こにゃにゃちわ
燕尾です。
最近ごちうさを見直しています。
ここ近年、不倫騒動やら裏垢騒動とかいろいろありますが、
ご本人の生活やその人が同業者をどう思っているとかどうでもいいので
声優というお仕事をしっかりとやっていただくことを切に願います。
その人のファンというより、お仕事のしている時のファンなので。
リスペクトに近い感じですね。
さて、愚痴を書いてしまいましたが、35羽目です。
今回からアニメ2期の内容をやっていきます。が、原作だとバラバラなので
前後することもあります。
それでは、どうぞ
雪解けが始まり、春の気配が段々と近づいてくる。
この町に来てからそろそろ一年が経とうとしていた。
「コウくーん?」
「ん、どうしたの? ココア――」
ココアに呼ばれてペンを置いて、振り向く。
パシャ――
「……ちょっと?」
フラッシュとともに、シャッター音が聞こえた俺はすぐに何をされたのか分かった。
目の前でカメラを構えてたココアに少し抗議する。
「えへへ、ごめんね。実家に手紙を送ろうって話してたでしょ? それで手紙と一緒に写真も送ろうって思って。コウくんの普段の様子を撮りたかったんだ」
「それはいいと思うけど、急にカメラを向けないでよ」
「ごめんごめん。コウくんだけじゃなくてみんなの写真も撮りたいんだけど、どう思う?」
「んー、ちゃんと言えばいいと思うよ。俺も日頃から撮らせてもらってるし」
ほらこんな風に、と俺は携帯のアルバムを見せる。
そこにはラ働いているココアやチノちゃんにリゼの姿や甘兎庵の千夜、フルールのシャロに青山さんの執筆姿やバーでのタカヒロさん。それだけではなく、遊んだ時や学校での姿にクラスメイトや学校では数少ない男子の姿など、いろんな写真が収められている。
「コウくん、いつの間にこんな――っていうか、それって盗撮っていうんじゃ?」
「バレなかったら大丈夫。バレなきゃ犯罪じゃないんだよ?」
「危ない思考をしてるよ!?」
「冗談だよ。まあ隠し撮りしているのは事実だけど、ちゃんと許可は取ってる」
普段から思い出や地元の人への近況報告のために撮るときがある、と、写真に収めている人には伝えている。
本人達の意識から外れている時に取っているから、いつ取られているのかタカヒロさん以外気づいていないが、みんなから許可はもらっている。
「じゃあ、コウくんのアルバムから選んだら――」
「それは駄目」
「どうしてっ!?」
即答したことに驚き、お願いっ、と手を合わせて縋ってくるココア。
「これは俺が見ているものを撮っているから。誰かに伝えるのに写真を撮るなら、自分が見た景色や人の姿を撮らないと」
共有できるもの共有してもいいが、写真は自分で撮ってこそだと俺は思う。
「だからココアが実家のみんなに見せたいって思った写真を撮るといいと思うよ」
「コウくん……うん、わかったよ! それじゃあ早速撮ってくるー!!」
そのまま勢いよく部屋を飛び出していくココア。
「とはいっても今日は仕事だよな? 写真ばっかりで仕事そっちのけにしなきゃいいけど」
その不安は早くも的中することになる。
「チノちゃーん、こっち向いて?」
「……っ、仕事があります」
チノちゃんにカメラを向けてめちゃくちゃ撮っていた。
だけど、写真が苦手なのかカメラから逃げるチノちゃん。
「うん、ブレててもかわいい!」
「それでいいのか?」
俺は呆れたように、ココアの頭に手をのせる。
「コウナさん。おはようございます」
「おはよう、コウナ」
「おはよう、二人とも。ココアが近況報告のためにみんなのことも伝えたいんだって。ちょっとだけ協力してくれると助かる」
「ああ、それはいいが――」
「じゃあ、リゼちゃんの写真撮るよ~!」
「早速か!!」
「首を傾けて? 口に手を当てて――」
「ええっと、こうか……?」
ココアの指示に慌てて従い、ポーズをとるリゼ。
「――そのまま、にこっ!」
「にこっ!」
パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ―――
「お前らすぐに消せぇ!! 特にコウナっ! お前は撮りすぎだ、しかも笑いながら撮っただろ!!」
「断る♪ 笑ってなんかないよ――ふふっ」
「コウナー!!」
リゼの可愛らしい笑顔に、つい連射機能を使って撮ってしまった。
迫ってくるリゼをかわし、削除されないように別端末に送信する。
「じゃあ、チノちゃんも! もう一回」
「――っ、私はいいです」
「そんなこと言わないで、こっち見て? 笑って?」
「コーヒー豆の在庫を確認しないと」
「ああ、チノちゃーん……」
逃げるように倉庫へ行ったチノちゃんに肩を落とすココア。
「あまり無理強いするなよ。写真撮られるの苦手な人だっているんだからさ」
「今のはあまりよくなかったね。今のチノちゃんの場合、あからさまに向けられると固くなるから」
「うーん…恥ずかしがることないのに……」
――バタン
倉庫からコーヒー豆をもって出る。
店内に戻ればまたココアさんが写真を撮ろうとするのがわかっているけど、いつまでも倉庫にいるわけにもいかなく、軽くため息が出る。
戻っているときにあるものがふと目についた。
「……」
窓ガラスに映る自分の姿。
――ニコ
パシャリ――
「――っ!!?」
「ごめんね。いい笑顔だったからつい撮っちゃった♪」
「コウナさんッ!」
私は笑顔で謝ってくるコウナさんをポカポカと叩く。
でもコウナさんはものともせず、私の頭を撫でた。
「健気だね。写真を撮られるのが嫌、というより不安みたいだね」
「私にはココアさんのようにはできないので…」
「さっきの笑顔を撮らせてあげればココアも満足すると思うよ?」
「そう、でしょうか? でも、ココアさんに簡単に撮らせるのはちょっと納得いかないので」
「あはは、そっか」
コウナさんはそれ以上深く追及することはなかった。
私のことを見透かしているような笑みを浮かべて、私の頭を撫でて店内へと戻る。
私は撫でられた頭にそっと手を置いた。
「どうしてコウナさんはわかるんでしょうか。私、そんなにわかりやすいですか?」
「あやつは生い立ちがちょっと特殊じゃからな。あの歳ながらにして観察眼が育っておるんじゃよ。チノがわかりやすいとかそういうことではない」
「……でも、その割にはココアさんを怒らせるときはすごい鈍感ですけど」
「そこはわしも謎じゃな」
コウナさんの謎が一つまた深まった。
ココアが写真撮り始めて、数日が経った。
千夜やシャロにも協力してもらって順調にこの街での日常を記録していった。
残るはチノちゃんの写真だが、それはいまだに撮ることができないでいた。
「あとはチノちゃんだけなの、ちょっとだけでいいから撮らせて!」
「そう言われましても……」
「お願い…かわいい妹ができたアピールをお姉ちゃんやお母さんにしたいの!」
「ですが…」
今も渋るチノちゃん。初めてお願いした時から大分経っているが、彼女の心はまだ迷っていたままだった。
「チノ、少しだけでいいから協力してやったらどうだ?」
見かねたリゼから助け舟が出る。それに乗っかるように俺もお願いする。
「チノちゃん、俺からもお願い。俺たちの近況報告を手伝ってくれないかな?」
「……」
チノちゃんは迷った様子を見せて、息を吐いた。
「…少しだけなら。本当に少しだけですよ?」
「本当!? ありがとう!!」
許可を得られたココアはさっそくカメラをチノちゃんに向けた。
「それじゃあ、チノちゃん。笑って?」
「難しいこと言わないでください」
そうは言っているチノちゃんだけど、数日間笑顔の練習をしていたからできないことではないと思うのだが、やっぱり照れが勝っているのだろう。
「そうだ。どうせなら二人並んだところを撮ってやるよ」
「本当? 一緒なら恥ずかしくないよね?」
「は、はぁ……」
リゼの提案を受け、ココアとチノちゃんがカウンター前に並ぶ。
「チノちゃんに合わせるから、無理に笑わなくてもいいからね」
「そうですか。なら…」
ココアはカメラをリゼに渡す。
「リゼちゃん、お願いね!」
「ああ。じゃあ、撮るぞー」
カメラを向けるリゼ。しかし、俺は二人の表情を見て苦笑いした。
「……これは、陰気な喫茶店だな」
シャッターを切ったリゼも同じような感想を抱いたようだ。
写真を撮ったはいいけど、ただただ無表情。笑顔も変顔も決め顔も何もない写真。
まあ、これはこれであのココアが無表情というのが面白いものではあるけど。
「笑ってください。お願いします」
「泣きながら言うな」
「まあ、いつか撮れるよ」
よしよし、とココアの頭を撫でてあげる。
するとココアは何かを思いついたように顔を上げた
「なんだか、証明写真みたいですね」
「――っ! ココア今だ! これがチノの笑顔だ!!」
後ろの方で写真を見て笑っていたのだろう。チノちゃんの笑みを見たリゼが発破をかけるが――
「残念。ココアはどっか行っちゃったね」
「なんて間の悪い奴!」
ココアがチノちゃんの笑顔を見ることができないのはもう決まっていることなのかもしれない。
「撮れなくていいんです。私はココアさんにとって我が子を谷に突き落とすライオンです。這い上がってきたときに笑いかけるんです――たぶん」
たぶんってなんだ、たぶんって。でもここまで来たらココアにとってチノちゃんの笑顔を写真に収めるのは一種の試練とも言えるだろう。
「照れてるだけだろう、正直に言えよ。ほら、くすぐったら笑うだろ」
チノちゃんに抱き着き、わき腹をこちょこちょしはじめるリゼ。
「や、やめてください…」
パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ―――
「コウナ! 何を撮っておるか――!!」
「へぶっ!!」
チノちゃんの悶える姿を連射して撮ったら、
「罪悪感というか犯罪的な気がして、私にはこれ以上無理だ」
「俺もつい撮ってしまったけど、さすがに消すよ」
名残惜しいけど、さすがにこの姿を残すのはリゼの言う通りお巡りさん案件になってしまう気がするし――
「うんうん。そうした方がいいってお姉ちゃんも思うな―?」
――お巡りさん案件じゃなくて、お姉ちゃん案件であった。
「……ココア、お姉ちゃん? いつからそこに?」
「コウくんがチノちゃんに邪念を抱いた時からだよ?」
何それ怖い。なんでそういうときの第六感的なのがそんなに敏感なの?
「コウくん、反省」
「……はい」
ギリギリと肩に手が食い込んでいるため、相当"おこ"なココアに逆らうことなく俺は頷いた。
「――ココアちゃん。急に走り出すからびっくりしたわ」
「千夜ちゃん、ごめんね? コウくんがおいたしてたみたいだから」
ココアから遅れてラビットハウスに入ってきたのは、千夜だった。
「千夜! 仕事中じゃないのか!?」
甘兎庵の制服でここまで来ているから、仕事の途中で抜け出してきたのだろう。
「それはそれ、これはこれだから♪」
「どれですか」
「チノちゃんを笑わせるため、漫才の相方を連れてきたの! 私たちのコントでチノちゃんもきっと笑顔になるよ!」
その自信はどこから来るのかはわからないけど、とりあえずやらせてみる。
「私、この前家庭科の授業で塩と間違えて砂糖を入れちゃったじゃない」
「うんうん、よくあるよねー」
「――あれ、砂糖じゃなくて粉末洗剤だったみたい」
「あはは、それ面白いー!」
「ボケが二人な上に、実話だったらシャレにならない!」
「うん。こうなることはわかってたよ。普通あそこにリゼが加わってコントが成立するものだから」
「それは何か、私がツッコミ役ってことか!?」
今まさにツッコミ入れてるもの。適任だよ。
「こんな事までして…ココアさんは本当にしょうがないココアさんです」
わちゃわちゃしている俺らを見てチノちゃんがクスリ、と笑った。
それを見たココアは素早くカメラを構えて、嬉しそうにシャッターを切った。
「チノちゃん…!!」
写りを確認したココアは両手を上げて喜ぶ。
「わぁい、やったー! チノちゃんの笑顔撮れたよー!」
喜んでいる手前、水を差すようなことはしたくないけれどチノちゃんが見せたのは笑顔は笑顔でも、違うものだった。
「ココア…それ、嘲笑だ」
リゼが指摘するも、喜んでいるココアには聞こえることはなかった。
―――と、木組みの街での生活は絶えず何かが起こり、そして最後には楽しかったと笑顔になるような毎日ばかりです。
もちろん大変なこともありますが、それもまた一つのスパイスとして日々を楽しんで過ごしています。
近日にはモカ姉さんが木組みの街に訪れると聞いてますが、退屈はしないでしょう。
来てくれるのを楽しみに待っています。
「こんな感じかな」
俺は筆をおいて手紙に封をする。
「コウくん、できたー?」
「うん。今終わったところ。そっちは?」
「私もばっちり! みんなの写真もいっぱい入れたよ!」
「そっか――ん? そっちの手に持ってるのは、写真立て?」
「これね、倉庫で見つけた写真立てだよ! 私の部屋に飾るんだ♪」
たぶんデザインからしてチノちゃんのものだろう。ライオン? いやチノちゃんだからタンポポあたりか、周りに花っぽいものもあるし。いや、それはいいけれど。
写真立てのデザインもさることながら、気になることがもう一つあった。
「飾る写真は、それでいいの……?」
入れている写真は二人並んで仏頂面で撮った写真だった。
もっといいものもあると思うんだけどココアはこれがいい、言った。
「初めてチノちゃんと二人並んで撮った写真だもん」
「そっか」
大事にするように抱えるココアに俺も小さく笑った。
チノちゃんに見せるとやはり昔にチノちゃんが作ったようで、デザインもタンポポだったらしくココアのライオン発言にちょっぴり機嫌を損ねるのだった。
いかがでしたでしょうか?
次回はどんなお話にしましょうかね。
ではでは~