複数人の会話が連続するので、一人称で区別できるようにしました
参考にして下さい
ブルー → わたし (地の文含む)
レッド → おれ
グリーン → オレ
シショー → 俺
アヤメ → 私
ゴウゾウ → 俺
サカキ → 私 (後々変化あり)
他の話でも一人称は上と同じように統一しています
ポケセンに戻ったわたし達はポケモンの回復を待つ間にお互いの情報を共有してベトベターを退治する方法を考えることになった。町の危機なのでわたし達3人も一緒になって協力することに。まずはわたし達、町にいた方を話し終わり、今度はグリーンが討伐隊のことを話してくれた。
「そっちのことはこれでわかった。次はこっちの番か。正直振り返りたくもないが、そうも言ってられねぇからな」
「正直わたしはあんた達2人がそろってやられるなんて未だに信じられないのよね。うっかりさんのグリーンはともかくとしても、レッドはしっかりしているし」
「お前、ほんとにオレに対しては昔っから容赦ないよな。そんなんだから……いや、なんでもない、なんでもないって! ゴホン、だがその通り、オレ達も相手がベトベターとわかっているし、楽勝だと思ってた。特に強いポケモンでもなければ、頭数だってこっちも負けてねぇ。けどあそこはヤバイ。マジでヤベーんだよ」
わたしはグリーンが余計なことを言おうとしたので、いらんことまで言ったらシバくと合図を送ってやったけど、ちゃんとわかったようね。
にしても、グリーンがここまで言うなんて本当に珍しい。自然、緊張して力が入った。
「ど、どういうことなんだ?」
アヤメさんがグリーンに聞いた。グリーンは重苦しい表情で吐き捨てるように言った。
「どうもこうもねぇ。終わりがねぇんだよ。倒しても倒してもキリがねぇ」
「次々数が増えるってこと?」
「それもあったが、倒してもすぐに回復してキリがない。倒した奴が廃液のヘドロの中に浸かると回復していって、倒したそばから蘇ってイタチごっこになる。あれを何とかするには一瞬で全部倒して片っ端から捕獲するか、あるいは廃液そのものを止めるか、そのどっちかしかないと思うぜ。ブルーが倒せたのはヘドロの中じゃなかったからだろうな」
さすがにこれは予想外ね。単に数が多いとか手強いとかならまだしも、再生するなんて厄介ね。今回の討伐失敗を考えても物量戦で挑むのは無謀か。
「それはかなりヤバイわね。でも、それならなんですぐに撤退しなかったの?」
「気づいた時にはもうボロボロになっていた。まさかヘドロで回復するとは思わないだろ。あと少しあと少しと思っていると引くに引けねぇのさ。まぁ、最初からわかっていたとしてもすんなり諦めがついたかはわからねぇし、あいつらしつこく襲ってくるから被害は免れなかっただろうがな」
その言葉からグリーンの悔しい気持ちが伝わってくる。ホントは一矢報いてやりたいけど力及ばず、というところかしら。
「それで、どうする? あいつらの発生も間隔が短くなっている。猶予はもうない」
「そうね。それに今回のことで私達は大きな痛手を負った。体にも……そして心にも。町も討伐隊もしばらくは戦えない。なんとか折れずにいるのが、町の人間でなくあなた達ぐらいだっていうんだから、情けない話よね」
レッドの冷静な言葉に、アヤメさんが溜め息をついた。ほんとにこの状況はマズイ。でもなんでこんなになるまでほったらかしだったのよ。同じ思考をしたのか、グリーンがそのことをアヤメさんに尋ねた。
「ほんとに突然だったの。まあ、予兆はあったわ。そういえば、それを指摘するトレーナーもいた。でも、あいつの言うことは考えたくもなかった」
「あいつ? 誰だよ?」
グリーンが問い、わたしも気になったが、レッドが話を戻した。
「そんなことより、ベトベターの対処が先だ。どうする? なんとか廃液を止めるしかないだろ? おれ達で工場に突入するか?」
「ダメよ。ベトベターは廃液に集まるからそれはもちろん私達もやろうとしたけど、頑丈な扉に阻まれていて鍵がないと工場内に入れないの。工場を管理している、そのカギを持つ人間が絶対にこの町にいるはずだとは思うんだけど、なぜか見つからなくて……」
「八方塞がりか。でも怪しいな、その工場。何かありそうだが、なんの手がかりもなしじゃあなぁ」
「さすがに困ったな」
ほんとにお手上げね。この町はもうダメなのかしら。困ったわ……。ん、困った?
あ。そうよ、そうだわ。ずっと忘れていた。わたしは今、困っているんじゃない!
困ってる!
困ってる!
「そうよ、わたし困ったのよ! わたし超困ってる! 困った、困った!」
「……おいおい、勘弁してくれ。とうとう頭にまでヘドロが回っておかしくなったのか? 気持ちはわかるけど冷静になれよ、ブルー」
「うっさいわよ、ウニ頭! 色々と頭パッパラパーのあんたにだけは言われたくないわよ! ちょっと用を思い出したから席外すわね。みんなで考えていて、すぐに戻るから」
ここじゃあの袋を見るわけにはいかないものね。普通に考えたらこんな突発的な事件のことなんてシショーが知っているわけないし、そのことでわたしが困るなんてわかるわけないから。でも1つ目は見事に的中していたし、もしかしたら何かヒントくらいはあるかもしれない。
「ちょっと中身が見たかったっていうのもあるけどねー。どれどれ」
『これを見ているってことはやっぱりお前はそっちで事件に首突っ込んでいるみたいだな。お前はトラブルメーカーだから、どうせこうなると思っていたが。
結論から言うと、お前の関わっている事件の黒幕はロケット団という悪の秘密結社。まぁポケモンギャングみたいなものだ。そいつらが今野望を成就しようとしている。そいつらをなんとかしないとその町は終わりだ。これを見たらお前はイヤでも首を突っ込もうとすると思ったから最初は見るなと言った。悪かったな。ああ、お前ならもう黒幕が誰かは気づいていたか。これを開けたのはそのアジトの場所がわからなかったからなんだろ? わかっている、お前は優秀だもんな』
「ごめんシショー、さすがにそこまではわからなかったわ。若干嫌味な言い方がひっかかるけど……それにわたしのことトラブルメーカーって、そんなふうに思っていたのね。でもこれで事件の謎が解けたわ。タイミングの良過ぎる襲撃も、いきなり現れた怪しい工場も、何もかもロケット団のせいだったのね」
「そういうことか。それならたしかに辻褄が合うな。オレもタイミングといい、不自然な凶暴性といい、なんかクサイと思ってたんだよな」
「またあいつらか。懲りない連中だな」
いきなり近くで声がしてびっくりして距離を取ると、グリーンとレッドがついてきていた。ちゃんと裏道に行って隠れたのに!
「驚いたか? 何年お前のこと見てると思ってんだ。バレバレなんだよ。それに……1人で抜け駆けなんてズリーじゃねぇか。オレ達にも見せろよ」
「3人でやらなきゃ、ロケット団は倒せないだろ?」
こいつら、ホントに……。ここぞで1番頼りになるわね。でも先に1つ言わせて。
「それはいいけど、こんな路地裏でいきなり人の背後に立つな! ビビるわ!」
やっぱりそれはそれ、これはこれ。とりあえず拳骨を落としておいた。その後はもうバレたし、仕方ないので一緒に手紙を読むことにした。
『アジトはゲームコーナーの地下だ。あの店は奴らの隠れ蓑兼資金調達源ってところだな。無理やり捕獲したポケモンを餌にしてスロットで荒稼ぎってわけだ。そこの店内のポスターのどれかの裏に秘密の入り口のスイッチがある。多分見張りの人間がいるから、怪しい奴の近くのポスターを探せ。逃がすと仲間に知らされるから見張りは気絶させるなりして無力化するのが無難だろうな。あと、できればその入り口の周りか、店の周りを味方で固めておけ。背後からの挟み撃ちを防ぎつつ、逃げる敵の不意を突いて捕えられるからな。中では乱戦になるからとにかく囲まれることだけはないように、なるだけ1対1に近くなるようにしろ。サシならお前のレベルでもまず負けない。だが一度やられたら終わりだ。回復系を多めに用意しとけ。中の封筒に一応資金は用意しといた。惜しまずに使うといい。中にはボスもいるかもしれない。そいつのレベルは桁違いだ。万全を期した方がいい。
本当はこんなどうしようもない街のために命を張るような真似はしてほしくないが、言ってもムダだろうから、好きにしろ。ただし、絶対に勝て。お前ならできるよ。俺が保証するから安心しろ』
シショー。なんか、ただの手紙なのにものすごく勇気が湧いた。特に最後。心強い。めちゃくちゃ嬉しい。これは事件の後も大事に取っておこう。むしろ家宝にしよう。
「1つ言ってもいいか」
「何よ、ウニ。今は感傷に浸ってるから後にして」
「それだと、もはやただの“ウニ”じゃねぇか。オレの原型を留めてねぇぞ。……これ書いた奴は一体何者だ? ここにはいねぇんだろ? ここにいるオレらでもわからねぇのに、当たってたら神業だぜ」
「まるで何が起こるかわかっていたみたいな内容だな」
わたしが拒否しても結局言うなら最初から“言ってもいいか”とか聞くな! でも、その後の言葉は一理ある。神業か。そりゃそうよね。わたしもヒントぐらいあればってつもりだったのに、まさか答えをそのものズバリで教えてくれるなんて。全部、ハナダで別れたあの時にすでにわかっていたの?
「これ書いた人はわたしのシショーなの。これは困ったことがあったら読めって渡されていて、全部で3つあったんだけど、その2つ目よ。その人は、トレーナー修行で壁にぶつかったわたしを……こう、目覚めさせてくれて、最近はずっと一緒に旅してたの。すんごい人で、ジムリーダーの本気に勝ったところはとりあえずこの目で見たわ。しかも1匹で。どうやらすごいのはそれだけじゃなかったみたいだけど」
手紙に視線を落としながら言うとグリーンが驚いた。
「ま、マジかよ。それ強過ぎだろ。まさかワタルか?!」
「いや、無名の人。昔この町にいたみたいだけど、ここはキライみたいで、行きたくないってこれだけ渡されて今は一時的に別行動しているの。ヤマブキで落ち合うことになっているから、ホントは急いでるんだけどね。だからこれを書いたのは少し前になるのよね、信じがたいけど」
「ホントに信じられねぇな。もしかして、お前そいつに気が合って、ちょっと話を盛ってるんじゃねぇの? お前は人からものを教わったり、弟子になったりするようなタイプじゃねぇし。それに、別行動と言いつつ、実際はそいつに愛想尽かされたとかじゃないのか? ぜってーヤマブキには来ないパターンだな」
隠そうともせずにわたしを見てニヤニヤ笑うグリーン。こいつ、腹立つ笑い方するわね。こいつのこういう冗談だけは絶対に許さない! シショーの言葉だとそう、ゼッキョよゼッキョ!
「ばっか、んなわけないでしょ! ほんとデリカシーの欠片もないんだから。 控えめに言って死んでほしいわ。それと、わたしは絶対に愛想尽かされたりしないから!」
「お前、死んでほしいのかそうじゃないのかどっちなんだよ。大体そういう割には声が震えてる気がするけど、オレの気のせいか?」
こいつ、言わせておけば! 死ねって言っても堪えてないし、余計に腹立つわね。
「それはないな」
「は? なんでだよ?」
あれ、意外にもレッドが反論したわね。どういう風の吹き回しよ。まぁレッドはいつも思ったことは中立に言うのだけどね。
「キライならこんなもの渡さない。それと、この手紙だけでも只者じゃないのは明白。手紙の内容に関しては、もしかしたらロケット団の内情を知っていたんじゃないか? それでブルーが困るような事件が起きれば、まずあいつらの仕業と踏んでこれを書いたんだ。実際、ここにはベトベターのことは書かれてない」
「言われてみればたしかにそうだ。ってことは、元々オレ達の知りえない情報を色々知っていて、一番確率の高いことを考えてこれを書いたってことか。それならわからなくもないが、オレ達の困るところを予知してるあたりは感服するしかないな。まぁブルーが嫌われてないのがわかっただけで良しとするかぁ?」
「あんた、しびれごなでしばらく動けなくするわよ。シショーのことはまた今度話してあげるから、今はロケット団よ。こいつらが元凶なんだし、奴らの場所がわかった以上、やることは決まってるわ。ここから忙しくなるわよ」
拳骨でグリーンを黙らせてから、ポケセンに戻りロケット団のことを伝えた。ベトベターを何とかする前にまずこいつらを追っ払うことで方針が固まり、潜入は見つからないように少数精鋭でわたし達3人。で、外を固めるのは町のトレーナーは再起不能なので助っ人を用意した。一応挨拶をしておいた。
「よろしくね、ゴウゾウと下っ端さん達」
「この人らマジの暴走族だよな。お前のシショーの知り合いっつっても、普通すんなりこんなこと協力しないだろ」
「ロケット団の内情を知り、暴走族とつながりのあるジムリーダー以上の実力者。ロケット団とは別の秘密結社のボスとかじゃないだろうな」
「ごめん、そういわれると自信ないわ。そういや弟子入りする時に条件として素性の詮索をするなって言われたからむしろ可能性としてはなくはないかも」
詮索すると世界がどうのとかいっていたのは世界征服を始めるから、みたいなことだったのかも。何それ怖い。なまじ力があるから冗談にならないのよ。
「あー、それはねぇよ。あいつは最近までここに住んでいた普通の子供だったからな。ちょうどあの辺にいた」
いきなりゴウゾウが否定した。そこだとわたし達の話は聞こえていたのね。
「え? 本当?」
「あ、やばっ。余計なこと言ったかもしんねぇな。おい、俺が言ったことは黙っていてくれよ」
話を打ち切られ、入れ替わりで誰かがやって来た。
「ブルー、持って来たわよ」
まだ聞きたいことはあったけど、アヤメさんがキズぐすりを届けに来てくれたみたい。ここでシショーの話はおしまいか。詮索するなって言われているし今はいいか。
わたし達はゲームコーナーに来て、ポスターのスイッチはすんなり見つけて見張りも倒した。後は潜入するだけ。
「いくぞ」
「いよいよ潜入ね」
「ロケット団の実力、どれほどのもんか見てやろうぜ」
意を決して階段を下りると、どっかの研究施設みたいな感じの本物の秘密基地が広がっていた。まるで自分が映画の主人公にでもなって潜入捜査するみたい。ワクワクするけど、それ以上に見つからないか心配でドキドキする。遊びじゃないから緊張するわね。
わたし達は感知能力が高く、状態異常にするのが得意なレッドのバタフリーを先行させて、できるだけ戦う前に眠らせながら先へ進んでいった。こういうのが仲間にいると心強い。
「なんとなく慌ただしいな。多分もうバレてるぞ」
「変装するとかどう?」
「身長でバレる」
案の定通路を移動中に見つかり、後ろからも増援が来て挟み撃ちになった。狙いすました連携。やっぱりバレていたのね。ここが最初の山になりそうね。だったら……。
「やるしかないわね。まずはわたしが……」
「いや、ここはオレ達2人に任せろ。お前にカッコ悪いところばっか見せるわけにはいかねぇ」
「何言ってんの、そんなこと言ってる場合?!」
「いや、グリーンの言う通り1人は残しとくべきだ。どっちかがやられたらすぐにスイッチできるし、不意打ちにも対応できる。ここの通路は狭いから3人でやるより格段にいい」
「そういうことだ。わかったか?」
グリーン、あんたはそこまで考えてないでしょ! でも、レッドの言うことは一理あるし、ここは2人に見せ場を譲ってやる方がいいわね。
「もう、わかったわよ。その代わり、ヤバくなったらすぐ代わりなさいよ」
「へっ、その前に全員倒してやるぜ」
「来るぞ」
その後のバトルは圧巻だったわ。レッドはバタフリーで状態異常にしてピカチュウの速攻で倒し、グリーンはユンゲラーの超能力とラッタのすばやい攻撃で敵を寄せ付けない。それにベトベターとの戦闘のおかげか、2体以上を使いながらの乱戦にも慣れているし、レベルもかなり高い。30前後はあるわね。ピカチュウは30代後半なんじゃない?
「どうだブルー。マジでオレらで片づけてやったぜ?」
「サシなら怖くないって言っていた通りね。とりあえずこいつらを縛って、すぐにポケモンを回復させましょう。また誰か来る前に急がないと」
「ちぇっ、反応わりーなー」
「あんたらがそろったら、これぐらいは出来て当然でしょ?」
「……へへっ、わかってるじゃん?」
「そうだな」
別に思ったままを言っただけなのだけど、2人は嬉しかったみたいね。でも本当にこの2人が味方にいるのは頼りになるわ。
戦闘後、一息ついて少し気が抜けるようなタイミング。図ったかのようにポケモンが転がってきた。
コロコロ……
コロコロ……
コロコロ……
「?」
「なんだ? ……ってこれビリリダマじゃねぇか? なんでこんなところにポケモンだけでころがってるんだ?」
ビリリダマ……! この雰囲気、ヤバイかも!
「出て来て! すぐにまもるよ!」
ピカッ!!
ドカーーーーン!!!
「なんだ今のはっ! まさかじばくしたのかっ!!」
「どうなったっ!」
2人が慌てて声を掛け合っているけど心配ないわ。ギリギリ間に合った。暴走族でドガースの“じばく”を使ってくる奴と戦ってなかったら、この空気を察知できなかったわね。ここが狭くてポケモン2体分の幅しかなかったのも幸いしたわ。
「安心しなさい。じばくはまもるで防いだからダメージはないわ。全く、ここは油断も隙もあったもんじゃないわね。さすがに今のはヒヤッとしたわよ」
「マジかよ、ブルーが先手を打ってたのか。あっぶねー。お前よくわかったな」
「似たようなのと戦ったことがあったから。それより、今の音でまた集まってくる前にずらかるわよ。ここにいるのはヤバそうだわ」
駆け足でその場から離脱した。さすがにロケット団のアジトだけあって一筋縄ではいかないわね。ここからは一層気を引き締めていかないと。
ヘドロによる回復は「くろいヘドロ」の効果です
くろいヘドロは野生のベトベターが所持している道具なので廃液の中にあってもおかしくはないと思います
もしレインがいたら、間違いなくベトベターそっちのけでくろいヘドロの回収にはしっていたでしょう
じばくスイッチとか何気にジョウトネタも多いですね
同じロケット団のやることですからね