わからない単語はググりましょうね、カオスとかイリュージョンとか
途中ブルーに視点変更して一人称が変わるところがあります
見たらわかるでしょうが一応ご注意を
一人称チェンジは今後ちょくちょく出てきます
翌日、俺は約束の手帳を取りにポケセンへ向かった。どうにも気になるらしくブルーも一緒にいる。我慢できず、とうとうブルーが何をもらうのか聞いてきた。
「ねー、教えてくれてもいいじゃない」
「大したもんじゃない。それにお前はもう持っている。お前の想像しているようなものじゃない」
「え、そうなの? わたしが持っていてシショーが欲しいものなんてあるかしら……なぞなぞみたいね」
「レインさん、おはようございます。例の物はこちらに」
ブルーがいらんことを考え始めたところにちょうどジョーイが声を掛けてくれたので上手く流せた。
「ジョーイさんおはよう。たしかに受け取った。それじゃ、俺達は次の町へ行く。世話になったな」
最初は目ん玉節穴とか散々悪態をついていたが、事件後の働きぶりでかなり見直した。
「次はハナダの方へ行くんですか? 途中にはおつきみやまという難所があるので準備はしっかりした方がいいですよ」
ブルーもなぞなぞの方は関心を失ったらしい。話に乗っかってきた。
「いや、シショーはそっちから来たからそれはないんじゃないの。たぶんトキワ……でも今はジムリーダーが留守で、グレン島まで行かないとジムはないわよ。どうするの?」
「ブルー、よくわかっているな。けど外れだ。どっちにも行かない。行先は決まっている。トキワはリーグへ行く最終地点だからハナッから最後に回すつもりだったし、来た道を戻る気もない。一筆書きでカントー地方を回るつもりだからな」
「でも、前も後ろも行かないなんて、いくらなんでも無理なんじゃ……」
「なるほど、ディグダのあなを使うんですね! それならいいことを教えてあげますよ。あそこには乗り板というものがあるんです。それで……」
◆
ジョーイから有益な情報を得て、その場所に向かった。ブルーは初めて知ったらしく、地元の人間でも知るものは多くないらしい。旅人の話をよく聞くジョーイは知っていたが、逆に俺が知っていることに感心していた。そして俺の知識とも少し違うところがあった。乗り板だ。
「ほんとにこんなところにそのなんとかっていうのがあるの? 周りには木しかないけど」
「この辺にあるのは間違いない。ん? なるほど、こっちか」
ディグダを見つけた。俺のサーチの範囲は視界の範囲に加え、障害物を超えて50M程あるのは今までの経験と実験からわかっている。ポケモンが見つかれば洞窟も見つけられるっていう寸法で、見事目的地に辿り着いた。
「すっごーい! ホントにあった!」
「俺が先に降りるから、後からついてこいよ」
「あっ、ダメよ! わたしが先に降りる! シショーは待ってて」
「お前が先? 大丈夫か? ドジって落っこちたりするなよ?」
「だ、大丈夫よ、これぐらい。うわっ!」
降り始めてすぐ、はしごから足を踏み外して見事に落下。地面まではまだ高さがある。前もってそんな気がしていた俺は即座に落下地点へグレンを出した。
「ガウ!」
「受け止めてあげて」
見事にブルーをキャッチ。危なっかしいな。運動神経はいいのにドジッ子だな。俺も後に続いて下に降りた。
「た、たすかった……」
「よっと。ったく、おっちょこちょいのくせに無理するな」
「ううっ、バカー! だって、わたしが後で降りたら下から見えちゃうじゃない!」
そういってスカートを抑えるのを見てようやく合点がいった。そんなことするわけないだろ……でもさすがに不安にもなるか。
「そういうことか。それならそう言え、というのは無神経過ぎるか。悪い悪い」
「なんでもわかるのになんでこういうことは気づかないのよ! ホントにもうっ」
本気で怒ってるなぁ。これは一応謝った方がいいか。
「そういうなよ。本当に反省してるから。じゃあ、ここを出たらなんかおごって…」
「よーし、さっさとこんなところ抜けちゃうわよー!」
調子のいい奴だな。女の子らしいところもあると思ったらこれだからな。
「さて、これが乗り板か。たしか話じゃ、ここのポケモンはきのみをやればそれに応じて俺達を運んでくれるって言ってたが、どうやってやるんだ?」
「とりあえず進みましょう。これ持って進んでいけば何か……きゃっ!」
「戦闘かっ! いや、そうか、これを持って進むと出てくるのか。じゃ、これを渡せば」
乗り板はけっこうスペースがある。途中で落ちることはまずないだろう。これなら大丈夫か。ザロクなどの高級きのみを渡すといきなり俺達を乗り板に担いで、凄まじいスピードで進み始めた。
「ヤバイ! すぐに何かにつかま……うげっ!」
「あっごめん。思わず首つかんじゃった、テヘ」
「ゲホゲホッ! てんめぇ……覚えてろよ?」
「わたし忘れっぽいからすぐに忘れるわ」
二度とブルーとポケモンには乗らないと決めた瞬間だった。木の実のおかげかあっという間に反対側に着き、1日かかると聞いていたのが半日もしないうちに着いてしまった。揺れも最初以外は思ったよりは少なく、少しブルーに種族値の話などをして時間を潰していた程だ。洞窟を出た後は本当にデザートをおごらされ、ブルーは好き放題食い散らかした。
「どうりでディグダってあんなに速いんだ。でも体力はないから次々代わっていくと。ディグダのことはもう絶対に忘れないわね」
「それはけっこうだが、お前……どれだけ食べれば気が済むんだ? おごりだから食べれる時に食べとこうとか思ってないか?」
「な、何を言っているのかわたしにはさっぱり……」
「しょーがない奴だな。それだけ食い意地張ってるのに、よくその体型を維持できるな。不思議だ」
「えへ、わたしって昔っからあんまり太らないのよ。すごいでしょ?」
あ、こいつ体質だとか言ってかなり油断しているな。代謝の激しい子供のうちはいいが、年を重ねるごとに……見物だな。
「ほう、そうか。じゃ、油断しているといきなり太りだす可能性はあるな。これは見物だ。楽しみにしておこう」
「ちょっと、変なこと言わないでよね! わたしは成長期だからたくさん食べてもいいんですよーだ」
「はいはい。せいぜい今のうちに英気を養っておけ。この後時間があるからすぐにジム戦に行くからな」
それを聞いていきなりブルーが食べていたものを俺の方へ飛ばしてきた。
「ぶはっ! 聞いてないわよ!」
「汚い! 口にもの入れたまま大声でしゃべるな! 行儀悪いなぁ。ジム戦行くのは今言ったからいいだろ。あと、楽な勝負になるとは思うなよ? もうレベルは30近い。ランク2じゃ勝てて当然。経験値的にもおいしくない。お前はこれからずっとランク7と勝負してもらう」
すると今度はちゃんと飲み込んでから言った。
「ばっ、んっ、バカ言わないでよ! そんなのいきなり勝てるわけないじゃない! レベルが高いのが救いだったのに相手が自分よりレベルが上だったら勝てっこないでしょ! それに、まだバトルのことは何にも教えてもらってないわよ! あっ、もしかして何か秘策みたいなのがあるのね! それならそうと最初から……」
「甘えんな!」
「えっ!」
ブルーは何も分かっていないらしい。これからのことも思えばここではっきり言っておかないといけない。
「お前勘違いしているな。俺はな、何でもかんでも一々手取り足取り教えたりしない。あくまで今までのは補助輪。先を急ぐだろうし、お前だけじゃどうしようもない部分だから、仕方なく結論を先に教えただけ。これからは自分で強くなれ。そもそもジムというのはな、トレーナーが成長するための試練なんだ。楽をして勝とうとするな。甘えた考えは捨てろ。厳しいようだが、これからも旅の試練は自力で乗り越えろ。おんぶにだっこじゃ、いずれすぐに頭打ちになるのは明白だ」
「それは、そうかもしれないけど……でもわたしはシショーとは違う……そんな怒らなくてもいいじゃない……わたしはシショーに教えてもらうのが嬉しかっただけなのに……」
急に涙目になり戸惑ってしまった。別に今のはそんなに強く言ったつもりはなかったけど言い方がきつ過ぎたのだろうか。暴走族とかには常にこれぐらいだったんだが。いや、この年頃だと年齢が少し違うだけでも年上を大きく感じるし、威圧感があったのかもしれない。すぐに反対の席に回って涙を拭いて慰めてあげた。
「あー、いや、ごめん、別に怒ってるわけじゃないから。ブルーには1人で頑張ってもらいたいと思って、その方が将来的にはブルーのためになるからさ。言ってることわかるな?」
「うん」
「ブルーは賢い子だな。それじゃ、今回は仕方ないからランク5ぐらいから始めよう。ちょっと温過ぎるけど、いきなり無理させるのもよくないな。あと、わざわざ格上を倒すのはもっと別の意味もあるんだ。ブルー、ボスゴドラ事件のときなんであんなに急にレベルが上がったか考えたか? あれは格上との戦闘をかなりこなしたからだ」
「ほんとに? でもわたしの方は大して戦ってないような」
「それでも上がった。つまりそれだけ格上を倒す経験値は大きい。だから俺はそれに拘る。ブルーもこの勝負に勝てば一段高みに近づけるだろう」
本当のカラクリは少し違う。経験値は倒れたポケモンの周りにいるポケモンに均等に分散される。実験で検証済みだ。だから近くにいただけでも敵を倒しまくったアカサビと同じぐらい経験値を得られた。敵を引き付けるように、つまり離れないように指示をしていたのもそのためだ。ブルーに説明してやることはないけどな。
「わかった。ランク5ならなんとかなりそうだし、頑張ってみる」
「ま、期待せずに見ててやるよ。だから気楽に行け。大事なのは勝ち負けより全力を尽くすこと。使えるものは何でも使ってな」
ジム戦の話を聞いて食欲が失せたのか、その後すぐにジムへ向かった。ちょっと食べ物が喉を通らないところは見ていて申し訳なく思った。意外とブルーはおくびょうというか、メンタルが弱いところがあるらしい。一心不乱になると意地でもやり通す根性があるんだがなぁ。これからは注意しよう。
看板はどうだ? イナズマアメリカン、か。そういやそんな感じだったな。手持ちはライチュウとかだったな。今回はアカサビはお休みか。あとは順番。ライチュウは後に来そうだし、そこにイナズマをあてたいから……決まりだな。作戦会議終わり。ブルーの方はもっと悩むだろうな。
「こんにちはー、ジム戦に来たんですが誰かいませんかー?」
「あん? ぼうやがチャレンジャー? こりゃまたずいぶんちっこいのが来たね」
「この人がジムリーダーなの? なんか中の雰囲気といいギャングのアジトって感じなんだけど。この人もヤンキーっぽいし」
そもそも俺は身長低くないんだけど。子供だって言いたかったのか?
「おや、もう一人お嬢ちゃんもいたのかい。安心しな。あたしはただの見習いだよ。ただし、うちのボスはもっとおっかないけどね」
「ひいい!」
「おい、あんた。あんまりこいつを脅かさないでくれ。たしかに見た目は怖そうに見えるが、マチスは軍人、ギャングみたいなことはしないだろ?」
「あら、よく知ってるね。今のは軽い歓迎のあいさつみたいなもんさ。受付なんてつまんない仕事をしているあたしの唯一の楽しみなんだ。多めに見な」
「趣味の悪い楽しみだな」
ここってわざとそういう雰囲気作っていたのか。意外な発見に事欠かないな、この世界は。
「なんだ、脅かしてただけなのね、よかった」
「Oh,boy and girl,welcome to Vermilion gym! 歓迎するぜ」
「ひいい! めっちゃいかつい人きたー! シショー、話が違うじゃない!」
「話聞いてたか? この人は元米軍兵士。喧嘩ならギャングみたいなゴロツキより強いに決まってるだろ。何聞いてたんだ?」
「うっそー!」
俺がびっくりしたぞ。こいつ普段は話半分に聞き流しているみたいだな。
「ヘイ、ユー! ジム戦だろ? どっちから始めるんだ? それとも、いまからシッポをまいてかえるかい、ボーイ?」
それあんたじゃなくてドラゴン使いの奴のセリフだろ。別にいいけどさ。
「冗談よせよ。戦場で敵に背を向けて逃げる奴がいるか? 後ろから射殺されるのがオチだ。俺もこいつも逃げも隠れもしない。まずは俺からだ。楽しませてくれよ?」
「威勢のいいボーイだ。オーケー、すぐに準備しよう。ブツを出しな」
ブツ……トレーナーカードのことなんだろうな。そんなところまで、芸が細かいな。
「ランクだが、俺は7を希望する。いいだろ?」
「Why? ミーのポケモンはベリーストロング! 戦場においてはネバールーズ! ランクを上げてミーに戦いを挑むなんてユーは身の程知らず。ユーはミーのこと舐めてないか?」
「前のジムでもランク7に勝てたからな。単なる自信過剰ではなく、根拠のある勝負をしてるのさ。なるだけ強いポケモンと戦って経験を積みたいんでな」
「Strange。エキセントリックなボーイだがまあいいだろう。その言葉を信じてやろう。ユーも敵のソルジャーみたくビリビリシビレさせるぜ! Go ahead! リングへ上がれ」
「そう来ないとな。ブルー、お前は向こうで見てろ」
「う、うん」
「ルールの確認だ。お互い2匹ずつ、チェンジはユーだけ。オーケー?」
「わかった。さあ始めようぜ」
今回は分析能力なしでやってみるか。自分の知識を頼りに戦う方法をあいつに見せてやるためにな。チラッとブルーを見た後、ボールを構えた。バトル開始!
マチスはまずエレブーを出してきた。こっちはグレン。エレブーなら両刀もありえるし能力は読みにくい。いきなりめんどいのが来たな。アナライズを使ういつもなら苦労しないんだが……。
「10まんボルト!」
「かえんほうしゃ」
技名もわかりやすく言うことにした。今回だけだが。技は相殺。特攻は同じ程度か。かといって特性が“せいでんき”だからうかつには近づけない。しばらく遠距離で様子見か。
「ひかりのかべ」
「壁張り……! こうそくいどう」
交代でもいいが、劣勢でもないしグレンでゆっくり料理しよう。
「スピードスター」
「おにび」
まずはやけど。不一致の“スピードスター”は当たるがダメージは小さい。
「避けられないならせめてやけどに、ということか。ならでんじは」
「攻撃範囲が広いな。まもる」
なんとか凌ぐが“まもる”後の隙を狙って“かみなりパンチ”を打ってきた。ここでってことは得意技か。物理が本命とみた。早めにやけどにしたのは正解だったな。やけどだと攻撃力が半減することは正確には知られていない。物理と特殊の区別がないから当然だが。それが効いている。
“かみなりパンチ”がメインならやはり壁は近距離戦闘へ誘う罠。“しんそく”で距離を取って“しんそく”の反動の間にすかさず“みがわり”を張った。相手は突然の“しんそく”に驚いて追撃はない。距離も十分空けているしな。その後も避け続け、“でんじは”が来たところで攻勢に出た。
「効果がない、Why?」
「そんなことより、そろそろ時間だぜ?」
「時間? Oh,My God! ひかりのかべが!」
「オーバーヒート!」
直撃。しかしこれを耐えられてしまう。が、まだ“みがわり”はある。まひは怖いが“かえんぐるま”で強引に追撃。“かみなりパンチ”を受けるが今度こそ仕留めた。まひもない。
「やられたか。攻め際と引き際の判断がいいな。レベルで勝る相手にこのエレブーが負けるとは。Great。ところで、ひかりのかべの効果は知っているのか?」
この世界での壁の認識は気になって効果を調べたが単に“ひかりのかべ”なら遠距離技が半減、と説明されてた。そういう雑な認識らしいから、それに合わせて言っておく。
「無論知っているが、あれは誘ってんだろ? おそらくそいつの得意技は使うタイミングを見る限りかみなりパンチ。その壁で遠距離技を封じ、自分の間合いに誘い込みつつ、あわよくば特性のせいでんきでまひも狙う。そういう戦略だろ?」
「HAHAHA! そこまでバレているとは、恐れ入った。大言を吐くだけのことはあるぜ。だが次はそう簡単にはいかない、ミーのFavorite,Go,ライチュウ!」
「やっぱりそいつか。こっちはこいつだ! いけ、イナズマ!」
「サンダースか、まさかでんきポケモン勝負をこのライチュウに挑むとは。まったく生意気な奴だ。面白い、受けてやるぜ」
粋に思ってくれるのはいいが、自分の技が殆ど通らないのに気づいているのか? “ちくでん”はライチュウにはガン刺さりする。どうくる?
「でんこうせっか」
「あくび」
ダメージは負うが“あくび”が入った。ラス1催眠の恐ろしさを思い知れ! まぁ相手はラス1でなくっても交換できないんだが。時間を稼いだ後、ライチュウはぐっすりおやすみ。イナズマは“こうそくいどう”の後“めざめるパワー”の連打。あとは圧倒的な素早さでかき回して起きてからも攻撃を掠らせもせずに勝利した。
「……ユーは恐ろしいトレーナーだ。こんな方法でやられるとは」
「何言ってる。戦争で正々堂々真っ向勝負をするなんてバカのやること。いかに相手が行動できないようにするかがバトルの基本だろ?」
「わかる、言うことはわかるが釈然としない。ジムを始めてそれなりになるがこんなに理不尽なバトルは初めてだ」
うなだれるマチスに首を傾げているとブルーがやってきて……
「シショー……今のはないわ」
ブルーにまでドン引きされた。
◆
いよいよ、ね。わたしの番がきた。シショーがあんなことをしたおかげで気が抜けたけど、緊張もほぐれたかも。もしかしてそれも狙って……はないわね、あの顔だし。動けない敵をいたぶるのも楽しそうに……絶対にあれはS。シショーの言葉だと、Sに極振りね。
……もちろんイナズマちゃんの速さのことよ。
「こっちは準備OK。かかってきな、プアリトルガール?」
「むぅ! わたし、たしかに金欠気味だけど、貧しくはないわよ! しっつれいね! なめないでよね! 行くわよ! ピーちゃん!」
「……? Go,レアコイル!」
レアコイル? 何これ、見たことない。でもやってやるわ。さっきはわたしが弱音を吐いたせいでシショーを失望させちゃっただろうから、絶対ここで挽回してやる!
「行くわよ、まずは速攻、つばさでうつ!」
カキンッ!
でもその攻撃は弾かれて、空中でバランスを崩してしまった。これはマズイ!
「でんげきは」
「避けて!」
でもさすがピーちゃん、すぐに立て直してうまく躱した。
「今度はでんこうせっか……危ない!」
攻撃しようとしたところで後ろから攻撃が当たり、驚く間もなく続けて“10まんボルト”が直撃。戦闘不能になってしまった。
「うそ、どういうことなの!」
「ユーはさっきのボーイと違ってまだ経験が浅いな。でんきポケモンの恐ろしさをわかってないらしいぜ」
「どういうことなの?」
「ユーが最初に避けたと思ったのは“でんげきは”。ミーの研究した最高の技だ。この技は放たれたら最後絶対に避けきれない。躱すのは最悪の指示だ。しかもレアコイルは“はがね”タイプを併せ持つカントー唯一のポケモン。ほとんどの技がこうかはいまひとつで、特にひこうタイプはほとんど効果がない」
「そんな! はがねタイプついてるのっ!? 反則よ! しかも絶対避けれないなんてどうしようもないじゃない!」
このレアコイルってポケモン、めちゃくちゃ強いじゃない! わたしも欲しい!
「HAHAHA! 諦めるならいいぜ、とっとと帰んな。実力もないのにランク5に勝とうなんて諦めるんだな」
くうう! 悔しいけど、今のわたしじゃやっぱり無理よ。
「諦めるなっ、ブルーッッ!!!」
びくっと体が跳ねた。すごい大声、今のシショーよね。こんな大きな声も出すんだ。そんなイメージなかったからびっくりした。
「シショー?」
「お前なら勝てる。もっと自分とポケモンを信じろ。そんなんじゃ、一生何もできず逃げるだけで終わるぞ。負けてもいい。だから最後まであがいてみろ」
そうだ、諦めたら終わり。しかもまだ万全のフーちゃんも残っている。わたしどうかしてた。もう一度目の前を見る。不敵な笑みを浮かべるジムリーダー。こんな奴、シショーに勝負をふっかけるのに比べれば全然マシ!
「いい面になったな。どこまでやれるか見てやるぜ」
「見てなさいよ! その余裕、すぐに剥ぎ取ってやるわ!」
闘志を漲らせているとシショーから呆れた声でツッコミが来た。
「あのなぁ、ジムリーダーは試す立場だから余裕なのは当たり前だ。それより、お前はもっと頭を使え。今までなんのために俺にくっついてきたんだ? さっきまでお前は何をしてたんだ?」
その言葉を聞いてはっとした。もしかして先に戦ったのはわたしのために倒し方を見せたのかも……よく考えたらトレーナー相手に技名をちゃんと言っているところは初めて見た。いつもは変な数字をむにゃむにゃ言うだけなのに。気まぐれかと思ったけど、あれがわたしのためだとしたら? そういえばニビでもシショーは色々しゃべっていた。その中にイナズマちゃんの話の中で、でんきポケモンの話をいろいろ言っていた!
ぐるぐると回る思考。1対2だけど、まだやりようはあるわ。思考を終え、なんとなくあの人の方を向くと笑っていた。やっぱり合っていたんだ。その顔を見ただけなのに、不思議ともう負ける気はしなくなっていて、もう勝たなきゃダメっていうさっきまでの変な気負いなんかは全て忘れていた。
「待たせたわね。フーちゃんいくわよ!」
「フシッ!」
元気よく出てきたフーちゃん。目を合わせただけでもう考えていることも伝わってくる。この勝負、暴れるわよ!
「バトル開始!」
「でんげきは」
「受け止めてしびれごな!」
いきなり来たわね。でももう慌てない。何も避けるだけが全てじゃない。あえてわたしはそれを受け止めさせ、その後“しびれごな”を使った。
「レアコイル!」「ビビビッ」
いきなりしびれてる! 今がチャンス!
「やどりぎのタネよ」
「しまった!」
この技は当てるのが難しいけど、動けない敵なら簡単に当てれる。そして当てにくい分効果は強力。これで鉄壁の守りを崩す。
「エナジーボール」
「10まんボルト」
相打ちか。でも、これでいい。時間が経てば経つほどわたしが有利。
「甘いぜ、でんじほう」
「それって、ヤバ! まもる!」
緊急回避。この技はさすがに知っている。当たったら必ずまひしちゃう高威力のヤバイ技。もう1回来たら厳しい。“まもる”は連続では使えない。
「ビビビッ」
「ガッデム! よりによって今しびれるとは」
「ラッキーッ、エナジーボール!」
直撃! こうかはいまひとつだけど“つばさでうつ”よりはだいぶ効いている。何倍も効いているわね。そうか、これが防御と特防の差ね。この技は特攻が高いフーちゃんのための技。ピーちゃんはすべて物理。ということはあいつは防御が高いのか。はがねタイプは物理防御が高いポケモンが多いのかも。Sランクのホウエンのポケモンもそうだったし。
「マグネットボム」
「周りを囲まれた! くう、エナジーボール、本体にぶつけて!」
この技もなんか避けれないとかありそうだし、ダメージは痛いけど相手を削っておくべきね。シショーも無理なときは避けずに相手に技を当てたりしていた。ここもそう。もうあと一息。
「ビビー」
しめたわっ! またしびれたわね。ほんとわたしってツいてる!
「ふふ、しびれたわね。フーちゃん、トドメよ! やっちゃいなさい!!」
「フシーッ!」
直撃。予想通り限界だったようね。まずは1体目。でも安心できない。こっちは消耗しているし、相手のポケモン次第……。
「ナイスバトル、よくやった。が、勝ったことよりも次のポケモンが気になるようだな。どうやらうちのジムのしきたりを知らないらしい」
「どういうことよ。だいたい初めて挑戦するんだから当然でしょ!」
「なんだ、本当に下調べもなしでここに来てランクを上げたのか。とんだ命知らずだ。なら教えてやるぜ。ここではな、最後のポケモンは必ずあるポケモンを使うと決まっているのさ。もうわかるだろ?」
「ってことは最後のポケモンはさっきも出てきた……」
「そうだ、Go,ライチュウ」
もう! 一度見たポケモンが出てくるのは嬉しいけど、さっきのバトルは眠らせてフルボッコにしてただけじゃない! 参考にならない。いや、それこそがライチュウの攻略法なの?
「先手はもらった。アイアンテール」
キタ! ちょうど向こうから近づいてくる。やるなら今しかない。
「周りにとにかくねむりごなを出しまくって!」
「No way! また眠らせる気か! 戻れ!」
ヤバイ、気づかれた。今逃げられて警戒されたらもう当てられない。
「思いっきり前に飛ばして!」
お願い当たって。
「ライーzzz」
当たった! 攻撃が中途半端になって動きが鈍ったからかえって当たりやすくなったのかも。普段なら上手くいかなかったかもしれないけど、さっきの今だから相手が焦ったわね。こうなればあとは……。
「エナジーボール、打って打って打ちまくって!」
そして……
「ありがとうございましたー」
「一度ならず二度までも。ねむり……もうこりごりだな」
なんと結局一度も目覚めることなく、そのまま勝負が決まった。今日は負ける気しなかったけど、ほんとにバカツキね。最初はボロボロだったのに、結局勝てちゃうなんて。もちろんわかっている、これはあのおかげ、そう……。
「ブルー……お前……」
気づいたらシショーもフィールドに降りてきていた。なら、今言っておかないと。
「シショー……あの……」
「わかっている。お前はよくやっ」
「やっぱり、眠らせてから攻撃しまくるのって、やみつきになるわね」
するとシショーはわたしの肩をつかんでいった。
「俺が言いたかったのはそこじゃないし、さっきと態度変わり過ぎだ! 俺のときはドン引きしてただろうが!」
「あだだだだ!」
強烈なショルダークラッシュを受けて目がチカチカして火花が弾けた。容赦なさ過ぎよっ。
◆
全くこいつは、やっぱり持っているな。目の前で悲鳴を上げるブルーを見ながら、さっきのバトルを振り返った。信じがたい強運に助けられはしたが、たしかにバトルの質が変わっていた。単に強い攻撃技を出すだけだったところから、効率的に相手の弱点を本来の意味で突いていくスタイルに変わっている。こんなにあっさり壁を超えるとはなぁ……。
「シショーいい加減にやめてよ、死ぬわよ!」
「今のは死にそうにしてたのか。てっきり俺のおかげで逆転勝ちできて嬉しさを爆発させてるのかと思った」
「そんなわけないでしょ! やっぱりシショーはS極ぶ……なんでもないわ」
こいつ今なんか……いや、それよりも、だ。
「今のは冗談だ。これでお前は本当の意味でトレーナーとしての1歩を踏み出し始めた。おめでとう」
「シショー! うん、ありがと。わたし、もう絶対諦めたりしないし、シショーの言うこともちゃんと聞く。そしていつかは、シショーが笑って見てられるようなすごいトレーナーになってやるんだから!」
ブルーがこんなこと言うなんて。本当は健気なんだよな。それがなぜ普段はちょっとこずるくて我が道を行くマイペースな性格なのか……。俺がちゃんと教育しないといけないな。でもまずはご褒美でもあげようかな。こっちも嬉しかったし。
「よし、じゃ、お祝いに何かおごってや…」
「今日は焼肉食べ放題よ! ピーちゃんとフーちゃんもシショーにお礼言いましょうね」
はぁー。ホントに遠慮しないなぁ。別にいいけどさ。早くも教育方針がブレそうだな。
クチバシティを英語ではVermilion City というらしいです
クチバ=朽葉色→赤っぽい黄色→朱色→バーミリオン、ということみたいです、夕焼け色の港町
当たり前ですが「poor」は「貧しい」の意味ではないです
「不幸な」とか「気の毒な」とかそんな感じ
ブルーは借金し過ぎてお金関連に意識過剰になっているんでしょう
ブルーがでんじほうを知っていたのは威力が高いからです
威力高い=強いの図式があったので、一撃必殺やきあいパンチみたいなものも含め高火力技はよくしっています
初登場時オーバーヒートを知っていたのも同様
バトルに関してはひどいですね
自分がされたらのたうち回りますよ
これだから草タイプは……
いいつつエルフーンで宿身がアンコールとかするんですけどね
補助技、半減技あたり起点にできるので強すぎますね。ほうし剣舞その他諸々悪を滅ぼすための必要悪なので仕方ないですね(ニッコリ)
あ、電気タイプは麻痺らないというツッコミはなしで、このゲームの仕様です
そもそも、じゅうなんマッギョがいるのに電気タイプが麻痺しないのはおかしい
よって背理法的に仮定が誤りなので電気タイプは麻痺する(Q.E.D.)
スピンロトムはフォルムチェンジの弊害のため例外で
じゅうなんマッギョの存在が誤りという説もありますが、かわいそうなこと言わないで下さい