どうも~、燕尾です
第八羽目、以前の更新前に書き溜めておいた一羽です。
それとお気に入り登録まさかの175人!! この短期間でこんなに増えているのがとっても嬉しいです。更新日直近以外でも何人もの人がお気に入り登録しているのも見てすごく嬉しかったです。
放課後、俺はリゼさんと肩を並べてラビットハウスへと向かっていた。
「わかってはいましたけど、リゼさんはお嬢様学校に通っていたんですね」
「ああ、そういえば私の制服姿をコウナが見るのは初めてだったな」
リゼさんが着ている高校の制服は黒のシャツに白色のブレザー、チェックのスカートという、どこか気品があるような制服だった。
「はい、リゼさんの制服姿、とっても似合ってます」
「そ、そうか? あ、ありがとう…」
褒められて恥ずかしいのか、リゼさんの顔が若干赤くなった。
それは置いておいて、俺ははなから疑問に思っていたことを口に出す。
「そういえば今更なんですけど、リゼさんは二年生、であってますよね?」
「え、知らないまま話していたのか!?」
「高校生なのはわかりますけど、学年の話しとかしたことありませんでしたからね」
「言われてみればそうだったな――私はココアやコウナの一つ上だぞ。というかそれを知らずにずっと敬語で喋っていたのか?」
「ええ、いきなりタメ口というのは、年上でも年下でも失礼かと思って」
「でもチノはどうなんだ?」
「チノちゃんはタメ口じゃなくて良いって言ってましたからね」
「そう、なのか……」
「? どうしました、リゼさん?」
急にもじもじし始めたリゼさん。その様子に俺は首を傾げる。
「いや、その…なんていうか、あのな……?」
様子がおかしい。言葉が途切れるというか、何か本心を隠しているような、そんな感じがする。
「私も、タメ口で話して欲しい…というか……ココアやチノはフレンドリーなのに私だけいつまでもさん付けは寂しい、というか……」
リゼさんはさっきより顔を赤くして、小さい声で言った。
「でも、リゼちゃんって呼ぶのもなんか変ですし」
「リゼちゃん……いや、それはないだろ!?」
――なんかいま、それもいいな、と思ったな。リゼさん。まあ、それは置いておこう。指摘したら銃で撃たれそうだ。
「普通にリゼって呼んでくれよ! あと敬語も要らないからな!」
正直に言うと年上を呼び捨てっていうのはちょっと躊躇われる。でも、リゼさんが良いって言ってくれてるし、何よりそうして欲しいって言ってるし。
しかもリゼさんはなんか期待した目をしている。なんか妙な気恥ずかしさを俺も覚えて緊張してしまう。
「そ、それじゃあ、いきますね?」
俺は一つ息を整えて、
「――改めて、よろしくね。リゼ」
「――っ!!」
湯気が見えそうなほど、頭まで赤くするリゼ。茹蛸のようだ。
「あ、ああ…よろしく、な…コウナ……」
目を逸らして手を差し伸べるリゼ。俺がその手をとろうとしたそのとき、
「きゃああああ~~~!?」
今までの感情が吹き飛ぶような悲鳴が上がる。
「な、なんだ!?」
「あっちのほうから聞こえた、いくよ、リゼ!」
「――ああ!!」
俺たちは声が聞こえたほうへと駆け出す。
走り出して数分もしないうちに発生源と思しきところへとたどり着くと、そこには一人の金髪の少女が複数のうさぎに囲まれていた。
この光景をココアやチノちゃんが見たら、歓喜の声を上げるんだろうけど、目の前の少女は顔が真っ青だった。これは助けたほうが良さそうだ。
「ほらー、皆こっちにおいで~おいしいにんじんがあるよ~」
「コウナっ? そのにんじん、どこから取り出したんだ!?」
俺はにんじんをゆらゆらと揺らす。すると、全部のうさぎが俺に突進してきた。
その勢いは弾丸のごとし。俺は為す術もなくうさぎたちに飲み込まれた。
「ギャーーーー!!」
「こ、コウナァ――!?」
「だ、大丈夫ですか!?」
「や、やめ……くすぐったい! 服の中に入り込んでくるな、その中ににんじんは…あっ、くっ……!」
うさぎたちに弄られて悶絶する俺は、視線で助けをリゼに求めるのだが、
「「……」」
二人はなんかいけないものを見ているかのような瞳で俺を映していた。
「呆然としてないで……助け――んなっ…ああっ、にゃあ――――!!」
もう、だめ……
俺は身体に力を入れることができずピクピクと身体を痙攣させるのだった。
「……」
俺は両ひざを抱えていじけていた。
あんなだらしない姿を見せてしまって、もう俺お婿にいけない…そして、何より……
「リゼが助けてくれなかった…何もしてくれなかった」
「すまなかったって、コウナ」
リゼが困ったように俺の頭を撫でながら言う。
「あの、本当にすみません…」
それに続いて金髪の少女も頭を下げる。
まあ、もともとは俺たちが首を突っ込んだことだから、この人が申し訳なさを覚えることは俺としても心苦しい。
「いや、気にしないでください。君が無事ならそれで良いので」
「そうだな。大丈夫だったか?」
「はい、ご迷惑をおかけしました。天々座先輩」
「あれ? 名前教えたっけ?」
「いえ、先輩は有名ですから」
今更なのだがよく見ると少女はリゼと同じ制服を着ている。
「リゼで良いよ。噛むし、天々座は言いづらいだろ」
「えっと、そちらの先輩は…」
「ん? 俺は先輩じゃないですよ、君と同い年」
「ええっ、そうだったの!? でも、リゼ先輩と普通に――」
「まあリゼがそうしてくれって言ってましたから」
「なんで私には敬語なの!?」
「だって、初対面ですし、名前も知らないですし…」
俺の言葉に金髪の少女はああ、と呟いた。もしかしたらこの子はどこか抜けてるところがあるのかも。
「桐間シャロ――シャロで良いです。あとあなたは敬語じゃなくても良いわ」
「よろしく、シャロ。俺は保登コウナ、コウナで呼んでくれ」
「よろしくな、シャロ」
「よろしく、コウナ、リゼ先輩」
挨拶を済ましたところで、俺は気づいた。
「やばっ! リゼ、もうバイトの時間! このままだと遅刻だよ!!」
「しまった、もうそんな時間なのか!?」
「というわけでシャロ、ばたばたして申し訳ないけど俺たちはこれで!」
「ええ!? コウナ、リゼ先輩!?」
「急ぐよ、リゼ!!」
「ああ!!」
戸惑っているシャロを置いて俺たちは猛スピードで走りぬくのだった。
ラビットハウスには時間ぎりぎりだったけど、汗だくになって店に出られる状態ではないと、チノちゃんに怒られるのだった。
まあ、説明したら許してくれたけどね。
「このお店のカップって、無地だよね」
ある日、仕事途中のココアがカップを片付けるときに何気なく言う。
そのことにたいした意味はないと思うのだが、チノちゃんが少しむっ、とした。
「シンプルイズベストです」
チノちゃんの頭の上のティッピーもうんうん、と頷いていた。
「もっといろんな色があったらきっとみんな楽しいよ!」
「そうでしょうか?」
「まあ、コーヒー主軸の喫茶店に合うかどうかは置いておいて、確かに珍しさはあるだろうね」
「この前おもしろいカップを見つけたんだ!」
「へぇ、どんなのだ?」
興味を持ったリゼが聞く。
「こんな感じだよー」
ココアはペンを走らせて見せてくる。ココアが描いたものはコーヒーはおろか、飲み物を入れるものではなかった
「これ、アロマキャンドルじゃないか?」
「さすがに区別つけようよ…」
「ですが、いろんな色とかは抜きにして、最近カップが少なくなってきましたね」
チノちゃんの何気ない一言に俺は罪悪感が押し寄せてくる。
「ごめんね、うちのココアが……」
「何で私!? それとココアお姉ちゃん!!」
ははは、こやつめ、何もわかっていないようだ。俺はココアの両頬を引っ張る。
「店のカップを割っているのは誰なのかな~……コ・コ・ア・お・ね・え・ちゃ・ん?」
「
「このもちもちした頬っぺた気持ち良いですな~チノちゃんもやってみる? ココアお姉ちゃんが割った数×一分間もちもちすることを許すよ」
「ふぇ、ふぉうふん!?」
もっち、もっち、とココアの頬をこねくり回しながら言うとチノちゃんは数歩引き下がった。
「い、いえ…遠慮します……それよりココアさんを放してあげてください。足りなくなったら買い足せばいい事ですから」
おお、チノちゃんがココアのフォローをするとは珍しい。まあ、優しい子だからね。
ふふふ、この姉め、もっちもっち……
「ほら、コウナ。そろそろ手を放してやれ」
リゼにも促された俺はパッと手を放す。
「うう…ひどいよ…コウくん~」
両頬を擦りながら涙目になっているココア。
「ひどくない。少しは反省して気をつけて仕事しなさい」
本当は弁償するべきなんだけど、それはチノちゃんやタカヒロさんが許さないからなぁ。
だからココアをもちもちするだけにとどめている。
「無いものは仕方ありませんよ、今度カップを買いに行きましょう」
チノちゃんの一言で俺たちは今度の放課後にカップを買いにいくことが決まったのだった。
タカヒロさんに事情を話してお店を任せた放課後。俺たちは店を探しながら街を歩き回っていた。
「ティッピーも一緒なんだね」
「従業員ですから」
「お、あの店良さそうじゃないか?」
リゼさんが指差した店のショウウィンドウには色々なカップが並んでいた。
「そうだね、陶器の専門店だって。入ってみようか」
俺たちは店の中に入る。中にはショウウィンドウ以上の数のカップや皿がおいてあった。
「わーかわいいカップがいっぱいー!」
「あんまりはしゃぐなよー」
リゼがそう注意した瞬間、ココアが頭から棚にぶつかった。
その衝撃で、カップと写真立てが落ちてきて、ココアが倒れそうになる。
カップはチノちゃんがキャッチし、写真立てはリゼが受け止め、ココアは俺が背中に腕を回して抱き止めた。
「「予想を裏切らない!」」
「ここでもカップを割ろうとするとは…頭は大丈夫?」
「う、うん…ありがと、コウくん」
「気をつけてよ、テンションがあがるのはわかるけどね」
ぶつけたところを優しく撫でてあげる。ココアは頬を染めたまま俯いて頷いた。
「ごめんね? コウくん」
「ほら、そう落ち込まないで、一緒に見てみよう」
「うん!」
俺は手を差し伸べるとココアは嬉しそうに手をつないだ。
一方、離れたところでその様子を見ていたチノちゃんとリゼは、
「前々から思っていたけど、コウナってどこかズレているんだよな。ココアのあの様子を落ち込んでるって……」
「天然で鈍感な所は同じなんですね。そこは姉弟というべきなんでしょう」
俺たちの聞こえないところで呆れた様子で何か話していた。
「あ、このカップとかどうかな――」
ココアがそういいながら手を伸ばしたところで、誰か別な人と手が触れた。
はっ、と互いに見つめあう二人。
「こんなシチュエーション、漫画で見たことあります」
「よく恋愛に発展するよな」
「まあ、王道だな。女の子同士だけど」
「駄目だよっ……私にはコウくんっていう心に決めた人が……」
「なんか意識されてる!? しかも振られるのが早い!」
最後のほうココアがなんていったか聞こえなかったが、間近で聞いていた少女はなかなかノリの良いツッコミを入れた。
というかあの姿、先日に見た覚えがある。
「どこかで見たことあると思ったら、シャロ、こんにちは」
「えっ、コウくん……?」
「本当だ、よく見たらシャロじゃん」
「コウナ!? それにリゼ先輩もっ!?」
「お知り合いですか?」
「学校の後輩だよ。ココアやコウナと同い年」
「……え? リゼちゃんって年上だったの?」
「今更!?」
ココアの疑問にリゼが驚く。まあ、俺は何も言えない。シャロと出会わなければいまだにリゼが年上だって知らなかっただろう。
「そ、それよりもコウくん! この子といつ知り合ったの!?」
「落ち着いて!」
ココアに詰め寄られた俺はココアの肩を掴み動きを止める。そして、あのときのことを嫌だけど思い出す。
「えーっと、以前リゼと一緒に帰ってたときに悲鳴が聞こえて――」
「暴漢に襲われそうになったところをコウナとリゼ先輩が助けてくれたのよ」
あれ、なんかシャロが脚色し始めた!?
「そうだったんだ! さすが私の弟とリゼちゃんだね、かっこいい!」
「違う!」
「シャロ、変に話を捻じ曲げるなよ! 本当は――」
「あ、コウナ、それを言っちゃダメェ!」
「――ウサギに囲まれて顔を真っ青にしてたところをリゼと助けたんだよ」
あれは大変だった。今でも思い出したくない。あんな痴態をリゼや初対面だったシャロに見られたのは、本当に最悪だった。
チノちゃんとココアはシャロをじっと見つめる。
「う、うさぎが怖くて、わっ悪い!?」
まあ誰でも怖いものはある。だけど、それを見栄で誤魔化そうとしたところが悪いと思う。
シャロは逃れるためにキョロキョロと辺りを見回して、
「ほ、ほら! このカップとかどう?」
「話を逸らしましたね」
「違うの!」
違うとは思えない。明らかにシャロは話を逸らしている。でもそれを指摘するのはやめておいた。
シャロからなにも言うなという視線が突き刺さっていたから。
「ほら、これ香りが広がるように作られているのよ」
「カップにも色々あるんですね」
シャロの説明にチノちゃんが感心する。
「こっちは取っ手の触り心地が工夫されているのよ」
「なるほどなー」
ココアも楽しそうにシャロの話を聞いていく。ぺらぺらと手にとってはカップのポイントの説明をしていくシャロ。
「詳しいんだな」
「はい、上品な紅茶にはティーカップもこだわらないとですから!」
自信満々に語るシャロ。余程好きなんだろう。なんかカップを見る目が凄いことになっているし。
「うちもコーヒーカップは丈夫で良いものを使っています」
「私のお茶碗は実家から持ってきたこだわりの一品だよ」
「なに張り合ってるんだ」
そんな必要ないし、ココアにいたっては張り合うものが違う。
「でもうちの店コーヒーが主だからカップもコーヒー用じゃないとな」
「そうなんですか!? リゼ先輩のバイト先行ってみたかったのに……」
「シャロはコーヒー苦手なのか?」
「砂糖とミルクをいっぱい入れればおいしいよ!」
ココアの言う通り、苦味が苦手な人は砂糖やミルクを多めに入れて緩和させていることが多い。
「そ、そういうわけじゃないの。苦いのが苦手じゃないの!」
なら、どういうわけなんだ? コーヒーが苦手じゃない以外理由が見当たらない。
シャロから言われたのは予想を大きく外れたことだった。
「私、カフェインを取りすぎると異常なテンションになるみたいなの。自分じゃよくわからないけど」
「コーヒー酔い!?」
「コーヒーで酔っ払うのか」
そんな話、聞いたことないんだけど。まあ、世の中いろんな人がいてもおかしくはない。だから、シャロがカフェインで酔うのもおかしくない。今度シャロにコーヒーを飲ませてみよう。うん。
「そういえばこの前、カップの中にうさぎが入っている写真を見たんだ。あれはかわいかったなー」
「窮屈じゃないのか?」
「身体のつくりが違うから、案外余裕があるみたいだよ。それにああいうのは大き目のカップを使ったり、小さいうさぎで写真を撮ってるんだよ」
「ティッピーも入ってみたら注目度もアップだよ!」
「でもティッピーが入るほどの大きなカップはないだろう」
「リゼの言う通りだと思う。さすがにそこまで大きなものは――」
「ありました」
「あったのっ? というかチノちゃん無理しないで!?」
チノちゃんが重たそうに大きなカップを持ってきた。俺はチノちゃんから受け取り、テーブルの上に置く。
そこにティッピーがチノちゃんの頭から飛び降りてすっぽりとカップに収まる。だけど、
「なんか違う…」
「どう見てもご飯にしか見えないです」
「まん丸だしな」
俺たちの感想にむっと眉をひそめるティッピー。でもそれ以外言いようがないのも事実だった。
そんなティッピーに飽きたのかココアたちはまた物色し始める。
「あっ、こんなのとかどうかな。おしゃれだよ――ってよく見たら高い!!」
「5万円…高いですね」
ココアが指差したものは俺たちが気軽にぽんと出せるような値段ではなかった。
「アンティークものはこのくらいするわよ」
やっぱりそういうものだったか。でも、実際にお金持ちとかはこういうものを使っているんだろうな。
「あ、これ……」
あれこれいっているなか、リゼがアンティークのカップを注視する。そして、驚くべきことを言い出した。
「昔、的にして打ち抜いた奴じゃん」
「「「!?」」」
「なんてことしてるんだよ…物は大切にしろよ……」
そんなもったいないことしないで売るなりしておけばよかったのに。
とりあえず、アンティークのカップには手は出すつもりはないのでスルーする。
「ねえチノちゃん、お揃いのマグカップ買おうよ」
「私物を買いに来たんじゃないんですよ」
「えー、いいじゃん。一緒のもの買ったらもっと仲良しだよ!」
本来の目的から脱線し始めたココアがチノちゃんに推していく。その様子をリゼが羨ましそうに見ていた。
さらにそんなリゼの様子をシャロがじーっとみつめて何か考えていた。
そして、シャロは恋人用のペアカップを持って、リゼに推す。
「リゼ先輩、これなんてどうですか!? このカップ色違いでかわいいですし、二つセットなので一ついりませんか!?」
「おっ、確かにこれかわいいな」
「――っ!!」
そこでシャロは気づく。恋人用のマグカップだということに。
俺はシャロの肩に手を置く。
「よかったなシャロ…お揃いの、マグカップルだぞ…ふふっ……」
「笑わないでよ! しかもマグカップルってなに!」
「いいんじゃない? リゼは気づいてないんだし、そのまま一緒に買えば」
「大丈夫かな……」
「リゼは押し切る程度が丁度いいと思うよ。さっきも見たでしょ。素直に言い出せない人だから」
「うん…ありがと、コウナ――リゼ先輩、一緒に買いましょう!」
そういって、シャロはリゼを引っ張って会計に向かっていった。
なんだかんだ色々あるがこうして繋がりができていくのは悪い気がしなかった。
いかがでしたでしょうか??
今回はバイトの直前の時間に投稿しました。
もうストックがありません、マジで。ラブライブもないですし大分時間が空くかもしれません。
ストブラは改稿してちょこちょこ出すつもりです(その時間があるかどうかも怪しいですが……)