試合後エリカからもらったひでんのくすりとやらを試しにみゅーに使ってみた。みゅーがくれくれとせがんだのもあるが、もしも変なアイテムだったとしてもみゅーなら自己再生してなんとかなりそうという計算も少しある。ごめんなみゅー。
「みゅっ!? みゅぐぅぅぅ」
使った途端うずくまって苦しそうな感じの声を漏らした。……回復しているようには見えないぞ。まさか毒とか入ってたんじゃないよな?! くさポケモンはどくタイプ付きが多いし!
「げ!? やっぱりあいつだましたのか! 大丈夫かみゅーっ!!」
「みゅぅぅぅ……」
「みゅー、返事しろ!」
声も出ないのか? 技も使えないなら俺が治療するしかない。こんなとき何を使えばいい? かいふくのくすりか?
「……ふっかぁぁーーつ、なの!! みゅふふっ」
「……はぁ!? お前なんともないのか! じゃあなんだよ今のは?!」
「みゅ? レインみゅーのこと心配してくれたの? みゅふーっ」
「喜ぶな!」
こいつ、わざと演技したんじゃなかろうな。薬の効果はてきめんだったようで他のポケモン達もたちまち完全復活した。これで万全を期して四天王に挑める。この効果を見るにかなりの代物だったようだな。
「みゅみゅー! ねぇレイン、これすごいの。体の奥から全身が癒されてるっ! みゅみゅ、あの人間いい人なのね」
「……そうだな」
帰る道すがら、会場を出たところでブルー達と出くわした。……いや、3人お揃いだし待たれていたようだ。俺は最後だったから仲良く見学していたのだろう。
「あら、シッショ~? ずいぶん遅かったじゃないの。さっきの試合はやけに苦戦していたようねぇ。危なかったじゃない。わたし負けちゃうかと思ったわ。それにレッド達もびっくりしてたわよ。エリカさん見直したって」
このストーカーめ! 人が負けそうになったからって活き活きとしやがって! ホント腹立つ声しやがるなぁ~!!
「まぁたしかにお前らよりは手強かったな」
「ウソつけ! どさくさに紛れてオレ達が弱かったことにしてんじゃねーよ! どう見たってあんたが油断し過ぎなんだよ」
「なっ!? 油断っ!?」
「手持ちのほとんどがくさタイプに有利なポケモンだったのに普通あんなに追い込まれるか? ハッサムなんてあっさり一撃でやられてよぉ」
くそっ、こいつも敵か。なんでバトルで負けそうになっただけで俺がこんなに責められるんだよ。俺は戦犯か?
「あれは、言わば予想外というか、まぁ実質的に事故……そう、交通事故みたいなもんだし……」
「ハッ! おうおうレインよぉ、あんた焼きが回ったな。オレ様ならあの状況、なんかあると踏んで即座に炎タイプ辺りに交換して相手の使ってくる技を確認してたぜ。事故だとか温いこと言ってるようじゃまだまだだなぁ」
こいつもこいつで小憎らしい顔しやがって! 結果論でドヤ顔してんじゃねぇ! そもそもお前は重度の突っ張り厨だっただろうがっ!! このヤンキーッ!
「お前こそウソつけよ?! そんな悟りを開いたような変態読みを咄嗟にできるわけねーだろ! 技確認交換とか異星人かっ!」
「そうかぁ? 相手は倒せると思って交換してきてるんだぜ? 1番倒しにくいやつが来ていると考えればあんたの話だとこっちも引くのが正解なんじゃねーのかよ」
「うっ……それは……」
確かに1番相手しにくいポケモンを繰り出すはずだから、相手のプレイングを信じるなら引いて別の奴にぶつけるのが正解か。何も有効打がないならそもそも勝ちだから引いても問題はないわけだし……。だがエリカがあそこまでするとは思わなかったし全部の技を考慮するなんて一瞬の判断では無理だし……エリカを過小評価したのは、まぁ認めなくもないけど……。
「第一あんたは相手のポケモンの技は全部わかるんじゃなかったのかよ? なんで事故なんて起きるんだ? ほら、なんか言ってみろよお師匠様よぉ。ほらほらほらっ!」
「ぐ……このツンツン小僧がぁ」
「……論破」
「ぷふーーっ!! シショーが言い返せないで負けセリフ吐いたっ! でもツンツンには同意ねー。超お似合いって感じ。性格的にもそうだし……シショーもたまにはいいこと言うじゃない?」
レッドとブルーの反応からして3人でさっきの試合について話し合っていたな? それで俺を論破してやろうとここで待ち構えていたってわけか。相当自信があったんだろう。劣勢になっていた以上何かしらミスがあったのは確実なわけだし言い負かすチャンスと踏んだわけね。道理でこいつら最初からイヤな笑顔を浮かべていたわけだ。
「おいコラッ! 誰がお似合いだと!?」
「だってそうじゃない? 今はツンツンだけどさっきまではシショーの応援してたもんねー。俺以外に勝手に負けんじゃねぇーって」
「あっ、コラ! デタラメ言うんじゃねぇ!」
なんじゃそりゃ。俺を応援してどうする? 四天王を倒せば俺はグリーンと当たる。俺のことは自分で倒したいとでも? 大した自信だ。
だが、事故回避で一度引くような考えまで思いつくということは、できるかどうかは別にしてポケモンの役割についての理解は深まっているわけだ。あながちただの慢心ってわけでもなさそうか。……そういやまだ聞いてないし、一応確認しておくか。
「お前らも勝ったのか」
「当り前だろ?」
「……」
「イエーイ! ピースピース!」
こいつらなら当然か。レッド達はどうやったのか知らないが全員レベルが格段に上がっている。相当ヘマしなきゃ力業で勝ててしまうだろう。
一方で気になることもある。そもそも経験値ってのはその仕様上倒す相手より上のレベルまでアップさせるのは難しい。なのにこいつらはどう考えてもカントーで最高レベルであるはずのマスターの連中を超えている。どうやったんだ?
ともあれ、久々に全員揃ったのであれこれ話し込んでしまった。
「でさー、シショーがなんて言ったと思う? 『無抵抗の相手をいたぶるのは趣味じゃない』って抜かしたのよ? どの口が言ってんのよ!」
「はいはい俺は悪の組織と関係ないから」
「先読みか……」
「これはあれだ、本人に自覚がある証拠だな」
「わたしは適当にあしらわれただけな気がするんだけど……」
その通りだよ。察しが良いなブルー。
バカ話はほどほどに気づけば話題はトーナメントへと移っていた。
「ねぇ、次はいよいよ全員四天王と当たるでしょ? これでもし4人揃って勝っちゃったりしたら大事件だと思わない?」
「そうだな。チャンピオン含め四天王全員準準決勝止まりなんて史上初だろうぜ。でも俺らなら十分狙えるはずだ。だろ?」
ウキウキしながらグリーンがレッドに話しかけるがレッドは冷静に答えた。
「相手は関係ない。おれ達は全力を尽くすだけだ」
「ま、あんたならそう答えるわよね」
「んなこと聞いてねぇだろ……おめーに振ったのが間違いだったな」
たしかにそんなことになればとんでもないが、さすがに四天王ともなれば今までとはわけが違う。エリカも言っていた。
――四天王はわたくしなどより桁違いに強い。その本当の強さはわたくしでは測りきれぬほど底なしです――
事実これまでの試合ではかなり手加減をしているようだった。試合を見れば内容以上にかなり余裕があるのが傍からでも見て取れた。正直観戦で見れた戦術などは全く参考にならないだろう。四天王との勝負がどんな展開になるかは実際に戦ってみないと想像もつかない。
「おい緑、あの連中はまだ全然本気じゃない。油断はしない方がいい」
「なんだ、あんたにしちゃやけに弱気だな。このオレに限ってあんたみたいに油断なんてしねーから心配いらねーよ」
「あ゛?」
「ちょっとっ! 見るからにこれシショーマジでキレてそうなんだけど……」
ブルーがボソッと何か言ったがどうでもいい。三日天下のお前こそどの口だって話なんだよ。このツンツン緑はただじゃおかねぇ……。
「ん? ブルーなんか言ったか? まさかお前まで心配症じゃねぇよな?」
「いや、実際不気味ではある。そもそも奴らはおれ達の前にその姿すら見せていない」
レッドの疑問にブルーが答えた。
「あ、それ毎年らしいわよ。あんまり人前には出てこないんだってさ。サインとかも激レアなんだって。マスターの準備期間の時に四天王に腕試しがしたいってナツメさんに言ったら、まず会えないから探すだけムダだって言われたわ。ナツメさんなら見つけられそうだけどそのときは大人しく諦めたのよね」
「アホブルー、言いたいことは色々あるけどよぉ……やっぱお前大バカだな」
「なんでそうなんのよ!? 張っ倒すわよ!!」
「……ともかく、おれ達全員で四天王に勝つ。そういうことだろ?」
レッドが喧嘩腰の2人を見て上手く収めようとしたがムダだった。まずブルーが騒ぎ始める。
「当ったり前よ! 四天王は軽くやっつけてあんたらも華麗に倒してわたしがチャンピオンになるから! いや、わたしはチャンピオンになんなきゃいけないの! どうしても……絶対に!」
ん? ブルーのやつ今こっちを見たか?
「言ってな! ブルーじゃ無理だな。お前は子供過ぎるんだよ。あらゆるコンビネーションを追及して最強の組み合わせを見つけたオレこそがチャンピオンにふさわしいぜ」
「言ったわね? じゃあ先にあんたと白黒つけてやるわよ!!」
「上等だぜ! 負けて泣くんじゃねーぞ?」
「またか。これはもう止まらないな」
「……処置なし」
ブルーとグリーンがやいやい言い合っていると聞き慣れない声の持ち主が現れた。
「威勢がいいのはけっこうなことだが時と場所ぐらいは弁えてもらおうか。君達はもうただのトレーナーではない。こんなところで騒ぎを起こせば只事では済まないだろう」
マント姿に良く知っているその顔。間違いないな。
「まさか……チャンピオンのワタルか!?」
「え、ウソ!? 本物っ!? 生チャンピオン……!! わたしチャンピオンに話しかけられた!! うはぁぁーーっ!! お母さんに自慢できるっ!!」
「……!」
突然の王者の登場に驚く3人。だがこの場に居合わせたのはワタルだけじゃないようだ。
「あなた達はまだ私達四天王の本当の怖さを知らない。チャンピオンになるだのと夢を語れるのは今のうちよ」
「あっ! わたしの相手!……四天王のカンナ!」
何が只事では済まないだろう、だ。あんたらが来ただけですでに俺達の周りはちょっとした人だかりができている。丁度試合も全部終わってこの辺りも観客さん達が通りかかる時間だ。ブルーみたいなミーハーが多いんだろうな。
「いきなりだな……」
「全くだ。他にもシバとキクコもいるな。4人揃ってお散歩かい?」
俺の言葉にはキクコが答えた。
「あたしの相手はたしかあんただったね。あんたには言っておきたいこともあったからねぇ。最近ジジイと一緒にポケモン研究をやっているようだが、ポケモン図鑑なんか作ってるようじゃだめだ。ポケモンは戦わせるものさ。あんたにもホントの戦いってものを教えてやる」
なんかよくわからんが目の敵にされてるな。別に俺がどこで何をしようが勝手だろ。オーキド博士がバトルしないのが気に入らないだけなんだろうけどさ。
「あんたらこそ、俺らのことなめんなよ? ロケット団をぶっ潰してリーグをぶっちぎりで勝ち上がってきたんだ。実はあんたらの方が内心ヤベェと思ってんじゃねぇの?」
「何も知らないからそんな口が叩けるのだ。男なら黙って拳で語れ」
「……上等だぜ。次の勝負、全力で挑んでやらぁ!」
グリーンの言う通り、少しは脅威に感じてもおかしくないはずだが。実際、俺はともかくこの3人はレベルだけならすでに奴らを凌いでいる。FRLGでは四天王の手持ちはだいたいマックスでレベル60前後というところ。これまでの試合でもそれを超えることはなかった。平均的なレベルの水準自体はたしかに高いがレッド達もすでにその域に到達している。
……やはりまだ実力を隠しているのか?
「俺達はどうやらお邪魔だったようだな。ま、これは軽い顔見せ……ここまで勝ち上がってきた君達へのご褒美だ。リングで戦うのを楽しみにしている」
「……」
ワタルは最後にレッドの方を一瞥し、レッドも目でそれに応えていた。ワタルに続いて他の四天王もあっという間に去っていった。気づけば辺りの人だかりも散開している。本当にレアな人物なんだな。レッド達は闘志を燃やして奴らの後ろ姿を睨みつけていた。
「おい、お前らっ。次の試合絶対勝つぞ! お前らもこのオレがいずれ倒すが、まずはあいつらの鼻っ柱を叩き折ってやるのが先だ!」
「今までチャンピオンにはずっと憧れていたけど、もうわたしだってマスターランクのトレーナーなのよね。相手がワタルさんだったとしても絶対負けてやらないわ!」
「……自分の強さは結果で示す」
鼻息荒くレッドとブルーも走り去って行った。なんか走らずにはいられなかったんだろうな。気持ちはなんとなくわかるよ。
「お前も走っていかなくていいのか? あいつらには負けたくないんだろ?」
なぜか残っていたグリーンに冗談半分で問いかけると真剣な声色で返答された。
「あんたとはレッド達よりも先に当たることになるから言っておく。たしかまだトレーナーに負けたことがないんだってな? ブルーから聞いたぜ。俺が最初に黒星をつけてやるから、ちゃんと俺に倒されるために勝ち上がってこいよな」
「ブルーのやつ余計なことを……。本当に俺のことは応援していたようだな。せっかく望み通りになったところ悪いが、次の四天王戦……俺はお前には負けてほしいと思っている」
「はぁっ!? なんでだよ?! あと別に応援してたわけじゃねぇ!」
こいつもあのメンツに混ざっているだけあって変な奴だ。こんなにわかりやすいツンデレはみたことがないなぁ。
「お前がどう思ったとしても俺には関係ないからなぁ」
「おいおい……仮にも同期で、年もそんなに変わらねぇってのにそりゃ冷たくねーか? ひっでぇーなぁ。あぁ、あれか。オレ様の余りの強さに恐れをなしたか」
「まぁ実力は認めている。それにお前らは開けてびっくり玉手箱だからな」
「たまて……?」
「手の内もいくらかバレてるし、四天王相手の方が幾分戦いやすい」
「マジだ……こいつマジで言ってやがる……」
グリーンと話していると急に背後に気配を感じた。みゅーはボールの中だ。誰か来たな?
「あんたは……!」
「あっ! オレの対戦相手! なんだ、まだこのオレに言い足りねぇことでもあんのかよ?」
格闘使いのシバが気難しそうな顔でこっちを見ていた。こういうタイプは表情から感情を読み取りにくいんだよな。表情と感情の因果関係が未知数だ。
「個人的な用があって来た。……が、相手はお前ではない」
「はぁ? じゃあレインの方か? あんたらどんなつながりなんだよ?」
シバの目線は完全に俺の方を向いている。たしかに用があるのは俺のようだ。だが四天王とは完全に初対面のはず。これはどういうことだ?
「俺はある道具を探している。メタルコートという名だ。お前は知っているか?」
「メタルコート! なるほど、合点がいった」
「どういうことだよ!? 1人で納得するんじゃねぇ!」
「簡単なことだ。シバはたしかイワークを使うはず。だからメタルコートでハガネールに進化させたいんだろ? 進化できることは最近判明したから未進化でも不思議じゃない」
「察しがいいな。やはり噂通り……メタルコート売りの少年というのはお前のことだな」
「おい! なんかその幸薄そうな呼び方やめろ! いや、たしかに世間にバラ撒いてんのは俺だけどさぁ」
不本意な呼ばれ方に異議を唱えるといきなりグリーンが笑い出した。今の呼び名を笑ったならこいつの手首は消し飛ぶ。
「ハーハッハッハ! バカな四天王もいたもんだぜ。準備期間ならともかく、これから戦おうって相手を好きこのんで強くする奴なんざいねーよ。絶対に進化に使うことがわかってるならなおさらだぜ」
「……事情があるのだ。見つけるのに手間取った。自分で探す時間がなかった」
あぁ、なんとなく言わんとすることはわかる。見た目不器用そうだもんな。誰かに代わりに買ってきてもらうとかしそうなタイプには見えない。狡猾そうなマスターの連中とは真逆だ。
さて、これでひとまずグリーンの手首は難を逃れたわけだが……よくよく考えればこいつへの怒りはまだ収まってない。さっきは散々油断だの、慢心だの、怠慢だのと好き放題言いやがって……。準決勝のバトルで直接わからせてやっても良かったが、今回は都合がいい。
グリーンの言う通りここでメタルコートをホイホイ売ってしまうのは普通ならありえない。暴挙とも言える。だが殊更次の試合に限って言えばシバと戦うのは俺じゃない……グリーンだ。
「あんた、トーナメントの途中でこれまで調整してきたポケモンをいきなり進化なんかさせてもちゃんとバトルで扱いきれるのか?」
「俺はバトル中に進化したバルキーを使いこなしたことがある。無用な心配だ」
「なるほど、さすが四天王。ポケモンの知識も十分か。たしかにあんたはバルキー系統の使い手だったな」
これなら進化して戦力ダウンすることもなさそうか。……これでもうほぼ決まりだ。あとは交渉次第だがどう出るかねぇ、四天王さん。
「おいおいおい! 何勝手に話進めてんだよ! あんたまさか乗り気になってんじゃないよなぁ?! そもそもなんでそのバルキーを使いこなしただけで納得してんだよ!」
「勝手も何も俺とシバの話し合いだからな。バルキーはジョウトのポケモンで、進化すると鍛え方によってエビワラー、サワムラー、カポエラーの3種類に進化する。基本的にどれになるかは進化させてみるまでわからない。それを使いこなしたということは進化先についても熟知していたということだ」
シバが心なしか感心したという表情になっている気がする。ちょっと鼻高々。
「おいレイン、冷静になれ! よーく考えてみろ! シバはあんたの相手になる可能性だって十分にある! むしろ進化させたら可能性アップだ! な? 賢いあんたならわかるよなっ?」
「金はもちろん払う……言い値で買おう」
「ちょ! 余計なこと言うんじゃねぇ! ……レインッ!!」
「……誠意は言葉でなく金額!!!」
「レインてめぇーーっ!!!」
世界の真理だ。
「交渉成立だな」
「あぁ。進化には交換が必要だが、なんなら俺が手伝おうか? すぐに終わる」
「気が利くな。お願いしよう」
「やいレイン! てめぇまさかさっきのこと根に持ってんじゃねぇよな?!」
「因果応報ってやつだな。まぁ戦略的な意味もなくはない」
「チッ、認めやがった。敵を強くして戦略も何もねぇだろうが」
説明しろってツラだが……こいつもいい加減学ばねぇな。俺のことをウソつき呼ばわりしたこともあるくせにまだ俺の言うことを信じている。特に今はみゅーもいないし。子供らしいところはキライじゃないけどな。
「単純な話だ。さっきも言っただろう。お前やレッド、それにブルーは面倒な相手だからな。当たらないならそれに越したことはない」
「あれはやっぱり本気で言ってたのか?!」
「俺をさしおいて……この坊主がそれほどの実力だと?」
「実力とかレベルとか、そういうことを言っているわけじゃない。ときたまいるんだよな……。あんたも戦えばわかるだろうよ。そんなことよりさっさと交換してしまおう。あんたもヒマじゃないだろ?」
立ち話が長くなった。俺も次へ向けて準備が必要。みゅー達とも打ち合わせがあるからな。
「結局お得意のわけわかんねぇ発言ではぐらかすのかよ! いいぜ、だったら進化上等! それさえ超えてお前を叩きのめしに行くからな! 覚悟しろよレイン!!」
「別に来なくていいよ」
思わず笑みを浮かべてしまいそうになる。予想通りというか……だから面白いんだよな、こいつらは。試合は翌日。すぐそこに迫っている。もう既に次の試合が待ち遠しい。
◆
準々決勝……レッド達は時を同じくして四天王と相見えていた。
ワタルとレッド、ドラゴンと炎のフィールド。
「よく来たな。改めて名乗っておこう。俺は四天王の大将! ドラゴン使いのワタルだ!」
「……」
「なんだ、挨拶もなしか? 礼儀のなってない子供だ。それとも緊張で声も出ないか」
「……勝負の前に馴れ合いはしない」
「まぁいいだろう。どうやら君は勝つつもりでいるようだが、運が悪かったな」
「……?」
「最初に戦う四天王が最強のチャンピオン……つまり、君はここでマスターズリーグの真の恐ろしさを思い知ることになる。尤も、他の四天王が相手でも勝てやしなかっただろうが」
「やってみなければわからない」
「お前はわかっていない。俺達は負けない! 負けないからこの座に就いている! 圧倒的な勝利を重ねてきたからこそ今の俺がある! 何も積み上げていないお前達とはわけが違うのさ」
「最初は誰でもゼロから始まる。だがそれで実力までゼロということにはならない」
「ほう、言うじゃないか。そうでないと面白くない。ウォーミングアップ程度にはなってくれよ……マサラタウンのレッド!」
シバとグリーン、格闘と水のフィールド
「そんな肩書なんざ関係ねぇ! オレ達だって何度も修羅場を乗り越えてここまで来たんだ! 同じ土俵に立った時点ですでにお前らに並んでんだよっ!」
「たしかにお前達は強い。俺達も勝負の世界に長くいる。相手の力量ぐらいはわかる。だがお前達じゃ勝てはしない。俺達にここで……準々決勝でぶつかってしまったからな」
「やってみなきゃわかんねーだろ」
「どうやら本当にわからないらしいな。やはり知らないのか。ルーキーのお前達が今絶望的な状況にいることが。バトルでわからせるしかないようだ」
「なにぃ……?」
「この準々決勝でルーキー全員が俺達と対戦することになってしまった。それがお前達の命運を決した」
キクコとレイン、ゴーストと鋼のフィールド。
「どういうことだ?」
「そういえばお前は手持ちを変えないんだったね。今年のルーキーの中でも飛び切りのバカってわけかい」
「バッ!?」
「先輩として教えといてやる。あんたは6匹で勝ち上がってきたが、あたしら四天王はパーティーを2つ以上組んでいる。はっきり言えばトーナメントの序盤はウォーミングアップさ。ベスト16に絞られてからは2つのパーティーをローテーションで使う。1つは最強のバトルパーティー。もう1つは2番手の予備戦力。この2つを必ず交互に使う。これが四天王の間では暗黙の了解になっているのさ。お互いの表と裏が当たるのを避けるためにね」
「……そうか! 順番を考えれば今日はあんたらの表ローテってわけか!」
「物わかりのいい坊やはキライじゃないよ。もうわかるだろう? しょせんあんたはあたしにとってのただの肩慣らしさ」
「くっ……だが俺は最初から全力の四天王を想定してここに立っている」
「ふぅ……。あんた、まさか本気で勝てるとでも思ってんのかい? 気力の充実したあたしの最強のゴーストポケモンに、満身創痍のあんたのポケモンが勝つって?」
「なるほど、今まで全く本気に見えなかったのはそういうカラクリか。つまりあんたらはこの大会において、今日初めて実力の全てを出す。対して俺達はここまで全力の戦いを強いられてきた……圧倒的に不利」
「それが歴然とした強者と弱者の差だよ。それにあんたらはまだ十分にこのフィールドを活かせていない。あたしもあの雪女程には使いこなせていないけどね」
「雪女?……カンナか。ブルー……大丈夫か?」
カンナとブルー、水のフィールド
「あなた、たしか『氷使い』のカンナさんよね? なぜわたしと同じ水のフィールドなの?」
「あら、そんなこともわからないままここまで来てしまったの? いいわ教えてあげる。水は氷の引き立て役。あえて水タイプを選ぶことで氷の弱点の炎に強くなる。それにあなたも水のフィールド使いならその1番のメリットには気づいているでしょう?」
「水のフィールドには……唯一水場がある」
「フフ……それだけじゃないわ。わたしのフィールドはあなたの思いもよらない形で牙をむく。このフィールドの恐ろしさをこれから存分に味わってもらうわ」
ア、アローラ(震え)
レートの闇に飲まれて南国かぶれしたりんごうさぎです
しっくりくる構築が決まらないまま期間が終わったので諦めて続きに取り掛かろうと思います
とっかえひっかえで試し運転が多いせいでレートが下がり過ぎ、結果相手の行動や選出が多様化していてほぼ運ゲと化すんですよね
本編でも似た内容をとりあげたZ技読みのバック
基本的にZ、スカーフ、めざパなどで有利不利逆転する類はこっちが引けばなんともない上にそれらが相手になければ向こうが引いてくるので有利対面を維持しやすい……はずなんですよね
頼むから不利対面ヤンキー突っ張すんな!
そしてゲコがクサZのときだけバックする癖に同じ並びでミズZにしたときだけヤンキーすな! レヒレ、おめーのことだよ!
……ハイ、ここまで異星人のボヤキでした
本編の内容は、本文やら感想やらを見返して色々面白かったのでちょっとメタい内容にしちゃいました
電波受信ですね
誰か(わかりにくいボケに)ツッコミ入れてあげてーと思ってたこともブルーにしゃべってもらいました
ずっと更新が遅かったのはどうしてもレート2000を達成したくて粘ってたとか、もとい先の展開を考えていたからですね
近くでどう見ても無理筋な構築で2000達成してるやつがいたんでね……
あと、これが丁度100話目なのでオマケ編にするのもアリかなと考えていたんですが、オマケで1章使ってたのでなんだかなーと思ったり
今後については、話の展開はまぁ当然ある程度固まってるとしてバトル内容をどうするかは考え中なので進行はそれ次第です
先の文章を全く書きあげてないので後々前後のつながりを考えて細かい部分は結構変更する可能性があるのでその辺はご了承ください
完成形ではないということですね……
あんまり先々を見据える能力とかもないので
じゃあなんで更新したのってそれはほぼ生存報告のためですね
最後に、後書きの活動報告っぽい本編に関係ないような内容はあとで編集するときに消すと思います
まぁこれは今までもそうでしたが……
理由は個人的にあんまり刹那的な内容を残したくないからです
リアルタイムで見ていない人には意味を成さないですからね