まっ、私の小説が赤色だろうが青色だろうがエンタープライズはカッコ可愛い恋愛ポンコツ主人公イケメン空母だもんな!(は?)
ガチバトル回。後もう一回続くよ!
いつもニーズからちょいズレた話を書く私ですが、今日みたいな日のためです。どういうことかというと、エンタープライズの一人称ですよ。グレートですぜ、コイツァ…………。
俗にいう「信頼できない語り手」であるとご了承下さい。
後前回から引き続き、少し特殊な表示があります。
「さあ、ゲームを始めよう」
雰囲気は呑んだ。後は瑞鶴を食い潰せるかが問題だ。
とはいっても、早くも焦りだす彼女の顔が面白くて口元が吊り上がってしまう。性格が悪いものだな、私も。
――――ああ、お察しの通り今のは概ねハッタリだ。追い込まれたから運が良くなるとかそんな訳無いと思わなかったか? 大体、始まる前から勝負が決まってるって――――イカサマは、相手にもよるが趣味じゃないさ。
確かに本当の一線で、負けたくない勝負に負けたことはない。
だが、今回もうまく働いてくれる保証なんてどこにもない。変えられるのは、私の手の届く事だけだ。
だから、ただ単にそれっぽい事を事実を絡めて突き付け、脅しただけだ。
――――まあ、偶にはハードルを上げて自分を追い詰めないと駄目だからな。負けるとさすがに私も恥ずかしいぞ、これは。
冷や汗がうなじを伝った。
「なあ、瑞鶴」
だから、止めにもう一押し。
――――幾ら運が良かろうが、直感が優れていようが。
不可能でさえなければ、私は勝てる。
「残念だったな、こんな時に限ってこの札をシャッフルするのは私だ」
「恨むなよ――――――
あくまで涼しいような顔を装って言ってみると、彼女の顔は目に見えて温度を上げていった。
最初にベットの上限も断言した。だからノーリミットゲームにすれば、やろうと思えば一回目のベッティング・インターバルでフルアクセルで踏み出せることも言外に忠告した。
負けた方がシャッフルすることも、予め指揮官にまで言って了承を得た。
――――そして彼女自身も分かっているはずだ。
私は本当に全く勝算のない勝負なんてしない。
――――さあ、どんどん事実が彼女を押し潰す。
運で勝てないのなら、運も直感も霞ませるプレッシャーで彼女自身を壊すのが、一番可能性の見込める戦法だ。
カードを配る。彼女の首筋に汗が流れ落ちる。その肩が普段より、深く上下する。
「どうだ、本当の『賭け』に持ち込まれた気分は?」
此処まで追い詰められなければ、その感覚を知ることなんて無かっただろう。
――――その心臓が張り裂けそうで、それでも辞められない崖間際での足の引っ張り合い。それが本当の賭けというものだ。
勝てると思ってやる賭けなんて楽しくないだろうし――――『本物』を味わってもらおうじゃないか。
そんな事を考えている内に、カードを配り終える。
「やっていこうか。まず20枚、オープニングベットだ」
【チップ比 瑞鶴:Enterprise=137:63】
10枚チップの束を2つ前に出す。この程よい緊張感を持たせる重さ、本物を触っているような手触り。指揮官は良いセンスをしているものだ。
――――失礼、話を戻そう。
敢えていきなり上限額には行かない。そうする方が動揺を誘うし、まるで私がまだ勝負に躊躇しているように見えることだろう。
策を数通り想定しながら、自分の裏側の札を確認する。
――――成る程、どうやって
表に出ていたのは私がハートの7。瑞鶴がスペードの9。この時点のベットが現在の手持ちチップの三割だなんて、我ながら笑い草だ。
【Enterprise:Open card ♥7】
【瑞鶴:表カード ♠9】
――――瑞鶴の顔は明らかに歪んでいる。初めての賭け事なんて、誰もがそんなものだ。
「――――コール」
不審な手つきで動揺を隠せないまま彼女は宣言して束を出す。フォールドは、出来ない。
――――此処まで追い詰めた実績がそうさせている。
まだもう一手の策が有ったら?
ここで勝たせておいて、次の勝負で確実に決めるイカサマでも仕込まれれば確実に息の根が止まる――――――そんな風に疑念は消えなくなる。
だから降りれない。追い詰められると、何故か今いる自分の立ち位置が安全に見えてくる。前に進めば更に良い景色が待っている可能性を、否定してしまう。
そこでその錯覚を補強するのが、『私が今まで分かるようにヒントを残していた』という実績だ。実際にこのヒントだけで気づけるような人物は――――彼ならともかく、私は居ないと正直思う。彼女の場合はそもそも、賭け金の観念自体が薄かったのだろうしな。
だが、答えから見て問題に入るとどんな難問も解けない理由が見えなくなるものだ。からくりが見えると、理解できなかった理由を見失ってしまう。
そうなればもう、彼女の直感なんて死んだも当然だ。
自分の判断なんてとうに信じられていないのだから。
――――追加。此方にクラブの7、彼女にもハートの9が来た。お互い見える範囲で、既にワンペアが成立している。
【Enterprise:Open card ♥7 ♣7】
【瑞鶴:表カード ♠9 ♥9】
「次はそちらからどうぞ?」
敢えて賭けさせる。判断に重みが生まれるだろう。
――――必死に彼女は私の表情から手持ちを読み取ろうとするが、無駄だ。
こっちの領分で勝てると思うか?
「――――ベットよ。10枚」
ゆっくりと前に出されるチップ――――犠牲者が出揃う前に、こちらも前に20枚を突き出す。
「足りないな、レイズ。10枚追加だ」
瑞鶴がこちらを精神病患者でも見るような目つきで見る。計40枚が賭けられた。
中途半端に逃げれば、必ず追い詰める。
――――そら、もう疑心暗鬼だ。盤面なんて信用できない、自分だって信用できない――――私が何を考えているのか、瑞鶴にはもう全く見えなくなっている。
後は、私が運を勝ち取るだけのこと。掴めるかどうかは神のみぞ知る所だが――――其れが良いんだ。
真っ向勝負というのはこうでなくては。勝ちが見えている勝負事なんて、面白みの欠片も無い。
――――追加。ジョーカーだ、更に不安を煽るものが上手く引けた。高揚感を押さえてカードを置く。
瑞鶴はハートの2、此方と打って変わって明確な役の方向性が見えなくなってくる。
一応は今のところ私の役はスリーカードにしか見えない、か。
【Enterprise:Open card ♥7 ♣7 JOKER】
【瑞鶴:表カード ♠9 ♥9 ♥2】
「ベット、10枚」
「…………コ、コール」
ベットを終えた後、彼女は手札を見ながら何やら考え込む。
もう其処まで精神状態が落ち込めばそんな事をしても真っ当な判断は出来ないと思うが。いっそそれこそ、直感でも信じた方が同じ立場の私だとしても良い結果を作れるだろう。
計50枚を賭けた。
――――さて、押せる所まで押すか。
「声を出すだけで喉に何かへばりついてるような気分がするだろう? こういう賭けが私は好きなんだが、瑞鶴はどうだ?」
実はこちらも喉がカラカラなのだが、それは敢えて言わない。
言ってないだけだ、嘘は言ってない。
「…………出来れば金輪際、沢山よ」
水を煽りながらそれでも尚笑う。よく折れないものだ。
――――――追加。スペードのQ、彼女は引き続きスペードの2。
【Enterprise:Open card ♥7 ♣7 JOKER ♠Q】
【瑞鶴:表カード ♠9 ♥9 ♥2 ♠2】
「ふむ…………チェックだ」
「――――は?」
「だからチェックだ、こういう駆け引きで決まる風向きだって有るだろう?」
唯の気休めと笑うこと無かれ。案外バタフライエフェクトで、相手に影響を与えないとも限らないのだから。
――――勝負に出たから、逃げてはならない理由もない。無理なら逃げて、次に首を獲ればいいだけの話だ。
今回の場合はただの押し引きの観点だが。どちらにせよ、彼女が押してくるならば応じることは変わりない。
「正直、何処と無く負けるような気がしてきてな…………いやはや、心が弱いな。私も」
我ながら白々しい演技だったが、撹乱された相手なら通用する。
――――私の表情を見て、彼女は自信を取り戻した。
それは薬物じみた感覚だ、急に何故か勝てる気分になる。この感覚は自分だけのものじゃない、相手も似た苦悩をしている――――そう思うと、気が楽になってくる。
現実は、まるで変わっていないのにな。確率も、場札も、賭け金も――――全て一緒だ。
なのに、彼女にはそうは見えなくなってしまう。
「そう、こっちも結構キツイわよ――――でもベット。13枚、ここで終わらせてもらうわ」
ほら、だから無謀になる。確証のない自信で電子ドラッグでもキメたような感覚になっているのだろう。
差し出されたチップに、笑みが抑えきれなくなる。
「そうか、交渉決裂のようだ――――コールしよう」
――――まあ、気持ちは分からなくもない。
分かるから、揺さぶれる。
――――最後の追加。こちらにハートの10が来る。どうやらこれ以上は目指せ無さそうだ。
瑞鶴は――――ハートの2を引いた。
表向きのカードだけを見れば、私はスリーカード。彼女はフルハウスという、一見不利な構図が出来上がった。
【Enterprise:Open card ♥7 ♣7 JOKER ♠Q ♥10】
【瑞鶴:表カード ♠9 ♥9 ♥2 ♠2 ♥2】
【現状最高役:Enterprise 7 triple card 瑞鶴 フルハウス 】
(これは勝ったわ、所詮運はこっちの味方なんだから)
彼女は荒くなりそうな息を抑えて静かに高揚した。髪が気づけば少し乱れていて、早く直したいのに手がうわつく。上手く解けない。
――――伏せてあるカードは、残った5の札が二枚だった。
【瑞鶴:表カード ♠9 ♥9 ♥2 ♠2 ♥2 裏カード ♣9 ◆9】
【最高役:9のフォーカード】
――――つまり瑞鶴の役は、9のフォーカード。ポーカーのルール内ではかなり強力な組み合わせだ。
一方エンタープライズは♥7 ♣7 JOKER ♠Q ♥10。現実的に考えるならば7のスリーカード。上手くいってもフルハウスが良い所だろう、そんな場札だ。
もし彼女が7のファイブカードならば、負ける可能性は残っている。
しかし瑞鶴は焦る。狭まった視野が誤答を見出す。考えたくない可能性を、不可能と切り捨てる。
――――先程まで、
『もしもあの裏のカードが2枚とも7だったなら?』
なんて、それこそいつもは考えないことを考えて、焦っていたことも忘れて。
(
彼女は心の内で断言した、だが―――
どんな物語でも多く語られてきたということだと言うのに。
――――最初の勢いづいた揃い方には瑞鶴も肝を冷やしたが、エンタープライズが場の空気を読まないカードを引く度に、彼女の確信は強まった。勿論、勝手に。
所詮はアレもハッタリだ、幾ら言ってもこの場札には勝てない――――なんて。
「それじゃあ――――勝負、と行こう」
これで決着だ。エンタープライズの涼し気な声をよそに彼女は高ぶる。
――――勝った、勝った、勝った! 彼女の頭の中はそれで一杯になる。
勝てるわけがない、これを超える場札の可能性は限りなく低いのだ!
「それじゃあ――――悪いわね、グレイゴースト」
ゆっくりと、見せつけるように裏側にしてあったカードを彼女はめくる。
――――その瞬間だけでもう十分だった。エンタープライズから数少ない勝ち星を得た時点で、もう彼女の脳内はハイなんてものではなかった。
「9のフォーカードよ。所詮はハッタリ、本物には勝てる訳がないのよ」
勝ち誇ったように彼女が言い捨てる。先程のエンタープライズの比ではないほどに口を吊り上げた。勝者の高揚感に酔いしれた。
――――そんな中で、エンタープライズは小さく溜息を付いた。やれやれと肩を竦める。
「――――驚いたな、瑞鶴。こちらの持ち札じゃ申し訳ないくらいの良い手持ちだ」
エンタープライズが珍しく彼女を褒めた。
気色が悪くて、瑞鶴は背中から冷や汗を流す。
「いや、本当に悪いな――――――」
「――――――勿体無い。こちらは、
【Enterprise,disclosure:Remaining card ♠7 ◆7】
彼女が固まる。エンタープライズはいつもの、不敵な笑みで答えた。
――――予想は裏切られた。
「思い込むというのはやはり恐ろしいものだな。自分の運を過信しすぎだ――――顔に出ていたぞ?」
【Enterprise:All card ♥7 ♣7 JOKER ♠Q ♥10 ♠7 ◆7】
【最高役:7 five card】
「『私の勝ちだ』――――とな」
【四回戦:Enterprise win this game】
【The ratio of chip 126:74】
『しょ、勝者――――――エンタープライズですね! はい、間違いない!』
彼の宣言と同時に、寮舎の各地から凄まじい歓声が轟いてくる。この部屋も何処か熱くて、誰もが私の開いたカードをじっと見つめていた。
――――最初から決着なんて着いていた。必要なのは『
三枚目の時点でこれ以上の役なんて存在し得ない事を私は知っていた。ジョーカーはこのデッキに二枚と入っていないのはユージンとの対戦で確認済みだ。
だから、後はどう賭けさせるか。どう全て落とし切るか、どうやって勝ったと確信させるか。それだけに全てを傾けて揺さぶり続けた。
時に勝てると惑わせ、時に焦らせ、あるいは不安を煽り。
――――降りられるなんてつまらない。やるなら、どうせなら正面からぶつかって倒すのが一番だ。
負けるにしたって、勝つにしたってこの言葉はきっと変わらないだろう。
敵には同情も手加減もせず、いつでも全力で向かい撃つ。これこそ私の流儀なのだから。
「――――――――はぁ?」
瑞鶴が生気の抜けた声を出す。肩の力が目に見えて抜けていく。
それが見たかったんだ。
――――正直、途中はどう表情を隠そうかと焦ったものだ。頬が緩んでしまうに決まっているだろう、こんな場札。
勝負だなんて関係なく、単純にこんな素晴らしい役を引けたことだけで嬉しいぐらいだ。7のファイブカードなんて、如何にも幸運が有りそうだろう?
「嘘よ」
「本当だ」
「嘘だ!」
「諦めるんだな、トランプは嘘なんてつかない」
全く、最後に相応しい勝負になって良かった。
――――これで瑞鶴に負けてたら、幾ら私だってやっぱり恥ずかしいからな。大見得を切っておいて、という話だ。拍子抜けだ。
対等に持ち込んだだけだったから、負ける可能性自体は有った。
負けたとしても――――それはそれで良い笑い話となるだろうから、まあそれでも良かったのだが。
完璧に撃沈している彼女の耳元で大事なことだけは伝えておく。
「絶え間ない研鑽、踏み出す勇気が真の運を引き寄せるもの。『グレイゴースト』からのアドバイスだ」
聞こえてはいなさそうだった。
「いや、良い勝負になったな。正直、少し私も冷や汗ものだった」
まさか9のフォーカードまで詰めてきているとはな。こちらの運が上回っていて本当に首の皮一枚で繋がったという気分だ。
偶々、本当に偶々今回は私に運が向いていただけだ。
頭を撫でて、席に戻――――――ろうとすると、指揮官がスピーカー越しに注意を入れる。
『おい、まだもう一試合残ってるから消化しなさ~い!』
む。バレたか、クライマックスみたいに演出してみたのにな。
――――――次は負けてしまった。締まらなさ過ぎる、だろうか。
「ほら、勝ったわよ。ほら!」
「はいはい、そうだな。私のマケダナー、瑞鶴はツヨイナー、私ではカテナイヨー」
「ちょ、何よその薄っぺらい感じ!」
だって。もう勝負ついてるしなぁ…………。
エンプラTUEEEEEEEEEEEでした。強すぎる、何だこの最強の女は。
ハロウィンと言うか負ける時はエンタープライズがやる気ないからってオチ。だって本気でやったとは書いてないしね。
ハロウィンのエンプラは何か不本意そうに見えたので、捏造しました。
心理描写はやや大味だけど其処は我慢どころですよ皆さん。ぶっちゃけ書けなかった(小声)。
今日の「ここエンプラ主人公ポイント」は『色々仕込んだけど最後は一対一の賭けにして正攻法で戦おうとする所』です。こだわりポイントだから評価してください(直球)。
ちょっと独特な『運』と『直感』についての私個人の主観が横たわっていた話ですが、まあ困ったらご都合主義的なものとして納得して下さい。無理に理解するべきところでもないですしね。
「エンタープライズは勝ち取れる」という存在です。概念がチート(哲学)。
ってかファイブカードのほうがロイヤルストレートフラッシュより強いのか、知らなかった(ウッソだろお前定期)。
最期の負けた描写は元々一文オンリーだったけどちょっとオチ的な話入れておきました。
やっぱ兄妹だよなあこの二人…………(自家発電してオーバーヒート)
今回、何か粗あったらすいません。多分無い、結構見直したんで。
確率論より「感情」に重きを置いた書き方してるつもりなので、ガッチガチのギャンブル傾倒モノにはとても及ばない構成ですかね。ベット辺りのルールも作り甘いし。
ってか友人に「マイナーどころで勝負して人気を得ようなんて…………(苦笑)」って言われたんですけど違うから。
マジでエンプラ布教熱オンリーだからこの小説。
面白くないと思ったら是非自分で作ろう、創作は良いぞ(沼引きずり込みアニキ)。
ってかエンプラケッコン衣装決定ってマジ? こりゃ感謝の二人目ケッコンですな間違いない。
あの配布された指輪ってそういうことですよね?(多分違う)
あまりケッコン衣装を出さない方がいい――――ケッコンIFを書きそうになる。