Another Trainer   作:りんごうさぎ

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4.とにかく当たって 避けないで

「ファファファ、これからも精進するがよい。さて、次はお主の番か。カラクリを解除する手並みは見させてもらった。実に見事。バトルの方も期待しておるぞ」

「俺も期待してるぜ。今までの中で1番いいバトルができそうだ。できればランク7でやりたかったが仕方ないな」

「ほう、面白い。ならばランク8で相手してもよいぞ?」

「ほんとにか?! でも、なんでまたそんなナツメみたいなことを。いや、できるならこっちとしてもその方がありがたいが」

 

 どういう風の吹き回しだ? ジムリーダーの方から進んであげてくれるなんて。キョウが言うとなんか罠かと思ってしまうな。

 

「そうです、どうしてそんなことを急に言われるのですか! 規律に厳しい父上らしくない!」

「父上? あの審判の子、キョウさんの娘さんだったの!?」

 

 いまさらかよブルー。まぁ顔を見たことないから普通はわからないか。「らしくない」というのはわざわざこんなことをするような性格じゃないということだろうな。やっぱりナツメみたいなテキトーな性格じゃないだろうし、理由が気になる。

 

「ふむ……たしかに普通なら認めはせんよ。しかし、この者らは拙者自ら手掛けた最高傑作の罠を見事に掻い潜ってここにおる。屋敷の攻略具合を見るに並々ならぬ実力があることは疑いの余地もなし。希望があれば特例でランク8へ上げることも絶対ないわけではない。故に、拙者が真剣勝負をするに値すると判断するには十分な内容だった以上、ランク8でも構わないであろう。そもそも拙者の罠を初見でパーフェクトに抑えた者は我が門下の有望株のお前も含めて今だ誰もおらん。この者は忍と比較しても劣らぬ腕前、お前がどうこう言う相手ではない」

「なんですと?! 父上、それは真ですか!! 訓練を受けたあたいでも苦戦するあのカラクリをただの一度で! それならば仕方ありませんね。恐れ入りました。あたいもそれなら納得です」

「いやいやいやいやっ! あんたらどんだけカラクリ屋敷を重視してるんだよっ! そんなに重要なのかあれは?!」

「まず本職の忍者にクリアできないレベルを一般人にさせたらダメなんじゃ……」

 

 アンズの言葉に思わず突っ込みをいれてしまった。本気の真顔で言うから逆に笑ってしまう。カラクリというワードが出ただけで見事なまでにあっさり手のひら返したよこの子。

 

「何を言って居る? 普段は忍の修練場も兼ねているが、あの屋敷のカラクリはトレーナーに必要な素養を試すためにある。状況判断、機転、危険予知、そして諦めずに挑み続ける根性、全てが凝縮されている。さらに一度でクリアするにはまた別の力が試される。裏の裏を読むような周到さ。そして時には大胆さも要求され、一部の隙もない完璧な読みが必要となる。いけそう、たぶん大丈夫という甘い心持ちでは到底進めぬ。確固たる知識と知恵、己を信じる自信を持ち、0か100かという読みを続けられなければノーミスなどとてもとても」

「本人から聞くとやっぱり違うな。よく練られた罠だし、攻略の道筋が存在して闇雲に罠を大量に作ることはしていなかった。多角的に挑戦者を試しているのは実際に感じられたし、そう考えると本当にいい試練だった」

 

 実際俺がクリアできたのがいい証拠。ちゃんとクリアはできるようになっていた。問題をあげるなら本気でチャレンジャーのリタイヤを狙い過ぎていることか。迷路に閉じ込めるような詰みも平気であるし、毒くらって倒れたりしたらどうなっていたのか。まさか放置されたままってことはないよな?……ないよな?

 

「そうであろう。お主はある意味最もこの屋敷の醍醐味を味わえたとも言える。カラクリに精通しているようだし、我が門下になれば優秀な忍になれようぞ。いや、もしやジョウト地方に伝わる他流派の忍であったか?」

「え! ここに来てシショー忍者説?! 定番とかオーソドックスとか忍者みたいなことばっかり言っていたからやっぱりそうかなとは薄々思っていたけど」

「違うからな。本気にするなよ? お前俺の後ろでそんなこと考えながらついてきていたのか。今の発言にしても冗談に決まってるだろ」

「ファファファ! この屋敷はその攻略の出来をみればトレーナーとしての器もしれるようになっておる。拙者はいつもそれを参考にして挑戦者にとって最良の力加減を考えている。お主達の場合は過去最高の出来故、先の戦いも拙者、全力に近い形でお相手し申した」

 

 本人も笑っているしやっぱり冗談か。他流派ってチョウジタウンのコウガニンジャのことか? あの町忍者の里と言いながら忍者が全くいなかったんだよな。この世界だといるのか? 

 

 俺もちょっと忍者修行とか体験してみたいとは思うけど、本当に忍者になるのは人間やめることになりそうだからそこまでしようとは思わないな。キョウは絶対レベル40ぐらいあるだろ。ユーレイの攻撃躱したし。

 

 ただ攻略の出来を見て手加減していたのはびっくりだ。わざわざ力量を測るためにここまでの仕掛けを考えたのか。一々チャレンジャーの攻略具合を調べるのも大変だろうし、案外ジムリーダーの仕事に熱心な人なのかも。大半のチャレンジャーにとっては有難迷惑になっていそうだが。

 

「そこまで深い意味がねぇ。ジムリーダーの仕事をそこまで真剣に考えているジムリーダーがいたなんて。さっき俺達のことも見ていたと言ってたがそのためということか。屋敷の中にいた時は人の気配には全く気付かなかったが。じゃあ今まではチャレンジャーによって適度に手加減をしていたと?」

 

「無論。全力でするだけでは誰もバッジを手に入れられぬ。あくまでジムリーダーは挑戦者にとってのよき壁、よき指導者であらねばならぬからな。できるだけ挑戦者の力量を引き出せるように最善の力加減を心掛けておる」

 

 すっげえよ、今めっちゃ感動している。やっていることは一見クレイジーだったが、ここよりもいいジムは存在しないんじゃないだろうか。ほんとにジムとして最高の形だな。世の中には挑戦すっぽかして寝ている奴とか手首折ってバッジを盾にとるような奴もいるのに。今ものすごくこのジムが輝いて見える!

 

「俺、なんか誤解してたわ。ここは最高のジムだな。間違いない。本当にここに来れて良かったよ」

「あたいの父上はほんとに素晴らしい人だ。あたい達門下も皆尊敬している。もちろん、トレーナーとしての実力の評価も高い。その気になればリーグ制覇も難しくはないんだからな」

「アンズ! よさぬか、忍が自慢話などみっともない!」

「ぐ、申し訳ありません、父上」

「いやいや、全く以てその通りだ。俺も尊敬する。ほんとにすごい。あのナツメもここを見習って欲しいもんだ。あいつの頭の辞書には周りへの配慮とか手加減とか、ジムリーダーに必要な素養が全くないからな。レベルはアホほど高いし俺にだけ全く容赦もしないし」

「さっきも名前が出ていたが、まさか、ナツメのランク8と戦ったのか?」

 

 ふとそうつぶやくと、いきなり真剣な声色で心配そうに聞かれた。

 

「え、急にどうしたのさ。たしかに8でやったけど。もちろんバッジもある」

「なんと、よもやランク8であやつを倒せるトレーナーが現れるとは。あれは難儀な性格をしておるからな。いつも拙者はリーグ関連の連絡から何から押しつけられ、ほとほと困っておる故、その性分はよくわかっておる」

「え、あんたあれと普通にコンタクトとれるのか。それだけでも尊敬に値するな。まさか、ナツメが言ってた1回負けたのってあんたなのか?!」

「ええっっ!!」

 

 ブルーも驚いていた。よく考えたらこの人未来の四天王だし、アンズがさっき言っていたのも誇張じゃないってことか。戦術もヤバかったし、ありえる話。が、予想は外れた。

 

「いや、勝ったことはない。一度引き分けになって、それから拙者を多少は認めるようになったが、よもやあの娘から一本とるとは恐れ入った」

「いやいやいやいや! 普通に考えて毒中心でエスパー相手に引き分けにする方がやべえよ! ほんとにあんた何モンだよ!? ナツメは絡め手にはからっきしとはいえかなり不利なはずだろうに」

 

 そういえばナツメが負けたのはゴースト使いだった。おそらく四天王のあの人だろう。だが難易度は毒ポケモンで引き分ける方が絶対に難しい。実力は現時点でも四天王レベルかもしれない。

 

「なんかすごいわね。ナツメさんを介してお互いの実力が明るみになるって」

 

 たしかにここにきてまさかナツメが役に立つことになるなんて思わなかったな。今回はナツメのとき以上に気を引き締めていかないと。

 

 さぁ……始めようか!

 

「丁度よい。これで心置きなくバトルもできよう。覚悟しているだろうが、拙者の戦い方、一筋縄ではいかんぞ! 惑わし、眠らせ、毒を食らわせる……まさに変幻自在、あやしの技よ!……ファファファ! 力だけでは及ばないポケモンの奥深さたっぷりと味わうが良い!」

 

 イガニンジャのキョウが勝負を仕掛けてきた! 

 

 お互いに最初のポケモンを繰り出す。

 

 ゴルバット Lv45  140-80-80-75-98-102

 

 グレン   Lv37  123-121-72-87-63-121

 技 1かえんほうしゃ 

   2かえんぐるま 

   3しんそく 

   4かみなりのキバ 

   5まもる

   6みがわり 

   7オーバーヒート 

   8こうそくいどう 

   9フレアドライブ 

  10おにび

 

 まずは“いかく”で攻撃力を下げた。ゴルバットか。能力は怖くないが面倒な技がおおい。間違いなく補助技で攻めてくる。グレンをうまく使って様子見だな。

 

「6」

「どくどく」

「4」

「あやしいひかり」

 

 やっぱりまっすぐにはこない。絡め手から入ってきたな。うまく“みがわり”が機能した。この流れだとうまくいけばサンタテぐらいは狙えるか。“かみなりのキバ”は半分弱効いた。

 

「ファファファ。こちらの技は共に通らずか。お主、黙ってみがわりを使うとは食えない男。まるで忍びのような戦い方をする。愉快愉快」

「なにっ!? 1発で見抜いたのか!?……信じられねぇ。……そうか、お仲間か」

 

 “みがわり”というのは技名を言われなければ技そのものの知識があっても気づくことは難しい。人形が出て来るならわかりやすいがそうではないからな。これを一度で見抜くとなれば普段から使い慣れているということに他ならない。この相手に補助技で出し抜くのはおそらく無理。下手するとバトンも読まれるかもしれない。

 

 念を入れてイナズマでなくグレンを先鋒にしているから問題はないが、予定が狂ったな。どんな補助技を使ってくるかもわかったもんじゃないからこれは俺が気を抜いたら一瞬で勝負がついてしまう。

 

「ゴルバット、いかりのまえばでみがわりを破壊せよ!」

「チッ! 対策も織り込み済みってわけか。もう1回、4」

 

 “いかりのまえば”は必ず“みがわり”を破壊できる。火力不足を完璧にカバーされた。いかく込みならワンチャン残せる計算だったのに、ここまで徹底して対策されると“みがわり”は使いづらい。

 

 素早さにもそこまで差はない。無理せず“みがわり”を残すことは諦めて確実にダメージを与え手持ちの数を減らしていくことにしよう。今の“かみなりのキバ”で圏内に入った。

 

「どくどくのキバ!」

「させねえよ。3」

 

 補助技がダメなら追加効果でってことか。すっぱりお得意の“どくどく”を諦めたか。甘い考えはしてこないな。この様子じゃ完全に“みがわり”で起点を作るのは無理だな。

 

「ゴルバット戦闘不能!」

「速い。まるであの男のカイリューを思わせる。補助技と攻撃技をうまく組み合わせている上、攻撃にムダがない。お主、誰に学んだ?」

「俺は我流さ。こんな指示の仕方のトレーナーだって、マスターにはいないだろ?」

「我流でここまで完成させるとは信じがたいな。どうやらこちらも本気を出さねばなるまいな。あの技を使うことも考えねば……。さて、次の勝負と参ろうか。絡め手は通りにくいならこれはどうかな?」

「ガーギー!」

 

 ニドキング Lv45 140-95-90-100-95-94

 

 技じしん

  かえんほうしゃ

  10まんボルト

  れいとうビーム

  ヘドロばくだん

  だいちのちから

  メガトンパンチ

  メガトンキック

   …………

 

 技構成からしてもガンガンのパワー押しだな。こんなのもいたのか。これは逆に厄介だ。こっちのポケモン全て弱点を突かれる。

 

 一致抜群のイナズマと4倍弱点のアカサビは厳しい。ユーレイも潜っているときは“だいちのちから”が当たるから出したくない。“しんそく”があるグレンで突っ張るしかないか。

 

「だいちのちから」

「6、1」

 

 あっ! いつものクセでつい(けん)に回ってしまった。ゆっくり技を分析して考える時間がなかった。ホントのノータイムだとつい普段通りのパターン行動をしてしまう。ここは集中だ。

 

 あっちが“だいちのちから”を連打するならこっちから仕掛けてそれをさせないようにするしかない。このまま攻め続けるしかないんだ。“かえんほうしゃ”は躱されたがそれでいい。躱()()()のが大事なんだ。

 

「2,1」

「かわしてメガトンパンチ」

 

 間合いを詰めないと撃ち放題だ。接近戦を狙い、“かえんぐるま”を選択。相手は接近するグレンを見てから技を選んだ。まず躱してからその隙を狙ったのだろうが、この連携はいつもとは順序が逆だがグレンの十八番のひとつ。最初の技は囮で、その後の“かえんほうしゃ”が本命だ。

 

 近づくと見せかけたグレンは絶妙な距離感を保ち相手のリーチの外へ逃れた。狙いを外されニドキングの攻撃は空振り、そしてグレンの攻撃をまともにくらった。

 

「陽動か。味な真似をする。これ以上ペースを握らせるわけにはゆくまい。ヘドロばくだん」

「右へ」

「もう一度攻撃」

「3、7」

 

 避けても逃すまいと追撃され、とっさに“しんそく”で逃げた。相手の技の連射が速い。補助技が少ない分攻撃に特化しているのか。だが「しんそく連携」は初見ではさすがに対応されず、“オーバーヒート”はクリーンヒット。問題はその後の攻撃をどう躱すのか。

 

「だいちのちから」

「5、3」

 

 “まもる”で緊急回避。避けられずこれでしか回避できないタイミング。もう一発も受けられないから仕方ない。その後“しんそく”と相手の攻撃の競争になるがどうだ? “まもる”ですぐには攻撃できないが“しんそく”は優先度が1でなく2多い。相手の攻撃が届くよりは先に動いて避けながら攻撃できるから何とか間に合うはず。

 

「どくびし」

 

 しまった! 攻撃しないのか。“しんそく”を見せ過ぎた。“しんそく”を使うことを読まれた上、速さも正確に計られている。たぶんキョウは間に合わないと見切って補助技を使ったんだ。攻撃技なら間に合わなくても、補助技なら幾分出が速いから何とか間に合う。

 

 やはりキョウは分析も判断も甘くない。しかも俺は“どくびし”を解除できない。できれば交換が無償だしすぐに取り除けたのだが。いくらアタッカー寄りといえどもそこはさすがにキョウのポケモン。タダではやられないな。

 

「面倒なことしてくれるな」

「効果は当然知っているようだな。先程は不発に終わったが、今度こそ真骨頂を見せる時が来た。これから忍びの技をとくとご覧に入れよう。次はゆけ、マタドガス」

「こっちもチェンジだ。マタドガスならユーレイ、出てこい」

 

 マタドガス Lv45 130-90-130-90-88-68

 ユーレイ  Lv32 89-54-51-129-48-105

 

 技 1シャドーボール

   210まんボルト

   3きあいだま

   4さいみんじゅつ

   5まもる

   6みがわり

   7あやしいひかり

   8みちづれ

   9ゆめくい

 

「ガーッ!」

「こいつならどくびしは効かない」

 

 本当は効いてくれた方が良かったんだけどな。特性“ふゆう”がなければ毒タイプだから“どくびし”を回収できた。ゲンガーの特性一時的に変えれたら便利なのになぁ。

 

「毒ポケモンを持っていたか。しかもゴースト。厄介だな。まずはあくのはどう」

「潜って7,6,4」

 

 こいつのお決まりの連携。“あやしいひかり”で確実にターンを稼ぎながら“みがわり”を盾にして眠らせることを狙う。その後はじっくり“ゆめくい”で“みがわり”分の体力も回収し“みがわり”を残して次のポケモンへ。まさに無限ループ! 地獄ロードのトレーナーとの連戦は“ゆめくい”大活躍だった。

 

「混乱から眠りとは、まるで拙者自身と戦っているようだ。さらにこちらは交代できないのが痛い。打つ手もないか」

「これじゃどっちが忍者かわかりゃしないわ。さすがシショー汚い」

「マタドガス戦闘不能!」

 

 あっという間に体力を吸い上げた。ゴーストポケモンは本当にかなり強い。倒せるポケモンは限られるので交代に制限がある時、特にジム戦じゃかなり猛威を振るう。外野の声は無視だ無視。

 

「ゆけいゲンガー!」

「げ、ここでミラーマッチかよ!」

 

 ゲンガー Lv46 120-80-75-135-84-133

 

 さすがにレベルが違い過ぎる。これはきつい。交代するか? いや、ヤバイ補助技は一通りそろっているようだし、他のポケモンでもこいつを倒すのは至難の業か。なら仕方ない。おとなしく諦めるか、ユーレイでの全抜きは。素早さだけでも勝っていればまた違ったが、ユーレイは素早さを上げる技がないからな。“こごえるかぜ”で相手を下げるぐらいしかできない。

 

 最初は多少有利でも素早さで劣る以上結局ジリ貧。間違いなく勝てない。ここはユーレイを切って確実にあのゲンガーを仕留めた方がいい。あれが暴れだしたら手の付けようがなくなる。

 

「シャドーボール」

「8」

 

 “みがわり”があるのでやはり攻撃から入ってきた。わざと“みがわり”を解いて“みちづれ”で相打ちに持ち込んだ。

 

 ここはゲームじゃないから任意で“みがわり”を解除することもできる。ユーレイは“みちづれ”の指示だけで意図を察して自分から倒れてくれた。

 

 案外ユーレイに限らずポケモンは自らひんしになることを嫌がることはない。“だいばくはつ”を見ることも多いし倒されるのは嫌でも自分から倒れるのは構わないという考えが普通なのかもしれない。

 

「潔し。いきなり“みちづれ”を使うとは思い切ったことをする。わざわざ回復までしておったというのに未練を残さなかったか。あわよくば倒せるかも、などと相打ちを先延ばしにして欲をかけばそのままこちらのペースに入り“みちづれ”すら使えず敗れただろう。拙者の罠を潜り抜けただけあって甘い未練がどれほど自分の首を絞めるかよく知っている。これだけでも実力の程がうかがえよう」

「現実主義だからな、俺は」

「血も涙もないが抜けてるわよ」

 

 うるさい! 

 

「これでこちらは4体を失ったか。だが、勝負はこれからよ! ゆくぞ、ベトベトン!」

「レベル48……耐久高すぎだろ。来い、アカサビ!」

 

 ベトベトン Lv48 

 実 192-103-115-77-130-62

 

 アカサビ  Lv39 @メタルコート

 実 116-157-92-51-76-89

 技 1バレットパンチ

   2でんこうせっか

   3むしくい

   4つるぎのまい

   5まもる

   6みがわり

   7とんぼがえり

   8つばめがえし

   9こうそくいどう

  10かわらわり

 

 特殊から攻めるのは下策。“どくびし”も考えるとアカサビしか出せない。まだ相手の残りは2体だからベトベトンの他にもう一体いる。だがレベルを見ればこのポケモンが切り札と見て間違いはないだろう。ここでアカサビを出して勝負をかける。

 

「6」

「ちょうはつ」

「げ! 1だ!」

「かなしばり」

 

 はあぁ!? 何してくれてんだこいつ! 鬼畜過ぎ!

 

「え、何が起きてるの?」

「ファファファ、これでもはや手足をもがれたも同然。ちいさくなる」

「なんだと! 調子乗ってんじゃねえぞ、7!」

 

 ヤバイ。“みがわり”は警戒薄くなるかと思ったら“ちょうはつ”でこっちの補助技をまとめて封じにきた。当然“みがわり”は不発。さらに慌ててこっちが攻撃すれば、当然1番有効な技を使うから、そこを狙い打って“かなしばり”か。“まもる”も持ってるから初手に攻撃してきそうな相手なら一度“まもって”から“かなしばり”ということも考えているのだろう。

 

 その上、有効打と“ほえる”その他の補助技を全て消してから次の行動が“ちいさくなる”ときた。この状態だと放っておけば際限なく能力を上げられてしまう。キョウは2回以上能力変化技を使う珍しいタイプであることはさっきのバトルでわかっている。

 

 今の攻防、キョウは俺のレベルに合わせて行動を読んで、かつこっちの対策も見越して先手を打ってきた。さすがに強い。技の使い方も俺より上手い。“かなしばり”は使いにくいと思っていたがこれがどうして痛いところを突いてくる。

 

 ひとまず“とんぼがえり”で交代させたが、こっちも打つ手はない。運否天賦に任せた勝負は1番キライだがやむを得ないか。ここまで見越してあっさりゲンガー同士を1:1交換していたのなら策士過ぎる。

 

「グレン、すまないが頼む、9!」

 

 いかくを入れた後、“フレアドライブ”を使った。一致120技の威力は伊達じゃない。アカサビの“バレットパンチ”よりも指数で勝る。さっきの2発で81ダメージだった。“フレアドライブ”でどこまで削れるか。いや、まずは当たるかどうかだな。

 

「躱してヘドロばくだん!」

「攻撃は最小限の動きで避けてしつこく追い続けろ! 速さで勝る以上いつかは追いつく」

「それが狙いか。ならば躱そうとはせず受けきってからヘドロばくだんを当てよ!」

 

 決まった! 素早さそのものはこっちが倍近いんだ、狙う隙があれば外さない。

 

 ベトベトンが使ったのが補助技なら大した隙にはならなかっただろう。だが、グレンがすでに体力残りわずかで毒状態、もうあと一息で倒れるという状況の悪さが逆に功を奏した。これなら補助技を使うよりも素直に攻撃した方が手っ取り早い。

 

 もちろん、“フレアドライブ”は高威力だが反動がある自傷技。どく状態もある。いかくは入っていたが相手の攻撃を受けてグレンはさすがに倒れてしまった。ダメージは62だったので、残り49。“バレットパンチ”はさっきダメージが55だから当たればなんとか倒せるだろう。

 

「アカサビ、詰めは頼んだ! 1!」

「いたみわけ」

 

 はぁ!? これはくらったらきつ過ぎる! 当てろ! 絶対に当てろ!! お願い何でもいいからとにかく当ててくれ!

 

「ッサム!!」

「ベトー!?」

 

 た、倒れた? 当たった? 当たった、当たった! 

 

 当てた! アカサビが当てたー!

 

「よっしゃあああ!!!」

「うわぁ、シショー本気で叫んでない? こんな感情露わにして喜ぶところ初めて見たかも。あのポケモン倒したのがそんなに嬉しいの?」

「ブルー、お前わからないのか! あの技はなぁ、人類の敵みたいなものなんだよ! 今の勝負、俺は負けられなかったんだよ、トレーナーとして!」

 

 ブルーにはまだわからないのか。どんなに強かろうが、ツキという壁は越えられない。運命のいたずらひとつで俺達は負けちまうんだ……!

 

 俺は今その壁を越えた!

 

 もう忍者なんて敵じゃない!

 




(事実上の)ニンジャ対決

手直しで地の文増やして20000文字超え始めて急遽キリの良いところで三分割したので今回と前回のタイトルが思い浮かばず雑な感じに
とりあえず両方トレーナーの気持ちをこめました
ジム戦は次回レイン戦残り半分で終了です

甲賀は本当の読みは「こうか」らしいですが違和感しかないのであえてコウガに
()ときたらこっちもコウ()と濁さないとバランス悪い気がします

チョウジに忍者いないのは本当に謎
詐欺じゃないんですか?
どういうことなの?

回避率についてもコメントを
ゲームの感覚とは決定的に違うのは回避率を上げようが努力次第で当てられるということです
確率で決まるわけではないので、極端なことを言えば回避率が6段階アップしていても全く動かないなら簡単に当てられます、当然ですね

なので感覚はだいぶずれています
わかりやすく一言で言うと弱体化しています
そうなると避ける戦術自体が鈍足のポケモンには向いてなさそうに思えます

じゃあなんで鈍足のベトベトンで使うねーんとツッコミきそうですね

高耐久ポケだと劇的に当たりにくくなることはないが何回か被弾しても生き残る
紙耐久ポケだと劇的に当たらなくなるけど一発なんかの間違いで当たるとアウト

どっちを取るかですね

まあ自分がどっち取るかと聞かれたらそれよりも先にS上げますといいそう
避け易くなり行動回数増えるので明らかにその方がメリット大きいですし
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