メガシンカが既出なのでORASベースです
でも展開はエメラルドにしたいなぁ(欲張り)
どうするんでしょうか()
1.旅立つ君へ
広大な未知の大地、遥か彼方の水平線、新しいポケモン達。希望に満ちた俺達の新しい旅が始まりを告げ、高まる期待に胸の鼓動も速くなり……
「なんてことは別にないんだけどな。でもまぁちょっと改まった気分にはなる」
「みゅ。レインはそういうガラじゃないの」
クチバからここへ来るまでロケット団のせいでゴタゴタしたが、この地方にはあの連中はいないしようやく落ち着いて旅路につける。悪いやつがいない土地っていいなぁ。
やってきたのはミシロタウン、どんな色にも染まらない町。ホウエン地方始まりの場所だ。
「にしてもこの町はけっこう大きいな。ものすごく小さな田舎町だと思ってたのに、人も建物もけっこうあるし何か全然イメージと違う」
「レイン、港の近くには人や物が集まるから周りの町も大きくなるんだよ」
みゅー、物知りさんになったな。得意げに語る姿はかわいらしいが、さすがにそれぐらいは俺でもわかる。
「いや、それはわかってるんだけどさ、なんかイメージで……」
「イメージ? へんなのー。それでレイン、最初はどこにいくの?」
「とりあえずミシロに来た以上オダマキ博士の研究所には行っておきたいし、のんびりそこへ向かうかな」
ゲームのイメージですとは言えないからな。みゅーとまったり会話していると何者かに声をかけられた。
「やぁきみ、研究所に興味があるのかい?」
噂をすればなんとやら。振り返ると良く知る顔の人物がそこにいた。
「ん?……あっ! オダマキ博士!」
「ぼくのことは知ってるみたいだね。他の地方から来たんだろう? なんか嬉しいなぁ」
他の地方でも名が売れてるからってことだろうが、俺は話に聞いたとかではないんだよな。でも言わぬが花か。
「あなたがなんでこんなところに?」
「今は新人トレーナー用のポケモンを取りにきた帰り道さ。わたしの研究所から2人見送ることになっていて、それが今日なんだ」
「たしかにそろそろ新人さんが旅に出る時期ではあるか。まさか……」
タイミングが良すぎる上、出来過ぎたエンカウント。状況が出来過ぎだな……。
「わたしの研究所は来るものは拒まずだ。新人トレーナーの見送りはすぐに終わるし、見学したいなら歓迎するよ。車で一緒に送っていこう」
「ホントですか?! これはラッキー、助かるなぁ。ありがとうございます。しっかり勉強させてもらいます」
「いやぁ、そうはいっても研究所には大したものはないけどね。いつもフィールドワークへ出かけていて研究所にいることの方が珍しいぐらいだから」
そう、この人はフィールドワークが専門みたいな感じだった。ジョウトがタマゴで、シンオウは進化の分野というふうに博士によって専攻が違う。
「フィールドワークの権威にもなるとすごいですね」
「ありがとう、でも権威というほどでもないよ。さ、立ち話もなんだし、車に乗ってしまってくれ。そんなに時間はかからないよ」
後部座席にみゅーと並んで座ると、じーっと俺の方を見つめて物言いたげにしていた。居心地が悪くなってしまい、みゅーに一声かけた。
「どうした? 退屈だった?」
「レイン、ちょっとオーラ乱れてる。ウソついた?」
お見通しか……。
「ウソってほどでもないけど、多少は誇張もあったかな。こういうのは必要なウソだから。お願いだから何も言わないでくれよ?」
「納得いかないけど……乱れも少しだったし許してあげる」
「ありがと」
気が変わらない内に話を切り上げて頭を撫でてあげた。それを見てか、運転席のオダマキ博士が尋ねた。
「その子とは仲がいいみたいだね。兄妹かな?」
「まぁ血縁はないですけどそんな感じです。そういえばまだ名乗っていませんでしたね。俺がレインで、こっちがみゅーです」
「レイン君にみゅーちゃんか。君達は船でこっちに来たんだろう? トレーナー修行かい?」
「そうですね。カントーのバッジはもう集め終えたので」
「カントーから遥々来たのか! ずいぶん遠くから……すごい向上心だね。しかもバッジを集め終えたのならかなりの腕利きのようだね。良かったら見学ついでに今日旅立つ2人にアドバイスをしてくれないかい?」
「自分で良ければもちろん構いませんよ。その2人っていうのはどんな子達なんですか?」
ラッキー。自然に新人さんのことを聞ける。
「いやぁ、実はそのうち1人は何を隠そう、うちの息子でね。研究の手伝いをしながらスクールにも通っていて、ポケモンのことはなかなか詳しいんだよ。親の贔屓目抜きにしても才能はあると思うんだ」
「お名前は?」
「ユウキだよ」
これは“当たり”っぽいな。
さっき話に出たスクールってのはカントーでも聞いたがホウエンにはゲームでもあったはず。カナズミのスクール以外にもあるのかどうかはわからないが、たぶんそこに通っていたのだろうな。
「通ってたのはもしかしてカナズミのスクールですか?」
「えっ?! 知ってるのかい?! カントーから来たなら知らないと思っていたよ」
「カナズミのスクール出身にはジムリーダーもいたはずですし、多少は知ってますよ」
「そうなのかい!? いやぁ~じつはそうなんだ。ユウキは全国でも名門のカナズミスクール出身で、成績も抜群でね。親としては鼻高々で……」
いいことが聞けたな。スクールはたくさんあって名門とか格付けもあるらしい。どこの世界も大変だな……。今は自分に関係ないからどうでもいいけど。
あとオダマキ博士……ユウキ君の話になると長いな。
「もう1人は?」
「あぁ、新人トレーナーの話だったね。もう1人の子はハルカと言ってうちのご近所さんで、ジムリーダーのセンリさんの娘さんだ。センリさんはハルカちゃんをホウエンで旅に出してあげたいってことで最近ジョウトからご家族を呼んでこっちで一緒に暮らすようになったんだよ。センリさんは凄腕のトレーナーだからね、ハルカちゃんもきっとお父さん以上の素晴らしいトレーナーになると思うよ」
これで決まりか。偶然にもドンピシャでホウエンに来てしまったようだな。面倒な悪の組織とは関わりたくなかったからあんまり嬉しくないが、旅立ちを見送ってやれる機会はそうないだろう。せっかくだしじっくり見定めてやろう。
「話は変わりますけど、フィールドワークってどんなことをするものなんですか?」
「興味があるかい? いつもはこの車で外へ出て直接この目でポケモンの生態や分布などを調べているんだけど、最近はあるポケモンの生態について集中して研究していてね。現状その生息地や進化方法が謎に包まれていて今ホウエンで最も熱い話題なんだよ」
「へぇ……。一応ホウエンのポケモンも1通りは知っています。なんていうポケモンなんですか?」
大方ヌケニンだろうな。対抗でミロカロス。大穴はパールル系統かな。
「じつはミロカロスというんだが、まだ野生で見つかった報告がないんだ。でもね、なぜか進化前のヒンバスというポケモンは至る所で目撃されている。フシギだろ? 似たポケモンにギャラドスとコイキングがいるが、こっちは進化系のギャラドスもそこそこ目撃されていて、なおさら謎なんだよ」
「ミロカロスは見つかってないのか……」
「トレーナーが進化させた例はけっこうあるんだけど、肝心の進化条件がまちまちで不規則だから明確な進化条件はまだわからないんだよ。レベルは5以下から40以上まで、道具による進化でもない。しかも他の地方に連れて行ったトレーナーが進化させた例もまだないんだ。ぼく達にはさっぱりお手上げさ」
「……」
「ごめんね、こんなこと言ってもレイン君を困らせるだけだったね。はっはっは、あまり気にしないでくれ。学者の悪いクセなんだ」
当たりはミロだったか。なるほど、確かにレベルや道具みたいなところに注目していてはデタラメにしか見えないだろう。こういうときは別のものさしが必要だ。別の観点から視れば辻褄はあう。
ここじゃコンテストとかバトル以外の要素はどうなっているか全くわからなかったが、この事実からすると“うつくしさ”のパラメーターはあると見ていいだろう。コンディションの数値はありそうだな。
アナライズしても視えなかったから存在しないかもしれないと思ってたが、単に俺が望んでなかったから視えなかったのかもしれない。あれは俺の望みの具現化らしいから。
あとはこの考えをオダマキ博士に伝えるかどうかだが、親切にして貰ったし少し教えるぐらいは構わないかな。この人なら悪いようにはしないだろう。
しばらく考え込んでいたので不思議に思った博士に呼びかけられた。
「おーい! レイン君、どうしたんだい?」
「ひとつ聞きますけど、その進化に成功した例は全てコーディネーターのヒンバスだったんじゃないですか?」
「えっ! 確かにそうだけど、よくそんなことわかったね。だから世間じゃエレガントなトレーナーとヒンバスだけがミロカロスに進化できるって考える人も多くて、それを真に受けてトレーナー自ら豪華に着飾ったり、ポケモンにオシャレさせたりするトレーナーもいるぐらいだ」
これで決まりだな。やっぱり進化条件はコンテスト。なら“うつくしさ”しかないな。
「やっぱりか。博士、ヒンバスの進化基準はデタラメなんかじゃない。ちゃんと1つの基準がありそうですね」
「おっと……なにか思いついたのかい?」
ハンドルを切りながら俺に問いかけるオダマキ博士。今ちょっと危なかったぞ。
「この地方でのみ進化できて、かつトレーナーの存在が不可欠、それもコーディネーターに限る。ここまでくればヒントは十分でしょう。カギはコンテストですね」
「コンテスト? それが進化と関係するのかい?」
「この地方はコンテストが盛んでコーディネーターはポケモンにポロックなどを与えてコンディションを上げますよね。ミロカロスならおそらく“うつくしさ”……これを限界まで高めたヒンバスだけが進化できる。だから優秀でエレガントなコーディネーターだけ進化できたんでしょう」
「なるほど、たしかに……突拍子もない仮説だが順当な推理ではあるか。あれもこれも……うん、たしかにありえるな。あとは実際にそれを確かめてコンディションにより進化することが一般的に再現できれば……」
「ああっ!? ちょっと博士博士っ!! 前見て前っ!」
「ん? うああぁーーっ?! ぶつかるぶつかる!!……ふぅ、危ない危ない。セーフだね」
あっぶな! 完全に歩道へ乗り上げたぞ今! 建物に激突寸前! 「セーフだね」じゃねぇよ! アウツ! これは完全にアウツ! 運よく誰もいなかっただけ!
この人のこと舐めてた。自分の研究とかについて何か思いついてしまうと他のことが目に入らなくなるタイプの人間だ。絶対そうだ。
「前見て運転! これ絶対!」
「安全第一、大事なの」
「あっはは、あっはは、ごめんごめん。次からしっかり前見るよ」
「……」
スリリングなドライブを楽しみ、俺達は研究所へ辿り着いた。案内された部屋ではすでに新人さん達が待っており、オダマキ博士を見て期待に満ちた表情に変わった。
「おっ! きたね君達。ずいぶん張り切ってそうだね」
「あれ? 新人トレーナーってもう1人いたのかよ?」
「でも私達よりちょっと年上っぽいかも」
俺を見て怪訝そうな表情を浮かべる2人にオダマキ博士が事情を説明してくれた。
「紹介するよ。この人はレイン君。カントーから来た腕利きのトレーナーで、君達にアドバイスをしてもらおうと思って連れてきたんだ。きっといい勉強になるよ」
「よろしくお2人さん。やっぱりそうか……君らなかなかいいね。すぐに俺のいるところまで駆け上がってきそう。いいトレーナーになると思うよ」
「えっ! やっぱり私ってすごい? レイン君って見る目あるかも」
「……本当かよ? なんか胡散臭いなぁ。しかもカントー出身って……大丈夫か? あ、そうだ! それなら丁度オレ達これから最初のポケモン選びをするからそれぞれどういうポケモンなのかとか教えてくれよ」
「それいいかも!」
こっちのユウキは俺のことまるで信用してないな。今教えてくれと言ったのも俺がどの程度か見定めるためだろう。たぶんユウキは御三家のことはすでに知っている。だがカントー出身の俺がホウエンのポケモンをどれほど知っているか試したのだろう。
あっちのハルカは……単純なだけだろうな。
「それじゃ、お待ちかねのご対面といこうか。出ておいで」
ポンポンポンッ!!
「チャモチャモッ!」
「キャモー!」
「ゴロゴロッ!」
モンスターボールから可愛らしいポケモンが3体出てきた。ハルカは目を輝かせ、ユウキもちょっと表情が柔らかくなった。
俺もこっそりアナライズ……どれも優秀だな。よくこんなポケモンを3体も用意できたものだ。こっちが羨ましいぐらい素晴らしい。やっぱこの2人はもってるなぁ。
「えー! すっごいかわいい! いいないいな! どれにしよう!」
「そう慌てんなよ。大事な選択だし、俺は先にレインの話を聞くぜ」
呼び捨てだな。レッド達ですら短い期間だが最初ぐらいはさん付けだったのに。別に呼び方なんて飾りみたいなもんだしなんでもいいけどさ。
「そうだな。最初の1体ってのは一生のパートナーになるから誰しも迷うものだ。少しずつどんなポケモンか説明しようか。どれからがいい?」
「よーし。じゃあこの緑のやつからだ」
迷いなくユウキが指さしたのは緑のトカゲのようなポケモン。気になるのかな?
「こいつはくさタイプのキモリだ。ジュプトル、ジュカインと進化していく。タイプは最後までくさタイプ単一のまま。能力は素早さに大きく秀でていて、攻撃面も能力・技共に充実している。覚える技は“しびれごな”や“リフレクター”みたいな補助技よりも“リーフブレード”“でんこうせっか”みたいな攻撃技が多く、シンプルな戦闘が得意だ。“すいとる”のような体力を回復する技も覚えるし、おそらく初心者にとっては最も扱いやすく頼りになるだろう。ただし、タイプ上弱点が多く、防御面はあまり優秀ではないので過信は禁物。仲間をしっかり育てるとか、色んなタイプの技を覚えさせるとか、トレーナーのフォローは必要だ」
「へぇ……とうさんが見込んだだけあって少しはわかってるみたいだな」
「そうなんだー。じゃあ次、この子は?」
ハルカはあんまり話を聞いてない。この感じはブルーと反応が似てる。指差したのは赤いひよこのようなポケモンだ。
「そいつはほのおタイプのアチャモ。ワカシャモ、バシャーモと進化していく。最終タイプにはかくとうタイプも加わる。能力は攻撃面がハイレベルで揃っていて優秀な攻撃技も覚える上、タイプ的にも弱点を突ける機会は多い。素早さはそこそこという感じ。苦手なタイプも多く防御面には不安が残るが、それを補って余りある攻撃力がある。自分の弱点を補える技もある程度覚えられるし、とにかく単純に攻める戦い方が好みならぴったりなんじゃないか?」
「ふーん。単純な戦い方ならわたしにもできそうかも……」
「弱点を補うってのはどういうことだ?」
ユウキからの質問。技の覚えさせ方で初心者が最初に考えることだけど、スクールではやらないのかもしれない。
「例えばバシャーモならみずが弱点だろ? だからでんきタイプの“かみなりパンチ”を覚えておけばみずタイプとの戦闘で一方的に不利にならずに済む。あるいはゴーストタイプには弱点は突かれないがこっちの格闘技が効かない。だから“はたきおとす”みたいなあくタイプの技があると便利だ。ついでに弱点のエスパータイプにも効果は抜群だし」
「ジュカインならどうすればいいんだよ?」
「ん? ほのお、ひこう、こおり、どく、むしが弱点だから“じしん”とか“いわなだれ”でだいたいカバーできるだろう。実際には浮いてるどくタイプとか相手にしたくないポケモンも出てくるだろうけど」
「ふーん……いわタイプの技は使えそうだな」
「へーそうなんだー」
ユウキはちゃんと聞いてそうだがハルカはさっきからなんなんだ? ここまではっきり語尾に(棒)が付くセリフも珍しい。
「さて、それじゃあ最後はこの子だねレイン君」
「そうですね。最後はみずタイプのミズゴロウ。ヌマクロー、ラグラージと進化して最終タイプはみず・じめんタイプ。能力は攻守を高水準に揃えるものの素早さが遅いのが唯一のネック。とにかくラグラージはタイプが優秀で弱点がくさタイプだけに対し耐性が多くみずタイプの弱点であるでんきを無効にできるのは特に大きい。しかも覚える技も攻撃技と補助技どちらも優秀で育て方次第で様々な役割をこなすことができる。どちらかと言えば玄人好みの性能かもしれない。けれども優秀なスペックがあるから旅のお供にもパーティーの穴埋めにも持ってこいの逸材なのは間違いない」
「説明を聞くと良さげだけど、やっぱりミズゴロウはパスかな……」
「だな。うーん、どっちも悩ましいけど、どうすっかな~」
……?
なんかナチュラルにミズゴロウは候補から除外されたがどういうことだ? 一応全て平等にいいところをピックアップしたつもりだけど? 偶然かな?
「ずいぶん悩んでるね。ここはひとつ、センパイに自分はどうやって選んだかきいてみたらどうだい?」
オダマキ博士がそういうと2人もすぐに乗っかった。
「あ、それ気になる!」
「興味あるな」
この世界では最初は自力で捕まえたからこういうのはしてないんだけど、一応ゲームのときの経験で答えておこうか。
「俺からアドバイスするなら1つしかない。……自分の直感に従え」
「え? 直感? でもこれって大事な選択なんでしょ? そんなのでいいの?」
「そうだぜ、わざわざ色々説明してもらったし、よく考えた方が……」
「なんにもわかってないようだな。お前らはトレーナー歴数十年のベテランなのか? 初心者が背伸びしてベストな選択を考えようなんて思うな。最初のポケモンと出会う時、トレーナーはみな、まっさらな状態でパートナーを選ぶんだ」
「あっ」
「それは……そうだけどさぁ」
特に自分の場合はなかなかにヒドかった。オダマキ博士を救出するため最初に3つのボールからポケモンを選ぶわけだが、その当時はそれが一時的な借り受けだと思い、まさか最初の1匹になってしまうとは夢にも思わずとっさに最初に見たポケモンを選んでしまった。
そういうことなら他のポケモンも見てみたかったし、友達の持ってるバシャーモはすごくカッコよく見えたもんだ。その当時は正直言ってミズゴロウを選んだことはすごく後悔した。
けど……今は最高の選択をしたと思っている。おそらくラグラージ以外では自力のでんどういりはできなかったと思う。そうなればそこでポケモンをやめていたかもしれない。
「何もわからないのが当たり前なんだ。君らはこれから選ぶポケモンと共に成長するんだろう? だから今大切なのはあとで後悔しない選択をすること。そのために自分の直感に従うんだ。そうすれば少なくとも悔いは残らない。……俺のカンだと、君らは最初に見たときから目を付けてるポケモンがいただろう?」
「!」
「なんでそれをっ!」
明らかに目線が1つのポケモンに釘付けになっていた。しかも真っ先にそのポケモンの説明を求めていた。意識している証拠だ。
「目を見ればわかる。さぁ、選ぶのは同時でいいな。被ったらその時考えることにしよう」
「……ええ、私決まったわ」
「オレもだ。こいつしかありえない!」
いい目になった。迷いが消えたな。オダマキ博士もその様子を微笑ましそうに見守っている。おそらく被ることはないだろう。俺の声掛けで2人は同時にポケモンを手に取った。
「さぁ、選んで」
「オレはコイツだ! よろしくキモリ!」
「キャーモ!」
「私はこの子! 一緒に頑張ろうね」
「チャモチャ!」
「……ゴロロッ!?」
トレーナーに抱かれて幸せそうな2体とは対照的に、ミズゴロウはこっちまで悲しくなるような悲壮な表情をしている。どうしても誰か余ってしまうのは仕方ない。次選ばれるように頑張ろうな。とりあえず2人には祝いの言葉を贈った。
「これで君達は晴れてトレーナーになったわけだ。おめでとさん」
「……」
「よっしゃ! これからバンバンジムリーダーを倒してチャンピオンになってやるぜ」
威勢がいいのは結構だがアチャモには少し忠告が必要だろうな。
「君らの最初のジムはおそらくカナズミになるだろうが、それについて忠告がある」
「ジムはトウカにもあるけど?」
「そっちはおそらく後回しになるだろう……問題はカナズミジムの使用タイプがいわタイプってことだ。キモリなら楽に勝てるがアチャモなら大苦戦。進化させれば有利に戦えるからアチャモをしっかり育てるか、あるいはいわタイプに有利なキノココや次点でキャモメ辺りを捕まえて育てるなりしておいた方がいい」
「えぇー!! うそーっ!? そんなのってあんまりかも!! なんで最初に言っておいてくれないの!? だったらもっとポケモン選びも慎重に考えたのにーっ!」
「チャモ……」
今の言葉がどういう意味かわかったのだろう。アチャモの悲しそうな気持ちが伝わってくる。さすがに黙って見過ごせない。
「間違ってもポケモンの前でそんなことを言うな! アチャモが不安になるだろ! トレーナーになるならポケモンの気持ちも考えろ!」
「えっ!? で、でも……」
「最初に言えばお前は選ぶポケモンを変えたのか? まさか最初のジムとの相性で一生のパートナーを決めるとでも?」
「むぅぅ……レイン君なんか怖いかも」
「……」
今のは何? 小声のつもりなのかもしれないがばっちり聞こえてるけど。ユウキも今ばかりは神妙な顔つきで沈黙している。
ちょっと言い方はきつかったかもしれないが、ポケモンを蔑ろにする最低のトレーナーにはなってほしくない。むしろこれぐらいの方がいいだろう。
なお、なぜかオダマキ博士は笑っていた。
「はっはっは! これも新人トレーナーが通る最初の試練ってやつだ。がんばりたまえハルカちゃん!」
「はぁーい。あーあ、どうしてこんなに大変になっちゃうのかなぁ。ラクに進みたかったのになぁ。バトルなんて興味ないんだけどなぁ」
おいおい、全部俺には丸聞こえだけどわざとなのか? それともただの天然? まさかこいつもブルーみたいに表舞台からフェードアウトしていくクチなのだろうか。
だとすると放っておくとヒドイことになるのは確実。あんまり気は進まないけど、黙って見過ごすのは寝覚めが悪いし一応話だけ聞いておくか。
研究所を出て旅立つ前にハルカだけ呼び止めて今の発言の真意を問い質した。
「えっ!? 聞こえてたの!? いや、さっきのはなんというか、ほら、ね? 別に大した意味はなくて……」
「バトルがイヤってことはコンテストの方に興味があるのか?」
「うそ!? なんでわかったの!? あっ……」
なるほど。そういうことなら心配いらないか。ブルーの二の舞にはならなさそうだ。立派な目標があるなら別にそれがバトルである必要はない。
「やけに隠そうとしているが俺は別にコンテストを咎めるつもりはない。むしろコーディネーターになることも立派な道だと思うよ」
「え、ホント? でもみんな私のことすごいトレーナーになるって……お父さんとかもみんなそう言うし……」
「すごいトレーナー? いっちゃ悪いがお前はバトルのことはさっぱりだろ?」
「うげっ!? はっきり言い過ぎかも。たしかにそうだけど……だって、バトルには興味ないから頭に入らないかも。でもお父さんがすごいトレーナーだから同じ目で見られちゃうのよね……」
なるほど読めたぞ。本当はコンテストが好きだが周りからの期待を裏切れず成り行きでトレーナー修行の旅に出ることになったと。最初は旅に出たらあとは勝手にコーディネーターになろうとか企んでいたんだろうが、どんどん後に引けなくなり仕方なくジムバッジを先に集めてからコンテストに参加するとかそんな計画を立てていたのだろう。だからジムは楽に勝ちたいんじゃないか?
このままだといずれとんでもない失敗をしそうだな。コンテストだけなら上手くいくだろうがバトルと両立できるほど器用には見えない。ハルカはコンテストに専念させた方がいい。このまま埋もれさせるのは忍びない。
「コンテストのことは詳しいのか? 言っておくがコンテストもラクなもんじゃないぞ。舞台の華やかさは確かに見るものを引き付けるが、それには地道な努力の継続が必要不可欠。パフォーマンスは準備が8割だ。ポロックをあげて毎日コンディションを整えて地道に技の組み合わせを模索してそれを練習する。ポケモンのために自分の全てを捧げるぐらいの覚悟がなきゃこんな大変な道は到底進めない。バトルがイヤだからコンテストというような安易な考えなら改めるべきだ。引き返すなら今だがどうする?」
あえて厳しい言葉で試してみたがさっきまでとは打って変わって強い口調で自分の情熱をぶつけてきた。
「私……本気なの! コンテストが大変だってことぐらい私だって勉強してるからわかってる! それでもそんな苦労を感じさせないでポケモンと一緒に輝いているコーディネーターを見て心を動かされたの! 私も見る人に夢を与えられるようなコーディネーターになりたい! 私のやり方でポケモンを輝かせてあげたい! そのためならなんだってできる! ポケモンのアピールの仕方、ポロックの作り方、コンディションの整え方、全部私なりに勉強してきた。自信もある! 諦められない! 私は絶対にトップコーディネーターになるの!」
これなら文句なしで合格かな。
「そうか。だったら俺も応援する。ハルカならトップコーディネーターになれるよ」
「ホントォ?! あ、でもお父さんが……」
「それ、センリさんに直接言ったことある?」
「あるわけない! 反対されるに決まってる!」
今度は泣きそうな辛い表情。いや、オーラのせいでそう視えるだけなのかな……。
「やっぱりか。俺はそんなことないと思うけど」
「そんなっ、テキトーなこと言わないで!」
「適当じゃない。ジムリーダーセンリと言えばバトルを極めんとする者。何事でも1つのことに打ち込み極めた者はその素晴らしさを知っている。お前のその本気の熱意を見せればきっと理解して貰えるはずだ。どうせトウカには寄っていくんだろ? そのときゆっくり話せばいい。あぁそうだ、コーディネーターになるならポロック作りのためにきのみが必要だろ? ちょっと分けてあげるよ」
「そうかなぁ……え!? ザロクにネコブに……これ全部高級きのみかも! いいのこんなに!?」
努力値下げ用のきのみは保存して大量にストックしてある。6種類を1つずつ譲った。
「一流のコーディネーターならきのみもいいものを使わないと。それが何かすぐわかったなら勉強したのは本当みたいだし、それならなおさらあげて良かったと思うよ。それは旅立ちの餞別としてあげよう。俺はコンテストのことは詳しくないから何も教えてあげられないけど、応援だけさせてもらう。がんばれよ」
「あ……ありがとうございます! この御恩は忘れないかも!」
「旅を続ければまた会うことになるだろう。それまで達者でな」
手を振るとむこうも手を振り返してくれた。かわいいとこもあるじゃん。あのきのみにはなつき度を上げる効果もある。怖い人状態は脱却したかな。
ハルカが研究所を出て見えなくなり、2人きりになるとようやくみゅーが口を開いた。
「レインってブルー達みたいな新人トレーナーには優しいよね。あの2人のためにわざわざ嫌われ役までするなんて相当優しいの。なんでなの?」
「さぁねー。きまぐれじゃないの? さーて、俺達も目的を果たすとしよう。研究所を見に来たんだからな」
「みゅふふ……オーラは正直ね」
やっぱりみゅーちゃんは全部お見通しか。
自分の頬に手を当ててみる……ほんのりと熱くなっていた。
いきなり主人公登場!
とりあえず引き伸ばしに入ると一生終わらないのでテンポよく進めたいですね
でも遊び心は入れつつ……
途中セリフが韻を踏んでる箇所があるので探してみよう()
女主人公の口調はゲームと違いますが許してください
“かも”なしだとブルーと差別化しにくいんです(無能)
ただし不自然に語尾を変えることはしません
オダマキ博士の1人称は「ぼく」「わたし」混ざってますがゲームが混ざってたのでセーフ
統一すると違和感出てくるんでORAS見てなるほどでした