マインドコントロール   作:tesorus

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一年ぶりくらいに真面目に小説書きました。


マインドコントロール

「あ、ありがとうございます。」

もうすぐ雪が降りしきる冬が来ることを予感させるような秋の日の入り。特別都会の中心という訳でもなければ、自然が満喫できるような田舎の駅でもない。

そんなとある駅のホーム。中学二年生の高橋達也は一人の女子高生とぶつかってしまい、彼女の落とした教材拾いを手伝った。彼女は照れくさそうに自分の教材を拾ってカバンにしまいながら、親切なのですねと達也に微笑む。

達也の学校は都市部に存在する男子校であり、近くに共学の学校があるものの、女子高生と話をする機会など全くない。日常の中で女子高生と遭遇する機会といえば、せいぜい帰りの電車の中で帰宅途中の学生を見かけるくらいだろう。

男子学生が女子高生と付き合っているシーンを目撃すれば、リア充爆ぜろとでも言って友達と一緒になって笑い、そうでなければ駅などで友人と共にあの子がタイプ、などと言いあいながら女子高生達に鼻の下を伸ばしている。そんな童貞男子の達也にとって、こんな出来事は滅多にない幸福となり得た。

元々彼がその女子高生とぶつかってしまった原因として、彼がスマートフォンでゲームをしながら歩いていたことが原因であった。彼がスマホを見ながら歩いていると、急に彼の耳には聞きなれない高い悲鳴が聞こえたのだから、彼はさぞかし驚いたであろう。

しかし、そんなことはもう彼にとってどうでもよかった。今この瞬間、自分は可愛い女子高生と話している。そう思うだけで、彼の童貞魂はギラギラと光っていた。

女子高生は教材を片付け終わると、ありがとうございましたと一礼して駅の改札へと向かっていった。彼も照れ隠しをしながら、今度は気をつけますとも言えずに、こちらこそと小さい声で呟くだけであった。

これでもう幸せな時間は終わってしまうのか。彼は青春の中の短く甘い時間の終わりに落胆した。しかし、その後の思いも寄らない言葉が再び彼を救うことになる。

「あの、よろしければ一緒に帰りませんか?ちょっと一人だと怖くて…」

彼は耳を疑った。一回だけなら幻聴に違いないと思い無視したが、彼女から聞き返されることによってそれが本物であると確信し、彼は二つ返事で彼女についていった。

彼女は何故自分と一緒に帰ろうなどと言ったのか、ひょっとして自分に一目惚れでもしたのか、ついに童貞が卒業できるのかなどと考えながらなどと考えながら、もう一方ではこんなん偶然に決まってる。彼女は自分に興味などなく、たまたま夜道が物騒だからだと思う正論の考えも頭にはあった。

「あの、どの辺りの学校なのですか?」

「えっと、明流高校かな…」

「ああ、都市部にある高校ですね。いいなぁ都市部に行けて…」

「そんなことないよ。偏差値低いし、何より学校もあんまり綺麗じゃないし…君の通ってる学校の方がいいよ。」

達也はその制服に見覚えがあった。黄色いリボンに黒いブレザー、難関校で有名な常宮女子高校の証だ。中学校もあるが、そちらも難関校であり、偏差値表では上のスカスカの部分にぽつんと一つあるような高校と中学だ。何でも、学校自体に国の行政機関の関係者が何人もいるんだとか。

「常宮女子なんか来るもんじゃないですよ。窮屈で人遣いが荒……あっ!」

「人遣いって、委員会とかもやってるんだね。凄いよ。」

「そ、そんなことないです!い…今の他の学生に言わないでくださいね!学校では真面目で通してるんですから!」

彼女はそれだけで済ませて、もう少しで家の門限なのでと帰ってしまった。

達也は今度こそ、もう彼女と付き合うのは最後だと思い家に帰った。彼がその晩舞い上がりすぎて夜の空をいつまでも見続けていたのは言うまでもない。

しかし、次の日から彼女とは度々付き合うようになった。連絡先も交換し、彼女の名前も聞いた。ここまで来ると本当に自分に気があるのではないかと半分思い込んできた。

とは言っても、自慢する相手もいない。男子校ではそもそもそんなライトノベルみたいな展開を信じてくれる奴もいないし、家族ですら信じてくれそうにない。下手をしたら女子高生のメアドを不正に入手した変人扱いをされる。

思い切って、その女子高生、菊野三崎に自分のどこが気に入ったのかを聞いてみた。正直、それが原因で嫌われないかと達也はビクビクしていた。

「いやいや、私友達いないとか思わないでくださいね!?違うんです!ほら、この辺りに来ると私一人で帰らなきゃいけないので…それで話し相手が欲しいって感じなんです!」

なんだ、それだけか。彼は告白しようかと悩んでいたので、自分は所詮その程度と間接的に言われたような気がしたので、残念であったが、逆にそれなら当分付き合えると思い昇天している自分がいることにも気づいていた。

どうせ相手も女子高の生徒だから、男子は自分以外付き合わないはずだしと考え、気が変わるかもという気持ちもあった。

「いや、僕その…男子校で…女の子とこうやって付き合うの初めてで…」

「初めてなんですか?」

「うん。まあ…小学生の時も男子だけで遊んでたから…」

「何で男子だけで遊んでたんですか?」

「そりゃあ、まあそう言うもんじゃない?趣味だって…」

「あ、まあ確かにそうですね。でも、別に女の子と話せない訳ではないですよね。」

「まあ…あ、いや…話せない…かも…」

「なるほど、じゃあ女の子と放課後に一緒に帰ってる!なんて言ったらみんなびっくりですね。」

誰にも言えないです、どうせ信じてくれません。大体そんなことを言うと彼女はあっちゃあと頭を抱えてみせた。

じゃあ、秘密の付き合いですねと彼女は達也の唇に人差し指をつけて見せる。

彼女も、実は帰りに男子と帰っているということは学校の友達には秘密だと言う。

彼女と自分との秘密。彼は至福のひと時を得ていた。この二人の組み合わせは誰も知らない。僕と彼女しか知らない特別な時間。そう思うと胸が高鳴った。

彼女はそのあとで、喉が渇いたから買ったのだけれど余ったからあげますと言って半分残っているお茶を達也に渡した。

でも汚いかな、と言って彼女はやっぱりやめようかと下げようとしたが、達也はそんなことはないと言って彼女からお茶を受け取った。

このお茶を飲めば彼女と間接キスができる。そう思いつつ、彼は丁度喉が渇いていてと言ってお茶を飲み干した。

お茶を飲み終わると、本当に飲んじゃったと軽く引いた後で、達也君って不用心なんですね。人から渡された飲み物飲むなんてと、彼女はロクでもない冗談を言い出した。

「睡眠薬とか入ってるかも!なんて思って私飲めないんですよ。」

「そんな事ないでしょ。サスペンスじゃあるまいし…」

「そんな事ありますって。現にそのお茶、睡眠薬入ってますよ?」

一瞬、血の気が引いた。その後で、達也は冗談あんまり好きじゃないんですと切り返すが、三崎は冗談じゃありませんと返し、本当に不用心なんですからと達也の肩を叩いた。

そう言われた後で、急な眠気が達也を襲った。眠気は幻に誘う煙のようで、包まれると動けなくなる。

「いや、実はヒヤヒヤしたんですよ。人遣いがって言った翌日に、もう別の標的にしようか悩んでですね!まあ大丈夫かってその時思えて良かったです。」

達也はもう半分夢の中にいた。まあファーストキスくらいあげますよと澄まし顔で唇を合わせられる頃には、もう彼の意識はそこにはなかった。








【挿絵表示】

ったく、スマホしてる男の子に体当たりなんて危ないこともうやりたくないです。

ここ、常宮女子中学校・高校はこういう一面も持っている。国の政策で男女差別を減らすために、要するに筋肉もついてなくて女装映えしそうな奴。あんまりガチガチの男じゃない男の子を間引いてきて、男性ホルモンをがっつり減らして「中間」を作り出す。

中間を作り出して社会で運用すれば、男性の人は一応「男」ではある訳だから差別できないし、女性も中身が「女」の人をあまり差別できないでしょ?

「中間」、いわば男根は付いているけど、他は全て女の子って感じの存在を作り出して、女子学生として教育を施す。だから国の関係者が多いってこと。まあ私は生まれも育ちも女ですけど。

生徒会に訳もなく入ればこういうことを平気でやらされるし、生徒会の活動だからお金なんてもらえない。もらえるのは木偶になった男の子くらい。

達也君なら、この生徒会室でもうすっかり正気を失って、常宮女子の制服をしっかり着て学校椅子に腰をかけています。私は見た訳じゃないけど、男性ホルモンも、もうごっそり削られた後らしいです。あと、ついでにマインドコントロールも。

だってマインドコントロールしなきゃ、すぐ逃げ出してしまうじゃないですか。自我がなくなっている訳ではありません。まあ要は今の光景も「彼」は全て見えていますが、脳の中の思考回路が常時コントロールされているような感じらしいです。

で、その設定をするのが間引いて捕まえてきた生徒になるって訳です。彼らの頭とパソコンを繋いでって感じです。しかも間引きを行う学生は顧問から直接ランダム指名されるからいつ回ってくるか分かりません。

それに相手はガチガチじゃなくても男だから、こっちも抵抗された時に対応できるように多少強くなっておかないといけないから身体も鍛えないといけない。五年間生徒会やってて、もう合気道2段取りました。

まあとにかく、良かったじゃないですか達也君。もうずっと一緒だからね。






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