Another Trainer   作:りんごうさぎ

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2.気をつけろ うまい話にゃ 裏がある

「それで結局ナツメは何をしにきたんだ?」

「シショー、今の全部なかったことにするんだ。ある意味すごいわね」

 

 気絶したみゅーを回復させて動かなくなった右手を治してもらい、不幸な事故の記憶は闇に葬り去った。

 

「最初に言ったでしょ。おもしろそうな話が聞こえたから来たのよ。たしか余興と言っていたかしら?」

 

 俺を探してここに来たってさっき自白したよな? まともに答える気がないらしい。

 

「よく言う……。さっき俺が言ったのは大したことじゃない。本戦までまだ時間があるだろ? その間にマスターの先輩方に遊んでもらおうと思っただけだ。そうだ、丁度いいし今から俺とバトルするか? 俺が相手でも不足はないだろ?」

「お誘いは嬉しいけど遠慮しておくわ。楽しみはとっておく主義だから。せっかく未知の相手とバトルできるのだから今戦ってしまったらもったいないでしょう?」

 

 意外だな。二つ返事で乗ってくると思ったのに。約束の方が大事ってことか。

 

「つまみ食いはしないと。ま、別にいいけど。それじゃあ俺はバトルに行くから失礼する」

「待ちなさい。それなら私もついていくわ。あなたのバトルを見させてもらう」

「お前、今楽しみはとっておくって言わなかったか? どっちなんだよ?」

 

 呆れている俺に対してナツメは淡々と答えた。

 

「バカじゃないの? リーグを見ていたからレインくんの手持ちはすでに知っている。自分の手の内を見せたくないだけ。私は一方的に有利になるのだから見ない理由がないわ」

「ぐっ、たしかにそれはそうだけどさ……」

 

 したり顔で見下ろしてくるナツメ。無表情なのに腹立つ顔に見えてくるなぁ。正論なのはわかるがなんか釈然としない。それにむざむざ偵察すると公言してる奴を連れていきたくないな。

 

「早く向かわないの、レインくん?」

「はっきり言ってナツメには来ないでほしいんだけど」

「私がどうしようと勝手でしょ? とやかく言われる筋合いはない。その子にも私の行動まで止める権利はないわ」

 

 何も言い返せない。みゅーもさっきので好戦的な態度は消え去っているし余程のことがなければ助けてくれなさそうだ。みゅーはさっきから恥ずかしいのか怒ってるのか嬉しいのか何とも言えないよくわからん表情で黙ってこっちをじーっと見ている。

 

「くっ……だったら好きにしろっ」

「シショー、ナツメさんの前だといいとこなしね」

 

 うるさい!

 

 ◆

 

 建物の奥へ進むと屋外のバトルフィールドに繋がっているようだ。着いたらそこではすでに大勢のトレーナーが集まってトレーニングや技の練習などに勤しんでいた。アスレチックやサンドバッグみたいなものとか育成に使えそうな道具などが色々置いてある。バトルを行う者もちらほらいた。

 

 リーグでは手持ちを晒す者はいなかったがここでは平気で外に出している。おそらく見られても問題ないほどに研究が進んでいるのだろう。

 

 ついでとばかりにレベルをチェックしてみた。レベル50超えもゴロゴロいる。ポケモンリーグではほとんど見なかったが、さすがにマスタークラスだと格が違うようだ。だが、こうなるとジムリーダーは50未満しか使わないのはかなり弱いな。どうなっているんだ?

 

「驚いたかしら? 優勝して大見得切っていたけどさすがにレベルの違いに気づいたようね」

「……それもあるがジムリーダーってレベル低かったんだなと思って。基本50以下だろ?」

「バカなの? ジム戦は手加減しているに決まってるでしょう? 全力なら手持ちはほぼ全員50以上よ」

「ホントかよ? でもたしかに……あれ?」

 

 そういえばランク8が全力だなんて誰が言ったんだ? なぜかずっと思い込んでいたがよくよく考えると情報源は人から聞いただけで確証はないような。たしか言ってたのはゴウゾウ……いや違うな……。

 

「頭エリカ……!」

 

 とんでもない勘違いに気づき呆然としていると周りが騒がしくなってきた。何事かと思うがその視線は全て自分達のいる方へ注がれているようだ。

 

「もしかしてわたしってけっこう有名人?」

 

 ブルーが調子に乗って謎のポーズを決め始めるがナツメの言葉ですぐにうなだれた。

 

「あぁ、そういえば私がここに来るのは5年ぶりぐらいだったかしら」

「お前かよ……」

「わたしじゃないのね……」

 

 ランクの話の時、ゴウゾウがマスターランカーでもリーグに出ない奴がいると言っていたがよく考えるとナツメのことを言っていたんだな。

 

 よく耳を澄ませばさっきも聞いた人間マルマインとかいう不穏な言葉が聞こえてくる。ナツメ、お前は昔ここで何をしでかしたんだ。

 

「いつまでボケーッとしているつもり?」

「……それもそうだ。おい、誰でもいいからここで俺とバトルしないか?」

 

 またざわつきだした。なんなんだ? 様子を見ているとエリートっぽいのが出てきた。

 

「君、顔は覚えているよ。今年優勝したルーキーだろ? 勘違いした口をきいていたが、どうやら本気で言っていたようだね。ここには君より弱いトレーナーはいない。格下のトレーナーと練習する者もいない。練習相手が欲しければここで実績を残してからにしたまえ」

 

 言ってくれるねぇ。予想しなかったわけじゃないけどな。リーグの時もこんな感じだったからこうなるのは最初からわかっていたし。むしろあの発言はここの連中を焚きつけるのが目的。こうなってもらわないと困る。

 

「そうか。俺じゃ弱過ぎて練習相手も務まらないと? そこまで腕に自信があるなら話は早い。要はバトルする理由があれば勝負するんだろ? あんたらは負けないんだから」

「どういうことかな?」

「これで足りる?」

 

 腰のホルスターから100万円の札束を取り出して見せた。あらかじめ用意しておいたものだ。

 

「……賞金か」

「そういうこと」

「ここじゃ冗談でしたは通じない。わかっているのか?」

「もちろん。こうでもしないとバトルしないでしょ? これはほんの気持ち。あんたらからすれば新人相手じゃ経験値も少ない上に無知な相手に戦術を晒すだけ損。でも賞金があれば断る理由はないはずだ。必ず勝てる勝負なんてそうそうない。世間知らずのルーキーを倒すだけで賞金ゲット。これを逃すのはあまりにもバカげている。そうは思わない? あんたらにとったら端金かもしれないが、1回の授業料としては十分だろ? 後輩のためと思って、1つ手合わせ願えますか、セ・ン・パ・イ?」

「負けて後悔するなよ。いいだろう、受けてあげるよ」

「勝てるなんて最初から思ってませんよ。ただ、もし俺が勝ったらちゃんと同額払ってくださいよ? 一応賞金という形でバトルしますからね」

「何度も言わせないでくれ。……調子に乗るな!」

 

 オッケーイ。言質もしっかり取れた。ポケモンバトルなら合法的に賭博オッケーの国だからな。これを利用しない手はない。ここにいる奴ら全員毟れるだけ毟ってやる。

 

 ざわざわ……

 

 ギャラリーが集まってきたな。どうやら俺はかなり悪名を広げていたらしい。こんなこと半分ゲームだと思ってヤケにでもなれなきゃとてもじゃないができないな。

 

 ナツメ達は遠巻きにこっちを眺めながら何かをしている。ナツメの周りはやけに人が集まっているな。あいつら何をしているんだ? マルマインだかなんだかでさっきまで敬遠されていたはずだが……。

 

「レイン、みゅーは?」

「お前は俺の後ろで応援していてくれ。バトルはなしって言ったよな?」

「ぶー」

 

 不満そうだが仕方ない。みゅーには大事な仕事があるからメタモンにするわけにはいかない。

 

「じゃあ始めようか。ルールは?」

「3体勝負、入れかえアリでどう? 6体は多いでしょ?」

 

 相手は二つ返事で了承し、すぐに戦いの火ぶたが切って落とされた。

 

「いいだろう。ここでその鼻っ柱をへし折ってマスターランクの洗礼をくれてやる。いけっ」

「グレン!」

「コココケッコー」

「ヴォウ!!」

 

 ドードリオ Lv.48 130-137-87-69-77-125  @するどいくちばし A−1

 グレン   Lv.50 163-178-96-104-94-147 @しあわせタマゴ

 

 技 1かえんほうしゃ 

   2フレアドライブ 

   3しんそく 

   4かみなりのキバ 

   5まもる

   6みがわり 

   7オーバーヒート 

   8こうそくいどう 

   9かえんぐるま 

  10おにび

 

 ―でたっ! ハヤブサのタイゾウの十八番、速さ自慢のドードリオ! ルーキーじゃあいつの速さには敵わないな―

 

 なんとなく聞き覚えのあるヤジだな。だが能力は大したことない。“オーバーヒート”と“しんそく”でもっていけるな。

 

「先手は貰った! まずは最速のみだれづき!」

「ラッキー、7!」

 

 よほどその技に自信があるのだろうがリーチに差があるからグレンが有利。相手の攻撃が届く前に“オーバーヒート”が決まって相手は吹っ飛んだ。爆炎がフィールドもろとも焼き焦がす。さすがの威力だ。

 

 普通ならこっちの指示を聞いて行動を変えてもおかしくないが、あいにく番号じゃ判断できない。想像以上に楽に勝てそうだ。……余裕だな。

 

「トライアタックを飛ばせ!」

「トドメだ。3」

 

 攻撃を軽やかに躱して“しんそく”が決まる。相手はグレンのスピードに全くついてこれていない。やっぱりサシで戦うなら“しんそく”持ちのグレンが安定する。だが能力を下げたままでは戦いにくい。一旦下げてユーレイで繋ぐか。

 

「よし、もど…」

「いけ! げんしのちから!」

 

 あいつ、いつの間に次のポケモンを!? 気を抜いていて出すところが見えなかった。しかも弱点タイプ持ちのプテラか。入れ替えが尋常でなく速い。……速さ自慢の意味はき違えてないか?!

 

「5」

「ゴォォォウウウ!」

 

 げっ! “まもる”で防いだのはいいが相手の能力が全部上昇した!! 見るからにプテラに力がみなぎっている。“まもる”しても追加効果は発動するのか!? 話が違うぞ!! これじゃ余裕どころか暗雲垂れこめてるじゃねぇか。余裕だと思ってからまだ1分と経ってないぞ。

 

 この手際の良さでは相手の能力をゆっくり見るヒマもないし、あー次から次へと……。

 

「追撃だ! じしん!」

「ユーレイ!」

 

 ユーレイ Lv48 129-78-74-190-70-155 @しあわせタマゴ

 

 技 1シャドーボール

   210まんボルト

   3きあいだま

   4さいみんじゅつ

   5まもる

   6みがわり

   7あやしいひかり

   8みちづれ

   9ゆめくい

  10ちょうはつ

  11のろい

  12いたみわけ

 

 相手を真似て急いで交代したおかげで“じしん”を特性の“ふゆう”で透かしながら交代できた。今の俺、案外サマになってないか? ……いや、“じしん”が範囲攻撃で攻撃時間が長かっただけか。まだ相手に比べるとかなり遅かったな。

 

「ここでチェンジね……ゲンガーか。だったら“かみくだく”だ!」

「潜って7」

 

 相手の攻撃は地面へのすり抜けで躱して素早く背後に出現、そして“あやしいひかり”を放った。点滅する光のタマが相手の頭の周りをグルグルと回る。完璧に決まったな。

 

「グオオゥゥゥ~?」

「4、2」

「これはさいみんじゅつ……くっ、面倒なことを!」

 

 本当にユーレイ様様だ。プテラがわけもわからず自爆してくれたのでループに入った。自爆しなければ潔く“みちづれ”で処理するつもりだったが生き残ったなら儲けもの。このまま押し切る。

 

 “さいみんじゅつ”で眠らせた後、“10まんボルト”が直撃するが能力上昇のせいでこっちの攻撃の効きは悪い。確定3発ぐらいか。微妙だな……一応“みがわり”も使うか。

 

「6,2」

「起きろ! かみくだくだ!」

「!!……ゴゴウッ」

「チッ」

 

 起きたか。3ターン目で目覚めた。まぁやっぱりこんなものなのか。混乱しながらも攻撃されるが“みがわり”が盾になりダメージはない。

 

 相手がまだ混乱しているうちに“さいみんじゅつ”をもう一度使わせ再び眠らせた。今度も“みがわり”を使ってから“10まんボルト”で倒した。

 

 次のポケモンが出てくる。今度はしっかり目を凝らしていると、相手は手品のようにボールを持ち換えながら素早くポケモンを交換した。熟練の手並み。だが今度ははっきり見えた。ああやってボールを出し入れしているのか。

 

「こいドンカラス、つじぎり!」

「そいつはたしか……2!」

 

 これは珍しい。シンオウのポケモンだ。ステータスを見るヒマがないので確認はできないがドンカラスは特性の1つに“ふみん”があったはずだ。

 

 “ふみん”は名前の通りねむり状態にならない。出て来るタイミングを考えればこれは“ふみん”持ちと考えるべき。とすると催眠が無効の上にあくタイプでゴーストも通りが悪い。どこでこんなポケモン手に入れたのやら。

 

 だがドンカラスは素早さが遅い。あっちが2回目の攻撃をする前にこっちが2回攻撃できる。ユーレイは特攻特化。鳥畜生なら“10まんボルト”2発で倒せる。

 

 “みがわり”を盾にして“つじぎり”を受けることでこっちの攻撃を通し、そのまま近くに接近しているドンカラスに2発目の“10まんボルト”をお見舞いした。

 

「トドメ、2!」

「オエー!」

「ドンカラス!? くそぉ……なぜ“さいみんじゅつ”をしない!? ボクの負けなのか……」

「別に気分だよ。さっさと倒して勝ちたくなっただけ。でもとにかく勝ちは勝ちだ。約束通り賞金をもらおうか。たしかここじゃ冗談はナシなんだよな?」

「くっ、よもやこんな奴に負けるとは……ほらよっ、持っていけ! これで先月の稼ぎはパーだ。やってられないね」

 

 あっさり出したな、100万。マスターランカーってもしかしなくてもかなりお金を持っていそうだ。カモがネギしょって箸まで持ってらぁ。

 

「みゅー、ユーレイを回復させといてくれ」

「……最初からそのつもりだったのね。レインはポケモン使いが荒いの」

「けづくろい」

「みゅみゅ。ユーレイ、みゅーに任せてね」

 

 これで回復源確保。やっぱみゅーってチョロ……いい子だな。

 

「さて、次は誰が相手になる? 俺は自分が全滅するまで相手してやるぜ? まさかルーキー相手に負けっぱなしで引き下がれないよな? 度胸のある奴はいないのか?」

「よし、今度はおれが相手してやるよ」

 

 今度はすごい悪そうなやつが来たな。サングラスの感じが草トレーナーにいた火事場泥棒みたいだ。

 

「見てたんだろ? ルールは全部一緒でいいな」

「1つ変えてもらおう。賞金は300万にしな。これが飲めないなら勝負はナシだ」

 

 こいつ……俺にプレッシャーをかけにきているな。おそらくさっき100万が出せる上限だったと思ったのだろう。つまり今俺は200万だけで、300万は払えないと考えた。なら勝負には負けられなくなるからプレッシャーがかかる。……面白い。

 

「いいよ。これで300万だ」

 

 さらに100万を追加して乗せた。相手はサングラスがずれる程驚くがすぐに黙ってフィールドに立った。やろうってわけか。……何か勝つ策でもあるのか?

 

 お互い同時にポケモンを出して勝負が始まった。

 

「いけっピジョン!」

「グレン!」

 

 なんだこいつ? わざわざ名前を言って出した上に進化前のポケモンだと? こいつふざけてんのか?……いや、何かあるな。何の勝算もなく賭け金を増やすはずはない。

 

 相手が何か企んでいるにせよ、起点にしやすいのは確かなんだ。“ふきとばし”なんて使わないだろうし“みがわり”を張って様子を見ておくのが定石か。

 

「6」

「よし、がむしゃら!」

 

 こいつ……! よく見りゃ体に巻いているあれは“きあいのタスキ”! 技に……あった“でんこうせっか”! 初見殺しか。舐めたことしてくれるじゃねぇか。だがこっちは“みがわり”だから最初の狙いは上手く外した。

 

 “きあいのタスキ”ありきの「がむせっか」……“きあいのタスキ”は体力満タン時に一撃で倒れる攻撃を受けたらHPを1残す道具。そして“がむしゃら”はお互いの体力の差の分だけダメージを与える。但し自分の方が体力が多いと不発だ。基本的にはお互いの体力を同じにすることになる。

 

 つまりこうだ。攻撃を受けるとレベルが低いので必ずタスキが発動しHPが「1」になる。そしてレベルが低ければ後攻になるのでHPが減った後に“がむしゃら”を使え、相手のHPも1まで減らせる。次のターン“でんこうせっか”で先制すれば必ず最低でも「1」はダメージを与えられるので確実に相手を倒せる。

 

 使い古された戦法だがここでお目にかかれるとは思わなかった。レベルが中途半端に高いのは何度か成功させて経験値を獲得してしまったのだろう。

 

「動かない? 攻撃じゃないのか?」

「6」

「くっ、あー何があったか……かぜおこし!」

 

 グレンが何をしたのか理解できてないな。一応体力差が十分にあれば“がむしゃら”で“みがわり”を破壊することはできる。体力が減るまで“みがわり”を続ける予定だったが自滅してくれるならありがたい。おそらくまともに育ててないだろうから簡単に倒せる。

 

「1」

「がむしゃら!」

 

 残念“がむしゃら”は直接攻撃。“かえんほうしゃ”を受けてまともにこっちまで近づけていない。

 

「あさのひざし」

「ガウ?」

「間違いないよ。グレン回復して」

 

 番号の付いている技自体は少ないが使える技はかなり多い。使うことは滅多にないが変な相手が来ればこんなこともある。グレンは振り返って確認してきたので俺は頷いてみせた。ひざしを浴びてグレンの体力が回復する。

 

「がむしゃら」

「壊されたか。グレン、決めるぞ……6!」

「でんこうせっか!」

 

 やっぱりこいつ雰囲気で直感的に行動を予測してるな。そうとわかれば引っ掛けるのはたやすい。

 

 素早さに差があり過ぎるので指示が遅れると先制技といえど攻撃は遅れてしまう。だから番号を解釈するヒマはなく反射的に動くしかない。だから裏の裏をかくような行動はできない。あっさりと引っかかってくれた。

 

 先制技を使ってきたがグレンが使ったのは“みがわり”だ。相手の攻撃力は実質ゼロだから1ターン貰ったのと同じだ。

 

「攻撃しない!? てめっ、ダマしたな!」

「別に攻撃するなんて言ってないけど? 勝手にあんたが勘違いしたんでしょ? 1!」

 

 “かえんほうしゃ”で軽く倒した。回復できて“みがわり”も残った。3タテかな?

 

「よくもまぁシャアシャアと……いけっゴースト!」

 

 今度はゴーストか。またレベルが低そう。最初から“みちづれ”狙いだな。

 

「グレン、10」

「みちづれ!」

 

 ホントにこのおじさん素直だねぇ。キライじゃないけどね。

 

「今度はおにびか!? なんでこうも上手くいかんのだっ!」

「バレバレだからだとは思わないの? 7」

「こうなりゃ“のろい”だ!」

 

 相手は“のろい”を使うがこっちは“オーバーヒート”、つまり攻撃技。バレバレだと言われて“みちづれ”を使う程バカじゃないと思ったがとことん予想通りだな。

 

 補助技が先に決まるので“みちづれ”の効果は切れている。“みちづれ”の持続時間は次に自分が行動するまでだ。なので当然ゴーストだけが倒れた。念のために番号を変えるためとはいえ特攻が下がったのはもったいなかったかな。“のろい”が“みがわり”を貫通するのも面倒……少し揺さぶってみるか。

 

「ここで攻撃……!」

「これで3対1だな。あんたは最後のポケモンで全抜きするアテがあるのか?」

 

 ここまで相打ちを基本にしてきた以上最後も確実に1体を倒せるポケモンを用意しているはず。だが、逆に2体以上は倒せないからこそこれまで確実に1体ずつ数を削ろうとしていたわけだ。

 

 早い話が相手はすでに詰んでいる。それを指摘した。

 

「へへへ……こりゃ参ったな。降参だ」

「どうも」

 

 たったこれだけの勝負で300万か……。なんかアホらしくなってきた。この気持ち、いったいなんなんだろうな。

 




青天井の雑なポーカーをする時は決まってわざと手が弱いフリをします
すると相手が強気に突っ込んできてベットが持ち金を超えるところまであがっていき一発で自爆してくれて試合終了になります

強いフリよりも弱いフリをする方が有効なこともありますよね
上の例は相手がアンポンタンだっただけかもしれませんが

レインの気持ちは不毛なポーカーに勝った時のむなしさと同じ感じだと思います
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