「グレン、フレアドライブ! ユーレイ、みちづれ!」
「ヴォウ!」
「ゲーン!」
これで相討ち! 同時ノックアウト! そして経験値は近くにいるものへ還元される!
「ゴンロォォォォ!!」
ミズゴロウ、進化ァーー!! ヌマクロー!!
ヌマクローは マッドショットを おぼえた!!
シスイ Lv32 @しあわせタマゴ
1.マッドショット
2.みずでっぽう
3.どろかけ
……
「やったー! シスイおめでとう! こんなに立派な姿になって、よくここまで……」
「つい最近研究所を出たばっかりなの。おおげさね」
「いいじゃんか! 進化は1回こっきりなんだからさぁ」
「ミズゴロウに戻れないけど良かったの?」
「いいのいいの。ヌマクローもかわいいから。ねー?」
「マークロ!」
うんうん。この表情、すっごい癒される。ミズゴロウは最高だけど、ヌマクローも最高だな。
努力値と経験値はこれで完了。あとは実戦あるのみ!
「ここからはちょっと技の練習もしていこうか。野生のポケモンとバトルして練習しよう。みゅーは見てて」
「はいはい。レイン、あっちから来てるよ」
「もちろんわかってる。シスイ、初陣だ! あの毛虫を懲らしめてやれ!」
「マー!」
この辺のポケモンのレベルは低め。だから当然シスイの連戦連勝だ。
「よし、よく頑張ったな」
「マー!」
「今度は俺のポケモンと勝負しよう。次は攻撃を躱す練習だ。いいな?」
「マッ!」
「じゃあ構えて。出てこいイナズマ! 10まんボルト!」
「ダァーーッ」
「マックロ!?」
突然の素早い攻撃に全く反応できず直撃してしまった。でもダメージはない。シスイはキョトンとしている。
「これが相性だ。お前はみずタイプだけど、進化してじめんタイプを獲得した。だからもうでんきタイプの技は全く効果がない。これなら当たっても平気だから練習しやすいだろ?」
「マークロ!」
「大事なのは相手の動きを予測すること。見てから動いていたら間に合わなかっただろう? 相手の攻撃へ移るタイミング、狙っている方向、注意深く観察してごらん。さぁいくぞ」
それから長いこと練習に明け暮れた。色々試して、そして反省と検討をして……このサイクルをずっと続けて、シスイは必死に練習した。グレンやアカサビは元々センスがあったからこんなことはしなかった。でも普通はこうやって苦労するのが当たり前なんだよな。
「今日はここまで。よく頑張ったよ。ご苦労さん」
「マァァ……」
疲れ切った表情を見せるシスイ。でもこれでいい。限界まで体を動かすことで限界は限界ではなくなる。毎日少しずつ自分の限界の壁を超えていけば日々成長していける。
もちろんそれだけでは続けられないから、休ませてあげることも必要だけど。
「もう歩けない? 俺がおぶってあげるから乗りなよ」
「マッ!? マックロ!!」
「ずるい……」
もちろんみゅーだけ寂しい思いはさせない。ちゃんと考えてある。
「みゅーは手を繋ごう」
「みゅ……! みゅふふ」
「ダーッダーッ」
「おおっと! 重い重い! ごめんごめん、イナズマもありがと、忘れてないから!」
ポケモン達に寄りかかられて、大変だけど幸せな時間だな。すぐ近くまで来ていたのでそのままトウカシティまで歩みを進め、ポケセンでみんなのけづくろいをした。もう時間も遅いから今日はジム戦はなしでゆっくりしよう。
「グレン、ユーレイ、お前達もありがとね」
「ガーウ」
「ゲッゲッゲ」
気にすんなって感じのグレンと愉快に笑うユーレイ。相変わらずだな。
そういえば俺はだいたいポケモンの言わんとすることがわかるけど、みゅーほど正確にはわからない。どうやって翻訳しているのだろう? 聞けば真髄がわかるかもしれない。
レベル鑑定の真髄はブルーの説明が下手過ぎてわからなかったが、みゅーならあるいは……。
「そこんとこどうなの?」
「レイン、自分もエスパーでしょ? なのになんにもわかんないの? しょーがない人間ね」
「みゅーちゃんがすごすぎなんだって。ね、教えて?」
持ち上げると嬉しそうになるみゅー。狙い通り答えてくれた。
「まず言っておくけど、ポケモンの声には人間みたいなめんどくさい“ぶんぽー”とか“こーぶん”とかそういうのはないの。声に感情を込めて、それで意志を伝えるの。わかる?」
「はぁ……まぁなんとなく」
正直言えばあんまりわかりません。わかるとは言ってないからウソではないね。
「だから音そのものよりも込められた感情を読み取ってあげることの方が大事。レインもそうやって理解してるの。無意識みたいだけど。レインはエスパーだから最初からなんでもわかってあげられたのね。ただし波長の近い相手に限るの」
あぁ、それで最初ポッポはわからなくてもグレンは言わんとすることがわかったのか。今更になって理由がはっきりしたな。
ん? じゃあブルーは?
「ブルーはなんでグレンやイナズマの言うことがわかったんだ?」
「それは経験ね。ブルーはポケモンに対する愛情が誰よりも深かった。だからいつもポケモンと同じ目線に立って、仕草や声色を注意深く真剣に見聞きしていたの。だからポケモンの感情の機微に対してすぐに敏感になれたのね。ポケモンときちんと向かい合う人間ならみんなある程度言葉はわかるようになるの」
「じゃあブルーはやっぱりすごい奴だったんだな。言うなれば俺は天才型で、ブルーは秀才型って感じ?」
「バカの天才だけどね」
「ぐっ……」
最近みゅーの言葉が刺々しい。反抗期かな?
「もう気は済んだ?」
「あ、もうちょい待って! 1番聞きたいことが残ってるから! 俺はみゅーが完璧に翻訳してたのが気になってさ。ちゃんと文章になってただろ?」
「みゅ? あれはみゅーが考えたの」
「……は?」
何を言ってるのかさっぱり理解できない。
「だからね、だいたい人間の言葉にすればこんな感じかなってみゅーがその場で文章にしてあげたの」
「えぇーーっ!! そんなのアリ!? いかんでしょ!?」
「でもシスイは文句言わなかったの。問題ない証拠」
「あっ、そういえばそうか」
「レイン、意訳って言葉知らないの? そもそも言葉っていうのは全く別の言語に本当の意味で完璧に翻訳することは無理なの。ぼくとわたしはどっちもI(アイ)でしょう?」
「みゅーさん、外国語も達者?」
「今のはエスパー。だからね、大事なのは1番言いたいことをしっかり相手に伝えることなんだよ。だから伝わりやすいように言葉を選んであげることは悪いことじゃないの」
「ほおーー。みゅーちゃんの説明は為になるなぁ」
こうしてまた1つポケモンの謎が解き明かされた。
◆
みゅーちゃん理論はあまりに難解で結局俺にはマスターできなかった。「考えるな、感じろ!」って感じの説明だったし、やっぱ言語の習得は理屈で考える俺には向いてない。わからん。
気を取り直し、日を改めてジム戦へ向かうことにした。トウカに来たのだから当然だな。その前に一応ルールをポケセンでジョーイに尋ねた。
「トウカジムはランク5以上でしか受け付けてないの。センリさんはフルバトルが基本という考えの持ち主だからレベルの低いランクはどうしてもできないのよ。だからジムバッジが4つはないと挑戦できないわ」
「なるほど、そういう感じか……」
フルバトルに拘るのは何か理由があるのだろう。その場合ランクが低いとレベルが低い分、レベルアップしやすくなり6体維持することが難しい。それなら4以下のランクがないのも頷ける。
「ここからならまずはカナズミシティへ向かってツツジさんに挑戦するといいわ。この辺りでトレーナーになる子はみんなそうしているし、始めは焦ってジムリーダーに挑むよりしっかりとポケモンを育てた方がいいわよ。その方が結局早くジムバッジを増やせるわ」
「はは……ありがとうございます」
「みゅ……失礼なの」
みゅーは大きな声ではないが苦言を呈している。ジムのルールなんて聞いてる時点で初心者丸出しだし、そう思うのは仕方ない。むしろアドバイスまでしてくれて親切な部類だろう。
「あの、バッジは別の地方のものを持っていれば挑戦できたりしませんか?」
「え? 別にランク5でいいならバッジがなくても挑戦はできるわ。でもフルバトルでただでさえ大変だからセンリさんに勝つのは大変よ。ホウエンでは基本的に5番目か6番目にトウカに来るトレーナーが多いけど、ここで躓く例は少なくないもの」
そうか。センリ戦はフルバトル確定で難易度が上がるからできるだけ低いランクで戦いたい。だからできればランク5がいい。でもそこは一気にレベルが上がってチャレンジャーにとってヤマになるランクでもあるから一旦は避けて6にすることもある、そういうことか。
「だったら今からでも挑戦できるか。確認もとれたしジム戦だな」
「あなた他の地方から来たの? ならトレーナーカードが新たに必要になるわよ。まだ別々の地方のトレーナーカードには互換性がないから」
「え!? それは参ったな……」
詳しく身元とかを調査されるとちょっと自信ないな。急に面倒なことになってきた。
「大丈夫、元々カードがあるならそれを読み込めばデータを移すだけですぐに新しく作れるわ。良ければ今ここで手続きしましょうか?」
「本当にっ!? 助かります!」
嬉々としてトレーナーカードを渡した。再審査とかなくて良かった。ジョーイはトレーナーカードを持って奥へ消えていった。これで一安心。
……そう思った矢先、叫び声のようなものが響き渡った。
「ええーーーっ!!??」
「わっ!? 何事!?」
「さっきの人の声ね」
おいおい、まさか何かマズイことがバレたとか?
……どうする?
「なぁみゅー、きお…」
「あのっ、すみません! 大変失礼しました!」
「えっ」
電光石火で戻ってきたジョーイは恭しく2つのトレーナーカードを差し出した。ありがたく受け取る俺。とりあえず問題なく作れたみたいだけど、何があった?
「すみませんでした! 私まだこの仕事は始めたばかりで、他の地方のことなど何も存じ上げておらず、チャンピオンの方だとは知らず失礼なことを……」
「あっ!? まさか!!」
トレーナーカードを見ればしっかりとカントー地方チャンピオンの称号が刻み込まれていた。そうだ、俺でんどういりしたんだよな。そのときのこと全然覚えてないけど、トレーナーカードも渡して更新されたような気がしなくもない。
変な目立ち方したくないし黙っていてもらおう。
「失礼なことしたからいんがおーほーね」
「すみません、反省しました。これからはきちんとお客様には必ず年下にも丁寧語で話しますから、どうかお許しくださいっ!」
「いや、構いませんよ。気にしてないので。……ジョーイだと丁寧語でとか決まりでもあるんですか?」
「はい……一応」
たぶん研修とかあるんだな。顔が同じだからって簡単になれるものでもないのか。
でもなんでこんなに過剰に謝るんだろうな。たいしたことじゃないのに。
「知らない場所の1番力の強い人間に失礼なことしたらそりゃ怖いの。全くどんな性格かわからないもん。実際レインはさっき物騒なこと考えてたし」
「あー、なるほど。しかもバレてるのね」
外国のボクシングの王者に喧嘩売ったような気分なのかな。たしかに怖いかも。
「ジョーイさん、とりあえず俺のことは他人に吹聴しないでもらえますか? それで今回の件は不問ってことで」
「あっ、はい! わかりました!」
「じゃあ俺はジム戦にいくんで」
「いってらっしゃいませ!」
それはそれで何かがおかしくない?
◆
トウカシティ ポケモンジム リーダー センリ 強さを追い求める漢
ここだな。さぁ、いこうか。
「たのもう!」
道場っぽい雰囲気だったのでそれらしい感じにしてみた。中には誰かいそうな気がする。
「入りなさい」
「……失礼します」
見習いって感じの声じゃない。いきなりジムリーダー登場か?
中に入ればやはりセンリ本人が腕を組んで立っていた。
「君がレイン君かな?」
「……そうですね。なぜ名前を?」
「わたしの娘にコンテストを勧めたのは君だろう」
えっ……もしかしてご立腹なパターンか。さっきからいかめしいオーラが放たれているような。もしかするとジムを継がせたいとかあったのかもしれない。そうだとするとこの人にとっては余計なことをされたわけか。
だけど俺は本人のためを考えて最善の道を示したまでのこと。いまさら前言をひるがえすようなことは……。
「その節は大変失礼致しました」
すぐさま謝罪の構えに入った。
「レイン、それはヘタレなの。カッコ悪いよ」
うるさい! これが大人の対応なんだよ! ……心がすさんでいく。
「いやいや、とんでもない。たしかに驚きはしたが君には感謝しているよ」
「へ?」
「いつも不貞腐れたような顔だったハルカが活き活きとした表情で夢を語っていた。もちろんわたしからコーディネーターを目指すように言ったよ」
「本当に!? そうか、良かったな……」
ちゃんと自分のしたいことを言えたみたいだな。案外しっかり者だ。
「言い訳がましいが、わたしはジムの仕事に時間を取られてあまり面倒を見てやれなかった。君には心から礼を言うよ。……ありがとう」
「いえいえ、いいですよ。……ちなみになんで俺がレインだってわかったんですか? 話を聞いたからっていうのはわかりますが、俺がレインだとは限らないはず」
さっき名前を確認された時にとっさにとぼけてみせようか迷ったが、有無を言わさない確信を持ったような雰囲気だった。何か特徴を聞いたのかもしれない。
「君の話も色々聞いたよ。目つきの悪い“こわいおじさん”だと言ってたな」
「あんにゃろ……」
おじさん……。あいつ頭の中では相当失礼なこと考えてるタイプだな。最後に「忘れない“かも”」とは言ってたがそのままの意味だったらしい。
「すまんすまん。きっと冗談だろう。本当は不思議な雰囲気の小さい女の子と一緒だと言っていたからわかったんだ」
「発言したこと自体は否定しないんですね。次会ったらどうしてくれようか……まぁこの話はこの辺でいいでしょう。俺が来た目的はわかってますよね」
「むろんだ。ランクはいくつがいい?」
当然目的はジム戦。バッジは持ってないがこっちの実力は話を聞いてわかっているのだろう。黙ってランクだけ尋ねられた。
「景気よくマックスにしてもいいんですけどね。少し考えがあってランクは5にしておきます」
「いいだろう。たとえ実力があろうとジム戦に勝てなければバッジは渡さない。心しておきなさい」
規則はしっかり守るってことか。真面目っていうのもあるだろうけど、ちょっと試されてる気もする。言われっぱなしにはできないな。
「わかってます。ちなみに俺はここがホウエン最初のジム戦……ホウエンのジムリーダーの実力、見させてもらうぜ。当然期待してもいいんでしょ?」
「……もちろん。そうだレイン君、わたしの専門タイプは知っているかい?」
「ノーマルですよね」
「よく知っているね。わたしがノーマルタイプを使うのはポケモンバトルをより深く知るためだ。ノーマルタイプを極めることはポケモンバトルそのものを極めることになる。ポケモンバトルの奥深さ、君にも味わってもらおう。ついてきなさい」
そういえば入り口でずっと立ち話だったな。迷路のように続く部屋をいくつも通って道場の奥へ進みバトルフィールドへ着いた。審判はエリートトレーナー。ホウエンだと衣装が違うな……ちょっと新鮮。
「フルバトル、ジムリーダーのみ勝ち抜き戦、道具はポケモンに持たせたもののみ許可する。いいかい?」
「はい。じゃあ始めましょうか」
「それでは両者位置についてください。バトル開始!」
「頼むぜシスイ!」
「カクレオン!」
カクレオン Lv33 @たつじんのおび *へんげんじざい
シスイ Lv32 @オボンのみ *げきりゅう
実 116-97-50-52-59-47
なんだあの特性? 変幻自在? “へんしょく”なら“マッドショット”から入って効果抜群が狙えたのに。
「ベロベロー」
「マッ!?」
“ねこだまし”が決まって体力を削られた。が、カクレオンに大した技はない。ここから先、大した攻めは続かないはず。
「マッドショット!」
「つばめがえし」
必中だがダメージは相手の方が大きくなる。単純に撃ち合っても十分こっちが有利だ。
「シャーーッ」
「マッ!?」
効いてない?! どういうこと?!
「くさむすび」
「まもる」
……!!
「タイプが変わった! まるで能動的になった“へんしょく”……これが“へんげんじざい”ってことか」
「よく見ている。面白い特性だろう?」
「単純に全ての技を一致で使えるだけで相当な脅威。しかも防御にも活用されるとなると……カクレオンは先制技の種類は多かったはずだし面倒だな。持ち物がたつじんのおびなのは様々なタイプの技を使うからか」
「わかっていても防げないのがバトルだ。くさむすび!」
「戻れ」
相手が悪過ぎた。よりによってくさタイプを一致で使えるノーマルポケモンがいたとは。ヌマクローでは絶対に勝てない。6体全てシスイで倒すことが今回の目標だったが、その予定が早くも頓挫だな。
「うん、いい判断だ。不利になっても交代すれば対処できる。基本だね。さて、次は……」
「ダダーッス!」
「……強い!」
無言で俺はイナズマを繰り出し、それを見てセンリは警戒を強めた。さすがに何度もいいようにやられていてはカントーチャンピオンの名が泣く。きっちり一撃で倒す。
「イナズマ、2」
「どろかけ!」
じめんタイプの技も当然持っていると思ったが“どろかけ”だったか。威力が低い分技の出が速いし確かにぴったりだな。
「ケェェ!!」
「カクレオン戦闘不能」
「今のはめざめるパワー! そうか、トリックプレーか。見事な連携……。いつもはカクレオンが使って相手を驚かせるんだがな。じめんタイプに変わることを読んだわけだな。こんなに速く見切られるとは」
サラッとすごい発言が……。
「めざめるパワーを使う人がいたのか……。イナズマはこおりタイプです。そっちは?」
「こいつはどくタイプだ。持っているカクレオンごとにバラバラだが、ほとんどのタイプの技を覚えてしまうから有用なタイプは限られていて使わないやつもいる」
なるほど。どくタイプは一応有用なわけか。“どくどく”はあるだろうからどくタイプにはなれるはずだが、攻撃技ではないからな。覚えないタイプって逆に何タイプ? むしタイプ(れんぞくぎり)とかはがねタイプ(アイアンテール)もあるし……まぁいいか。
「次はこいつだ。バクオング!」
レベル32……今度こそ大したことはないだろう。
「ねがいごと!」
「ばくおんぱ!」
はぁ!? また知らないやつ!?
威力がヤバイ……なんだこれ、反動技?
「後攻でバトンタッチ」
「ばくおんぱ!」
連打……特に目立ったデメリットはなさそうに見える。2回で半分近く削れた。ここまでのダメージは想定外だな。
「シスイ! マッドショットで畳み掛けろ!」
「ばくおんぱ!」
げっ!? 70ぐらい効いた! オボン込みで耐えるかどうか乱数圏内か! シスイは持たせたきのみをかじりながら突っ込んだ。
相手の素早さが下がったことを利用して連続して攻撃を放ち攻め立てる。2発目の“マッドショット”も命中。これがシスイお得意の攻め方。あわよくば相手の反撃を躱せれば最高だが……。
「マッ!」
「グオオォォーー!」
そうか、音による攻撃だから避けるのは厳しいわけか。だがシスイはしっかり耐えきった。特性が発動する。これで決めろ!
「たきのぼり!」
「マーーッ!」
滝を登るエネルギーを攻撃に転換する。水しぶきを上げながら渾身のアッパーショットが決まった。
“マッドショット”と“たきのぼり”はエフェクトが好きで最初の頃はラグラージで良く使っていた。その夢のコラボだ。
「バクオング戦闘不能!」
「次はこいつだ!」
「スバーッ」
オオスバメか。ノーマルは格闘が弱点だからひこうタイプを混ぜるのは当然ではあるか。持ち物は“かえんだま”……よくあるあれか。
「でんこうせっか」
「戻れ」
使える技に“まもる”はあるようだがこの状況では使う意味がない。しっかりシスイを倒しにきたな。俺は交代で再びイナズマ投入だ。
「ダダーッス」
「スッバ!!」
持ち物の“かえんだま”の効果でやけど状態になり、特性の“こんじょう”が発動。さらに技の“からげんき”は状態異常の時威力が2倍になり140となる。タイプ一致も込みでしめて約300だ。
「ねがいごと、ボルトチェンジ」
「からげんき」
凄まじい火力。致命傷だな。もうこの1回が限度か。イナズマは仕事をこなし“ボルトチェンジ”で相手を倒しながら戻ってきた。シスイが三度現れる。
「オオスバメ戦闘不能!」
「そうか……君の狙いはそのヌマクローを育てることか」
「真剣勝負の実戦をさせたかったんです。練習に使ってすみませんね」
「構わないよ。元々ジムとはそういう場所だ。それにやみくもに戦っているわけではないだろう? ゆけ、マッスグマ!」
「マッドショット!」
今回も得意の連携で攻めに出たがマッスグマはとんでもない技を繰り出した。
「はらだいこ」
「なに!?」
ポンポコ踊り始めたマッスグマだが様子がおかしい。すぐにきのみを食べて一気に超回復してしまった。
特性くいしんぼうの効果か? しかも今食べたフィラのみ……体力が半分も回復した。このきのみ、まさかこんな優秀な効果があったのか。たしか大したきのみじゃなかったはずだが……今まで全く気づかなかった。どうなってる? また今度検証か……。
マッスグマは素早さこそ下がっているが攻撃は4倍になった。しかも“しんそく”を連打してくるので素早さはほぼ関係ない。またしても引く一手か。なかなかヌマクローを活躍させられない。
とりあえず“しんそく”を受けるには無効にするしかない。ゴーストタイプの出番だ。
「戻れ!」
「ゲェェン!」
「マッ!?」
ちょい! お前もその鳴き声か! ヌマクローと同じじゃねぇか!
“しんそく”はユーレイで受けて無効化。これでもう何もできまい?
「じごくづき!」
「なっ!? まもって!」
「ゲェ……」
なんだあの技! この人まさか新技とか開発してるわけじゃないよな? 知らない技ばっかポンポン使いやがって! ユーレイの表情を見るにあれはあくタイプの技っぽいな。
「きあいだま! 当てろよ!」
「しんそく、じごくづき」
なにぃぃーーっ!?
「しんそく連携……!?」
「ゲゲッ!」
背後からモロにくらってしまった。しかしユーレイは残りHP1でなんとか踏みとどまる。“きあいのタスキ”がなければ倒れていた。
ゴーストタイプの利点を活かしてもっと壁抜けを絡めてじっくり攻めるべきだったか。ノーマルタイプを侮り過ぎた。
「シャレになんねぇ。ユーレイ、今度こそ“きあいだま”を当ててくれ!」
「ゲン」
動けないでいるマッスグマにしっかり命中。これで倒せた。
「マッスグマ戦闘不能!」
「きあいのタスキか。道具の選択も非常にいい。これではさすがに倒せないな。次はこいつだ!」
「ブアアーーッ!」
意外とやる気のありそうな声で出てきたのはケッキング。センリといえばこのポケモンだ。必ず使ってくると思っていた。
「こっちも交代だ!」
「マァーッ!」
こいつこそが最大のチャンス。能力は伝説にも劣らないが致命的な弱点があるから簡単に倒せる。これを倒して弾みをつけたい。
「シスイ、今度こそ快勝するぞ!」
「かたきうち」
「まもる!」
「そうきたか」
センリも俺の狙いに気づいたな。ケッキングの特性は“なまけ”……1ターンおきに怠けて行動不能になる。つまり攻撃してくるときだけ“まもる”を合わせれば一方的にこちらの攻撃だけ通ることになる。知らない技だろうがこの戦法なら関係ない。
攻撃した後、ケッキングは特性が発動したのか微動だにしなくなった。ここがチャンス!
「貰った! シスイ、相手は今動けない! 思いっきり攻めろ! たきのぼり!」
「油断したな」
「は?」
シスイが大振りで“たきのぼり”を繰り出すがケッキングは少し身を引いて軽く受け流し、さらに反撃までしてきた。この技は……!
「きあいパンチだ!」
「シスイ!!」
マズイと思ったが全く想定していない事態に対応できない。いや、たとえ指示を出してもあの体勢では避けられない。シスイは完全に攻撃が空振りして前のめり。集中力を高め終わったケッキングはすぐ傍にいる。
「ブゴォォ!」
「ヌマッ!!」
「くっ……ごめん」
「ヌマクロー戦闘不能!」
「ようやく1本とれたな」
このケッキング……よく見ると特性が“やるき”だ。ヤルキモノの時のままじゃねぇか! なにこれ、新手のバグ?
センリのあの表情……してやったりってツラだな。“まもる”の一声でこっちの意図を見抜いて“きあいパンチ”でひっかけにきたのか。集中力を高めている状態が“なまけ”状態と初見では見分けにくい。確信犯だ!
「……特性がヤルキモノの時のままですね。どういうことですか?」
「ほう、特性が“やるき”になっていることに気づいたか。ちょっと特別な育て方をしたんだよ。進化で真逆の性格になるその逆を突いた」
この世界の住人の言うことはいつになってもわからないことだらけだ。
「……戻ってシスイ。まさかここまで苦戦するとは。でも遊びは終わり。残りは速攻で終わらせる。ユーレイ!」
「ゲン!」
「だましうち!」
「きあいだま!」
いくら強かろうがレベル差があり過ぎる。ユーレイじゃ苦戦することもありえない。先にこちらの攻撃が当たってケッキングは倒れた。
「ケッキング戦闘不能!」
俺はみゅーが人間のままだから手持ちは5体。グレンとアカサビは記録に残るジム戦で使いたくない。だから実質3vs6のバトル。ユーレイとイナズマの体力は残り僅かだから意外とギリギリだった。
「ヤルキモノ!」
「ガーッ!」
「10まんボルト」
これで十分。ヤルキモノはすぐに倒れ……ない?! あれは“きあいのハチマキ”か!? これじゃユーレイも……!
「おいうち!」
「ゲンガー戦闘不能!」
勝負はすでについているとはいえ今のは余計な犠牲だった。反省しよう。
「……イナズマ!」
「ダッ!」
もう一度“10まんボルト”今度こそ倒れた。
「倒れたか。調子のいい日は2回以上発動するんだが、今日は不発か」
「……」
「ヤルキモノ戦闘不能! 勝者レイン!」
発動したのに不発なわけあるかい!……とツッコむ気力すら湧かない。何も言えねぇ。
まさかイナズマまで戦闘不能になる可能性があったってこと? ヤルキがあるから発動しやすい的な? シスイを軸にする縛りがあったとはいえ、レベル30台のポケモンだけで50台を2体も倒されたらさすがに自信なくすよなぁ……。
またこのゲームバグってるよ()
働くケッキングは思いつきではありません
たしかアニメかなんかで特性が仕事してなかったんですよね
センセー、なまけがなまけしてます!
もうこれわけわかんねぇな()
昔それを見てナマケロを育ててケッキングにしましたがあんまりな特性に失望しました()
新手の詐欺