ご注文はうさぎですか? ~ココアと双子の弟~   作:燕尾

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どうも、燕尾です。
ごちうさ、十七話目です。
今回はみんなの水着姿が……





癒しを求めて ~仕事の疲れを癒しましょう~

 

 

今日は珍しくみんなのバイトの終わる時間が被ったので、仕事の汗を流すために、近場の温泉プールへとやってきていた。のだが、

 

「お城みたいだねー」

 

「古い建物を改造した名残だな」

 

だが……

 

「水着で温泉って初めて」

 

「浮き輪持ってくればよかったです」

 

が…………

 

「千夜からのお下がりで少しゆるいけど、紐をきつく縛れば…いける!」

 

「シャロちゃん、紐がくいこんでるよー」

 

「察してよ!」

 

すごい目のやり場に困る!!

俺は目の前の光景にどうしようか迷っていた。

贔屓目に見てもみんな魅力的な容姿をしている。その証拠にいろんな人が彼女たちをちら見していた。

 

「……うん、俺はチェアでゆっくりしていよう」

 

みんなはみんなで楽しむだろうと一人そそくさと離れようとする。しかし、

 

「コウくん、あっちに行こう!」

 

「コウナくん、あそこのお風呂気持ちよさそうだから行ってみましょう」

 

「おい、ちょっとココア、千夜!?」

 

ココアと千夜に手を引かれ俺は連れて行かれる。

 

「コウナさん」

 

「おー、コウナどこに行っていたんだ?」

 

「こここコウナ!? さっきのは見てないわよね、ねっ!?」

 

「あはは……」

 

結局みんなのところに連れられる。そんな俺を周りにいる独り身の男たちは睨んでいた。疲れを取りにゆっくりしにきたのに、なんだか余計に疲れそうだ。

 

「ほら、コウナくん。お風呂入るんだから上脱いで?」

 

「ちょ、千夜! 強引に脱がそうとしないで!?」

 

「覚悟するんだ、コウくん!」

 

「ココアも悪乗りするな!」

 

「ココアお姉ちゃん、だよ!!」

 

「わかった、脱ぐから! 自分でするから脱がそうとするな、手を放せ!」

 

何とか二人を引き剥がし、俺は着ていたパーカーを脱ぐ。

 

「「「「……」」」」

 

「おーい。そんなに見られると、男でも恥ずかしいんだけど?」

 

露になった上半身をココア、千夜、リゼ、シャロは少し顔を紅くしながら凝視してくる。

 

「コウナさん。結構身体締まっているんですね?」

 

「まあ、一応だらしないと思われない程度には運動したりするからね。それにうっひゃん――!?」

 

チノちゃんと話しているときに誰かの柔らかい指が俺の背中をなぞった。冷えた指先とくすぐったさに俺は変な声が出てしまう。

後ろを見ると、興味津々といったようになぞったのはなんとリゼだった。

 

「リゼ、何するんだ!?」

 

「いや、すまないっ! つい出来心で!その、コウナって見た目と違って意外と逞しいんだなって、ちょっと興味がわいて、その……」

 

「だからって、急に触られたら困っひゃう――!?」

 

リゼに注意していると、また誰かに身体を触られる。

 

「ご、ごごごごめんなさい、コウナ! わわ私もどんな感じなのか知りたくて」

 

「だからどうして急にううん――!?」

 

「リゼちゃん、シャロちゃんだけずるいわ。私だって気になっていたのに」

 

「千夜!? お前ら、いい加減にゃあぁ――!?」

 

最後に思い切り抱きつかれて、背中にやわらかい双山が押し付けられる。

 

「コウくん! お姉ちゃんだけ仲間はずれにしちゃ駄目なんだから!!」

 

「わかったから、頼むから離れてくれェ――!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ゛あ゛~……疲れた……」

 

俺は一人風呂につかり、息を吐く。

水着の少女たちからのスキンシップは年頃の男としてはなかなか辛い。あれで皆天然でやっているから尚更だ。

 

「なんじゃ、コウナよ。情けない声を出して」

 

「いきなり頭の上に乗って話しかけてこないでくださいよ、マスター。それと、そんなこというなら、あのチノちゃん以外の四人にモフモフして貰います」

 

「どうしてお主はそんなことを思いつくのじゃ?」

 

「それか一回風呂に沈めますよ? 全身濡れた姿をみんなにされせばいいのです」

 

「だからどうしてお前はそう残酷なことを思いつくのじゃ!?」

 

マスターが適当なこと言うからだよ。人の気持ちも知らない人は酷い目にあえばいいんだ。

 

「コウナさん、ティッピー、こんなところにいたんですね」

 

「チノちゃん」

 

「ココアさんたちが探していましたよ。コウナさんがどこかに行ったせいで」

 

「そんな悪者みたいな言い方しなくても、たまにはゆったりさせて欲しいかな――そうだ、チノちゃんも一緒に入らない? ここ結構気持ちいいよ?」

 

「いいんですか?」

 

「チノちゃんがよければ。ここは公共施設だし、俺の一存で決めたりは出来ないよ」

 

それじゃあお言葉に甘えて、とチノちゃんが入ってくる。

 

「……気持ちいいですね。疲れが癒されます」

 

「でしょ?」

 

俺もジェットバスというものに初めて入ったが、これがなかなか気持ちがいい。

 

「ちなみに、ここの効能は…?」

 

「高血圧や関節痛、筋肉を解したりしてリラックス効果が得られるんだ」

 

「ああ、やっぱり成長促進はないんですね……」

 

温泉の効能を知った途端、表情を暗くするチノちゃん。

 

「どうしてそんなこと――ああ、皆まで言わないでいい。あの二人(リゼと千夜)にやられたんだな」

 

「はい…」

 

チノちゃんの反応からしてそういうことだろう。だから明言も避けたし、それ以上は俺も何も言えない。

ただまぁ、一つだけ言うのであれば、

 

「チノちゃんはまだ中学二年生だろ? 成長期の真っ只中なんだから、焦らなくても大丈夫だよ」

 

「そうなんでしょうか…」

 

「そうだよ。チノちゃんの成長期は医学的にはあと二、三年程度あるんだ。しっかり栄養を取って規則正しい生活していれば自然と成長できるよ」

 

「そう、ですね。ありがとうございます。コウナさん」

 

「焦る気持ちはわからないでもないからね。周りが年上ばかりだと、自分が幼く感じるよね」

 

「コウナさんもそういうように感じたんですか?」

 

「いや、ココアがね。ココアは末っ子でずっと年上の兄姉たちに囲まれていたから、一時期悩んでいた時期があったんだよ」

 

「ココアさんがそういう悩みを…」

 

「意外?」

 

「はい」

 

即答するチノちゃん。

 

「ココアさんって悩みない生活を送っていたと思っていましたので」

 

「ココアだって一人の人間なんだ、悩みぐらいはあるさ――ちなみに目下ココアの悩みは"いかにチノちゃんの姉になるか"だからね。よく俺に相談を持ちかけてくるよ」

 

「そんな相談には乗らないでください!」

 

「いいじゃないか、チノちゃんはココアと仲良くなるのは嫌かい?」

 

怒ったような顔から一転、少しばかり不機嫌そうな顔になる。

 

「その言い方はずるいです。そんなの嫌って言うことができない質問ですよ」

 

「そういう風に質問したからね」

 

「コウナさんは意地悪です」

 

「ごめんごめん」

 

むくれるチノちゃんの頭をなでてあげる。

 

「子ども扱いしないでください」

 

「子ども扱いはしてないよ。なんかチノちゃん見てると妹みたいに思えちゃってね」

 

「ココアさんがいるじゃないですか」

 

「あはは、確かにココアは俺の妹みたいなもの――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コウくん、誰が誰の妹なのかなぁ――?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――風呂に入っているのに凍えるような寒さが俺を襲う。

 

「いやいやなに言っているんだいチノちゃん、ココアお姉ちゃんはしっかりとした俺のお姉ちゃんだから!!」

 

「コウナさん……」

 

あああああ、またチノちゃんに対する威厳が落ち始めた!

 

「ふふふ、コウくん。お姉ちゃんとあっちのお風呂に入ろっか♪」

 

「……はい」

 

「…………コウナさん」

 

だからそんな目で俺を見ないでくれ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう、私がコウくんのお姉ちゃんなんだからね!!」

 

風呂に入りながらぷんすかぷんすかと、俺の膝上で餅のように頬を膨らませるココア。

 

「はい、ごめんなさい、ココアお姉ちゃん」

 

「同い年だけど、私の誕生日のほうが早いんだから、私がお姉ちゃんなの!」

 

「まったく持ってその通りです、ココアお姉ちゃん」

 

俺は素直にココアの説教を受け入れている。

 

「まったく、何をしているんだお前たちは?」

 

「リゼ先輩の言う通りよ」

 

「ココアちゃん…ずるいわ」

 

「コウナ、さん…」

 

一人だけ不穏な言葉を言っているも、今度は救世主(メシア)たちが現れた。

 

「リゼ、助かった……!」

 

「あれ、リゼちゃんにシャロちゃんに千夜ちゃんにチノちゃん? 皆揃ってどうしたの?」

 

「どうしたの? じゃないだろ。せっかくみんなで少し遊ぼうと思っていたのに、コウナがいなくなって、それからチノがいなくなって、しまいにはココアまで見当たらなくなったから探していたんだよ」

 

「そしたらあんたたちがぴったりくっついてお風呂に入っているんだもの」

 

「私だってコウナくんとくっついてお風呂に入りたいわ」

 

「コウナさん。やっぱりコウナさんはココアさんの弟みたいですね。反論できてないところがもう弟ですね」

 

わけわからないこと言っている人と、俺への評価が下がっていることを示している人が二人ほどいるけど、とにかく助かった。

 

「そうだよね、せっかく皆出来てるんだもん。バラバラじゃあ楽しくないよね」

 

ココアはそう言って、風呂から出る。

 

「ほら、コウくんも行こ?」

 

「ほんと、自由だなぁ。ココアお姉ちゃんは」

 

ココアから差し出された手を俺はキュッと握った。

 

 

 

 

 

「さて、せっかくだし泳ごうかね」

 

「私は泳ぐの苦手ですから、すぐそこのお風呂でゆっくりしてますね」

 

「私も、体力ないから遠慮しとくわね」

 

「それでしたら千夜さん。チェスでもどうですか? 持ってきているんですが」

 

「チェスってやったことないのだけれど、将棋みたいなものよね? いいわ。やりましょう、チノちゃん」

 

チノちゃんと千夜は見学組――もといチェス組へと廻る。

あまり無理させても疲れるだけだし、皆は強引には誘わない。

 

「あ、そうだ。せっかく勝負するなら何か賭けをしない? 私が勝ったら、ティッピーが頭まで濡れたらどうなるかか見せて欲しいわ」

 

「いいですよ。私が勝ったらココアさんとに逆にお姉さんと呼んでもらいましょう」

 

「なんで巻き込まれてるの!」

 

いつもお姉ちゃんとしつこいから、というのは言わないで置こう。それにたぶんチノちゃんもお姉さんというのに少し憧れもあるのだろう。

 

「それじゃあ、私たちはこっちで泳ごっか! 足ヒレも持ってきてるよ!」

 

「何で持ってきてるんだ!? 家にそんなのなかったよね、ココアお姉ちゃん!?」

 

本当に唐突なことをしだすココアには驚かされてばかりだ。

 

「そもそも、足ヒレ使うような深いプールなんてあるのかしら?」

 

「あっちにあるよ!」

 

「あるのか!?」

 

もう驚いてばかりだ、なんだか俺が泳ぐ前から疲れ始めている。

 

「あの…私、深いプールで泳いだことないんだよな」

 

「嘘だ! あのリゼがしたことない運動なんてあるわけが――」

 

「少し落ち着け、コウナ!」

 

「おふっ!」

 

バシン、とリゼに頭を叩かれる。そのお陰というか、なんだか頭が冴えてきた。

 

「……ごめん。なんかよくわからない取り乱し方した」

 

「ああ、落ち着いてくれたのなら良いよ」

 

「うん、学校によってはプールの授業ないところもあるからな。それじゃあ、まず体操してから水に慣れるようなことしようか」

 

「そうね。念のためにストレッチしてから入りましょうか」

 

「確かに、準備運動は大切だよな」

 

そういいながら脚をほぼ百八十度に開脚して、ペタリと床に身体をつけるリゼ。

 

「柔らかいな、リゼ」

 

俺も同じように開脚をして身体をつける。リゼほどでもないけど柔軟は日々しているから俺もそこそこ身体は柔らかい。

 

「コウナも同じくらいだろ。結構筋肉があるのにその柔らかさ……柔軟な筋肉ってやつか?」

 

「体が硬いと怪我しやすいからね。トレーニングと同じように柔軟も日課だよ」

 

「二人ともすごいわ」

 

「私たちも負けてられないね、シャロちゃん!」

 

感心するシャロと何か意気込むココア。すると次の瞬間、

 

「に、肉体美の表現なら負けないよ…!」

 

「!?」

 

シャロは十字のポーズでココアの膝上に乗り、ココアはシャロの足首を持って身体を後ろにそらして、プルプルと震えながらバランスを保っている。

 

「え…なにしてる?」

 

「何でシャロは戸惑いながらノってんのさ」

 

真面目に準備をさせた後、俺たちはプールに入る。

 

「それじゃあ、いまからリゼちゃんの特訓を始めます――ということで最初は息止め勝負から!」

 

どうしてそうなる、というのは俺だけじゃなくてリゼもシャロも思っただろう。だけどまあ、俺たちはココアに付き合う。

 

「それじゃあいくよー! いっせーの!!」

 

ココアの合図で俺たちは息を吸い込み、水中へと潜る。

 

ちょっとしてから水中で三人を確認する。

シャロもリゼもまだ潜っていた。リゼも俺たちの姿を確認していたのか水中で目を開けている。だが、ココアの姿が見当たらなかった。

キョロキョロと周りを見渡すとココアの姿はしっかりとあった。だが――

 

 

ぷかあ――

 

 

――紛らわしいやり方っ!!

 

体の力を抜いて、溺死したように浮上するココア。顔は水の中にあるから勝負としてはいいのだが紛らわしすぎる。

そして、そんなココアの姿を見た人はどんな反応をするかはわかる

 

「――ごぱぁ!!」

 

後ろでココアの姿を見たリゼがぎょっとして、水中で息を噴出し。苦しくなったのか水中から出て行く。

 

「ごほっ、ごほっ!?」

 

「……大丈夫か、リゼ」

 

俺も色々と察して水中から出て、リゼの背中を擦ってやる。

 

「大丈夫ですかリゼ先輩!?」

 

先に上がっていたシャロもその様子に驚いた表情をする。

 

「第一戦目は私の勝ちだね!」

 

最後にココアが出て喜びの声を上げた。

 

「変な体勢で息を止めるなよ!!」

 

「ココアお姉ちゃん、誤解を招くやり方はやめような?」

 

気を取り直して、第二戦目――

今度はココアも普通に潜っている。だが――

 

 

――ぴこぴこ

 

 

ん?

 

 

ココアが頭の上で手を曲げる動作をしている。

 

 

ふむ、うさぎのジェスチャーか

 

 

次は親指と人差し指でVの字を作って片手を沿えて顔付近に構える。

 

 

うえ? いや、あれは銃か? 

 

 

それからココアはドヤ顔をして、髪をなびかせる動作をする。

 

 

――ああ、なるほど、リゼか。

 

 

俺はわかったが、他の二人は首をかしげたままだ。

ココアはタイムオーバーといわんばかりに水中から出る。

ココアに続いて、俺たちも水の中から出る。

 

「正解は全部リゼちゃんでしたー」

 

「私はそんなんじゃない!」

 

いや、あながち間違いでもないだろう。ラビットハウスといいモデルガンといい。

 

「勝負の趣旨が変わってるわね」

 

まあいいじゃないか、細かいことは気にしない気にしない。突っ込んだら負けだよ、シャロ。

 

 

 

 

 

「次は実際に泳いでみようか。ちょうどビート板もあることだし」

 

「そうね、最初の練習にはそれがよさそう」

 

リゼの泳ぎの練習プランを組み立てる俺とシャロ。

ちなみにココアは、チェスをしている千夜が劣勢とわかるや否や、姉の威厳の危機だと、そっちへとすっ飛んでいった。

あれこれといっている俺とシャロの間に、リゼが要望の手を上げる。

 

「あ、ビート板じゃなくて――手を引っ張るやつ、あれをやりたい!」

 

そういいながらわくわくとしているリゼ。

たまにこういう子供っぽいことに憧れがあるリゼの意外な一面はなんというか、可愛らしいと思う。

 

「それじゃあ俺は見守ってるから。シャロに任せるよ」

 

「えっ、コウナはしないの!?」

 

「二人で手を引くのもおかしいだろ? それにリゼだって同性のほうがいいだろう」

 

「そ、そうだな! シャロ、頼めるか?」

 

勢いよくリゼに頼まれたシャロは断れず、リゼの手をとる。

 

「それにしてもリゼ先輩ってスポーツ万能かと思ってました」

 

「泳ぐ機会がなかったからな。コウナも言ってたとおり授業もなかったし」

 

それにしてもこうしてシャロとリゼが戯れているのはなかなか絵になるな。

 

「それにしても年下に教わるって、なんだか恥ずかしいな」

 

その状況は恥ずかしくないのか、と思ったのは俺だけではなくシャロもそう思っているだろう。

 

「シャロが溺れても助けられるぐらい上手くなってやるぞー」

 

意気込むリゼの話に俺はいやな予感がしてそっとスタンバイする。そしてその予感は見事的中することになる。

 

「そんな迷惑はかけま――わっ、きゃあ!?」

 

そういいかけた瞬間、シャロは水の中に沈んだ。

 

「もう想定訓練か!?」

 

だいたい、リゼに緊張して足がつったのだろう。フラグ回収という奴だ。

 

「慌てちゃだめだよリゼ。よっこいしょ」

 

水中の中で固まっているシャロを探索して抱えあげる。

 

「げほ、げほっ……」

 

「シャロ、大丈夫か!?」

 

「大丈夫かい、シャロ?」

 

「ご、ごめんなさい、コウナ…ありがと……」

 

顔を紅くしながら言うシャロ。

 

「気にしないで。縁に座らせるから、足を伸ばそうか」

 

「う、うん」

 

「ただ一つお願いするなら、その――そろそろ首に回してる手を放して欲しいかな。この体勢は、色々とまずい」

 

脚をつってパニックになったのかがっしり抱きついているシャロ。発育があまり良くないと普段自嘲するシャロだが、やはり女の子。それにお互い露出が多い水着で抱きつかれているのは精神的にやばい。

シャロを運んでいる間、俺はいろんな意味で試されるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここから見える夜景きれーい!」

 

ココアがはしゃぎながら外の景色に魅せられていた。俺はココアの隣で夜景を眺めながら同意する。

 

「そうだね。綺麗だ」

 

「今日はコウくんはリラックスできた?」

 

「うん。温泉も気持ちよかったし、みんなと遊べて楽しかったよ」

 

リゼの泳ぎの特訓して、ある程度泳げるようになったリゼと勝負したり、チノちゃんとチェスで勝負したり、ジェットバスでゆったりしたり。なかなか有意義な一日だったといえる。

 

「ねえ、コウくん」

 

「なに、ココアお姉ちゃん」

 

「また…みんなで来ようね」

 

そういうココアの笑顔は夜の街のライトに照らされて、綺麗に映えていた。

一瞬だけその笑顔に見惚れてた俺はハッとする。

 

「そうだね。また――」

 

「おーい。ココアー、コウナー」

 

「二人ともこっちにきなさーい」

 

「売店へ行ってコーヒー牛乳買ってきましたよ」

 

「みんなで飲みましょう」

 

売店に行っていた四人がビンを抱えて帰ってくる。

俺とココアはお互いの顔を見て、柔らかな笑みを浮かべて、みんなの輪に入る。

 

「それじゃあ、みんな持ったな」

 

リゼの問いかけにビンを持った全員が頷く。

 

『コーヒー牛乳で』

 

「フルーツ牛乳で」

 

 

『かんぱーい!!』

 

 

ビンのぶつかる音が、夜の街に溶けていった。

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん! 牛乳はこうやって飲むんだよ!!」

 

腰に手を当てて一気に中身を煽るココア。

 

「千夜とチノのチェス勝負はチノが勝ったのか」

 

「まあ、将棋と似てるといっても違うからね。」

 

「そういえば、コウナもチノと勝負してたよな。どっちが勝ったんだ?」

 

「ああ、俺が勝ったよ。とはいっても辛勝だったけどね」

 

そして、千夜と同様に賭けをして勝った俺が頼んだことといえば――

 

「こ、コウナ、お兄ちゃん……」

 

恥ずかしさからか、顔を赤らめ、ちらちらと上目遣いでお兄ちゃんと呼んでくるチノちゃん。

 

「なにかな、チノ」

 

「これ、すごく恥ずかしいです…お兄ちゃん……」

 

「ふふ。ありがと、チノ」

 

俺は優しく頭をなでてあげる。

俺がチノちゃんに頼んだのは兄と呼んで欲しいというものだった。

俺もなんだかんだで末っ子だったから以前からそういうことには少し憧れがあったのだ。だが――

 

「コウナ、お前死んだな」

 

「あんた、少しは学習したらどうなの?」

 

「コウナくん、私が妹になってもいいのよ?」

 

呆れたような視線を向けてくるリゼとシャロによくわからないことを口走る千夜。その理由はもうわかっていた。

 

「いいんだ二人とも。俺は満足したから。妹というものがどういうものが体験できただけで」

 

「ココアだって妹みたいなものじゃない」

 

「違うんだ、シャロ。俺にとってやっぱりココアはココアお姉ちゃんなんだ。ね――ココアお姉ちゃん?」

 

振り返っていい笑顔で言う俺に、ココアはそれ以上の笑みで返してきた。

 

「そうだね――それはそれとして、コウくん。ちょっとお話しようか」

 

「……一思いに、お願いします」

 

 

その日、俺はお星様になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 






いかがでしたでしょうか?
ではまた次回にm(..)m


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