がかかっていない。

 

・ 血に目星

 雑多に置かれた凶器に上からまぶしただけのように見える。

 

 にやにやと驚くさまを観察している紅子さんに 「視界に凶器はあるか?」 と聞けば 「いっぱいあるねぇ」 間を置いて、 「でも、アタシを殺した凶器は視界に入っていないよ…… ふふふ、騙されたかい?」 と悪戯気に笑う。

 

 調べずに別の部屋に行く場合

 

「調べないの? まさかまさか怖いのかな? 大丈夫? 赤いちゃんちゃんこ着る?」

 

と煽る。

 

「おや、これでもアタシは赤いちゃんちゃんこの中でも良心的な方なんだけどねぇ」なんて呟いたり。

 

* 彼女はオリジナルの赤いちゃんちゃんこではなく、似た死に方をした故に都市伝説になった分霊的なものである。

 

・ 持ち出した場合▲

 凶器が動き出して自主的に部屋へ戻る。それでも持ち出そうとすると探索者に対して固定1ダメージを与える。

 以下持ち出そうとした回数分固定ダメージ。

 

 

 西側の小窓付きの鉄製扉の部屋

 

 小窓の上に 「生き血を欲しがっている」という看板。

 中は暗闇のため目星必須。

 

・小窓から目星

 成功で「真っ暗な中、人影が動き回っている」のが見える。

・ 聞き耳

 成功で「ペタペタと裸足で歩いているような音」がする。

 

 扉を開けると差し込む光に向かって異形の人影がこちらへ向かってくる。

 

* 奥へ行くための手段は三通り

 

・ マーレイ (中の人影) に6ポイント血を吸われる

・ 南の部屋で手に入れたビンに、流れ出る紅子さんの血をたっぷり入れて渡す◎

・ 倒す▲

 

 紅子さんの血は生き血なのか? と疑問に思って話しかけたのならば、彼女はこう答える。

 

「アタシが今生きているか? 哲学だね…… どこから生きていて、どこから死んでいるのか…… アタシが思うに、生きてるってマグロみたいなもんだと思うのさ」

「アタシはマグロだけどマグロじゃない…… キミには通じないかな? それとも…… いや、深い意味はないよ?」

 

 からかうような笑い。

 

「アタシの血が流れ続けているのは死の直前の光景を繰り返し続けているからさ」

 

 つまり、生き血とカウントしても良い。むしろそれが正解である。

 生き血を採集するために近づいたとき、傷口に目星したなら2ページ先へ。

 

 扉を開けて部屋の中へ目星

 女の子の姿をした幽霊の怪異が彷徨い歩いている。

 

〈マーレイの容姿〉

 人形のようなオレンジ色のボロいドレス。目は真っ黒の中に赤い煌めきが時折過ぎるような恐ろしい様相。

 可愛らしい幼い少女の顔に似合わない鋭い牙と、食べこぼしたのであろう真っ赤な血が口元から胸元までを濡らしている。

 手にはボロボロのテディベアを持っていて、部屋の中をぐるぐる回っている。

 

 奥には大きな獣のような、猫にも見える銀の像が建っている。

 

 幽霊を目星、または対峙したとき0/1D6のSAN値チェック。

 

 

 マーレイ (星の精のステータス平均で計算)

 外見年齢 10歳前後

* 紅子の友人

 

STR26 DEX9 INT10

CON13 APP14 POW15

SIZ7 SAN75 EDU5

 

アイデア50 幸運75 知識25

HP17 MP15 Db+1D6

 

〈技能〉

かぎ爪40 噛みつき60 (吸血1ラウンドに1D6) 回避50 組み付き59

* 組み付きからの吸血が常套手段。

 

 合計6ポイントの吸血に成功すると去って行く。

 HPがなくなると、それを肩代わりしたテディベアが破裂して逃げ去って行く。

 

 

 奥の銀色の像は猫のようにも見えるし、恐ろしい獣の姿をしているようにも見える。

 尾が二股に別れていることから猫っぽいという印象を抱く程度。

 

不気味な像を見て0/1D3のSAN値チェック

 

・ 像に目星

 足元に「灯台下暗し」と書かれている。

 

 

 東側の部屋の真っ白な扉の部屋。

 奥の方には人一人通れそうな大きな窓があり、ガラスが割れて辺りに散らばっている。

 周りに点々と赤い斑点があるが、凶器の部屋のあからさまさに比べれば、ここで人が死んでしまったのではないか? というリアリティがあり、逆に恐怖を誘ってしまう。

 

 1/1D3+1のSAN値チェック

 

・ 窓に目星

 向こう側が見えることはなく、窓のすぐ外は壁になっている。

 その壁には赤い線で複雑に区切られており、探索者はまるでジグソーパズルのようだという感想を抱くだろう。

 

・ 破片に目星

 破片、窓両方に目星していれば、その破片が赤い線にピッタリとはまるようなものであると気づくことができるだろう。

 南の部屋で手に入れたメモにも、パズルの部屋と書いてあったことを思い出せばあとは簡単。

 大きな破片しかないので、パズルに慣れていなくとも10分程でなんなく全てはめ終えることができる。

 しかし、最後に残った真ん中に位置する鋭い三角形のような破片だけがどこを探しても見つからない。

 

・ 紅子さんに破片の在り処を聞く

「うん? ああ、その部屋にないのなら、別の部屋にあるんじゃないかなぁ?」

 

 心理学を使った場合、特別言葉を選んでいる印象を抱く。今までと比べれば随分と答えにくそうだ。

 

 この見つからないガラス片が重要なアイテムなようだ。

 

 

 紅子さんに近づく

 

 彼女に近づくために機関銃の山を登ると「おっと、いらっしゃい」と言いながら歓迎するだろう。

 

・ 血が流れ続けていることについての心配の言葉を探索者が言った場合。◎

「やだなあ、そうしたらキミが介抱してくれるんじゃないの? それで、ずっと会話してるのもアタシはいいけどね」

 

・ 紅子さんとの会話を楽しむ素振りを見せる◎

「ふうん、怪異のアタシと話して楽しい…… ねえ。キミってお人好しとか変わり者って言われない?」と、からかわれる。

 

・ 攻撃しようとする。▲

 彼女は特に武力的抵抗をしないが、探索者に抱きつき頬を軽く引っ掻いてくる。

 殺すとバッドエンド②へ強制的に移行。

 

 血をもらうもしくは、攻撃しようとする、彼女に対してなんらかの行動を取ろうとすると以下のことを言う。

 

「危ない台詞だねぇ。ふふ、アタシはこの場においてはたとえポケットをまさぐられようが、押し倒されようが抵抗なんてしないよ。キミにそんな度胸があれば、の話だけれどね?」

 

 からかい口調で

 

 間近に流れ続ける血を見た探索者は0/1SAN値チェック。

 

・ ビンを首に当てたのなら聞き耳判定

 成功した場合、ビンとなにかがカチリとこすれるような音が僅かにするだろう。

 → アイデア成功で自動的に下の★へ

 

 失敗した場合、探索者は夥しい量の血におののいてそれどころではないだろう。

 

★ 傷口に目星した場合

 赤色に染まった傷口の中になにかが挟まっているのが分かってしまう。生々しい肉の間にある透明な物体は止血を阻害しているようで、そして彼女の血を生かしているものの正体だ。

 拳よりももっと大きな、鋭いガラス片が紅子さんの首に埋まるように突き刺さっている。

 

 ひどく痛ましいその光景と、それを平然と受入れてからからと笑う彼女に、こんな状態で喋って動いていることが不気味に思えた探索者は1/1D6+1のSAN値チェック。

 

 凶器は紅子さんか隠したのか? というニュアンスの質問に対しては「ある意味正解で、不正解さ」

 

 全方向を示して「今、視界に凶器はあるか?」と確認しても「ないよ」と断言する。

 

 質問しなくともアイデアを行うことで、「どの方向を見ても視界に入らない場所。それは彼女自身に他ならない」と気づくことができる。

 

 傷口にあるのが凶器かと聞いても、「最初のルールを忘れたのかな? このゲームは凶器をアタシに見せてくれないと終わらないよ」と言うだけである。

 

・ 触れて痛くはないのか?

「痛い? そんなわけないじゃないか。だってアタシはもう死んでるんだから」

 

・ 傷口に手を突っ込み、ガラス片を取り出す。

 → トゥルーエンドへ

 

・ できないと言い張る。または時間制限を超えてしまう。

 →バッドエンドへ

 

 

 傷口に手を突っ込み、破片を取り出す。

 

 あなたは意を決して傷口に手を差し入れます。生々しい水音を立たせ、あなたの腕をつう、と彼女の血が垂れていきます。

 案外奥の方に刺さっているそれを勢いよく引っ張り出し、あなたはその感触に恐怖が背を這い上がってくることを自覚しました。

 しばらくその生々しい感触は忘れられそうにありません。

 

 1/1D6+1のSAN値チェック。

 

 取り出したあと、彼女に見せる。

 

「大正解! キミには花丸をあげようじゃないか」

 

 と言って紅子さんはポケットから水性ペンを取り出し、探索者の右頬に花丸印を素早く書いてしまう。

 

「ふふ、アタシのこと好きになってくれたかな? それとも、もううんざり? まあいいさ…… それじゃあ、約束通り無事に帰してあげよう」

 

 そう彼女が言うとだんだんと部屋が白く染まっていきます。

 

 そんな中、彼女があなたに近づき血の止まった体を寄せて手を取ります。その間にも光が差していき、段々と彼女の姿が見えなくなっていきますが、最後にあなたの右頬を指差して何事かを言いました。

 

・ 聞き耳ロール

 成功で「忘れないでね」

 失敗では何もわからない。

 

 そしてついには彼女の姿も見えなくなり、あなたの意識が浮上していきます。

 そんな真っ白な空間で、あなたは 『勇気あるお兄さん(お姉さん)に祝福を!』 とこだまする声を聴いた気がしました。

 

〈トゥルーエンドエピローグ〉

* 上記をクリアしていて、好感度が2ポイント以上の場合。

 

 …… あなたが目を覚ますと、そこは自分の部屋でした。しっかりと布団に入って寝転がっています。時計を見るとかなりの早朝です。

 起き抜けにあなたが洗面所へと行くと、その鏡に映った自身には右頬に花丸のマークがありました。

 

 あなたは忘れていません。そう、そこに証拠があるのですから。

 そうして日常に戻って行くあなたは道端で近所の高校の制服に身を包んだ少女とすれ違いました。

 

 

 彼女はちらりとあなたを見ると小さなメモを落としていきました。

 そのメモには『赤座紅子』の文字と、数字の羅列…… どうやら電話番号のようです。

 

 再会を言えるかどうかも分からない。そんな奇妙な再会をしたあなたはまた非日常へと身を落としていくでしょう。

 そんな困ったときに頼りになる相談相手ができたことは喜ばしいことです。

 

 これでトゥルーエンドとなり、シナリオクリアです。

 

 今後探索者は紅子さんの電話番号を所持し、加護を受けたこととなります。

 オカルト技能が必要となった場面で電話すると、90%でオカルトが振れます。

 自身が失敗したあとでも使うことができるので、実質同じタイミングで二度オカルトロールができるということになります。

 

 好感度が2ポイント以上でない場合。

 

 すれ違ったあと電話番号は落としません。その代わりに以下の文章。

 

 

 どこかで見たような少女にあなたは思わず振り返りました。けれど、もうどこにも彼女の姿はありません。

 日常の中に潜む非日常の存在をあなたは知りました。

 もう、知る前には戻れません。

 あなたはまたどこかで会うことになるのだろうか、とぼんやりと思いながら…… また自身の日常へと帰って行くのです。

 

 

〈バッドエンド①〉

 好感度が2ポイント以上で時間制限、もしくはガラス片を取れなかった場合。

 

 ガラス片を取らなかった場合の会話。

 

「ふふ、キミはできないんじゃない。〝 やりたくない 〟んだろう?」

「アタシは嘘と偽善者が嫌いだ。けれど、キミは本当に優しい。でもね、その優しさが誰かを傷つけることもあるんだ。覚えておいて損はないよ」

「残念、キミはゲームオーバーだよ」

 

 ポケットから水性ペンを取り出し、探索者の左頬にバッテン印を書く。

 

 徐々に白くなって行く視界。

 最後に彼女はなにごとかを言うと、探索者の意識は暗転する。

 

 聞き耳成功で「さようなら」

 

〈エピローグ〉

 

 あなたは無事に現実で目を覚まします。

 体は汗だくとなっていて、着ていたものが張り付き不快感が身を包みます。

 シャワーを浴びることにしたあなたは洗面所まで行き、その左頬に水性ペンで書かれたバッテン印を目にします。

 あれはただの夢ではなかったのだったと気づき、あなたは肝が冷えるような思いをしました。

 早く忘れてしまいたい。

 そんな思いであなたはシャワーを浴びることでしょう。

 ゲームオーバーを迎えたのに無事な体でいることに疑問も抱かず、あなたはありふれた悪夢として頭の中を整理しました。

 

 あなたが去ったあとの洗面所には、鏡に映る寂しそうな誰かさんの顔が浮かび上がっていましたが…… そのことにあなたは気づくことなく、やがて夢のことなど、忘れてしまうのでしょう。

 

 シナリオクリア。

 

 

〈バッドエンド②〉

 好感度が2ポイント未満で時間制限または凶器を取り出せない。

 

「残念、ゲームオーバーだ」

 

 硬直し、動けないあなたに彼女が抱きついてきます。

 

 演出で済ませるのに納得がいかないのならば、STRまたはPOW対抗をしても良い。

 

「さようなら、お兄さん(お姉さん)」

 

 紅子さんは動けないあなたの顔を両手で固定し、その頬を鋭い爪で赤い印のバッテン印をつけることでしょう。

 ピリリとした痛みが走るものの、あなたはやはり動けません。

 そして三日月のように口角を上げ、にやりと笑った彼女はついにあなたの首をとらえ、一本の線を描くように爪を滑らせます。

 不思議とそちらの痛みはありませんでしたが、首が切り裂かれ、そのおびただしいほどの血を見てしまったあなたは死の恐怖に襲われました。

 

 1/1D6のSAN値チェック

 

 徐々に白くなっていく意識の最後に、彼女が口を動かしているのがかろうじて見えます。

 

 聞き耳成功で「これはひどい悪夢だ。忘れてもいいんだよ」

 

〈エピローグ〉

 

 あなたは強い衝撃を受けて目を覚まします。

 どうやらベッドから落ちてしまったようです。 (布団の場合、上から本が落下してきたなど)

 痛みにうめきながらあなたが起き上がると、頬がビリビリと痛むような気がします。手を触れてみれば少しだけ血が滲んでいるようでした。

 洗面所に確認しに行けば、なにか紙かなにかで傷つけられたような細い傷跡が見つかることでしょう。

 あなたは運が悪いのはきっと夢見が悪かったせいだろうと思ってから、首を傾げます。

 さて、どんな夢だっただろうか?

 とんでもない悪夢だった気はしますが、あなたはなにひとつ夢の内容を覚えていません。

 

 まあいい。忘れたのならば大した夢ではなかったのだろう。

 あなたはそう結論付けて今日も出勤 (登校など外出理由) するために外へ出ます。

 

 あなたの不運はそれだけではありません。

 猫に引っかかれたような、そんな傷跡に通りかかった女子高生にくすくすと笑われてしまったのです。

 そんな些細な不運にあなたは辟易としながら、今日も日常を謳歌していくのでしょう。

 

 シナリオクリア。

 

 

 シナリオクリア報酬

 

・ 生存

 1D3のSAN値回復

・ シナリオクリア

 1D3のSAN値回復

・ トゥルーエンドの到達

 1D6のSAN値回復

・ 加護入手

 1D6のSAN値回復

・ マーレイ撃破

 1D3のSAN値回復

 

・ 入手アーティファクト

「紅子さんの電話番号」

 電話して相談すればオカルトを90%で代わりに振ってくれるでしょう。

 KPに相談したいことをメタ情報として落とすのではなく、紅子さんが知識ロールなどすることで間接的に教えることも可能。

 昼間に電話する場合50%でロール。失敗すると電話に出られない。 (人間として生活しているため)

 基本同シナリオ2回まで使用可能だが、KPの裁量で変えても良い。

 

 

 

 

 




 プレイしてみたい、という方がいらっしゃったのでシナリオ化してみました。pixivの方ではもう少し分かりやすくページで区切って投稿するので、そちらでもよろしくお願いします。

 「ニャル様のいうとおり」をオリジナル小説にする以上、シナリオ配布はしないと言っていましたが……
 オリジナル小説の内容をクトゥルフに落とし込んだ、ということで。


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