Another Trainer   作:りんごうさぎ

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今回は全てハルカ視点です


5.ダークホース

わたし、ハルカ。ポケモンチャンピオンじゃなくて、ポケモンコンテスト優勝を目指すコーディネーター。初リボンをゲットするまでは辛いことも苦しいこともたくさんあったけど、おきがえピカチュウが仲間になってから、私はすっごく調子がいい。

 

 ポケモンコンテストは想像通り、いや、想像以上に過酷な勝負だった。そしてトップコーディネーターになるためには超えるべき大きな壁が存在する。

 

 1人目はコンテストアイドルのルチア。4部門で最高のパフォーマンスを叩き出し、何年も連続でグランドフェスティバル優勝を続けている。

 

 もう1人はジムリーダーでもあるミクリ様。いわずもがな、コンテスト界のレジェンドオブレジェンド。私なんかじゃ逆立ちしたって勝てやしない。

 

 でも……コーディネーターになるだけなら、別にグランドフェスティバルで優勝する必要はない。コンテストで優勝したり、グランドフェスティバルに出場するだけでも賞金は出る。だからその賞金でポケモンを育てていくことはできる。

 

 もちろんトップコーディネーターにはなりたいけど、それはいますぐでなくてもいい。私はまだまだ今年デビューしたばかり。これからの人生だって長いんだから。

 

 だから、まず私が考えるべきなのはコーディネーターとして1人前になること。そのために大会でたくさん決勝に出て、そしてあわよくばグランドフェスティバルへ出場する。

 

 幸い、コンテストバトルは強者がすなわち勝者になるとは限らない。それが難しいところでもあるけど、だからこそ私でもルチアやミクリ様に勝てることもある。実際、1つはリボンをとれた。

 

 おきがえピカチュウなら全ての部門に挑戦することもできるけど、今の私にそこまでの力はない。狙うなら1つに絞るべき。そして狙うべき部門はもう決めている。

 

 狙いはズバリ……うつくしさ部門!

 

 普通ならありえない。理由は簡単、最後に待ち受ける敵があのミクリ様だから。実力があるコーディネーターはトップコーディネーターを目指すためにルチア対策に精を出している。だからこそ、グランドフェスティバルへの出場だけを考えるなら、うつくしさ部門は穴場だった。

 

 まずルチアは出てこない。しかもミクリ様はその実績とジムリーダーとしての職務の都合でシード権があり、グランドフェスティバルからしか出てこない。だからコンテストではすごく優勝が狙いやすい。

 

 だから私はホウエン各地を回って、とにかくコンテストに出まくってやるの! そしてたくさん優勝して、まずは私自身の経験値を貯めていくのよ! そしてコーディネーターとしての技術が身に着いたら、別の部門に転向して本格的にトップコーディネーターを目指す! これが私の計画! おきがえピカチュウがいるからこそできる最善の作戦。我ながら完璧かも。

 

「次はムロタウンか。カイナの大会はエントリーが間に合わなかったし、次こそ優勝しようね」

「ピィカ……」

 

 着せ替えただけなのに、すっかりお嬢様ね。役者魂が光ってるかも。

 

 大会まではまだ時間があるし、ムロなら船ですぐ行けるから、もう少し練習してから会場入りしましょう。

 

「はい! では登録完了です」

「ありがとうございます」

 

 よし! これで登録完了。今回は離れ孤島だから参加者も少なくて狙い目だと思ったんだけど、新設だからけっこう注目度が高かったみたいね。これは誤算かも……。

 

 まぁ、それでもルチアがいないだけマシだと思わないとね。

 

 

 

 コンテスト当日、会場にやってきた。コンテストというのは1日で5部門全て開催されて、部門ごとに順番に行われる。順番は大会ごとに変わるけど、うつくしさだけはいつも最後にある。コンテストバトルが発祥したとき、最初はうつくしさを競わせる競技だったときいている。そこから他の価値観も評価基準に加えた審査をするようになって、最終的に今のような5部門に分けたコンテストを実施する形式になった。だから、うつくしさ部門は伝統や格式が他の部門よりも高く、いわば花形部門。だから必ず最後に実施される。

 

 だからこそ、うつくしさ部門でトップコーディネーターになることはコーディネーター全員の夢なんだけど……10年以上新しいスターは現れてないのよね。

 

「さーて、試合経過はどうなってるのかな?」

 

 他の部門の試合も自分にとって参考になる。朝は自分の調整があってみれてないけど、直前の2部門ぐらいは見学していくつもりだった。

 

 控室になるモニターで試合の様子を覗いてみた。

 

 今はかしこさ部門ね。決勝戦、残っているのは……?!

 

「あれってレインさんかも?!」

 

 どういうこと?! コンテストはよく知らないとかいってなかったっけ?!

 

 うそぉ……あのルッチーと互角の勝負をしてる。あっ! 勝っちゃった!

 

 どういうことよ! というかこれまでの結果は?

 

 かっこよさ:ルチア

 かわいさ:ルチア

 かしこさ:レイン

 たくましさ:???

 うつくしさ:???

 

 ありえないかも!? レインさん、かっこよさ・かわいさ・かしこさ、全ての部門に挑戦してる!! チャンピオンはもう目指してないの?! もしかっこよさ部門とかで私が出場していたら大会に出場する度に毎回決勝の最後にルチアとレインさんの両方と対決しないといけないの!? なにこれなにこれ、どうなってるの!! ルッチー並みのコーディネーターがいきなり増えるなんてきいてないかも!

 

 いや、待って! 落ち着くのよ。自分が出るのは何? そう、うつくしさ。だったらこの2人がそれ以外の部門でどれだけ暴れようと自分とは関係ない。部門転向はすごく勇気がいる決断だったけど、やっぱり正解だった。この2人を相手にしなくて済むなら、こんなにうれしいことはない。

 

「ピィカ?」

「だいじょうぶ……もう落ち着いた。うん! 絶対勝てる! だからわたしを信じて!」

「ピィカ♪」

 

 よし、ちゃんとリラックスできてる。コンディションもバッチリ。私は私にできるベストパフォーマンスを出すことに集中しないと……。

 

「たくましさ部門、優勝はレイン選手とシスイ選手!」

「……レインさん、マグレ勝ちじゃないんだ」

 

 ルチアが1つ負けることならたまにあるけど、2つ以上負けているところは見た記憶がない。レインさん、何者なの?

 

 気にはなるけど、今は自分のことに集中しないといけない。次はいよいようつくしさ部門。私もステージへと上がった。参加者がズラッと並ぶ。

 

「さぁ、いよいよ大詰め! ラストを飾るのはうつくしさ部門! 今日集まったコーディネーター達はコチラ!!」

 

 ゲェェ!? レインさん!?

 

 ん? んんん?!……あれって、ルッチー?!?!

 

 なんでなんでなんで!? 5部門出場……ってコト?!?!

 

 コンテスト会場も騒然としている。こんなこと前代未聞だ。5部門に出場するコーディネーターなんて見たことないのに、それが2人もいて、しかもその2人で優勝リボンを独占している。

 

 ありえない、ありえない、ありえない!!

 

 も、もうダメかも……。

 

 いや、嘆いていても始まらない。大事なのはとにかくベストを尽くすこと。今できる私の最善はとにかく決勝に残ること。私は優勝するつもりでムロまでやってきたんだ。少なくともレインさんやルチア以外には最初から負けるつもりはない。少なくとも決勝まで進むことは十分可能なはず。

 

 まずは1次審査! 私は極限までコンディションを高めてる! 頑張ってポロック作りは「目押し」したんだから負けるわけない!

 

 審査が始まった。んん~~! 自分の眼でも判断できるようになってきたけど、公平にみればちょっと届いてない気がする。レインさんのウインディはうつくしさに特化して完璧なコンディションに整っているし、ルチアのチルタリスはどういうわけかあらゆる項目が超ハイレベル。一点集中の私より上かも。

 

「おっと?! これは珍しい!! 次はカノン選手とラティアスのペアです!」

「ラティアス?! ものすごく珍しいポケモンかも?!」

 

 どういうこと?! 普通珍しくて強いポケモンはポケモンバトルでチャンピオンを目指すものなのに。うわぁ……すごいコンディション!! チルタリスより上かも。まだこんなコーディネーターが隠れてたの? もう勘弁してよ……。

 

 ううん! 諦めちゃダメ! まだ決勝の4枠には十分入れる。私は私のするべきことをしなきゃ!

 

 1次審査は上々の感触。続いて2次審査!

 

「にほんばれ! かえんほうしゃ!」

「ヴォウ!!」

「うたう! ほろびのうた」

「チルル~~!!」

「なみのり……ダイビング……」

「ヒュアアアン!!」

 

 うわぁ、全員見事な技の組み合わせね。ルッチーってうつくしさも技のレパートリーがあったんだ。私もうかうかしてられない! 気を引き締めないと!

 

「マダム? リラックスよ」

「ピィカ」

「ひかりのかべ! フラッシュ!」

 

 う~~ん……ちょっとイマイチだったかも。あの3人ほどは盛り上がってない。

 

 このままちょっと厳しいかも。

 

「決勝に残ったのは~~!! この4人だぁ~~!!」

 

 ルチア レイン カノン ハルカ

 

「ギリギリセーフ……」

 

 なんとか4位滑り込み! とりあえず今回はこれで十分ね。

 

 あとはこの決勝戦、やれるだけのことはやってみよう。そうなると、私はどう立ち回るのが正解なの?

 

 まず、私が対戦相手の3人のうち、誰か1人にでも狙われるような展開になった場合、これはもうその時点で望み薄かも。だったらこのときは潔く諦めましょう。

 

 勝つ可能性があるとすれば、それは3人が潰しあいをして、かつ、私が下ごしらえをじっくりできたとき。

 

 でも、この3人はきっと私が漁夫の利を狙うことは許してくれない。だから、状態を整えるのはバトルの状況を見て、隙ができたときにタイミングを合わせるしかない。そして、私はこの3人のうち誰かが頭1つ抜け出そうになったらそれを咎めるような立ち回りをしていくべき。そうすれば、残りの2人は私を邪魔な存在だと思わなくなる。

 

 例えば、ルッチーが“りゅうのまい”とかで能力をあげようとしたら、私はそれを全力で阻止! そして3人が相打ちで戦闘不能になる瞬間ぐらいを見計らってこうそくいどうで能力をあげていく。これしかないかも。

 

 やることは決まった。あとはお祈りするだけかも。

 

「試合開始ィィ!!」

 

 とうとう始まった! バトル開始と同時にラティアスが動き出す。

 

「みずのはどう……」

「にほんばれ」

「りゅうのまい!」

 

 ラティアスの“みずのはどう”がウインディを狙うけど、“にほんばれ”で威力が軽減。さらに2人が戦う隙にチルタリスは能力上昇を狙っている。

 

「つららおとし!」

「え!? 中断して躱して!」

「チルッ!」

 

 躱された!? なんて機敏なの!! でも能力上昇は防げた。こっちのポイントは減っちゃったけど、チルタリスも技が失敗しているのでポイントを減らせている。今の攻防で得をしたのは“みずのはどう”を当てたラティアスだけか。

 

「れいとうビーム……」

「おにび」

「かえんほうしゃだよ!」

 

 上手い!! なんて攻防なの!!

 

 攻撃しあっていたと思われたラティアスとウインディが一転して息の合ったコンビネーションでチルタリスに襲い掛かる。“おにび”があたれば状態異常を引きずることになるけど、“れいとうビーム”を受けるわけにはいかない。すごくイヤな2択。でも、ルッチーは“おにび”をまるごと“かえんほうしゃ”で飲み込ませ、その威力を増しながら“れいとうビーム”を相殺させてしまった。なんて機転なの!? しかも、この“かえんほうしゃ”って“にほんばれ”まで利用しているかも!?

 

 このままだとルッチーがまた優勝してしまう。絶対に好き勝手はさせない!

 

「おんがえし」

「チルッ!!」

 

 “おんがえし”はどの部門でも盛り上がりが期待できるジョーカーみたいな技。“つららおとし”もうつくしさで使えるけど、それだとチルタリスを弱らせ過ぎてしまうし、技を外すリスクも高い。ここは手堅くポイントを稼いでおくべき。現状私達が1番ポイントが低いから、序盤でどんどん稼がないと!

 

「チルル! れいとうビーム!」

「右……フラッシュ……」

 

 うっま!! 体を右へ移動しながらフラッシュで躱した! フラッシュ成功でポイントを稼ぎつつ、相手は技を外して減点! さらにフラッシュでチルタリスの視界が塞がれたことで周りからチルタリスへ追撃するように誘導している!

 

「ラッキー! りゅうのはどう!」

「チルッ……」

 

 よし! 今はヘイトがチルタリスの方へ集中してる。私は変に他の人は攻撃しないで、自然な流れで便乗しましょう。ただし、チルタリスへはダメージを与えすぎないようにね。

 

「おんがえし!」

「チルッ!」

 

 集中狙いしちゃって心苦しいけど、これも作戦かも。

 

ここまで上手く私へ攻撃を向ける展開は避けられている。やっぱりこの中では私へのマークは薄いみたいだし、こうなると、案外最初の脱落はルッチーになりそうかも。

 

「じしん……」

「それいいね! チルルも一緒にじしん!」

 

 えっ!? ダブルじしん!? ピカチュウには弱点なんだけど!?

 

「グレンこうそくいどう!!」

「……こっちもこうそくいどう!!」

 

 なるほど! 2体からのじしんは両方よけるなんて絶対無理。そしてこっちから反撃すればラティアス、チルタリスのどちらを狙っても攻撃した相手としなかった相手に体力面で差が大きくついて一気に抜け出す展開になる。それは望むところじゃない。だからレインさんは能力を高めたんだ。

 

 もしかして、私が同じように能力を上げようとすることまで読まれてる?

 

 ううん、別に読まれてもいい。私達にとっても流れに乗じて能力アップできるのは大きいから。

 

「ガウ?!」

「ピィカァ……」

 

 とはいえこのダメージは大きいか。弱点攻撃が2回。なんとか耐えて!

 

「あさのひざし!」

「うたう!」

「ゲッ!? 催眠かよ!!」

「とっておきだよ? しかもチルルは歌姫だから全体に効いちゃうよ?」

 

 えっ!? 全員眠らせるつもり!?

 

「かげぶんしん!」

「しんぴのまもり……」

 

 なんとか私とラティアスは躱した。でもウインディは眠ってしまった。

 

 恐ろしい攻撃ね。でも、たぶんこれは切り札というよりも、リスクが大きすぎるんでしょうね。技を躱されるリスクが大きい。実際、今の攻防でチルタリスのポイントはむしろ減点されちゃってる。

 

「なみのり」

「じしんだよ♪」

 

 うわぁ、レインさんへ集中攻撃だ。そっか、催眠は外すのは痛いけど、1体でも眠らせることができれば標的をそっちへ誘導できる。ずっとチルタリスは狙われる側だったから、ポイントは犠牲にしたけどこれで標的を逸らすことができたわけか。

 

 しかもルッチーはさりげなく私まで攻撃してくる。私からヘイトをかっても問題じゃないと思われてる? なめないでよ?

 

「つららおとし!」

「あっ!? そういえばアナタはそんな技が使えたんだった! 中断してはねやすめして!」

 

 また中断!? 普通そんな指示上手くいくわけないけど、あのチルタリスは平然と技を変更して対応している。今のがクリーンヒットすれば倒せていただろうけど、まぁ仕方ない。こっちも“じしん”を当てられたらそろそろキツかったし、お相子ね。

 

「ひざし、弱くなった。もっと“みずのはどう”……」

「起きろ! グレン!」

「zzz……」

「……ラティアスにでんじは!」

「ありがとね! じゃあ“れいとうビーム”で援護だよ」

 

 今、私は少し出方を伺っていた。ルッチーが何か技を使おうとしたらまた後出しで“つららおとし”をするつもりだったけど、それはルッチーに読まれてしまって少しの間、膠着状態になってしまった。せっかくレインさんのウインディが眠っているのにこの時間をムダにはできない。渋々標的をラティアスへ向けると、やはりルッチーも乗っかってくれた。この人、ヘイトコントロールが本当に上手い。こっちの心理を的確に読み切っている。

 

「……リフレッシュ」

「つららおとし!」

「はねやすめ」

 

 うわっ!! サイアクかも!! 今度は私にだけラティアスに攻撃させて自分はちゃっかり回復! タイミングが上手過ぎかも!

 

 ラティアスの麻痺は治ってしまったし、敵の3体はどれも体力が残り半分ぐらいある。ポイントはウインディが1番少なくて、ラティアスが少しだけ多い。

 

「起きろ!」

「ガウ!?」

「みずのはどう」

「りゅうせいぐん!」

 

 “みずのはどう”はウインディに当たり、“りゅうせいぐん”はラティアスに直撃。ウインディは目が覚めたけど今度は混乱状態。ラティアスは横やりですごいダメージを受けている。ルッチー恐るべし。

 

「オーバーヒート!」

「じしん!」

「れいとうビーム……」

 

 ウインディは混乱して自滅、しかも技の失敗でポイントがなくなってリタイヤ!! さらにラティアスの“れいとうビーム”でチルタリスが気絶した!! “じしん”は不発!!

 

 なにこれ?! いきなり私とラティアスの一騎打ち?! しかもこっちはまだ攻撃を繰り出していない……。

 

 この試合最大のチャンスが巡ってきた!!

 

「渾身のつららおとし!!」

「ヒュアアアン!?」

 

 効いた!! でも倒れないか……。ポイントもあと少し残ってる!

 

 ここでラストスパート!

 

「じしん……」

「つららおとし!」

 

 技を出したのはほぼ同時! たぶん先に当たった方の勝ち! お願い、間に合って……!

 

 お互いの体力もポイントも尽きてしまった。あとはどっちが早かったのか、勝敗は判定に委ねられた。

 

 お願い、奇跡起きて!!

 

「……んんんっ!! 勝者! ハルカ選手とマダムピカチュウ!」

「か……勝った?」

 

 なんで? 信じられない。能力はラティアスの方が高いのは間違いない、なのにどうして?

 

 あっ!! そっか、“こうそくいどう”だ!! 私も忘れてた!! あれが最後のスピード勝負で活きたんだ。振り返って見れば途中で私がうつくしさの盛り上がりを稼いでいたのも大きかったかも。最後までポイントがなくならなかったのは“つららおとし”や“おんがえし”でこまめに稼いでいたのが大きい。地道な立ち回りが最後にちゃんと活きた。

 

 いや、そもそも私が全然他の3人から狙われなかったのがやっぱり1番大きかったかも。他の人みたいに3人から集中攻撃を受ける展開になっていたら絶対に勝てなかった。本当にラッキーだったかも。

 

「さすがだな」

「あ、レインさん?」

「驚いたよ、お前がまさか、うつくしさ部門で出てくるなんて」

「えっ?」

 

 どういうことか聞こうとする前に今度はルッチーがやってきた。

 

「すっごいよ! ハルカ、あなたって最高ね!」

「ええっ!?」

「あなた、ミクリおじ様を超えるつもりなのね」

「ミクリ様?」

「そう。言わなくてもわかるわ。わざわざうつくしさ部門に絞って、しかも私やレインと真っ向から戦って勝つんだもん。私、すごく興奮しちゃった」

「その志の高さ、旅立ちのときからずいぶんと成長したようだな」

 

 あれ? なんかみんな、すごく勘違いしてる?

 

 そういえばもう一人いた対戦相手は? あ、いた。

 

「……」

「あ、あの……」

 

 この子はずっと私のことを見つめている。無言で、微動だにせず。見つめるというより、瞳の奥を覗き込むような迫力がある気がする。なんかちょっと怖いかも。

 

「なぁ、この後ヒマだったらいいモンあげるからちょっとついてこいよ。優勝祝いだ」

「あ? もしかしてあそこに呼び込むつもり? 聞いたよ~~レインがオーナーになったんでしょ? それでコーディネーターご用達のお店になったんだ」

「良かっただろ? ハルカも損はさせないから、ついて来なよ。俺やミクリを倒そうっていうなら、良いポロックはいくらあっても足りないだろ?」

 

 なんかすごく勘違いされてるけど、訂正しにくいかも。

 

 結局流されるままレインさんについていくことになった。

 




色々カオス回
次回同じ部分をレイン視点で進めます
バトルを両者視点で書くのも面白いなぁと思い試験的にやってみています

いつまで経っても完結しないので展開をもっと速くしようと思っていますが、今回は2話使います()

今後は大事なバトル以外は適宜ダイジェスト的に流してどんどん進めたいと思ってます
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