Another Trainer   作:りんごうさぎ

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レッド回想その2


6.強さを求める者

 フジ博士がポケモンハウスのフジ老人だと当たりをつけ、シオンタウンにやってきた。フジ老人はおれのことを覚えていた。

 

「レッド君じゃないか! マスターズリーグ進出おめでとう!」

「どうも」

「君は今大事な時期じゃないのかい? こんなところへなんのようかな?」

「おれはあなたに用があったんだ……フジ博士」

「!」

 

 この一言で全て悟ったようで、自分から話を進めてくれた。

 

「その名でわしのもとを訪ねる者が聞くことは1つしかない。あのポケモンについて知りたいことがあるのだな?」

「おれはハナダのどうくつで見たことのないポケモンに遭遇した。フジ博士は何か知っているんだな?」

 

 フジ博士は大げさなリアクションを取って驚いた。

 

「なんとっ! まさか騒ぎの原因は君か! 道理で洞窟のポケモン達がおかしくなるわけだ。またミュウツーが暴れたな? ということは、君は惨敗したのだろう? よく生きて戻ってこられたものだ」

「ミュウツー……それが奴の名か」

「わしが名付けた呼び名だ。幻のポケモンにあやかってな。そっちも名付け親は私だが」

 

 話が見えないな……。

 

「おれには何のことか全然わからない。迷惑をかけたことは謝る。1から説明してくれ」

「ふぅ……。君の話、本当であるならば罪に問われるべき案件だ。しかし君には大きな恩があるからね。わしが君のことは伏せて上手く処理しておこう」

「……助かる」

 

 軽く頭を下げた。

 

「単身ロケット団と戦うような君のことだ。止められてやめるような性格はしていないだろう? わしも男だ、野暮なことはせん。さて、1から知りたいんだったね。ゆっくり説明しようか」

「お願いします」

 

 フジ博士はミュウツーについて説明を始めた。奴を倒す手がかりが見つかればいいが……。

 

「あれは研究によって人工的に作られたポケモンでね。わしがその研究のチーフだった。実験は成功し、目的通り強力なポケモンが誕生したが、それは我々には手の余る強さと凶暴性を秘めていた。私以外の職員は死んでしまったよ」

「1人だけ生き残ったってことはミュウツーを止める術があったのか?」

 

 いきなり活路が見えたか?

 

「非力な人間であるわしにそんなものはない。ただ幻のポケモンのきまぐれで助かったのさ。ミュウツーはオリジナルになるポケモンがいてね。そのポケモンはわしを助け、本能のままに暴れるミュウツーをも倒してしまった」

「……」

 

 あれを倒すポケモン……幻のポケモンか。どんなポケモンなんだ。

 

「わしはそれで気づいたのだよ。自分は生かされているに過ぎなかったのだと。生かすも殺すもきまぐれ次第。人がポケモンを支配し、ましてや創造することなど以ての外。勘違いも甚だしい。酷く愚かな行いだった」

「……」

 

 普段の性格からは想像できない、吐き捨てるような言い方だった。これだけで自分の過去をどれだけ悔いているのかは十分察せられた。

 

「多くの犠牲を払い、人が生きるには力でなく愛に頼るべきだとようやく悟った。力に頼るものは力により滅ぶ。わしにできるのは幻のポケモンへの感謝を忘れずこうして受けた恩を別のポケモンに返すこと。それが私にできる最善の行動なのだよ」

「だからこのポケモンハウスを……あなたの底なしの博愛は、己の失敗があってこそのものだったのか」

「人とは失敗からしか学べないのだよ。それはあのポケモンから見れば酷く愚かに見えたのだろう。……すまないね。少し余計なことをしゃべってしまった」

 

 フジ博士の言葉には重みがあった。死人が出たんだ、きっと壮絶な体験をしたに違いない。

 

 おそらくその幻のポケモンとも何かあったのだろう。それに……妙に幻のポケモンに対してコンプレックスがあるように思える。気のせいか?

 

 ……今はどうでもいいか。

 

「構わない。幻というのはどういう意味だ?」

「これは便宜的なポケモンの分類だ。ポケモンの強さについて研究する過程で我々は特別な呼び方を設けるようにした。極めて希少かつ強い力を持ったポケモンを伝説のポケモン、そしてそれ以上に希少なポケモンを幻のポケモンと呼んだ」

「明確な基準は?」

「これは難しいものでね。ポケモンの強さを測ることは難しいし、個体差もある。一般のポケモンにもカイリューのような伝説級の力を示すポケモンも存在する。そもそも伝説クラスはサンプル数が少ないから十分なデータもない。そこで私はその生態に注目した」

「生態? 住んでいる場所とかそういうことか?」

「正確には住み着いた場所の環境だ。伝説のポケモンには共通の特徴があった。住み着いた場所を自分にとって都合の良い環境に変えてしまうのだ。強力な力があってこそなせる所業だ」

「天候を変えるポケモンなどもいるが、あれも?」

「そんな一時的なものではない。それにもっと劇的だ。例えばサンダーというポケモンなら周りを自分のタイプと同じでんきで充満した環境に変えてしまう。その結果でんきタイプの技は威力が倍増する。さらにそこにいるだけで自動的に体力を回復することも確認されている」

「……! ミュウツーもそうだった。勝手に回復していた。それに特定の……エスパータイプの技は威力がケタ違いだった」

 

 思わぬところから有力な情報。少しずつわかってきた。

 

「そうか。やはりミュウツーは伝説のポケモンと呼ぶべき存在になっているようだな。今までもそうだろうとは推測されていたが、これではっきりした」

「じゃあ幻のポケモンは?」

「わからん。そもそもあれは未知の存在だ。幻というのはあるいみ謎多きポケモンに対する称号でもある。わしでは測りきれなかった……。幻のポケモンの謎は直接本人に尋ねる以外知るすべはないだろう。人間相手に親切にしゃべってはくれんだろうが」

「……」

 

 意思疎通ができ、かつ友好的な関係になれないとダメなのか。現実的ではない想定だな。

 

「さっきミュウツーは幻のポケモンに負けたと言っただろう? それはミュウツーにとって途方もなくショックな出来事だったようでね。おそらく力で屈したことは人工ポケモンにとっては己の存在意義を揺さぶられるほどの衝撃なのだろう。ミュウツーはとにかく強さを求めるようになった。そして最強のポケモンになるためひたすらに戦いを求めた。そんなミュウツーが辿り着いたのが君の行ったハナダのどうくつだ。それからだ、あの洞窟が凶暴なポケモンで溢れかえるようになったのは」

「元々違ったのか?」

「今じゃ知る者は少ない。最初はレベルも40前後、飛びぬけて高いわけではなかった。しかしミュウツーが来てから恐ろしい場所に変わってしまった」

「どういうことだ?」

 

 話がしっかり繋がってこない。

 

「ミュウツーは我々の研究成果を持ち帰ったようで、その洞窟で実験を続けていたのだ」

「どういうことだ?」

「なんと言えば良いか……蟲毒という言葉はわかるかね?」

「いや……」

「何種類もの蟲を集め一ヶ所に留めこれらを競わせる。その中で勝ち残った者が最も強い毒を持つ。古来よりある呪術の1つだ」

 

 弱肉強食による自然淘汰を繰り返し強い者を残すという感じか? まぁ要するに……

 

「……厳選か。つまりあの洞窟で行われているのは強者の厳選!」

「そういうことだ。それに我々の研究結果も取り入れ、“はかいのいでんし”がポケモンに組み込まれているようなんだよ」

「……?」

「簡単に言えばポケモンが狂暴かつ強くなるように遺伝子操作されている。その結果、長い年月をかけ、より強いポケモンだけが生き残り、そして戦いに明け暮れる日々の中でポケモンのレベルは底なしに上がっていった」

「なぜそんなことを?」

「わからんか? 自分に匹敵するような強敵を探しておるのだ。あれは戦いに飢えている。負けたくないから強くなりたいのだ。そのためにあの洞窟には様々なポケモンが連れてこられた。おかしなポケモンがいただろう?」

「……いた。でんきタイプやくさタイプも生息していた」

 

 レアコイルやパラセクト、果てはユンゲラーなども……あれらは全て蟲毒の一環だったのか。

 

「ミュウツーが連れてきたポケモンの生き残りだろうな。あの洞窟はまさしく蟲毒。あそこには狂暴で素質があり高レベルなポケモンしか住めなくなってしまった。そのポケモン達ですらミュウツーには恐れを抱いておる」

「そういえばあの孤島には他のポケモンがいなかったな……」

 

 あの時はいきなりバトルが始まって気にする余裕はなかったが、おそらくあそこが伝説ポケモンの空間だったのだろう。そこでは無類の強さを誇るわけか。

 

「最近は比較的落ち着いておるが、ふとした拍子に破壊衝動に駆られ洞窟のポケモンに片っ端から攻撃を仕掛けることがある。そうなると内部から凶暴なポケモンが表の世界へ溢れてくる」

「まさかあの厳重な警備はその抑止? 外からでなく内からの脅威を見越して」

 

 あの過剰とも思えた設備はそういうことか。

 

 だがフジ博士は首を振って話を続けた。

 

「本来はあの程度の設備でどうにかなるものではない。あの中のポケモンが一斉に飛び出せば抑えは効かん。一瞬でハナダの町など無に帰す」

「……まずくないか?」

 

 なぜこんなに平然としている?

 

「人間不思議なものでな。目の前に脅威が迫っていても直接自分の瞳に映らぬものには危機感を抱きにくい。ましてや今までずっと安全な日々が続いていたのだから、これからも大丈夫だろうと思ってしまうのだよ。君は呑気な話だと思うかい?」

「……」

 

 フジ博士1人がいくら警鐘を鳴らそうとも、来るかもわからない脅威のために備えをしようとは思わないのだろうな。

 

 おそらくこの人はすでに警告し、説得を試みたのだろう。そして諦めた。だからこんな言い方をするんだろう。

 

 だから研究者をやめた今でもハナダの洞窟に関することだけは協力を惜しまないのかもしれない。

 

 だとするとあの町は大丈夫なのか?

 

「そう案ずるな、大丈夫だ。いざとなればジムリーダーがいる。あの町にみずタイプの使い手が選ばれたのは抑止力として期待されているからだ。洞窟の周りに川があるだろう? あれは人工的に引かれた川だ。ポケモンの進軍を留め、みずポケモンで迎撃するための最後の砦になっている」

 

 ……!

 

「そういうことだったのか。それもあんたの進言か?」

「せめてもの罪滅ぼしだよ」

「……今回ミュウツーが暴れたのはなぜだ?」

「お前との戦いが物足りなかったのだ。一度戦い始めると収まりがつかなくなる。だから普段はじっとめいそうしておるのだ。お前が侵入したことでその集中が途切れたのだろう。そういえば君はどうやって逃げ帰った?」

「わからない。たぶんミュウツーにテレポートで外に飛ばされた」

「自力で逃げたわけではないのか! ふむ、だとすると案外お主との勝負を楽しんだのかもしれんな。ミュウツーは容赦などしない。気に入らなければ殺していただろう。あそこで死んだ者は数知れん。今回暴れたのは興奮を抑えるためか?」

 

 フジ博士が思案するがおれにはわかる。あの時の“声”……きっと空耳なんかじゃない。

 

「おれとの再戦を待っているんだ」

「再戦? なぜそう思う?」

「立ち去れとも、二度と来るなとも言わなかった。最後……出直してこいと言った。強くなったおれと再戦したいんだ」

「テレパシーを聴いたのか! レッド君……やはり君は只者ではないな。あのミュウツーに認められたトレーナーは初めて見た。ミュウツーは今や落ち着きを覚え、精神はある程度成熟し安定している。君ならミュウツーを従えることもできるかもしれない」

「……」

「もちろん死ぬ可能性もある。次こそは君を殺すかもしれん。全てを知った今、君はどうする?」

 

 死にそうなことなんてこれまでだって何度でもあった。選択肢は最初から1つしかない。

 

 あのポケモンを倒して強くなるためなら自分の命ぐらい喜んで賭けてやる。

 

「おれはあのポケモンに勝つためにここへ来た。仮に止められても行くつもりだ」

「勝機はあるのか?」

「……まだない。何か弱点を知らないか?」

「あれは強過ぎて親である私にも測りかねる。弱点はわからない。だが、君を強くしてあげることはできる」

「強く……?」

「君はピカチュウを相棒にしておるだろう。少し私に預けてくれるか? 必ず強くしてみせよう」

「……お願いします」

「任せてくれ」

 

 ◆

 

 ミュウツーを倒す策を考えながら待つことしばらく、どこかへ行っていたフジ博士が戻ってきた。

 

「完成だ。私の研究も少しは人の役に立てたよ。とっておきの技を教えておいた。思う存分使ってくれ。技名は特に決めていない。好きに決めるといい」

「ピカチュウ、見せてくれ」

「ピカピカッ」

 

 これは……! 

 

 パワーも底上げされている。心強い。

 

 ピカチュウの強化が完了し、洞窟へ向かう時がきた。

 

「待ってくれ! もう1つ渡すものがある」

「……これは?」

 

 フジ博士から渡されたのは2つの石。見たことないアイテムだ。

 

「これはメガストーンと言ってな。トレーナーの持つキーストーン……こっちの石に反応してポケモンをメガシンカさせる」

「メガシンカ?」

「詳しいことはまだわしにもわからん。謎の多い分野なのだ。1つ言えるのは、メガシンカは誰でもできるものではないし、カギとなる条件もあるようだ」

「条件……」

「わしは君なら使いこなせると信じておる。一度試してみなさい。君が本当にミュウツーを凌ぐようなトレーナーならば、リザードンは君に応えメガシンカを果たすだろう」

 

 メガストーンをリザードンに持たせ、自分もキーストーンを身に着けた。

 

「リザードン、メガシンカ……!」

「おおっ! 成功じゃ! いきなり上手くいくとは!!」

 

 眩い光に包まれリザードンの姿が変わっていく。

 

 この姿は……!?

 

「これがメガリザードンだよ。変わったのは見た目だけではない。能力も飛躍的に上昇しているはずだ。やはり君には素質があったな。メガシンカの力は君のものだ」

「これがメガシンカ……」

「ハナダのどうくつにあるゲートは通れるようにしておいた。あぁ、あとマスターズリーグでもメガシンカを使えるように話は通しておくから、どんどん使って実戦に慣れておくといい」

「恩に着る。ありがとうございます」

 

 グズグズしてる時間はない。今度こそミュウツーを倒す!

 

 ◆

 

「……」

「なんだ君は? ここは立ち入り禁止だ」

 

 おれはメガストーンを受け取り、再びハナダのどうくつへ戻ってきた。

 

「フジ博士から話は聞いているはずだが」

「君が!? まだ子供じゃないか!」

「強さと年齢は関係ない」

 

 門番を押しのけて中に入ると、さっそくお出迎えが来た。

 

「――!!」

「ばちばちアクセル!」

「ピッカ!」

 

 ゴルバット……こいつは鳴き声を出さないように思えるが、実は人間に聞こえない音域の音波を出している。仲間を呼ばれる前に完全に気絶させた。

 

「ゴーゴー」

「サイコキネシス!」

 

 今度はゴーリキー。次から次へと……たしかに普通より狂暴だ。だがおれ達の障害にはならない。

 

「シェェェイ」

「肩慣らしだ。リザードン、メガシンカ! かえんほうしゃ!」

 

 現れたユンゲラーの攻撃を“かえんほうしゃ”で相殺し、さらに貫通してダメージを与えた。前より強くなっている。

 

「フレアドライブ!」

「シェェェ……」

 

 今度はさっき以上の威力! 接近戦の方が得意になっている。これをメインにして戦う方がいいか。

 

 格段に強くなったおれ達はあっというまに最奥まで辿り着いた。

 

「ピッカ」

「ああ。来たな」

 

 あの孤島へと続く湖。前はラプラスに乗って先手を取られた。今度は空から攻める。回復道具を使い万全の状態にしてリザードンに乗り込んだ。

 

(臆さずに戻ってきたか)

 

 見えた! 今度は前とは違う。こっちから先手を取る!

 

「ミュー!!」

 

 降り注ぐ超能力攻撃を右へ左へと旋回して掻い潜り、至近距離まで近づいた!

 

「フレアドライブ!」

 

 自分はジャンプして飛び降り、リザードンは突っ込んだ。

 

「ミュ」

 

 ミュウツーも攻撃して応戦、やや力負けしている。だが足は止めれた。

 

「ピカピカッ!」

 

 俺が言う前にピカチュウがボールから飛び出し“ボルテッカー”を繰り出した。ミュウツーはまともに受けたな。

 

「みゅぐっ!?」

「ここだ、リザードン、メガシンカ!!」

 

 体が黒く変化し蒼い炎を纏った。

 

「りゅうのまい!」

「ミュー」

「ブラッキー!」

 

 相手の攻撃はブラッキーを盾にして防いだ。いかに強力なエスパー技でもあくタイプがいれば怖くない。

 

 これでリザードンは最強のポケモンへと変わった。手負いのミュウツーを倒すには十分過ぎる。

 

「フレアドライブ!」

「ミュー!!」

 

 敵の攻撃を貫通! ミュウツーは岩盤に叩きつけられた。

 

 圧倒的……これがメガシンカか。

 

「ミュー!!」

「まもる」

 

 “テレポート”で死角を突いてリザードンを狙ってきたがそれは読んでいる。“まもる”でガードし、攻撃中のミュウツーにピカチュウとブラッキーで反撃した。

 

「くろいまなざし、ばちばちアクセル!」

 

 “くろいまなざし”でテレポートを封殺、さらにピカチュウの新技が炸裂した。

 

「みゅぐっ……」

 

 膝をついた。だがこの瞬間も回復し続けている。生半可な攻撃では決定打に至らない。

 

「ねこだまし!」

「エッビー」

「ミュ!?」

 

 ナイスアシスト! ここで決めろ!

 

「全力のフレアドライブ!」

「バァァウアアーー!!」

 

 蒼い炎を纏った強烈な突進攻撃が身動きできないミュウツーにクリーンヒットした。勝負あった!

 

「ピッカ!」

「焦るな。まだゲットはできない」

 

 ここで気を緩めては全て水の泡だ。この場所ではミュウツーはすぐに回復するからまだボールで捕まえることはできない。なら奴の抵抗する気が失せるまで何度でも倒す!

 

「でんじは! かえんほうしゃ! あくのはどう! シャドーボール! ハイドロポンプ! エビワラーは戻れ!」

「ミュー!? ミュミュー!?」

「お前はバトルが好きなんだろ? いつまでもつきあってやる」

「ミュ……!」

 

 ◆

 

 コンコンッ

 

「フジ博士」

 

 戦果を見せるためポケモンハウスの扉を叩いた。フジ博士はすぐに出てきた。

 

「レッド君!? やはり帰ってきたか! ミュウツーは!?」

「……」

 

 ポンッ

 

 黙ってボールを投げた。

 

「ミュー」

「捕獲できたのか!? たまげた……」

 

 ボールから出たミュウツーはフジ博士に対し険しい表情を崩さない。

 

「ずいぶんと嫌われているな」

「仕方のないことだ。まさか再びこの目でお前を見る時が来るとはな、ミュウツー」

「こいつ、俺の手持ちにしても構わないか?」

「今のミュウツーからは破滅的な雰囲気が消えている。わしには完全にレッド君に従っているように思えるな。いったい何をすればここまで従順になるのか……君はいつもわしの想像などたやすく超えていくな」

「……」

 

 さすがにバトルの過程は言えない。黙っていよう。

 

「よろしい。ミュウツーは君のものだ。大事にしてやってくれ。おっと、そういえば大切なことを言い忘れていた。レッドくん、実はわしへ連絡があってな。今年はすでにトーナメント表が発表されているらしい。見に行ってはどうだい?」

「そうする。何から何までありがとうございます」

「頑張りなさい。応援させてもらうよ」

 

 頷いてポケモンハウスをあとにした。

 

 いよいよマスターズリーグが近づいてきたな。

 

 念には念を入れて、切り札はギリギリまで隠しておこう。対策を考えるのが好きな人間もいるからな。

 

 おれは必ず……

 

「あんたに勝つ!」

 




これで回想終わりです
みゅーについても絡めながらミュウツーについてあれこれ書いてみました
ミュウツーの倒し方が例によって数の暴力ですがそれはおおめにみてください
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