Another Trainer   作:りんごうさぎ

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8.轟く咆哮 反撃の嚆矢

『シャドーボールが決まったぁぁ!! 眠ったままベトベトン戦闘不能!! 勝者は四天王のキクコだっっ!!』

 

 3回戦、すでに人数は大幅に絞られてきた。実力者同士もぶつかりしのぎを削っている。俺の次の相手は以前経験値稼ぎをした時に手合わせしたトレーナー。大した敵じゃない。なので後々の敵の視察に集中することにした。

 

 まず四天王。ジムリーダーとはまた格が違うようだ。カスミがカンナに、そして今キョウがキクコに負けた。四天王はやはり四天王というところか。

 

 ただ、キョウに関してはツキに見放されたな。キクコはゴーストタイプ使いだが実はどくタイプの方が多い。そしてどくタイプにはキョウお得意の“どくどく”が無効。しかも“だいばくはつ”も効かない。天敵と言ってもいいだろうな。それでも気づいたら最後の1体までキクコを追い込んでいたから驚いたが。

 

 キョウがナツメと引き分けた時もおそらく次戦にはナツメが進んだはずだ。ナツメはマスターズリーグで1敗しているからな。実力はあってもなかなか勝ち進んでいけないところにキョウがまだジムリーダーに甘んじている理由があるのだろう。……3年後にはその2人はいなくなるだろうから昇格チャンスだな。

 

 ジムリーダーはあと3人。カツラとエリカとマチス。そのうち俺のいるブロックに2人。そしてブルー達も特に苦も無く勝ち上がっていた。……俺だけがハードだ。

 

 今はまだ各々が実力を隠している、そんな気配がする。本当の勝負はもう少し先だな。

 

 ◆

 

 軽く3回戦を突破して次の試合の相手を確認した。次に当たる組の試合は自分の直前にあったので見れていない。試合の間隔は詰まってきている。4回戦は試合数が少ないので翌日に全てまとめて行う。さぁ、次の相手は…………!!

 

「エリカ!? 勝ち上がったのか!? たしか相手はマチスだったんじゃ……」

 

 自分の試合の直前だったので見れなかったが本当にマチス相手に勝ったのか? 驚いていると服をクイッと引っ張られた。

 

「レインー、みゅー疲れたの。もういたみわけ使えないよ」

「え!?」

 

 唐突な発言に戸惑う。今日はかなりの消耗戦だった。相手が自爆技などをお構いなしに使い負けて元々というような無茶苦茶な攻撃をしてきたからだ。おかげで勝つことは楽だったが4体も倒れてしまい残ったのはグレンとみゅーだけだった。

 

 現状みゅーの“いたみわけ”がないとかなり厳しい……。大事なことなので部屋に戻ってから必死でみゅーにお願いした。

 

「みゅー、頼むよ。俺達最後の試合だったからもうポケセンは埋まっているだろうし回復しないと代わりもいないだろ?」

「みゅぅ。そう言われてもみゅーホントに疲れたの。レインの頼みだからこれまでずっと頑張ったけどもう限界だよ。それに全然バトルしないからつまんない。明日はみゅーがバトルするの」

「わかったわかった。じゃあ明日のために今日は休んどいて。アカサビ達は道具で回復させとく」

「うみゅーっ! レインありがとう! 約束ね」

「……ガウンッ! ガウガッ!」

 

 みゅーの頭を撫でて頷いているとグレンがボールから出てきた。何か言いたげな表情だ。

 

「どうしたグレン?……なぁ、ちょっとその視線やめてくれよ。もしかして俺のこと責めてる?」

「ガウゥゥーン」

「……グレンもバトルで使ってほしいみたい。あんまり……というか1回もリーグ戦に出てないもんね」

 

 お前もか。ポケモンって本当にバトルするのが好きなんだな。本能? 俺だったらラクできるからなるべく戦いたくないけど。……俺はナマケロかっ!

 

「この前も言ったでしょ? お前は最も強力な先制技があるから最後の詰めのとっておきなんだよ。サポートなしのサシ勝負では1番信用できるし、全員倒れた時の最後の切り札はお前にしか頼めない。わかるな?」

「ガウガ?」

「で、レイン本当の理由は?」

「いやぁ、ほのおタイプ単一だとなかなか役割を持ちづらいんだよなぁ。半減できるタイプがマイナーどころばかりだとやっぱり交換して使う機会は減っちゃうよね。補助技もあんまりないし攻撃も自分の身を削りながらするから消耗しやすくて長期的なトーナメントには向いてないし」

 

 ついノリで本音まで言ってしまった。

 

「ガウガウガァァーー!!!」

「いぎぎぎぎやめろっ、ダメかむなっ! あああぁぁぁっっっ!!」

 

 思いっきり頭をかじられた。めり込んでるよっ! 鋭い犬歯が頭にめり込んでるっ!

 

「レイン……反省して」

「ガブゥゥ!」

「こらっ!? かみなりのキバはダメ! トレーナーにするのはダメ! 俺が死んじゃうからホントにやめて!!」

 

 体がマヒして動かなくなったところでようやく解放された。みゅー、見てないで助けてくれよ。

 

「まひなおし使ってくれる?」

「レイン、反省した?」

「……よーく反省しました」

「みゅみゅ。じゃあグレンもいいよね?」

「ガウ」

 

 なんとか体は動くようになった。少しは気を鎮めてくれたようだ。グレンの話をみゅーを交えてよく聞くと相当フラストレーションがたまっていたらしい。

 

「ガウガウガー」

「グレンは自分が最初の仲間だから自分が皆を引っ張っていきたいんだって。レインと一緒にレベルが低かった時から頑張ってきたから1番大事なところで見てるだけはイヤって言ってるの」

「グレン……」

「ガウガー」

「これからはもっと自分を信用してたくさん戦わせてくれって」

 

 ポケモンのことを考えて気持ち良く戦わせてやるのもトレーナーの仕事のうちか。やっぱり俺もまだまだなんだな。

 

「グレン、明日はくさタイプが相手だ。ほのおタイプのお前がキーマンになる。頼んだぜ? カッコイイところみせてくれよ?」

「ガァァーーウン!!」

 

 嬉しそうに俺のお腹のあたりに顔をうずめてすり寄ってきた。ガーディみたいなじゃれつき方をされて無性に嬉しくなった。

 

「よーしこい! だっこしてあげよう」

「ガウッ!」

 

 ドシン!!

 

「おもっ!?」

 

 あっけなく下敷きになった。後で知ったことだがウインディの重さは約155㎏。とんでもない暴挙だった。

 

「レインって嬉しくなるとすぐにバカなことしちゃうよね」

「みゅー、冷静にコメントするヒマがあったら助けて」

「楽しそうなのにジャマしちゃ悪いの」

 

 いいながら口元が笑ってる。こいつ確信犯だ!

 

「くっ……グレン、もうそろそろ十分と思わない?」

「ガウ?」

 

 こっちはこっちで全然意図が伝わっていない。

 

 ……つぶれる!

 

 ◆

 

 第4回戦。リングにはすでに相手が待っていた。因縁の相手……エリカ。今となっては昔のことだしもうこいつをどうこうする気はないけど、くさタイプの敵はエリカ抜きにしてもキライだ。徹底的に叩き潰してやる。

 

「ごきげんよう。昨日はよく眠れましたか?」

「心配しなくても俺はお前みたいに昼寝したりしない」

「そうですか。今日はいいお天気ですからポケモン達も活き活きとしていますわ。ついウトウトしますわね」

「どうやらおめでたい脳ミソは変わってないらしいな……」

 

 わかっていてもエリカのこのマイペースな話し方には慣れない。わざとこっちのペースを崩しているのか?

 

「今日は後悔しないように全力で戦うことをオススメ致しますわ。あとで全力じゃなかったと言われても困りますから」

「……ご忠告どうも。だがまさか俺に勝てる気でいるんじゃないよな?」

「少なくともお天道様はわたくしに味方していますわね」

「大した自信だな。そこまで言うなら見せてもらおうか。がっかりさせるなよ?」

「いいでしょう。くさポケモンの本当の恐ろしさをとくと味わってくださいまし」

『両者激しく火花を散らす! 緊迫した空気の中共にボールを構えた』

「……はじめっ!」

 

 互いにボールを投げた。1体目はイナズマとウツボットだ。

 

 “バトンタッチ”でさっさと決めてやる。

 

「6!」

「ヘドロばくだん!」

 

 最初はお得意の状態異常をかけに来ると思ったがいきなり攻撃か。“みがわり”はムダになったが大した威力じゃない。これなら強引に眠らせられる。

 

「3」

「ねむりごなで追い払いなさい」

「何っ!? 下がれ!」

『エリカ選手上手く立ち回って敵を全く寄せ付けません! 見事な手際だ!』

 

 どういうことだ? こっちの行動が読まれた? “ねむりごな”を自分の周りに展開して盾にしやがった。明らかにこっちが接近することを読んでいる。なら……。

 

「2」

「優雅に避けてしまいなさい」

「イナズマの速さを舐めるなよ?」

「あなたこそくさポケモンを侮り過ぎです」

 

 “めざめるパワー”は一直線に相手に向かって飛んでいく。しかしウツボットはこちらに接近しながらヒラリとこれを躱し、そのまま流れるようにイナズマへ“ねむりごな”を放った。

 

『お見事! 見事な体捌きで技を避けつつ上手く距離を詰めた! サンダースはすでにねむりごなのリーチに入っている! これは決まったぁぁ!!』

 

 信じられない光景だった。間合いの取り合いでイナズマが完敗するなんて初めてだ。さっきの華麗な身のこなし……おそらくあのウツボット、イナズマよりも速い。どういうことだ?

 

「眠ってしまえば怖くありません。あなたもマチス同様何もさせずに倒してさしあげましょう」

 

 そうか! こいつマチスにどうやって勝ったのか気になっていたが催眠で倒したのか。あのクレイジーガイは催眠を殊更嫌う。術中にはまっただろうな。

 

「いきますよ、ソーラービーム!」

「ソーラービームだと!? ハッ、まさかっ!!」

 

 天を見上げれば空は雲一つない快晴。……ひざしがつよい!

 

『出ました! あれはくさポケモンの最終奥義ソーラービーム! ジムリーダーエリカ、なんと吸収時間なしでいきなりフルパワーのソーラービームを放った! くさのフィールドも相俟って凄まじい破壊力だ!』

 

 ためなしで発射された太陽光線がイナズマに直撃。恐るべきダメージだ。これで速攻のカラクリはわかった。この天候がエリカに味方していたのだ。

 

 考えてみればエリカを舐め過ぎていた。どく専門のキョウですら“にほんばれ”を絡めてきたのに、くさタイプのエキスパートであるエリカがこれを知らないわけがない。

 

「天候まで計算づくか。ようりょくそにソーラービーム……本当の力とはこのことか」

「ええ。わたくしお天気のいい日はついウトウトしてしまいますの。……あまりにも簡単に勝ててしまうものですから」

 

 こいつ……!

 

「起きろイナズマ! いつまで寝てる気だっ!」

「ムダですわ。こんなよいお天気でお昼寝をするなという方が無粋です。ウツボット、ソーラービームでトドメを!」

「キシャーー!」

 

 イナズマは一度も起きなかった。

 

「サンダース戦闘不能!」

『先手を取ったのはエリカ選手だ! 流れるような攻撃で見事にサンダースを翻弄! 無傷で倒してしまった!』

「ヒリュー!」

 

 今は切り替えだ。すぐさま次のポケモンを繰り出した。

 

「プテラですか。わたくしも交代しましょう」

『おっとぉ? 出だし好調のエリカ選手ポケモンを交代するのか?』

「11!」

 

 交代時間を使ってひとまず無難に“ステルスロック”を使ったが次は何が出てくる? くさポケモンでひこうに有利なポケモンはいないはず。でんきタイプ辺りを持っていたのか?

 

 現れたのは海百合のようなポケモン。黙ったまま触腕をユラユラと揺らしている。

 

『あれはエリカ選手の切り札だ! 生息地は遥か彼方海の向こうのホウエン地方、その名は……』

「ユレイドル?!」

「あら、よくご存じですわね。でしたら厄介さもわかるでしょう? のろい!」

「8!」

 

 “のろい”や“たくわえる”だけは絶対にさせない。あれは舐めてると手が付けられなくなる。カントーでお目にかかるとは思わなかったが、たしかにくさタイプの弱点を補うにはうってつけだ。いわタイプは攻撃面でかなり相性補完がいい。くさタイプの弱点にことごとく抜群をとれる。

 

「ストーンエッジ!」

「躱して9!」

 

 得意の戦法に持ち込むために“どくどく”を使うが巧みに岩を操り上手く相殺された。こっちの攻撃に狙いをつけている。素早さは遅いので一歩も動かないが撃ちだされる砲弾は素早く強力。まるで要塞だ。素早さ勝負をしかけるのは無謀だな。自分だけを守ればいい相手に攻撃を通すのは難しい。力勝負でいくか、範囲攻撃で問答無用で当てるか、ガードも許さない先制技を使うか……。ここはあいつに任せるか。

 

「戻れ! 1!」

「ッサム!」

 

 勢いよく飛び出したアカサビは素早くユレイドルに向かって拳を突き出した。先制の“バレットパンチ”。

 

『レイン選手形勢が不利と見るやすぐに交代! しかしエリカ選手も即座にこれに応じてポケモンを入れ替えた! 目まぐるしい攻防が繰り広げられている!』

「ウツボット、受け切りなさい!」

 

 バシン!

 

 攻撃はしっかりウツボットに当たった。しかし思った以上にダメージが小さくウツボットはその場で耐えきった。

 

「こいつ、自分の空洞を利用して受け身をとったのか! 衝撃が和らいでいる……!」

「これでその子はおしまいです。ウェザーボール!」

「ウェザーボールだとっ!? しまった!! 天候は晴れ!?」

「燃え尽きなさい」

 

 これが決まれば全てが終わる。こんなむちゃくちゃな攻撃でアカサビを失うわけにはいかない。早く指示を出して逃げないと!

 

「でんこうせっかで逃げろ!」

「ッサムゥ……」

 

 やられた……。そうだ、先制技の後は連続で動けない。いつもは敵を吹っ飛ばすほどの威力があるから気にならなかったがこの隙が命取りになったか。これでは至近距離であれを受けることになる。

 

 小さなエネルギー弾が天高く放たれ、それはつよいひざしを浴びて大きく、そして真っ赤に染まった。アカサビが接触した瞬間、爆炎がはじけた。直撃したアカサビは大の字に倒れ気絶していた。

 

「ハッサム戦闘不能!」

「俺のアカサビがよりによってくさタイプに負けるなんて……」

『見事な切り替えし! くさタイプにとってやっかいなポケモンをいとも容易く倒してしまった! さすが、くさタイプポケモンのエキスパートだ!』

 

 さすがにこれはショックが大きい。アカサビだけは負けないと思っていたのに……。

 

「何もかも思い通りにいくのは少々退屈ですわね。ウトウトしそうでしたわ」

 

 余裕のつもりなのか知らないがこっちを煽るだけで行動は何もしない。“せいちょう”でも使ってくれば即座にユーレイに入れ替えて催眠地獄を見せてやろうと思ったがこれすら読まれているフシがある。

 

 “ウェザーボール”は天候でタイプが変わり威力が2倍になる。晴れならほのおタイプとなり威力は天候の補正も加わって150となる。4倍弱点をつかれたのでアカサビには600だ。耐えられるわけがない。

 

 ウツボットを一度引っ込めたのはおそらく“バレットパンチ”を受ける体力を温存するため。アカサビ対策の秘密兵器だったのだろう。

 

 逆にウツボットを先頭へ持ってきていたのはイナズマを倒すためだろう。いくら“ようりょくそ”持ちでも元々鈍足のくさタイプでは追いつけない。他は鈍足しかおらずやむを得なかったとすれば筋は通る。

 

 イナズマに対して唯一素早さが勝るウツボットなら天候に気づかず油断している状況の最初の一太刀だけは確実に“ねむりごな”を決められる。無傷で倒せば後々の役割にも支障は出ない。全てエリカの狙い通りだろうな。

 

 つまり……ここまでほとんど俺の行動は読み切られている。最初の“みがわり”のタイミングもバレていたのだろう。どうやら俺は手の内を明かし過ぎたらしい。

 

「ユーレイ! 6!」

「ウェザーボール」

 

 まただ。数ある補助技を警戒すべき場面で安易に攻撃? “みがわり”は潰れてしまった。どうしてここまで完璧に行動が読まれる?……まさか!

 

「シャドーボール」

「あら、数字遊びは終わりのようですね。躱してウェザーボール!」

 

 こいつ……。おそらく番号は記憶されている。それも俺のポケモン全ての番号を正確に覚えるだけでなく反射的に対応できるレベルにまで訓練されている。

 

 そんなこと普通できるわけない。覚えるだけでも難しいがそもそも俺が使った場面を1つずつ検証して相当な時間をかけて分析しないと覚える作業すらできない。覚えたとしても実践で活かせるレベルまで訓練するのはさらに大変だ。一瞬で技を把握し自分も指示を出す必要がある。そこまでして俺を倒したいのか……。

 

 これからは番号を見るのをやめて相手の能力の分析をした方がいいだろうな。

 

「ゲェェ!」

『ウェザーボールが再び炸裂! 相手の攻撃を難なく躱して見事な反撃だ! ゲンガー成す術もなく膝をついた!』

「ユーレイ! 膝をつくな! この程度の攻撃すぐ回復できる! 地面に潜れ!」

「ウツボットッ!」

「キシャーー!」

 

 なんだ? 何か合図を送った? まぁなんでもいい。地中から奇襲をかければ相手は避けられない。催眠ループで全抜きだ。

 

「あやしいひかり!」

「ウェザーボール!」

 

 俺の指示を聞いてユーレイが浮上。即座に攻撃に移るがそれよりも速く地表に出た瞬間を狙いすましたようにウツボットが攻撃を仕掛けた。

 

「ゲゲェッ!」

「攻撃場所を読まれた?!」

 

 “ウェザーボール”がモロに当たって倒れた。戦闘不能だ。

 

「ゲンガー戦闘不能!」

「たわいもないですわね」

『すごい、すごいぞ! エリカの勢いが止まらない! 厄介なゴーストタイプと弱点のどくタイプを併せ持つゲンガーをあっさりと倒してしまった! これがジムリーダーの実力か!? ルーキーとの格の違いを見せつけた!』

 

 どうやって場所をつかんだ? 確信を持った動き……ユーレイの出現タイミングだけを計っていたように見えた。きっと場所は最初からわかっていたんだ。今のは何かしらの探知手段があったとしか考えられない。エリカには当然そんな手段はない。さっきの合図でウツボットが何かしたのか?

 

 シュルシュル……

 

 さりげなくウツボットが何かをしまっている。あれは……?

 

「ねっこ? あれはウツボットのねっこか? それが引いていく……? まさか“ねをはる”で地中の探知を!?」

「あら、よくわかりましたね。もっとも気づくのが遅過ぎたようですが。おかげで養分を吸い取って体力満タン、絶好調です。感謝しますよ」

 

 驚いた。そんな奇想天外な方法ですり抜け対策をしてくるとは。俺のことを全て研究しつくしている。あぁ、なんてザマだ……!

 

「チッ……だが不意を突かれたとはいえあの程度の攻撃でなぜ……」

「あなたはポケモンのことを何もわかってないようですわね」

「なんだと?」

「あなたはずっと6匹だけで戦っていたのでしょう? 丸わかりです。だからここにきてあなたのポケモン達は疲労のピークに達しているのですよ」

 

 そうか……よく考えれば最近は連戦続きだ。リーグの頃はレベル上げでも戦闘不能になる回数はしれていたし、本戦はほとんどみゅーだけで勝てた。だが最近は経験値稼ぎでマスターの連中相手にハードな戦いを続けていたし、トーナメントでも総力戦が続いた。体力は回復できても気力までは戻らないということか。その上昨日はみゅーが疲れて回復は道具で済ませた。それも関係したのかもしれない。

 

「表に出さずとも疲れを感じていたのか。それで乱数が悪く……」

 

 そういう疲れは数値的な部分では全く反映されていなかった。だから今の今まで大丈夫だと思い込んでいた。“目”に頼り過ぎたツケ、“能力”に甘え過ぎた代償か。

 

 思えばみゅーの限界だというあの言葉、きっと俺に対して警鐘を鳴らしていたんだ……酷使は破滅を呼ぶと。

 

「あなたはまだちゃんとポケモンを見ていない。だから無茶ばかりさせる。そんなことではチャンピオンになどなれはしません。己を省みて出直してくることです」

「くっ……」

 

 まさかエリカにこんなことを言われるとはな。これじゃ俺の面目も丸潰れだ。

 

 ……まるで以前のバトルとはそっくりそのまま立場が逆転したように思える。言葉の端々に記憶に引っかかるものがあるし、このクソッタレな状況も何もできなかった以前のエリカそのものだ。

 

 いや、今はそれよりもバトルが重要。この状況……かなりマズイ。

 

「何を考えているか手に取るようにわかります。これまで酷使したポケモンはここでは使えない。だから残るはプテラを除いて2匹だけ。ですが手の内を全て読まれるこの状況ではメタモンも使えない。相手は6匹全て残っているにも関わらず自分は1匹だけ。勝てるわけがない」

「……」

「降参なさい。それがポケモンへの優しさです」

 

 ……ここで諦めるしかないのか。ブルーとも戦えず、四天王にすら挑めず、こんなつまらないところで終わる、その程度だったのか。

 

 カタカタッ!!

 

 ボールが激しく揺れる。このボールは……!

 

「そうか、そうだよな。……エリカ、どうやらこいつにとっては諦めず戦わせてやることが1番の優しさらしいぜ?」

「負けるとわかっていてするバトルに何の意味があるのですか?」

「負けねぇよ。ここからが俺達の見せ場だ」

 

 天高くボールを投じる。俺の手を離れ高々と舞い上がったボールから真っ赤な炎が飛び出した。強烈な“いかく”が大気を震わせる。

 

「ヴォオオォォウ!!」

「今こそ切り札登場の時! さぁ、反撃開始だ!」

 




エリカ様大暴れ!!
無傷の6匹を残し実質残り1体までレインを追い詰めました

手持ち全てくさタイプアンチのレインにどうやって勝つのかなぁと考えてましたが意外と造作もないですね
エリカはレインから弱いと思われていますがその根拠って実はないですよね
あれは初見殺しと相性による敗北で、育て方云々もジム戦用なので特訓とかしてませんしある程度雑になるのはやむを得ない部分があります

フルメンバーで全力かつ有利な条件下ならこれぐらいはできます!
できるといったらできます!(ゴリ押し)


グレン怒り爆発!
フレアドライブは勘弁してかみなりのキバで許してあげる優しさ
自傷系のインファイトやワイルドボルトのような技をあまり使わないのはレインの好みだったようですね
……愛着の現れです


あ、今回はエリカ視点も味わうために番号のカンペなしにしました
正味この方がリアルでいいとは思うんですよね
何より一々リストの貼り付けするのがめんどゲフンゲフン!
もういい加減覚えてきましたよね?


最後のグレンは限界まで引き絞られた真っ赤な弓矢が勢いよく飛び出すようなイメージです
……グレンの弓矢!
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