レッドの語りが難しくて迷走しました
改行多め
状況説明含め地の文少なめ
~ドラゴンと炎のフィールド~
今、おれの目の前にいるのが現チャンピオン、ドラゴン使いのワタル。マスターズリーグの頂点に位置するトレーナー。
だが、このトレーナーを前にしてもおれにはまだ霞んでいる。目指すべき頂はまだ見えてこない。
思い返される……四天王達の余裕の表情、挑発的なセリフ。これらは全て不安の裏返し。
本当におれ達を脅威に感じていないなら何も言わなかっただろうし、姿を見せることもなかったはず。
だがおれ達に恐れがあったからこそ自分達の優位を見せつけずにはいられなかった。
四天王は予感している。自分達を倒しうる存在の到来を。
すでに四天王とおれ達は対等じゃない。力の均衡はすでに傾いている。
……本当に厄介なのは恐れを持たず勝負を心底楽しんでいるあの人間か。
『睨み合いが続く準準決勝、ドラゴンと炎のフィールド! 両者ゆっくりとボールを構えた!』
「いけキングドラ!」
「……」
「ピッカーッ!」
キングドラ Lv66 @しろいハーブ
ピカチュウ Lv75 @でんきだま
キングドラ。弱点がドラゴンのみ……安全にきたか。レベルは低い。でんきタイプで倒せる。
「りゅうせいぐん!」
「ボルテッカー」
こいつには……何もさせない。
「キングドラ戦闘不能!」
「強い……! レベルも能力もケタ違い。そのうえこのレベルか……」
「……」
「相変わらず無口な奴だ。少しは褒めてやろうと思ったんだがな。いけっ、カイリュー!」
「ビーリュー」
カイリュー レベル66 @りゅうのキバ
「りゅうのまい」
「ボルテッカー」
その程度のポケモンを並べても“ボルテッカー”は耐えられない。反動ダメージを稼ぐしか術がないのか?
「ピィカッ!?」
「……!」
『恐るべしカイリュー! キングドラを一撃で倒したボルテッカーを楽々受け止めた!』
「げきりん!」
「戻れ!」
カイリューとキングドラに耐久力の差があるとは考えにくい。何かあるな。
“りゅうのまい”をしたカイリューの“げきりん”はまともには受け切れない。あいつの“きあい”にかけるしかない。
「カンビッ!」
カビゴン Lv65 @きあいのハチマキ
『レッド選手2体目はカビゴンだ! しかし強烈なげきりんを受けて早くも大ダメージ! なんとか“きあい”で持ちこたえた!』
「じばく!」
「戻れ!」
交代か! “げきりん”のデメリットを無理やり消したか。上手く躱された。
「ゴォォウウ!」
プテラ Lv70 @たつじんのおび
「カビゴン戦闘不能!」
ノーマルは半減……仕留め損ねたか。だがプテラはでんきタイプが弱点。この瞬間甘い。
「いけ」
「ピッカー」
「じしん!」
プテラはピカチュウよりも速い。だが“じしん”を使うためにはプテラが地表へ降りる必要がある。その瞬間を先制技で捉える。
「ばちばちアクセル」
「速い! 先制技か!? 見たことのない技……楽しませてくれる」
「プテラ戦闘不能!」
『なんとピカチュウ、プテラを出し抜いて先制攻撃! そのうえ“きゅうしょにあたった”ようだ! これでチャンピオン相手にレッド選手が再びリードを奪った!』
次のポケモン、ピカチュウにはカイリューで来る。一撃では仕留めきれない。“ボルトチェンジ”で戻しながら徐々に削っていくか。
「カイリュー!」
カイリュー Lv66 @こだわりハチマキ
ここで別個体! 罠か……“ボルトチェンジ”は危ない!
「戻れ!」
「しんそく!」
「ラァァーー」
ラプラス Lv65 @たつじんのおび
「れいとうビーム!」
「続けて攻撃!」
やはり先制技。そのままラプラスに突っ張ってきたか。引っ込めてもラプラスに有利なポケモンはいないのだろう。キングドラを倒したのが大きい。
『効果抜群のれいとうビームが炸裂! しかしカイリュー倒れない! これが最強のポケモンの力か!?』
「しぶとい……!」
「トドメだ!」
「ラプラス戦闘不能!」
たしか威力は6倍のはず。それを耐えたのか? 育て方でどうこうできる範囲を超えている。あいつのカイリューが何か特別としか考えられない。
「フシギそうな顔だな、レッド。この程度か?」
「……」
ラプラスが3発で倒れたということは“しんそく”のダメージは相当だ。今の体力ではピカチュウじゃ耐えられない。
『レッド選手、有利なこおりタイプが倒されても表情を全く変えません! ここまではまだ想定内ということか?』
「いけっ」
「シャァァーッ」
ブラッキー Lv60 @ゴツゴツメット
「カイリュー、やれ!」
「ねがいごと」
『カイリュー怒涛の連続攻撃! レッド選手防戦一方、苦しい展開となっ……ん!? カイリューが苦しそうだ。あーーっと倒れてしまった!?』
「両者戦闘不能!」
「その道具の効果か」
ゴツゴツメットのダメージ2回で倒れたか。耐えたとはいえさすがに “れいとうビーム”は大ダメ―ジだったらしいな。
「ピカチュウ!」
「これ以上好きにはさせない。こいつで仕留める! いけ、カイリュー!」
カイリュー Lv72 @しろいハーブ
これも別個体。レベルからして切り札。ピカチュウで倒すのは厳しいか。どうする?
「ピッカ! ピカチュー!」
きたか……。
「りゅうせいぐん!」
「ピカピカサンダー!」
『大技同士のぶつかりあい! 形勢は互角か?!』
完璧に相殺した。互いにダメージはない。
「これを凌ぐか……だがこれほどの技、連続では使えまい! もう一度りゅうせいぐん!」
「しろいハーブか。ひとまず10まんボルトで相殺しろ!」
威力が違い過ぎる。相殺しきれずけっこうダメージを受けた。だがこれでもう“りゅうせいぐん”は弱体化したはず。
「ボルテッカー!」
「はねやすめ」
回復技……! しまった!
『カイリュー自慢の耐久力でボルテッカーを完全に受け切った! そのうえはねやすめで一気に回復! 対するピカチュウは反動でやや消耗気味か?』
「でんじは」
「しんぴのまもり」
対策済みか。ならあいつで決める
「ピカチュウッ!」
「ピッカ!」
「はねやすめ」
“ボルトチェンジ”でピカチュウは控えに戻る。相手は再び回復して体力満タンを維持か。
「こい、リザードン!」
リザードン Lv70 @りゅうのキバ
「切り札をぶつけてきたか。俺のカイリューとどっちが強いか試してみるか、レッド?」
「そのつもりだ」
「「りゅうのまい!」」
勝負は一撃で決まる!
「「げきりん!!」」
『全く同じ技!! 真っ向勝負だっ!! 純粋な力比べ、立っているのはどっちだ!?』
「リザードン戦闘不能!」
「……!」
「カイリューは最強のドラゴン。リザードンごときには負けられないな」
リザードン……わかってる。本当はこんなもんじゃない。だけど今はこれでいい。これで十分だ。お前は役目をしっかりと果たした。
リーグでおれは思い知らされた。戦術で勝ろうとも戦略で負けては意味がない。
「たしかにそいつは強い。最強に最も近いポケモンだ。だけど勝負は1体で決まらない」
「ピッカー!」
おれはピカチュウを出すがまだ動かない。相手に合わせる。
「なるほどな。最初から弱らせて先制技で倒すのが目的か。なら……」
「「戻れ!」」
『三度同じ行動!? いったいどんな思惑が隠されているんだ!?』
「なぜ交代を……なんの意味がある?」
カイリューを引っ込めてげきりん状態をリセットした後“しんそく”でピカチュウを倒しにくるのはわかりきっている。
だったら残りのポケモンを使いきってあのカイリューを倒す。
一度戻したポケモンをそのまま出すのは反則行為。カイリューとピカチュウは出せない。だからこのタイミングで必ずギャラドスが来る。
「ギャーーオ」
「フィー」
『同時交代で仕切り直し! フィールドに現れたのはギャラドスとエーフィだ!』
ギャラドス Lv68 @いのちのたま
エーフィ Lv63 @ひかりのねんど
最初は“りゅうのまい”、攻撃はその次にくるはず。
「ねがいごと」
「りゅうのまい!」
これで素早さは相手が上。“バトンタッチ”なら相手が攻撃しようと“りゅうのまい”をしようと安全にピカチュウへ“ねがいごと”を託せる。
「かみくだく」
「バトンタッチ」
相手の攻撃が先。エーフィは倒れた。
「エーフィ戦闘不能!」
「ピカチュウ!」
「ピィカ」
エーフィのHPの半分だけピカチュウが回復。これで万全。あのカイリューを倒せる。
「そうか、最初からピカチュウで俺のポケモン全てを倒すつもりだったのか。切り札はリザードンだと思っていたが……」
「切り札がリザードンだと言った覚えはない。ばちばちアクセル!」
「戻れ!」
「ビーリュー!?」
「カイリュー戦闘不能!」
生贄。あれは1体目のカイリュー……なるほど、あいつは先制技を覚えていないのか。だから交代先として使ったのだろう。狙いは“いかく”か。抜け目ないな。
「いけ、ギャラドス!」
「ギャーー!!」
「チャァァ」
“いかく”でピカチュウの攻撃力が下がる。
「能力上昇を捨ててまで“いかく”を使うか」
「
「……あんたはすでに詰みだ。その玉は必至、もう助からない。ばちばちアクセル」
「ギャラァァ」
「ギャラドス戦闘不能!」
再び攻撃が“きゅうしょにあたった”。
「まさか……これはっ!」
「ばちばちアクセルは必ずきゅうしょに当たる。能力ダウンは通用しない」
「必ずきゅうしょに当たる先制技……。なら最後は俺のカイリューのしんそくを耐えるかどうかで決まる。そのための“ねがいごと”か。だが、こっちもきゅうしょに当てれば勝負はわからない。そうだろう、レッド?」
「試してみるか?」
「当然だ。カイリュー、しんそく!」
「ピィ~カァ~ッ!」
おれにはわかる。ピカチュウは必ず耐えきる。そして反撃の“ばちばちアクセル”で勝負は決まる。
勝者は勝つべくして勝つ。チャンピオンは圧倒的な勝利を収めるからこそチャンピオンたりえる。
運頼みのきゅうしょにすがった時点で勝負はあった。
「ピカチュウ……反撃だ!」
「ピッカ!!」
「ビーリュー……」
カイリューは一瞬踏みとどまったかに見えたが、直後気絶して倒れ伏した。最強の座にいた者のプライドを見せたか。
「カイリュー!!」
「か……カイリュー、戦闘不能ッ! 勝者、レッド選手!!」
『勝った!? 勝ったのか!? や……やりましたぁーーっ!! 弱冠13歳の少年が、見事にチャンピオンを破って準決勝進出!! なんてことだっ。わたし達は歴史的瞬間に立ち会ってしまった!!』
これでおれは次へ進む。あと2戦……。
「うう……ドラゴン軍団が負けるなんて……」
「信じられないか?」
ワタル。あんたは強かった。リーグの頃のおれなら絶対に勝てなかったはずだ。けれどもおれは強くなり過ぎた。もうあんたじゃ相手にならない。
「いや、悔しいがきみの腕は本物だ。俺もいつかはこんな日が来ることはわかっていた」
「……」
「レッド! これからはきみがマスターズリーグチャンピオンだ!……といいたいところだが、まだきみはあと2回戦わなければいけない」
「わかっている。俺は最初から決勝だけを見据えている」
決勝で最高の勝負をする。そのためにまだ全力では戦っていない。ここはあくまで通過点に過ぎない。
「チャンピオンの俺を差し置いてか?」
「……」
「冗談だ。正直言ってきみ達のことは最初から要注意だと思っていた。きみ以外の3人も侮れないのはよくわかる。キクコさんでも見たことがないような成長速度だったらしいからな」
「それは最初から感じていた。あんたらは余裕が無さ過ぎた」
「きみにはかなわないな。1つ聞くが、準々決勝、四天王は何人残ると思う?」
おそらくゼロ。だが確実に言い切れるわけじゃない。
「勝負事に絶対はない。それでも敢えて言うなら……多くて2人」
「ほう。誰が当確なんだ?」
「それは最後までこの大会を見ればわかる」
「……たしかにその通りだ。レッド、最後に1つ言っておく」
「……」
「俺以外の奴に負けるなよ」
「……そのつもりだ」
短く返事をしてリングを去った。
おれはいつも勝つためにバトルをしている。勝負の前から負けることを考えたことは1度もない。
…………
早めに勝負がついた以上、これからすることは1つしかない。リーグではおれが苦戦してレインに先を越されたが、今度はこっちから出向いてやろう。
リザードンを回復させて隣の会場へ飛んだ。レインは相当苦戦しているようでまだ試合は続いている。
『ダブルノックアウト…』
レイン、ギリギリもいいとこだな。判定勝負か。だが結局勝ってしまった。
これを見てレインへの評価は下がらなかった。むしろ逆。この勝利には大きな意味がある。
バトルは大差で勝つより僅差で勝つことの方が難しい。そこで本当の勝負強さが問われる。
頂に待つ者の姿がはっきりと見えてきた気がした。
まず今更ですが、なぜチャンピオンがトーナメントを勝ち抜かないといけないのか
それはUSUMでチャンピオンでも四天王を倒さないとチャンピオンの椅子には座れないよー的なセリフがあったからです
これは蓋し至言、ということで採用しました
もう1つは、決勝制した後の相手がワタルさんでは役不足かなって……
割合は2:8ですかね(どっちが8とは言ってない)
ピカチュウについては相棒種族値に努力値入れる鬼強化で計算しました
そしてこの場合ピカチュウを過労死させるのが1番強いと考えてレッドの戦術が定まりました
レッドはシンボル系だけで手持ちを固めてるので6匹目はエビワラー、ポリゴンなどが候補でしたがしっくりこないのでブラッキーに
ゴツメはたぶんボンジュールさんから貰ったんだと思います
持ち物が判明しているのはレッドのセンサーです
げきりんは技固定されますがボールに戻せないのは不自然そうなのでアリに
同じ理屈で破壊光線も反動を踏み倒せますが自然に破壊光線を使うべき状況を作れませんでした
特殊技っていうのが弱過ぎますね
カイリューの特性は全部マルチスケイルです
必至は将棋用語です
ポケモンで言えば玉がラス1ほろびで後がないような状態を指します
カウントが尽きる前に相手を全滅させないと負け
ホントは玉じゃなくて王が正しいでしょうが「おうを」は言いにくいのでキライました
精神的に劣勢でもありましたし