どうも、こちらを更新するのは一ヶ月ぶりですね。
どうしても原作だけだと内容の流れを作るのが難しいです。
「コウく~ん!!」
ある日の放課後、ココアが大きな声を上げて駆け寄ってくる。
「助けてよ、コウくん~!!」
猫型ロボットに縋りつく某小学生のように泣き付いてくるココア。その原因を俺は知っていた。
「ココア…またアウトだったの?」
「うぅ…ココアお姉ちゃんだよぅ……コウくんの言う通りだよ…」
ココアが渡してくる一枚の紙を俺は受け取る。
「10点に17点か。これは確かにアウト――よかったね、これがテスト本番じゃなくて」
赤色で丸やバツが描かれた答案用紙――中間テスト前の国語や歴史の小テストの結果を見て俺は言う。
「それはそうだけど…このままじゃ本番も赤点確実だよぉ~」
50点満点中10点、正答率二、三割という赤点必須の結果。ココアは文系科目が大の苦手なのだ。
どうしよう! としがみついてくるココアに、どうするも何もやることは一つだけでしょ、と俺はココアを引き剥がす。
「それじゃあ毎度恒例の勉強会をしようか、ココアお姉ちゃん」
「お願いします、コウくん先生!」
「勉強会するなら、私も混ぜて欲しいわ。いいかしら?」
敬礼するココアの後ろからひょっこり顔を出すのは千夜。断る理由はどこにもないので頷く。
「ああ、もちろん。ちなみに千夜は今回の小テストどうだった?」
「国語や歴史は40点台と問題ないのだけど、私はこっちが苦手で……」
そう言って千夜が差し出してきたのは数学や物理の小テストの結果。
「20点に22点――千夜は理系科目が苦手なのか…」
「お恥ずかしながら」
ココアほどでもないが50点満点のテストで四割弱。赤点にはならないだろうが、ちょっと心もとない。
「コウくんはどうだったの、今回の小テスト――って、聞くまでもないかな?」
「どうして、ココアちゃん?」
「だって、コウくんって大体満点なんだもん」
えっ!? と驚きの目を向けてくる千夜。
ココアの言う通りで、英才教育という名の虐待に近いレベルで勉強させられた俺は大体の学問は修了しているといっても過言じゃない。
だから小学校通い始めたときから俺は満点しか取ったことない。
まあそれはそれで色々と問題はあったけど、いま話すことじゃない。
「コウくんって、知らないことはないんじゃないかってぐらい頭いいんだ!」
家族を自慢するかのように高いテンションで話すココア。だが、それを聞いた千夜は何かに気付いたようで表情に影を落とす。
「千夜」
それをいち早く気付いた俺は千夜に小さく囁く。
「気にしなくていいよ。前にも言った通り割り切っているんだから。そんな顔されると俺が困る」
「え、ええ。ごめんなさい…」
「それじゃあ図書館に行こうか。時間も限られてることだし、ね?」
俺たちは荷物をまとめ、学校を出るのだった。
図書館へ向かっている最中、俺たちは見慣れた金髪の少女を見かける。
「あれ、シャロちゃんだ! 今帰り?」
リゼと同じ学校のブレザーを身に纏って前を歩いていたのはシャロだった。
「ココア? 私は図書館に本を返しに行こうとしたところよ」
「それなら私たちと一緒に図書館で勉強していかない?」
「えー……」
ココアが誘うも、シャロの顔は乗り気じゃなかった。
だが、何を考えたのかシャロは急にそわそわし始めて、
「そ、そんなに言うなら、教えてあげてもいいかなー」
「そこまで言ってないよ!」
大体リゼ絡みなのだろう。シャロが
「? あら、チノちゃんもいたの?」
正気に戻ったシャロは千夜の後ろにいたチノちゃんの存在に気付く。
どういう偶然か、チノちゃんも図書館に向かおうとしている最中で、ばったり出会ったところでココアが誘ったのだ。
「私は昔読んだ本をもう一度読みたくなって…でも、タイトルが思い出せないんです……」
「あー、あるよねそういうことって。ちなみにどんな感じの内容か覚えてる?」
「えっと、正義のヒーローになりたかったうさぎが悪いうさぎを懲らしめるんですが…関係ないうさぎまで巻き込んで大変なことになってしまうんです」
目を輝かせながら饒舌に語るチノちゃん。
「主人公を追う別のうさぎまで現れて戦ったりもするんですけど…何より最後のシーンが…」
いろいろとストーリーを語るチノちゃんは生き生きとしている。だが、そんなチノちゃんに対してこう思ったのは俺だけじゃないだろう。
――そんなに内容覚えているのに、また読みたいんだ!?
まあ、気持ちはわからなくないから何も言わない。
「そういえばチノちゃんもテスト近いって言ってたよね? 勉強のほうは大丈夫?」
少なくともココアよりは大丈夫だということは俺は知っている。
「ええ。ある程度は。ですが最近わからない問題も増えてきているので、油断は出来ません」
「だったらシャロちゃんに教えてもらったら?」
千夜が教師役としてシャロを推薦してくる。
「シャロは勉強できる人か~」
シャロが身に纏っている制服はリゼと同じところの元お嬢様校のブレザーだ。
「ええ、特待生で学費が免除されるくらいなの」
「それはすごい、たしかあそこの特待生は学年で一人だけだと聞いているけど、シャロだったんだ」
「え、ええ…まあね……」
「美人で頭がいいなんて!」
「非の打ち所がないです!」
純粋に褒めてくるココアとチノちゃんに照れた様子を見せるシャロ。
「おまけにお嬢様なんて、なんて完璧なの。まぶしー」
二人に倣って続く千夜。だけど、指の隙間から褒めた様子のない瞳を向けていた。
もちろん千夜の言葉の意図に気づいているシャロは静かにこめかみに青筋をたてていた。
そんなシャロにとってハラハラする状態が何度か繰り返されながらも、俺たちは図書館へとたどり着く。
「わー、この図書館大きいね!」
「確かに。こんなに大きいと大体の本は網羅していそうだね」
初めて来る図書館の大きさに俺とココアは感嘆の声を漏らす。
「ほら、ビックリするのは分かるけど今日の目的を忘れないように。あそこらへんでいいかしら?」
ちょうど俺たちが座れるだけの数の椅子があるスペースがあった。
俺たちは各々勉強道具を広げる。
「それじゃあココアちゃん、コウナくん。今日はよろしくね」
うん、と頷く俺たちにシャロが疑問の目を向けてくる。
「え? コウナはともかく、千夜がココアに教えるんじゃないの?」
「ちがうちがう、私が教えてもらうの」
「私、物理と数学が得意なんだー」
「うそでしょ!?」
「ほんとだよ、シャロ。ココアは数学と物理は大体満点取れるんだ」
信じられないというような顔をするシャロ。まあ、ココアの雰囲気からココアが勉強できるような人ではないように見えてもおかしくはない。
「むっ……なんかコウくん、今失礼なことを考えてたでしょ?」
「い、いきなり何を言うのかなココアお姉ちゃん……」
俺は目をそらす。なぜ分かったんだろうか。
「それなら、ココアがチノちゃんに教えてあげればよかったんじゃない?」
「ああ、それは無理なんだ。ココアお姉ちゃんは教え下手だから」
「なんてこと言うのコウくん! 私そんなに下手じゃないよ!!」
「コウナさんの言う通り、ココアさんの教え方はアレなので頼りになりません」
「アレ!? チノちゃんまで酷いよ!?」
酷いといわれても事実だし。
「そうなの? 分かりやすいのに?」
だけどそんなココアでも教えられる人物がいる。それが千夜だ。
「千夜さんはきっと波長が合うんです」
「まあ、ココアお姉ちゃんの教え下手の原因は分かるんだけどね」
「?」
「ココアお姉ちゃんは理系科目は学年トップレベルなんだけど文系科目が全然駄目なんだよ」
「本はいっぱい読むんだけど……」
ココアはこの間の中間テストの結果を広げる。
数学、物理、化学は平均90点以上なのだが、国語、英語、歴史が平均20点もいっていない。だからココアの総合順位はいつも平均だ。
「文系が絶望的!」
「そうなんだよ。国語が出来ないからどうしても言い方が感覚的になって理解が出来ないんだよ。俺はある程度わかるけど…それでも完璧に呑みこめるのは千夜だけだよ」
チノちゃんの言う通り波長が合うからだろうか? ココアの教えを理解できるのは後にも先にも千夜だけだろう。
「とりあえず、勉強しましょうか」
シャロの一声で、俺たちは勉強を始める。
ココアは千夜に、シャロはチノちゃんにというペアで勉強している。
俺は特に勉強する必要はないが、復習のためいろいろな学問の本を借りて読むことにした。
「ここの問題はね――」
「ふむふむ……」
「……」
「ここの問題はこの公式を当てはめるの」
「あ、そういうことだったんですね!」
「……うーん」
勉強はじめてから一時間。順調に勉強を進める皆に対して俺は一つの疑問を浮かべていた。
これ、俺がいる意味あるのかな?
そんなことを考えていたのが顔に出たのか、シャロが肩をとんとんとつついてくる。
「コウナ、ちょっといいかしら?」
「どうしたの?」
「ここの問題なんだけど、確か普通に公式に当てはめるより簡単な方法があったわよね? どうやるのかちょっと忘れて」
単なる質問。どうやら俺の気のせいだった。
「ああ、そこは注目する視点を変えると簡単だよ。えっと――」
俺は白紙にすらすらと書き込みながら説明していく。
「――すると、公式に当てはめて計算するより楽に計算ができるんだ。どう、わかったかな?」
「はい、すごい分かりやすかったです!」
「すごいわね、コウナ。あんた将来は教師とか向いているんじゃないの?」
「そうでもないよ。チノちゃんは理解力があるから」
「いやいや、私も感心しちゃったもの」
「あはは、ありがと。そう言ってもらえるなら教え甲斐もあるね」
「ふふん、すごいでしょ。うちのコウくんは!」
どうしてココアが誇らしげにしているんだろう。
「ええ。私、コウナさんのような頼れる兄がいたらよかったです」
「――」
チノちゃんの言葉にココアが絶句する。
「あと、シャロさんのような姉も」
「私要らない子だぁ!」
それがとどめになったのか、ココアがわんわん泣き出す。そういうところが頼りにならないと思われる要因だろう。
「図書館では静かに」
「ほら、ココアお姉ちゃん泣かないの」
「うう…コウく~ん……」
「ほんとに、どっちが兄で姉なんだか」
「まったくです…」
シャロとチノちゃんに呆れられながらも、よしよし、と頭を撫でてあげるのだった。
「そういえばチノちゃんは将来、私達の学校とシャロちゃんの学校、どっちに行きたい?」
「高校ですか。そうですね、そろそろ視野にいれとかないといけませんね」
「チノちゃんはセーラー服が似合うよ!」
「ブレザーのほうが絶対可愛いわよ!」
考えるチノちゃんにココアとシャロが自分の学校の制服を勧める。
「二人とも、さりげなく自分の学校に誘っているな…」
似合うというのは本心なのだろうが、なんとも抜け目がない。
「私は袴姿がいいと思うの」
「いつの時代?」
「さすがに現代で袴はないよ、千夜…」
袴だったら大正時代のものぐらいだろう。時代が違いすぎる。
「そういえばココアは将来どういう仕事に就きたいとか願望あるの?」
「私? 将来かー…私はパン屋さんとか」
なるほど、ココアにぴったりだ。だけど、一番上の姉やココアのお母さんを超える必要が出てくるけど。
「それか、弁護士さんかなー?」
また突拍子もないものがキター!?
「まったく想像がつかないんだけど!? 確かに二人のうち一人の兄さんは法律の勉強してるけどさ!?」
「えー、想像できない?」
そういうココアに、俺は脳内で想像する。
――私ココア。街の国際弁護士☆
うーん、いまのココアがオトナとして無理して振舞おうとしているだけのような気がする。
「今のココアじゃまったく分からないな……」
「もう少しオトナっぽく想像してよ! それとココアお姉ちゃん!! お姉ちゃんが大人として成長した姿で想像して!」
そういわれて、俺はもう一度想像する。
――私ココア。街の国際弁護士よ。
……色気がありすぎて、さすがにやばい。
「というか、頭身の問題じゃないでしょうが!」
シャロに突っ込まれて俺ははっとする。確かにその通りだ。頭身に関わらず、ココアが弁護士ってちゃんとした想像ができない。
「私は自分の力で甘兎をもっと繁盛させるのが夢♪」
「私も…家の仕事を継いで立派なバリスタになりたいです」
実家が自営業なら家を継ぐことを考えるのは自然の流れ。それを本心で言っているあたりとっても千夜やチノちゃんらしい。
「いい夢だね、うん。応援するよ、千夜、チノちゃん」
「あ、ありがとう…コウナくん……」
「ありがとうございます……」
顔を紅くして俯く二人。一体どうしたの言うのだろうか?
「バリスタかー…バリスタもかっこいいね。よし、決めた!」
すると、ココアが拳をぎゅっと握る。
「私、街の国際バリスタ弁護士になるよ!」
「詰め込みすぎ!」
「街の国際から離れてください」
全部ひとまとめにするココアにさすがに突っ込みを入れる。というか、街の国際弁護士ってすごい矛盾していることにココアは気付いているのだろうか?
そんな夢の話をしつつ、あらかた苦手科目のテスト範囲をさらったココアとチノちゃんはチノちゃんが読みたがっていた本を探しに行った。
残されたシャロと千夜は自分の勉強をして、俺は二人の勉強を見ながら本を読み続けていた。
「……もし」
静寂に包まれている中、シャロがポツリと呟いた。
「私が千夜やコウナたちと同じ学校だったら、どうなっていたんだろ?」
「今の学校、後悔しているの?」
寂しそうな目をしていたシャロに千夜が問いかけると、シャロは机に伏せた。
「せめて、リゼ先輩と同じ学年だったら…」
「ほんとにしてたー」
「シャロは同学年に友達は……いないんだろうな。そんなこというなら」
「いないわけじゃないのよ!? ただ、ほら……みんな私と違って本物のお嬢様やお坊ちゃんだから」
なるほどね。周りとズレているから本当の自分が出せないということか。
「んー、正直窮屈よね。学費免除でエリート学校に入れても。私も周りがお嬢様やお坊ちゃんだらけだったら、気を遣って疲れちゃう」
千夜の言う通り、俺でも素の自分が出せない環境というのはなかなかにきつい。
「でも待って…もしシャロちゃんが私たちと同じ学校だったら、コウナくんは男の子だからまだしも――人数合わせ的に私とココアちゃんが別のクラスになってたかも! そんなの困るわー!!」
「ぐさっ!?」
シャロに言葉のナイフが刺さった!? というか、幼馴染にそういうこと言っちゃ駄目でしょ!
「なーんて、冗談」
「い、いい加減にからかうのはやめてよ!」
冗談でも質の悪い冗談だ…今度から腹黒千夜さんと呼ぼう。
「コウナくん、今何を考えていたのかしら?」
「いや何も考えてないよ!? うん、シャロと千夜は仲良しだなぁって」
「ふふふ、だって私たちは幼馴染よ? 学校以外でもこうして会ったりできるんだもの」
笑顔で言う千夜の言葉の意図に気付いたシャロははっとする。
「千夜……」
「私たち大人になっても、ずっと一緒よ」
「……ん」
照れくさそうにそっぽを向くシャロ。だが、満更でもないようだ。
俺も小さく微笑みながら、ニコニコしている千夜と顔を赤らめているシャロを眺めるのだった。
いかがでしたでしょうか?
久々の更新な上に突然で申し訳ないのですが、こちらの更新はしばらくしないことにしました。
録画していたごちうさがすべて消されてしまったためです。
原作だけだと少し書きづらいので、それをどうにかできるまでしばらくお休みします。
blu-ray&DVDって今いくらするんだろう……